紅丸を始めとする150人ほどの大鬼族が仲間になってから、しばらくが経過した。
ちなみに、紅丸達以外の半数の大鬼族は、リムルが苦労して、全員に名付けを行った。
その為、リムルはかなりダウンしていた。
悪いな、リムル。
紅蓮達に、オージャカリバーやクモノスレイヤーを渡した。
何せ、シュゴッドの力を借りた際、紅蓮達は対応するシュゴッドに選ばれたので、そのまま渡す事にした。
ある日、俺は朱菜の様子を見にいく事に。
途中、リムルと紫苑と合流する。
中には、朱菜、ガルム、ドルド、ミルドが居た。
ガルム、ドルド、ミルドとは、リムルがドワルゴンで出会ったカイジンの弟子との事だ。
「すごいな」
「「「「ん?」」」」
「もう絹織物が出来たのか。」
「直也様!リムル様!」
「ども」
「こんにちは」
「うん」
「やっぱ、喋らねぇ!」
「喋らないんだな……………」
リムルと俺がそう言うと、ガルム達が挨拶をする。
ミルドに関しては、頷いたりするだけで、喋らない。
すると、朱菜が俺の方へと寄ってくると、手を握る。
「いらして下さったんですね!直也様!リムル様も!」
「ああ」
「それで、どんな具合だ?」
「はい。カイジン様が作ってくださった織り機は、とても使いやすいです」
「そうか、良かった」
「この調子で、皆の衣類の製作を頼んだぞ」
「はい!お任せ下さい!」
リムルがそう聞くと、朱菜はそう答える。
すると、紫苑が口を開く。
「では、リムル様。参りましょう。お昼が冷めてしまいます」
「あっ、紫苑。秘書のお仕事は、ちゃんと出来ているのですか?」
「勿論です、朱菜様」
紫苑がそう言うと、朱菜はそう聞く。
紫苑は、リムルの秘書に名乗り出たのだ。
というより、飯を作ったのか!?
俺は、かつてのあの悲劇を思い出し、体を震わせる。
すると、朱菜は俺に話しかける。
「あの…………直也様。もしお昼がまだでしたら、私が作りましょうか?」
「え……………良いのか?」
「はい!」
朱菜がそう言うと、俺はそう聞き、朱菜は笑顔でそう答える。
「でも………………朱菜の負担を増やす訳にはいかないし……………。」
「いえ、ちょうど、作業もひと段落したので、大丈夫です!」
「そっか……………なら、お願いして良いか?」
「はい!」
流石に申し訳ないと思い、断ろうとするが、朱菜はそう言う。
そんなに言うなら、逆に断る方が失礼かと思い、了承する。
その際、リムルやら紫苑やらガルム達が、ニヤニヤしながら見ていたのが気になるが。
戻ると、紅丸、蒼影、白老、紅蓮、雀、蜘蛛丸の6人がいた。
「ああ、これはリムル様、直也様」
「直也も居たんだな」
「お食事ですかな?」
「ああ。紫苑が手料理を作ってくれたっていうのでな。ちなみに、直也は朱菜が作ってくれるってさ」
「「「「「うっ!?」」」」」
「おっと……………!?」
紅丸達がそう聞くと、リムルがそう答える。
それを聞いた鬼人達は、冷や汗を流す。
やっぱりな。
「お前達も一緒にどうだ?」
「いや………俺は今、腹が減ってなくて………」
「ええ。お茶だけで」
「僕も腹が減ってないんだ…………」
「私は先ほど食べましたので」
「私は……………」
リムルがそう聞くと、紅丸達はそんな風に言う。
まあ、当然だわな。
蒼影と蜘蛛丸は立ち上がると、蒼影は分身を行う。
「村の周囲を、偵察に行って参ります!」
「俺もそうするよ」
そう言うと、2人とも逃げた。
紫苑と朱菜が料理を取りに行く中、リムルは俺に聞いてくる。
「なあ、さっきから紅丸たちの様子がおかしくないか?」
「さあ?気のせいじゃないか?」
リムルがそう聞いてくると、俺は自然にそう答える。
悪く思うなよ?
すると、朱菜が先にやってくる。
「お待たせしました」
そう言って、俺の目の前に置いたのは、鶏肉の肉団子と野菜がたっぷり入ったすまし汁だった。
かつて、大鬼族の里でも食べた物だった。
「それじゃあ、いただきます」
「はい!」
俺は箸を取り、一口食べる。
美味しい。
「やっぱり美味しいな!」
「ありがとうございます!」
「へぇぇ………美味そうだな」
やっぱり、朱菜の料理は美味い。
リムルがそう言う中、紫苑がやってくる。
「お待たせしました。さっ、召し上がれ」
(やっぱりかぁ………)
「……………」
紫苑の料理は、改めて見ても、見た目が酷い。
俺と朱菜は、口を抑える。
リムルはこちらを見てくるが、俺は無視する。
命の危機を味わったんだ。
もうごめんだ。
というより、なんで食材の怨念みたいなのが聞こえてくるんだ!?
すると、何を思ったのか、リムルは目を閉じて、スプーンを右斜め後方に突き出す。
そこには、先程入ってきたゴブタの姿が。
ゴブタは、スプーンを咥えると、顔を青ざめる。
「むぐっ………!?」
「むぐっ………?」
「うっ、うぐっ………!ぐわぁぁ!!」
すると、ゴブタは震えて、首を抑えながら床に倒れる。
しかも、緑色の肌が、紫色になっていく。
「ああっ………」
「うわぁ………」
「うぐぐ………………!」
「「「「「……………」」」」」
それを見ていた俺たちは唖然となり、朱菜、紅丸、白老、紅蓮、雀は顔を青ざめ、口を抑えていた。
まるで、新たな犠牲者が出てしまった事に恐れながら。
しばらくすると、ゴブタの天に伸ばした手が、床に力無く倒れる。
この場は、静寂が包まれる。
紫苑がつぶやく。
「…………あれっ?」
「紫苑………………」
「お前………………」
「紫苑」
「は………はい!」
「今後、人に出す飲食物を作る時は、紅丸の許可を得てからするように!」
しれっと、紅丸が巻き込まれた。
ゴブタ、お前の事は忘れない。
俺たちがそんな風にしている一方、
尤も、豚頭族の侵略に恐れをなしたゴブリン達が、勝手に軍門に下ってるだけだが。
「う〜ん………。これで、総勢7千匹になりましたな」
「さっすが、ガビル様!交渉も上手!」
「いやいや、精一杯やって、たまたま結果が出ているだけの事」
ガビルは、部下の褒めに、謙遜した態度をとる。
すると、別の部下が、口を開く。
「謙遜すんなよ。実力だよ」
「そうですよ!もっと自信を持ってくださいよ!」
「然り。次期、蜥蜴人族の首領なのだからな。」
「そ………そうか?」
部下からそう言われたガビルは考える。
(やっぱり、我輩………いけてるのかもしれん!)
ガビルはそんな風に思い、部下達に話しかける。
「あ〜。それで、次はどこに向かうのだ?この辺りに、他に村はあるのか?」
「もう一つ、集落があるって話ですよ」
「しかし、先ほどの村の者が、おかしな事を言っておった」
「おかしな事?」
ガビルが、三人の部下の真ん中の青色の蜥蜴人族に尋ねる。
「何でも、牙狼族を操るゴブリンの集落だとか。」
「はあ?ゴブリンが牙狼を?そんな訳ないだろう」
「ごもっとも。更に言えば、そのゴブリン達の親玉、スライムだという。」
「はあ?」
ガビルは、その言葉に耳を疑った。
スライムは、色んな魔物の食糧になるからだ。
「状況がよく分からぬが………。ならば!そのスライムを支配下に置けば、牙狼族をも支配出来るという事だな」
「おおっ!」
「一石二鳥!」
「なんて奥深い考えだ!やはり、あんたについてきて良かったぜ!」
「フフッ。我輩に任せておくがいい!」
「いよっ!ガビル様!あっ、そ〜れ!」
『ガビル!ガビル!ガビル!ガビル!』
「フフフ………!フフフフ………!ヌア〜ハッハッハッ!!」
部下達がガビルコールをして、手拍子も、ガビルが乗っている竜もする。
それには、ガビルは高笑いを浮かべる。
俺たちの村に向かうようだ。
一方、俺とリムルは、カイジンと黒兵衛と蒼炎が話し合うのを見ていた。
「へぇ〜………。焼き入れんの時の温度、勘なのかい?」
「んだ。火の色を見れば、大体分かるだよ」
「俺は、測るなあ………」
「まあ、戻しの時は、ちゃんと測るがな」
「ああ。外が寒いと、粘りが出ねぇからな」
それを見ていた俺とリムルは。
『黒兵衛に蒼炎、すっかりカイジンと意気投合してるよな』
『ああ。二時間も、専門的な会話が続くくらいにはな。』
「あっ、それだったら、おら達がいい土を教えてやるだ」
「ああ、あれか」
「それはありがてぇ」
そんな俺たちは、うっかり中座するタイミングを逃して、今に至る。
すると、カイジンと黒兵衛は、こちらを見てくる。
「なっ?」
「鍛造って、面白いべ」
「おっ………おう」
「そうだな」
カイジンと黒兵衛は、そんなふうに言い、再び専門的な会話に戻る。
すると、リグルドが入ってくる。
「リムル様と直也様はいらっしゃいますかな?」
「ナイスタイミング!」
「どうした?リグルド」
「リムル様、直也様。蜥蜴人族の使者が訪ねてきました」
蜥蜴人族の使者が遂に、この村にも来たか。
俺とリムルは、リグルドと共に使者がいる場所に向かおうとすると。
「リムル様、直也様」
「ん?」
「俺たちも同席して構わないか?蜥蜴人族の思惑が知りたいから」
「勿論だ」
「ああ」
さて、蜥蜴人族は、何を考えているのか。
敵なのか味方なのかを、見定めなければならないな。
俺は、リムル、リグルド、紅丸、紫苑、白老、紅蓮と共に、蜥蜴人族の一団がいる場所へと向かう。
そこには、蜥蜴人族が並んでいたが、使者が居ない。
「どいつが使者だ?」
「ん?」
すると、蜥蜴人族達は、槍で地面を突く。
すると、先頭に居た三人の後ろにいた蜥蜴人族達が、二つに分かれて、その奥から、竜みたいなのに乗った蜥蜴人族が現れる。
随分と芝居かかった登場だな。
すると、その使者が槍で地面を突くのをやめさせて、大きくジャンプする。
「我輩は、蜥蜴人族のガビルである。お前らも配下に加えてやろう。光栄に思うが良い!」
「よっ!ガビル様!」
「最高!」
「かっこいい!」
「いかしてる!」
「「「「「「「はあ?」」」」」」」
ガビルは、部下に盾の光の反射で自分を光らせるという、少し痛い演出をする。
ていうか、配下に加わる?
俺たちが?
すると、1人の蜥蜴人族の部下が口を開く。
「ご尊顔をよ〜く覚えておくがよいぞ。このお方こそ、次の蜥蜴人族の首領となられる戦士!頭が高い!」
「ふ〜ん!」
「「「「「「「はぁ?」」」」」」」
なんだアイツ、偉そうに。
何様のつもりだ。
すると、リムルの方からミシミシという音が聞こえてきた。
「えっ………ちょ………紫苑さん、やめて!スライムボディーが、スリムボディーになっちゃう〜!!」
「うう〜………!はっ………!?」
「うっ………」
「すみません、すみません!」
紫苑は、リムルを潰しそうになり、紅丸にリムルを持たせて、高速で謝る。
紅蓮は、顔を顰めていた。
一方、リグルドは、ガビルに話しかけていた。
「ゴホン!恐れながら、ガビル殿と申されましたかな。配下になれと突然申されましても………」
「やれやれ。皆まで言わねば分からんか?貴様らも聞いておるだろう?」
「豚頭族の侵攻に関してか?」
「どうやら、人間にしては話が分かる奴が居るようだな」
やっぱり、そんな所か。
どうやら、蜥蜴人族達も、豚頭族の事を脅威に感じているみたいだな。
とはいえ、なぜこんな奴が使者なんだか…………。
「しからば、我輩の配下に加わるが良い。このガビルが、貧弱なお前達を、豚頭族の脅威より守ってやろうではないか!貧弱な……貧弱……貧弱………ワオ〜」
ガビルは、俺たちを見ながら、そう言う。
まあ、この村は、貧弱な奴は居ないからな。
ちなみに、ガビルは、紫苑のおっぱいを見て、ワオと言った。
すると、ガビルはしゃがみ、部下達と話し合う。
「ゴブリンが居ないようだが………」
「あれ〜?」
「ここは確かに、ゴブリンの村のはず………」
「っていうか、貧弱な奴が誰も居ないよ」
そんな風にガビル達は話し合っていた。
俺とリムルは、思念伝達で話し合う。
『どう思う?リムル』
『まあ、豚頭族が攻めてくるのなら、蜥蜴人族との共闘ってのも、選択肢の一つではあるんだが………』
『アイツに背中を預けるのはなぁ………』
『真に恐れるべきは、有能な敵ではなく、無能な味方であるって………ナポレオンの言葉だっけ?』
『ああ。その言葉は、ナポレオンの名言だな』
そんな風に話している中、ガビルが咳払いをする。
ガビル「ああ〜ゴホン!聞けばここには、牙狼族を飼い慣らした者が居るそうだな。そいつは幹部に引き立ててやる。連れてくるがいいぞ」
そんな風に言うと、紫苑が再びリムルを強く握りしめる。
すると、紅丸が良い笑顔で。
「コイツ、殺して良いですか?」
「フッ………良いよ」
「何許可出してんだ!ストップ!」
「……………直也」
「どうした?」
「こいつに分からせても良いか?」
「後々面倒臭いからやめろ!」
紅丸と紅蓮が、そんな風に言うもんだから、俺は必死に抑える。
「えっと………。牙狼族を飼い慣らしたっていうか、仲間にしたのは、俺なんだけど………」
「スライムが?冗談を言うでない。」
「ん………」
「嵐牙」
「はっ!ここに!」
リムルが嵐牙の名を呼ぶと、紫苑の影から、嵐牙が現れる。
それも、本来の大きさの。
「お前に話があるそうだ。聞いて差し上げろ」
「御意!ふん!」
嵐牙は、スキル・威圧を発動して、周囲の蜥蜴人族は威圧に怯える。
「あれっ?あんなにデカかったですかね?」
「アレが本当の大きさなんだよ。まあ、威嚇するには、あのサイズの方が何かと都合が良い。」
「なるほど………」
「そういう事か」
紅丸の疑問に、リムルがそう答えると、俺と紅蓮が納得する。
嵐牙は、ガビルに話しかける。
「主より、お前の相手をする命を受けた。聞いてやるから、話すが良い」
「…………貴殿が、牙狼族の族長殿か?」
へぇ。
他の奴が萎縮してる中、平然としているな。
根性があるのか、鈍いかのどちらかだが。
「美しい毛並み。鋭い眼光。流石、威風堂々たる佇まい。しかし………主がスライムとは、些か拍子抜けであるな。」
「ああん?」
「あ」
どうやら、後者の方だな。
鈍い奴だ。
嵐牙も怒っているのか、目を細める。
「どうやら、貴殿は騙されておるようだ。よかろう。この我輩が、貴殿を操る不埒者を、倒して見せようではないか!」
「ガビル様、かっけ〜!」
「見せてやって下さいよ!ガビル様!」
「ガビル無双を!」
「あっ、そ〜れ!」
『ガビル!ガビル!ガビル!ガビル!』
部下達が、ガビルコールをして、ガビルはポーズを取る。
すると、嵐牙が呟く。
「蜥蜴風情が………!我が主を愚弄するか………!!」
(あっ、やばい)
(アイツ、死んだな)
ガビルがポーズを取る中、嵐牙は周囲から赤いオーラを出しつつ、目を光らせて、ガビルに迫っていく。
すると、後ろから鼻歌が聞こえてくる。
「て〜ん、てってって〜ん!」
「グワァァァ!!」
嵐牙が咆哮を出す中、ゴブタが後ろから現れる。
「お〜おいっ、何やってるんっすか?」
「ゴブタ!?」
「お前、生きてたのか?」
「死んだかと思ったぞ」
「ま〜たまた、酷いっす。ちゃんと生きてるっすよ」
ゴブタがそう言うと、俺たちは驚く。
どうやら、毒耐性を得たみたいだな。
そんな風に青褪めていると、嵐牙がゴブタを咥える。
「いい所へ来たな」
「えっ?」
すると、嵐牙はゴブタに槍を持たせ、ガビルの前に置く。
「えっ?へっ?何すか、この状況!?」
「蜥蜴」
「ええっ?」
「この者を倒せたのなら、貴様の話、一考してやろう」
「な………何で?」
嵐牙、意外と冷静だな。
まあ、嵐牙が相手をすると、ガビルが高確率で死ぬからな。
すると、ガビルがゴブタを侮ったのか、口を開く。
「構いませんぞ。部下にやらせれば、恥はかきませんからな。なあ、スライム殿」
よし、言ったな。
じゃあ、ゴブタには、遠慮なく行かせてあげよう。
「ゴブタ!遠慮はいらん!やったれ!」
「ええっ!何なんすかもう………」
「お前が勝ったら、黒兵衛や蒼炎に頼んで、お前専用の武器を作ってやるよ!」
「ああっ!ほんとっすか?ちょっとやる気出たっす」
「負けたら、紫苑の手料理の刑な!」
「それだけは勘弁っす〜!」
リムルがそう言うと、ゴブタはまだ不満げだった。
俺がそう言うと、ゴブタはやる気を出す。
リムルの言葉に、ゴブタはオーラを出して、更にやる気になる。
その言葉に、俺、紅蓮、紅丸、リグルドが顔を青褪め、当の本人は。
「何やら、非常に不愉快な会話です」
そう言われたもんだから、紫苑はリムルを捻る。
今のは、リムルが悪い。
ていうか、紫苑の奴、自分の料理が最悪なのを自覚してないのか!?
ガビルは、槍を振り回す。
「ふ〜ん!」
『ガビル様〜!』
「準備は良いかな?」
「おお〜!」
「では、始めろ!ワオ〜ン!!」
嵐牙は、試合開始の咆哮を出す。
ガビルは、ゴブタを侮っていた。
「フッ………。偉大なるドラゴンの末裔たる我ら、蜥蜴人族が、ホブゴブリンなんぞに………」
「ふ〜ん!」
「ん?」
そんな事を口にする中、ゴブタは自分が持つ槍を思いっきりぶん投げる。
「ぬおっ!?」
その槍は、ガビルには当たらずに、部下達の目の前の地面に突き刺さる。
「おのれ!小癪な!」
ガビルはそう言って、槍をゴブタに向かって振るうが、既にゴブタは居ない。
「あっ………。バカな、消え………たあァァァァァ!!ァァァァ………ふん」
ガビルは、背後に現れたゴブタの回し蹴りを頭にくらい、そのまま気絶する。
部下の蜥蜴人族達は、呆然とする。
まさか、ゴブタの奴、影移動を使いこなしているとはな………。
「ハァ〜………」
「終わりだな。勝負あり!勝者ゴブタ!」
「おっしゃ!」
「すごいぞ!」
「よ〜し!」
「やった!」
すると、嵐牙とリグルドが、ゴブタを胴上げする。
「わっしょい!」
「アハハ………!」
「わっしょい!」
「高いっす!」
「さすがは、ゴブタ!我が見込んだだけの事はある!」
「ようやった!ホブゴブリンの力を、よくぞ見せつけた!」
「見直したぞ。私に対する先ほどの失礼な発言は、聞かなかったことにしてやろう」
「強いな、ゴブタ!」
「俺たちと戦った時より、強くなっている様だな」
「鍛えがいのありそうな才能を持っている様ですじゃ」
どうやら、皆、ゴブタの勝利を確信してたみたいだな。
それを見ていた俺たちは、思念伝達で話し合う。
『まさかゴブタが勝つとは……。俺はてっきりいちゃもんつけてボコボコにするのかと』
『俺も。まあでも、良いじゃん。勝ったんだし』
『ああ。俺は空気の読める男だから、期待通りだったことにしよう』
そんな風に話し合って、俺はゴブタに声をかける。
「よくやった!約束通り、黒兵衛と蒼炎に武器を頼んでおく!」
「やったっす!」
「お前ら、勝負はゴブタの勝ちだ!」
『…………ハッ!?』
リムルがそう声をかけると、固まっていたガビルの部下達は、動き出す。
「豚頭族と戦うのに協力しろという話なら、検討しておくが、配下になるのは断る。」
「今日の所は、さっさとそこのソイツを連れて帰れ!」
俺とリムルがそう言うと、部下達は、ガビルを抱える。
「い、いずれまた来るぜ!」
「然り、これで終わりではないぞ」
「きっ!お………覚えてろ〜!!」
そんな、三流の悪役が言うような捨て台詞を吐きながら、蜥蜴人族達は、走り去っていく。
「さてと………」
「俺たちも、今後の方針を立てないとな」
その夜、豚頭族を偵察しに行っていた蒼影と蜘蛛丸、リグルド、レグルド、ログルド、リリナを始めとするゴブリン、カイジンを加え、会議をする事に。
蒼影の報告に、俺たちは驚く。
「20万の豚頭族。その本隊が、大河に沿って北上している。」
「そして、本隊と別動隊の動きから予想できる合流地点は…………ここより東の湿地帯」
「つまり、蜥蜴人族の支配領域、と言う事ですな?」
「その通りさ」
「20万か………」
「かなり多いな………。それにしても、豚頭族の侵攻目的はなんだ?」
蒼影と蜘蛛丸の報告にリグルドはそう聞く。
俺とリムルの言葉に、全員が考える。
カイジンが口を開く。
「う〜ん………。豚頭族はそもそも、あまり知能の高い魔物じゃねぇ。この侵攻に、本能以外の目的があるってんなら、何かしら、バックの存在を疑うべきだろうな」
「バックの存在だべか?」
「なるほど…………」
「例えば………」
「魔王とかか?」
カイジンがそう言うと、黒兵衛と幻夢がそう反応する。
その言葉に、全員の視線が、俺たちに向く。
「紅丸達の村に来た魔族、ゲルミュッドが関係しているのは、間違い無いけどな」
「…………まっ、今の所、なんの根拠も無いが」
俺とリムルはそう言う。
すると、紅丸が口を開く。
「魔王が絡んでいるかどうかは、分からん。だが………」
「だが?」
「
「確か、数百年に一度、豚頭族の中から生まれるユニークモンスターだよな?」
「はい。20万もの軍勢を、普通の豚頭族が統率出来るとは思えませんから」
「ふむ………」
紅丸がそう言う。
ゲルミュッドが言う我が子というのは、
紅丸の言葉を聞いて、俺が考える中、ルグルドが口を開く。
「居ないと楽観視するよりは、警戒するべきだと思います」
「そうだな」
「じゃあ、今後の方針も、豚頭帝が居ると仮定して、進めるべきだろうな」
ルグルドの意見に、俺たちが頷いていると、蒼影と蜘蛛丸の様子が変わる。
「あっ!」
「どうした?」
「偵察中の分身体に、接触してきた者が居ます。」
「接触?」
「リムル様と直也様に、取り次いでもらいたいとの事だが、どうする?」
「誰だ?」
「ガビルみたいな変な奴は、もうごめんだぞ。」
「変………ではありませんが、大変珍しい相手でして」
「その相手は、
『あっ………!』
「樹妖精!?」
「樹妖精って確か………」
蒼影と蜘蛛丸の言葉に俺たちがそう言うと、2人はそう言う。
ゲームだと、木の精霊みたいな存在だったな。
すると、周囲が騒つく。
「樹妖精様が最後に姿を見せたのは、数十年以上前では無かったか?」
「か………構わん」
「大丈夫なら、呼んでくれ」
「はっ」
すると机の中心に強い風が起こる。
紫苑、朱菜、キングオージャーが俺たちの前に立つ中、蔦が伸びてきて固まり、そこから、1人の女性が現れる。
鬼人達が俺たちの前で警戒する中、その樹妖精は口を開く。
トレイニー「魔物を統べる者と、王の資格を持つ物、及びその従者たる皆様。突然の訪問、相すみません。私は、樹妖精のトレイニーと申します。どうぞ、お見知り置き下さい。」
「俺は、リムル=テンペストです。で、そっちが………」
「矢野直也です。えっと……トレイニーさん。いったい、なんの御用向きで?」
俺とリムルは名乗り、俺が、トレイニーさんに用件を聞く事に。
トレイニーさんは、口を開く。
「本日は、お願いがあって、まかり越しました。」
「お願い?」
「それは、何ですか?」
「リムル=テンペスト……魔物を統べる者、
トレイニーさんは、そう言った。
今回はここまでです。
今回は、ガビルやトレイニーが登場しました。
豚頭族との戦いが、近づいています。
ちなみに、ラクレスの側近であるボシマールとドゥーガ的なポジションは考えています。
キングオージャーで序盤しか登場しなかったキングスピーダーは、出そうかなと考えています。
ゴッドクワガタZEROの。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
ダグデドとかを出すかどうかは、まだ未定です。
あと、今回からアンケートを始めようかなと思います。
それは、シズさんを復活させるかどうかです。
前回の後書きに書きましたが、転スラ日記のお盆の話で、シズさんを復活させようかなと思っています。
意見があればお願いします。
シズさんを復活させるか否か
-
復活させる
-
復活させない