テンペストに滞在しているフューズ達は、口を開いていた。
「どうしよう!ギルマス!」
「くっ……………!俺とした事が、目算を誤った……………!」
「あっしらには、大事な使命があるんでやすよ」
「なのに、こんな時に……………」
「テンペストに……………」
「「「初雪が降ってくるなんて……………」」」
エレン達はそう話しながら、空を見上げる。
空から、しんしんと雪が降っていた。
俺とリムルは、お茶を飲みながら見ていた。
「滞在期間を延ばすかあ……………」
「仕方ないですよねぇ」
「でもでも〜こんなに良くしてもらっているのに、これ以上お世話になるのは…………」
「小芝居しなくても居ていいよ」
「滞在したいなら、素直にそう言え」
エレン達が小芝居的な感じに言う中、俺とリムルはそう言う。
すると。
「やったー!」
「「「よっしゃー!」」」
「温泉入ろ〜っと!」
「流石、リムルの旦那に直也の旦那〜!」
「冬だね〜……………」
「そうだな」
俺たちがそう言うと、エレン達ははしゃぐ。
それを見ながら、俺とリムルはそう言う。
その翌日、結構雪が積もった。
俺がのんびりとしていると、リムルが2階の窓からダイブした。
あいつ、何やってんだ。
俺はやらないがな。
その後、リグルドによって発見され、リムルは戻ってきた。
「それにしても、随分と積もったよな」
「本当だよな!この辺りは豪雪地帯なのか!?こりゃあ、雪かきせにゃ仕事にならんなぁ。」
「ええ。ジュラの森は、気候が不安定なことで有名ですから」
「良いじゃないですか。雪って好きです。子供の頃は、雪の降る中でも、半裸で走り回っていたものです。意外にも!」
「居たなぁ。そんなおバカな小学生。目に浮かぶ」
「うん?」
なるほど、気候が不安定なのか。
そりゃあ、この豪雪も大変だな。
紫苑の奴が半裸で雪の中を走り回っていたと言うのは、想像できるな。
リムルと紫苑が笑う中、朱菜と紅蓮が口を開く。
「笑い事じゃありません!」
「お前、そのまま、雪に埋まって凍死しかけたよな?」
「だって……………新雪には飛び込まずにはいられませんよ!でしょ?でしょ?」
「アハハハ………………」
そりゃあ、凍死しかけるのも無理ないわ。
というより、リムルと似たような思考だな。
すると、俺たちが座る椅子の後ろの窓が勢いよく開かれる。
「ただいまなのだ!」
「ミリム様!2階から飛び込むのもやめて下さい!怪我しますよ?」
「魔王は怪我しないのだ!ワーッハッハッハッハッハー!」
ミリムが飛び込んできて、朱菜が注意する。
その後、リムルが町の放送を使って、皆を議事堂前に集める。
「よーし!割り振りは以上。」
「皆頑張るぞ!」
「「「おー!」」」
俺とリムルはそう言う。
皆がそれぞれの担当区に向かい始める中、ヨウム達もスコップを手にやって来た。
「あっおーいヨウム!」
リムルは元気良くヨウムのもとに向かう。
ただ、ヨウムはあまり乗り気では無さそうだったが。
「一緒に雪掻き頑張ろうな。その後は温泉だ」
「ちょっと待ってくれよリムルの旦那。確か住んですぐに火の用心の夜周りをしたな。それに用水路のドブ浚いも、ヤグラのペンキ塗りもやったな」
「荒地の開墾とか」
「庭も作ったな」
「はぁ……………それで今度は雪掻きだぁ?英雄になるのは引き受けたが便利屋になるつもりないぜ」
そう。
ヨウム達にも、色々と手伝ってもらっていたのだ。
ヨウムがそう言う中、俺とリムルは口を開く。
「そっか。たまには気分を変えさせたいって、白老からの提案だったんだが……………」
「そんなに修行が好きなら、仕方ないなぁ。真面目だなぁ」
「「「「ひぃー!えっさ!ほいさ!えっさ!ほいさ!うぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」
俺とリムルがそう言う中、背後には凄まじいオーラを纏った白老が居た。
それを見て、ヨウム達は雪かきをし始めた。
ヨウム達のもとに、朱菜とハルナがやって来ていた。
「お疲れ様です。大変じゃありませんか?」
「とんでもない!」
「俺達!」
「「「雪掻き大好き!!」」」
朱菜達が温かい飲み物を持ちながらそう聞くと、ヨウム達はそう答える。
「「「「えっさ!ほいさ!えっさ!ほいさ!えっさ!ほいさ!えっさ!ほいさ!」」」」
「まぁ頼もしいですね」
「ホホホホホ……………」
「頑張って!」
ヨウム達が雪かきをする中、朱菜、白老、シズさんはそう反応する。
俺たちは、温かいお茶を受け取っていた。
「直也様とリムル様もどうぞ」
「ありがとう」
「助かるよ」
俺とリムルは、お茶を受け取る。
そんな中、リムルの影の中では。
「どうやら、今年も大量の雪が降ったようだな」
「雪!」
「雪か!」
「雪知ってる!白くてふわふわのあれであるな!」
「雪の上では我らの独壇場ぞ!リムル様と直也様のお役に立つのだ!」
「滅多にない見せ場であるな!」
「いざっ!」
嵐牙とその配下の狼達がそう話すと、リグルの影から飛び出す。
それをリグルが見ていた。
「ん………………?」
それを見て、リグルは目を細めていた。
何故なら、リグルの目から見れば、ただ単に遊んでいるようにしか見えないのだから。
その後、嵐牙達は俺たちの方へと戻る。
「はぁはぁ……………リムル様、直也様…………」
「え!?どうした!?」
「ただの偵察なのに、えらく消耗してるな」
「ぶるるるっ!だ……………大自然の脅威というものは、我が一族でも抗い難く…………」
「う〜ん………………」
俺とリムルが報告を聞く中、リグルは物言いたげな表情をしていた。
一方、蒼華と銅金は。
「やだ。私ったら、なんて子供っぽい事を……………ふふっ」
「相変わらずだな。…………あ」
「ほほう。それは何だ?」
「はっ……………!そ、そそそそ蒼影様!?いつからそこに!?」
蒼華は、自分と蒼影の雪だるまを作ってご満悦になってて、それを銅金が見ている中、蒼影が現れる。
蒼華は蒼影にそう聞く。
「俺はいつでも、お前の背後にいる。で、それは一体なんだ?」
「これは的です!そう!訓練用の!あっ!あっ!あっ!えっ!えっ……………!」
「なるほど。基本に忠実だな」
蒼影がそう聞くと、蒼華はそう答える。
それを聞いた蒼影は、蒼華にクナイを渡す。
「あああ……………!」
「右か左。お前の標的を選べ。残った方は俺がやる」
「はっ、はわわわわわ……………!」
「アハハハ………………」
蒼影はそう言って、蒼華は顔を青ざめ、銅金は苦笑する。
蒼影は、相変わらずのサディストであった。
一方、街の方では。
「
紅丸が
建物には引火していなかった。
「おお〜!流石、紅丸!」
「やっぱりお前は頼りになるなあ!雪かきが捗る!」
「ふっ」
「お〜お〜お〜!すっごいのだ!」
「火力調整にコツがいるんですよ。ハッハハハハハ……………。(最近、こういう役所も慣れて来た……………俺)」
俺たちが感心する中、紅丸はそんな風に思っていた。
ちなみに、別の場所では除雪作業が出来るデミシュゴッドが雪かきをしていた。
その後、俺とリムルは街を歩いていた。
「ようやく片付いて来たな」
「だな。ん?」
俺とリムルがそう話しながら歩いていると、雪玉が当たる。
俺とリムルが振り返ると、子供達がいた。
「リムル様〜!直也様〜!雪合戦しよー!」
「よーし!」
「行くぞ!」
そう言って、俺たちは雪合戦をする。
すると、後ろから凄まじい速度で雪玉が飛んでくる。
「ぶはっ!」
「なっ!?」
「イェーイ!リムル様ー!直也様ー!」
「受け止めて〜!」
「てめぇらー!」
「あれ?なんか、影が……………」
俺たちの後ろには、ゴブタ達と紫苑が居た。
俺たちがそう言うと、上空に大きな雪玉が現れて、俺たちは押し潰される。
「ワーッハッハッハッハッ!私の勝ちなのだ!」
「あぁ……………」
ミリム達がそう言う中、キレた俺たちは、リムルは水玉を、俺は主にゴブタに向けて、中に石ころを入れた雪玉を作り上げてから投げる。
「リムル様!やっ、やるなら水じゃなくて雪玉で!雪玉でー!あと、直也様は石ころを入れないで下さいっす!」
俺とリムルが追いかける中、ゴブタ達は逃げる。
その後、トレイニーさんの方へと向かう。
途中、シズさんとも合流する。
「うふふふ。そっくり〜」
「
「そんな事はありませんよ。確かに、森の木々は活力を失っているように見えますけど………………葉を落とした木も、今は休んでいるだけなのです。木々だけではありません。地面には植物たちの種子が、地中には同じく根が。たとえ雪に覆われていても、確かな命の息吹を宿し、じっと待っているのです。そう。暖かな春の訪れを」
「そうなんですね」
なるほどな。
そういうもんなんだな。
すると、そんな良い話をぶち壊す傍若無人な声が響く。
「へー!トレイニーさんの春はいつ来るんすかね!アハハハ!」
「バカ……………」
ゴブタだ。
そんな事を空気を読まずに言ってしまう。
すると、ゴブタの足元から木が生えてくる。
「何だ!?木が……………!?」
「と……………このように。植物が本気を出せば、これだけの生命力を発揮できるのです。ええ。春を待たずとも」
「わー!あー!高いー!」
「分かったから、勝手に木を生やさないでくれ」
「あと、天辺のゴブタを下ろしてやってくれ」
「嫌です」
ゴブタが悲鳴を上げる中、トレイニーさんはそう言う。
その後、ゴブタを下ろしてやった。
そして、毎度お馴染みの光景が。
「ゴブタ君………………。本当に、何度目なのかな?そういうのは言っちゃいけないんだよ?ね?」
シズさんが目が笑っていない笑みを浮かべて、ゴブタに説教を開始する。
そして、シズさんは、白老と一緒にゴブタを連行していって、修行をすることに。
その後、ミリムが雪で何かを作るらしく、できるまで見ないように言われたので、目を閉じていた。
「よし!できたのだ。こっちを向いていいぞ」
「やれやれやっとか。」
「さてと。何ができたかな」
俺とリムルが振り返るとそこにある物に思わず声を上げた。
「「おお!」」
「見ろ見ろ!リムル雪像なのだ。」
そこには巨大なスライム姿のリムルの雪像ができていた。
「へぇ。凄いじゃん」
「どうだ?中々の出来だろう?」
「ああ、デカいのに丁寧だ。この大きさにこの丸みはまるであれみたいだな」
「ああ。まさにかまくらだな」
「かまくら?」
かまくらを知らないミリムが俺に問う。
「かまくらって言うのは、雪でドームを作って中て遊んだり物を食べたり…………簡単に言えば雪の家だな」
「ふーん雪の家か。面白そうなのだ!ちょうどいいからこいつを使って!」
「えっ?」
俺は、かまくらとはどういうのかを説明する。
すると、ミリムは迷いなくリムル雪像にスコップを突き刺した。
「おらりゃあ!おらりゃ!おらりゃ!おらりゃあ!かまくらを作るのだ!」
ミリムはそう言って、雪をかき出していく。
それを見ていたリムルは、悲しそうな表情を浮かべていた。
俺はそんなリムルの肩に手を置き、慰める。
俺たちは、子供達と一緒に、ミリムが掻き出したかまくらの中を整えていく。
そして、氷の家具やシャンデリアなども作って、かまくらが完成した。
「うわー!」
「凄いのだ!」
「だろ?」
俺たちは、かまくらの中で過ごす。
竹で作った入れ物に雪を入れて固めて、ランプを作ったりした。
すると、朱菜とシズさんがやってくる。
「こんこん。もう暗くなって来ましたから、餅を食べたら、お風呂に入りましょう」
「皆でお餅を食べよう」
「うむ。約束するのだ!」
そんな風に話して、俺たちはお餅を食べる。
中々に美味しいな。
ちなみに、俺は磯部焼き派だ。
そんな中、ゲルドとボルドは、思い返していた。
かつて、雪の中を歩き、死んでしまった仲間のことを。
冬というのは、姿なき魔物。
少しでも油断したら、死んでしまう。
ゲルドとボルドは、子供達を連れて街に戻る。
「皆、寒くはないか?」
「うん!」
「誰も欠けては居ないな?」
「はーい!」
ゲルドとボルドは、ある決意をしていた。
この街に冬は訪れさせないと。
その後、俺は男湯でフューズ、カバル、ギド、ヨウムと一緒にお風呂に入っていた。
ちなみに、リムルは女湯に入っていた。
「はぁ〜本当にここの湯はいいですなぁ」
「本当でやすねぇ」
「疲れた身体に湯が染み込んでくる感じだよな」
「そう言ってもらえると嬉しいよ」
三人はリラックスしていた。
そう言ってもらえると嬉しいな。
すると、ヨウムが聞いてくる。
「なあ、直也の旦那」
「どうした?」
「この温泉って一体何処から引いてるんだ?毎日これだけ湯を沸かすのまず無理だから、何処かに温泉の水脈があるんだと思うんだが」
ヨウムはそう聞いてくる。
鋭い指摘だな。
俺はそんなヨウムに感心しつつ、答える。
「ああ。この温泉は、山岳地帯から直送している源泉かけ流しだ」
「なんと!?あの魔境といわれた地下大洞窟の奥の方からですか?」
「ああ。当時、影移動が使えたのは、リムルと蒼影だけだったからな。二人が頑張って引いて来た」
「マジかよ……………」
そう。
リムルと蒼影の二人で、ここまで引いてきたのだ。
その時、色々とあったよな。
ドワーフ達が混浴にしようとするが、女性陣によって阻まれたり。
「まあ、結構大変だったから、各家庭までへの配管は、断念したんだけどな」
「いや……………普通にここまで繋げていること自体がすげぇよ」
「流石旦那達っすね」
まあな。
ちなみに、蒼影は個人的に配管していて、自宅でも温泉に入れるようにしたらしい。
あと、俺も個人的に配管してもらった。
一方、ある部屋では、女性が椅子に座る。
彼女はミュウラン。
魔王クレイマンの命により、俺たちの街を調査していた。
「気取られたら、お仕置きですよ」
クレイマンにそう言われたらしい。
ミュウランは、クレイマンに心臓を人質に取られていたのだ。
ミュウランは、俺たちに気づかれないように調査していた。
だが…………………。
水晶には、大体ミリムがミュウランの方を向いている様に映るのだ。
「えっ………………?ひぃ……………!ううう……………避けても、避けても……………!う…………ううう……………またクレイマン様にお仕置きされる〜……………」
ミュウランは、そんな風に顔を手で覆う。
ミュウランは苦労していた。
一方、そんな事を露知らずの俺たちは、風呂から上がっていた。
フューズは、牛鹿のミルクを飲んでいた。
「ぷっはー!一仕事の後の温泉は最高だなあ!」
「改めて今思うと、こんな贅沢していいんでやすかね」
「ふっ。良いんだよ。力仕事を手伝ったんだから。なあ、直也の旦那」
「ああ。雪かきを手伝ってくれたからな。思う存分堪能してくれ」
フューズが牛乳を飲む中、ギドはそう言うが、カバルはそう答える。
労働の対価はちゃんと払うべきだからな。
「よっしゃ!にしても、雪掻きなんて慣れないことしたから明日、身体の変な箇所が筋肉痛になりそうだぜ」
「そういや、さっき同じ事を言ったら、リムルの旦那も似たような事を言ってたな」
そんな風に話す。
そんな事を言ってたのか。
すると、俺たちが外に出ると、女性陣とリムルも出てくる。
「わっははは!いいお湯だったのだ!」
「俺で身体を洗うのやめろよな!」
「リムルは泡立ちが良いからな。ほれ!お肌もスベスベなのだ!」
「俺のスライムボディが〜!」
そう言って、歩いていく。
あれ、絶対に嫌がってないな。
それを見ていたヨウム達は。
((((あの人可愛いナリして、相当おっさんじゃないか?))))
そんな風に思っていた。
その後、俺は自分の部屋で、外を眺めていた。
すると、雪が降ってきた。
しんしんと儚く雪が降り、積もっていく。
それを見るのも、ありだな。
これが、冬での1日だ。
翌日、リムルは再び雪の中から出てきた。
本人曰く、雪が降っていく街を外で眺めていたら、いつの間にか埋まったそうだ。
今回はここまでです。
今回は、冬の話です。
冬というのは、色々な話があります。
除雪作業は、デミシュゴッドも手伝いました。
次回は、クリスマスの話になります。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
今後の展開でリクエストがあれば、活動報告から承っております。