突然現れた、
それは、俺たちに
「豚頭帝の討伐?」
「ええと………俺たちがですか?」
「ええそうです、リムル=テンペスト様、
俺たちの質問に、そう答えるトレイニーさん。
すると、紅丸達がが俺たちの前に出て言う。
「ん?」
「紅丸?」
「いきなり現れて………随分身勝手な物言いじゃないか。樹妖精のトレイニーとやら」
「なぜ、この町へ来た?ゴブリンよりも強い種族は居るだろう」
紅丸と紅蓮の質問に対して、トレイニーは閉じていた目を開きながら言う。
「そうですわね。
「おっ………」
「まあ、そうであったとしても……この方々の存在を、無視する事は、できないのですけれど」
「ん?」
「……………」
「我々の集落が豚頭帝に狙われれば、樹妖精だけでは抵抗出来ませんの。………ですから、こうして強き者に助力を願いに来たのです」
なるほどな。
それにしても、仮説だった豚頭帝が、実際に存在するとはな………。
「豚頭帝が居るって事自体、俺たちの中では仮説だったんだけど………」
「よく、豚頭帝が居るって事が、分かりましたね」
「樹妖精は、この森で起きた事ならば、大抵把握しておりますの。……居ますよ、豚頭帝」
トレイニーさんはそう言って、机の上に置いてあったポテチを食べる。
ということは、ゲルミュッドが言っていた我が子というのは、豚頭帝の事か?
それを聞いた一同は、騒めき出す。
「樹妖精様がお認めに………!」
「ならば、本当に………」
リグルドとカイジンは、そう話す。
俺たちはそれを聞いて考え、答えを出す。
「返事は少し待ってくれ」
「ああ。鬼人達の援護はするが、率先して、藪を突くつもりはないんだ。情報を整理してから、答えを出させてくれ。こう見えても、ここの主なんでな」
「俺は、副主です」
「あっ………フフッ………」
俺とリムルがそう言うと、トレイニーさんは微笑む。
ちなみに、俺が副主というのは、リムルが居るからだ。
トレイニーさんも会議に参加する事になった。
だが、リグルドとカイジンの間に座ったので、その2人が気まずそうにしている。
「会議を続けるぞ」
「
俺たちがそう言うと、朱菜が声を出す。
「あ………。思い当たる事が一つあります」
「うん」
「何だ?」
俺たちが朱菜にそう問うと、朱菜は蒼影と蜘蛛丸に質問をする。
「蒼影、蜘蛛丸。私達の里、調査してきましたか?」
「はい」
「その様子では………やはり、無かったのですね」
「はい」
「ん?」
「同胞の物も、豚頭族の物も、ただの一つもね」
「まさか………死体か?」
「そうです。」
朱菜がそう聞くと、2人はそう答える。
その言葉に、俺はやはりと思った。
少し、引っかかっていた事があったのだ。
オークといえば、食欲旺盛なのがお約束なのだ。
現に、俺が応戦する中、豚頭族の部隊は、豚頭族や大鬼族の物関係なく、食べていたのだ。
すると、紅丸と黄巫女が口を開く。
「20万もの大軍が食えるだけの食料を、どうやって賄っているのか疑問だったが…………」
「直也から話を聞いて、ようやく腑に落ちたわ」
「それって、まさか……………!?」
「豚頭族も、襲った種族の物も関係なく、食べてるって事だろうな。今、進軍中の豚頭族達は」
紅丸と黄巫女がそう言うと、リムルはそう反応する。
俺がそう言うと、周囲が驚く。
そんな中、トレイニーさんが口を開く。
「ユニークスキル、
「飢餓者………」
「それは、具体的には、どんなスキルなんだ?」
俺の質問に、トレイニーさんが答える。
「世に混乱を齎す災厄の魔物、豚頭帝が生まれながらにして保有しているスキルで、豚頭帝の支配下にある全ての物に影響を及ぼし、イナゴの様に、周囲の物を食べ尽くす。食らった相手の力や能力までも取り込み、自分の糧とするのですわ。………あなた様の捕食者と似ていますわね」
そう言いながら、俺たちを見る。
それは、かなり厄介なスキルだな。
確かに、リムルの捕食者と似ているスキルだな。
ていうか、俺たちの保有しているスキルの事も知ってるのかよ。
トレイニーさんは、話を再開する。
「飢餓者の代償は、満たされる事のない飢餓感。豚頭族達は、果てしない飢えを満たし、力を得る為だけに進むのですわ。ただそれだけが、彼らの王の望み故に………」
そう言って、お茶を飲む。
俺とリムルは、思念伝達で話し合う。
『リムル。豚頭族達の狙いは…………』
『ああ。大鬼族や
『そう考えるのが、妥当だろうな』
そうなると、ここも安全ではない。
何せ、半数の鬼人にシュゴッドも何体か居るのだ。
リムルが伸びをして、口を開く。
「さて…………となるとだな。うちも安全とは言い難いな。
「確かに、味はともかく、豚頭族達の欲しがりそうな力を持った餌だらけだな」
リムルと俺がそう言うと、紅丸と雀が苦笑しながら言う。
「1番、奴らの食いつきそうな餌を、忘れてやいませんか?」
「あ〜?」
「居るでしょう。最強のスライムと、オオクワガタオージャーが」
「……………何の話だ?」
「ハハッ………」
紅丸の指摘に、俺たちは受け流す。
そりゃあ、俺って、オオクワガタオージャーだけど。
でも、俺は、味はかなり不味いんじゃないか?
そんな中、トレイニーさんが口を開く。
「それに………豚頭帝誕生のきっかけとして、魔人の存在を確認しております。あなた様方は、放っておけない相手かと思いますけど。」
「魔人か…………」
「いずれかの魔王の手の者ですからね」
「うむ…………」
さっき、トレイニーさんは、森で起きた事は、大抵把握していると言っていたな。
という事は、大鬼族の里が豚頭族に襲われた際、俺がほぼ1人で豚頭族と戦い、半数の大鬼族を救出した事を把握している事になる。
食えない姉ちゃんだな。
すると、トレイニーが立ち上がる。
「リムル=テンペスト様。
「「う〜ん…………」」
トレイニーさんはそう言う。
確かに、鬼人を庇護しているのは間違いない。
だが、戦力差が否めない。
となると、つい最近獲得した、あれを使う事を考慮に入れるか。
体の負担があまりにも大きいが、あらゆる状況を加味して、いざという時の奥の手として使うか。
シュゴッドZEROなども投入する手筈で。
すると、紫苑の声が聞こえる。
「当然です!!」
「うえっ……………!?」
「ん…………?」
「リムル様と直也様ならば、豚頭帝など、敵ではありません!そうです!お二人ならば、豚頭帝を倒してみせるでしょう!」
「うわぁ!やはり、そうですよね」
紫苑は、勝手に………!
俺とリムルは、思念伝達で話し合う。
ちなみに、思念伝達はリムルから教えてもらった。
持ってた方が何かと便利だしな。
『リムル。これは………腹を括るしかないよな』
『だな………』
俺がそう言うと、リムルは諦めた表情になる。
リムルは、スライムとしての姿に戻り、紫苑がキャッチする。
「分かったよ。豚頭帝の件は、俺たちが引き受ける」
「皆も、そのつもりで居てくれ」
「はい!勿論です!直也様、リムル様!」
「どうせ、最初からそのつもりだ」
「任せろ!」
「やってやろうじゃねぇか!」
「ああ」
「そうね。ゲルミュッドが居たなら、報いを与えないと」
「俺たちゃ、旦那達を信じて着いていくだけさ」
「その通りですぞ!我らの力を、見せつけてやりましょう!」
『おう!』
「フフッ」
俺とリムルがそう言うと、朱菜、紅丸、紅蓮、蒼炎、黄巫女、幻夢、カイジン、リグルドがそう言う。
皆がそう盛り上がっている中、俺とリムルは、話し合っていた。
『な〜んて、格好つけて、負けたらどうしよう………』
『もうこの際、腹を括るしかないな』
俺たちは覚悟を決めて、会議を進める。
「豚頭族20万の軍勢を相手取るとなると………蜥蜴人族との同盟を前向きに検討したい所だが………」
「使者が、あれじゃなぁ………」
あんなアホじゃあ、不安でしかない。
どうにか、話が通じるやつと交渉したいところなのだが………。
すると、蒼影と蜘蛛丸が立ち上がる。
「リムル様、直也様」
「ん?」
「どうした、蒼影、蜘蛛丸?」
「蜥蜴人族の首領に、直接話をつけても良いかな?その方が良いだろうし」
「蒼影。出来るのか?」
「はい」
「なら、俺も同行して良いか?」
俺とリムルがそう聞くと、蒼影と蜘蛛丸はそう答える。
俺がそう言うと、全員が驚く。
「直也様もですか?」
「ほう?それはどうしてだい?」
「同盟は、俺かリムルのどちらかを直接見ないと、結ぶのが難しいだろうからな。俺が同行すれば、手っ取り早いだろ?」
「……分かった。直也、蒼影、蜘蛛丸。蜥蜴人族への使者を頼む。決戦は蜥蜴人族の支配領域である湿地帯になるだろう、これは蜥蜴人族との共同戦線が前提条件だ。頼んだぞ!」
「お任せを」
「それじゃあ、行こうか」
「ああ。じゃあ、ちょっくら行ってくるわ!」
俺と蒼影、蜘蛛丸は、影移動で蜥蜴人族が支配している湿地帯へと向かう。
影移動もまた、教えてもらったのだ。
一方、気絶していたガビルは、やっと目を覚ました。
「んっ………。うわっ!あっ、あ…………」
「わ〜!」
「ん?」
「ガビル様〜!」
「ぐわ〜!」
ガビルが目を覚ますと、部下の1人が泣きながらガビルに飛びつく。
残りの部下もやって来る。
「起きたかよ」
「ガビル様〜!」
「こ………ここは?」
「良かったよ〜ほんと、ううっ………」
ガビルの目の前には、蜥蜴人族の部下達が集まっていた。
1人、蜥蜴人族ではないのが混じっているが。
ガビルは、どうしてこうなったのかを思い出した。
「そっ、そうだ!我輩は………。あのふざけた顔の男に………!うぬ。すっかり騙されたわ」「ど………どういう事?」
ガビルの言葉に、泣きついていた部下が首を傾げる。
ガビルは、立ち上がって説明をする。
「簡単な事よ。我輩を制したあの者こそ、あの村の本当の主に違いない!」
「「「なんと!」」」
ガビルは、ゴブタが主だと勘違いしていた。
その言葉に、部下達は集まって話し合う。
「あれが?」
「そうじゃないと、ガビル様、負けたりしないよ。」
「然り!」
「汚い!騙してガビル様の油断を誘うだなんて!」
「卑怯なり!」
「ふざけんな!」
ガビルの部下達は、そんな風に話し合う。
そんな部下達に、ガビルは話す。
「まあ、落ち着け。弱者なりの知恵という奴だろう。あっ………ハッ」
「器の大きさ、山の如し!」
「流石、ガビル様!」
「いよっ!次期首領!」
「いや〜かっこええなぁ、ガビルはん」
「いやいや、我輩など、それ程でも……って、誰、なん!?」
「最初から居たよ、この人」
ガビルは、やっと蜥蜴人族ではない者の存在に気づいた。
その道化師の服を着た男は、ガビルを褒め称える。
「聞いた通り、偉い男前やないか。わいは、ラプラスという者です」
「ラプラス?」
「ゲルミュッド様の使いで、アンタに警告をしに来たんや」
「おお!ゲルミュッド様の!」
ガビルは、少しラプラスに警戒していたが、ゲルミュッドの使いと聞いて、警戒を解く。
部下達は、話し合う。
「ゲルミュッド様って?」
「ガビル様に名を授けて下さったというお方だ」
部下達は、ゲルミュッドの事について話す中、ガビルは、ラプラスに労いの言葉をかける。
「ご足労をおかけしたな。………して、ゲルミュッド様の警告とは?」
「これがまた、偉い事になっとるんですわ!」
「ん?」
ガビルがそう言う中、ラプラスは回転しながら、ある事を伝える。
「今回の豚頭族の軍勢、どうやら、本当に豚頭帝が率いてるらしいでっせ。」
『豚頭帝?』
「うっ………」
ラプラスが言った、豚頭帝という単語に、周囲はどよめく。
ラプラスは、話を再開する。
「蜥蜴人族の首領は出来たお人やけど、もうかなりのお年やし………正直なとこ、お父上には、荷が重いんとちゃいます?」
「ん…………」
ラプラスの言葉に、ガビルは考え、答えを出す。
「豚頭族軍撃退の後に、首領の座を受け継ごうと思っていたが………それでは、間に合わん様だな!」
「せや、せや」
ガビルがそう叫ぶと、ラプラスはそう頷く。
ガビル達は、竜に乗り、移動を開始しようとする。
ガビルは、ラプラスに声をかける。
「ラプラス殿。挨拶もそこそこだが、我輩達は…………」
「ええって、ええって。湿地帯に戻りはるんやろ?早、行った方がええで」
「かたじけない!………出発するぞ〜!」
「おお!」
ガビル達は、湿地帯へと出発する。
それを見ていたラプラスは。
「……………せいぜい頑張りや、ガビルはん」
そんな風に言う。
ラプラスは、何を企んでいるのか。
一方、豚頭族軍は、湿地帯を進んでいた。
「蹂躙せよ。蹂躙せよ。蹂躙せよ。蹂躙せよ」
そんな風に言いながら、湿地帯を進んでいた。
俺たちは、そんな豚頭族達の気配を感じながら、蜥蜴人族の洞窟に到着する。
すると、見張りが俺たちに気づく。
「貴様ら、何者だ!?」
「何。首領に会わせて欲しいだけさ」
「そこを通してもらおう」
俺たちは、蜥蜴人族達の首領に会うべく、奥へと進んでいく。
しばらく進んでいくと、開けた場所へと出る。
俺たちが現れると、首領が声をかける。
「失礼。今、取り込んでおりましてな。おもてなしも出来ませぬ。」
「お気になさらず。俺は、あなた方蜥蜴人族と同盟を結びに来た」
「同盟?はて。そちらの事は、わしは知らんのだがね」
「無理もないです。ホブゴブリンと牙狼族と共に住んでは居ますが、街になったばかりですし」
「風の噂で聞いた事がある………。その町は、本当にあるのか?」
「はい。俺は、その街の主の片割れさ。」
どうやら、俺たちの町は、かなり噂になっているみたいだな。
まあ、ゴブリンと牙狼族が一緒に暮らしているという時点で、噂にはなるだろうが。
俺の説明の続きを、蒼影が引き受けてくれた。
「そしてもう1人の主リムル様とともに、樹妖精より直に要請を受け、豚頭族軍の討伐を確約されている」
蒼影のその言葉に、首領のすぐ横にいる2人の蜥蜴人族が驚く。
それは、首領も同じだった。
「森の管理者が、直接………!?」
「そして、樹妖精からの情報によると、豚頭族軍を率いているのは、豚頭帝だ」
「豚頭帝?」
「この意味を踏まえて、よく検討して欲しい。」
「うう………。」
2人の蜥蜴人族が驚く中、蜘蛛丸がそう言う。
首領は、驚いていた。
どうやら、首領は豚頭帝が出現しているかもしれないと推測していた様だな。
すると、首領の部下の1人が、声を出す。
「ふ………ふん!リムルだと?聞いた事もない!どうせ、そいつらも、豚頭帝を恐れて、我らに泣きついて来たんだろう?素直に助けてくれと言えばいい物を………」
「やめろ!」
「えっ?」
「口を塞ぐのだ」
「しゅ………首領!その様な態度では、舐められ………!」
そこまで言うと、その部下の首に、糸が巻き付けられていた。
蒼影と蜘蛛丸だ。
蒼影と蜘蛛丸は、糸の一本を下ろそうとするが、俺が止める。
「蒼影、蜘蛛丸。そこまでやれとは言っていない」
「…………ッ!」
「失礼したね」
蒼影と蜘蛛丸の気持ちは分かる。
自分の主人を馬鹿にされて、我慢出来なかったのだろう。
だが、そんな事をしたら、同盟を結ぶのが難しくなる。
2人は糸を解き、俺は首領に頭を下げる。
「申し訳ない。対等な話し合いであるのにも関わらず、配下が無礼をしたな」
「いや、今のは、こちらに非があった。お気遣い済まない」
俺が頭を下げる中、首領はそう言う。
どうやら、トレイニーさんから頼まれたというのは、効果を発揮している様で、人間だからと言って、舐められている様子はない。
そんな中、首領が口を開く。
「…………ジュラの大森林に暮らす魔物で、森の管理者を騙る愚か者は居ない。見た所、そなた達の
「今は違う。リムル様より、蒼影の名を賜った折、鬼人となった」
「俺は、直也様から蜘蛛丸の名を賜って、同じく鬼人だよ」
「鬼人?」
「鬼人って………!」
「ええ。大鬼族の中から、稀に生まれるという、上位種族………!」
「それが、あと150人くらいは居る」
「何だと………!?」
首領がそう聞くと、蒼影と蜘蛛丸の2人はそう答える。
側近と思われる蜥蜴人族が驚く中、俺はそう言う。
それを聞いた首領は、何かを考え込んでいたが、しばらくすると、顔を上げる。
「…………直也とやら。一つ条件がある」
「聞きましょう」
「もう1人の主、リムル=テンペストと会いたい」
首領はそんなふうに言う。
俺が聞く姿勢をとると、首領はリムルにも会わせて欲しいとの事だ。
お安いご用だな。
「分かった」
「では、我々は準備を整え、七日後にこちらに合流する。その時、御目通りしていただくとしよう」
「うん」
「それまでは、決して先走って、戦を仕掛ける事のないようにね」
「承知した」
俺が了承すると、蒼影と蜘蛛丸はそう言う。
俺は首領に言う。
「それと、一つ忠告があります」
「何だ?」
「背後には気をつけた方がよろしいですよ」
「………?そうしよう」
「では、七日後に」
俺がそう言うと、首領は首を傾げる。
その後、俺たちは、影移動で村へと戻る。
ちなみに、先ほどの言葉の意味としては、ガビルは、豚頭帝の事を知らなそうだった。
それに、次期首領になるとも言っていた。
つまり、謀反を起こす可能性がある。
そこまでするアホじゃないと良いんだけどな。
「俺は、首領の条件を伝えに行く。蒼影と蜘蛛丸は、豚頭族の動向を見張ってくれ」
「はっ」
「俺に任せな」
蒼影と蜘蛛丸は、再び影移動で移動する。
俺は、リムルの家へと向かう。
「リムル、少し………」
俺は、その光景に絶句した。
なぜなら、リムルが女装をしていたのだ。
しかも、周囲には、朱菜に紫苑といった女性陣がいたのだ。
「リムル………どういう状況だ?」
「おお!直也!ナイス!着せ替え人形にされてたんだよ!」
俺がそう聞くと、リムルはそう叫ぶ。
なるほどな……………。
確かに、女顔だもんな。
「なるほどな………。あ、それと、蜥蜴人族の首領と話がついたぞ」
「本当か!?」
「ああ。ただ、同盟を結ぶ際には、お前にも同行して欲しいそうだ」
「良いぜ、どうせ決戦予定は湿地帯なんだし、会っていもいない人物を信用しろってのも無理な話だ」
「会談の日は、七日後に設定したが、大丈夫か?」
「ああ」
俺とリムルはそんな風に話す。
同盟が成立するまで、何も起こらなければそれで良いんだがな……………。
戦況によっては、
すると、朱菜が話しかけてくる。
「直也様。頼まれていた服、出来ましたよ」
「ありがとう。早速着替えるよ」
朱菜がそう言って、服を渡してきたので、それを受け取って、着替える為に更衣室へと向かう。
しばらくすると、俺は戻る。
俺の服装は、ラクレスの服装になっていた。
「どうかな?」
「お似合いですよ!」
俺は朱菜にそう聞くと、朱菜はそう答える。
それを見ていたリムルはニヤニヤとして、他の女性陣は微笑ましく見守っていた。
一方、蜥蜴人族達は、首領が仲間を集めていた。
「豚頭族軍は既に、この地下大洞窟のそばまで迫ってきている。………だが、恐れる事はない!七日後には、強力な援軍が見込める!それまでは、我々は籠城し、戦力を温存するのだ。間違っても、攻撃に打って出ようなどと思うな!戦死すれば、餌になり、奴らの力が増すと思え!それが、豚頭帝を相手に戦うということだ!………援軍と合流した後、反撃に転じる!その時まで、耐えるのだ!誰1人、死ぬ事は許さん!」
「おお!」
こうして、首領の指示により、蜥蜴人族は俺たちが来るまで、籠城する事になった。
それから四日後。
ある蜥蜴人族達は、侵入してきた豚頭族と交戦していた。
三人でかかり、倒す事が出来た。
「これが、本当に豚頭族なのか?まるで、大鬼族とでも戦っている気分だ」
「ゾッとするな………。こんな奴らが20万も居るだなんて………」
「それが、豚頭帝の能力なんだろう。あと、三日も守り通せるだろうか」
「守ってばかりでは、疲弊するだけだ」
「おおっ、あなたは………。」
そこに、ガビルが戻ってきて、首領の元に向かう。
「親父殿」
「「「ん?」」」
ガビルの声に、首領、親衛隊長、副隊長がガビルの方を向く。
「おお、戻ったか!………して、ゴブリンからの協力は、取り付ける事が出来たのか?」
「はっ!その総数、7千匹。待機させております」
「うん」
「しかし………豚頭族相手に籠城とは、どういうつもりなのです?とても、誇り高き蜥蜴人族の戦い方とは思えませんな」
「お前が居ない間に、同盟の申し出があったのだ。その者達と合流するまでは、防衛に徹するのが最善だ」
首領がそう聞くと、ガビルは答えながら、籠城を行う理由を聞く。
首領の言葉を聞いたガビルは、呟く。
「ハァ…………老いたな、親父」
「何?」
ガビルがそう言うと、立ち上がり、合図を出す。
すると、ガビルの配下達が一斉に入ってくる。
「「「なっ!?」」」
「天然の迷路を利用し、大軍と戦うのは、良い策かもしれん。………だが、それでは数多ある通路に戦力を分散させすぎて、戦力の集中による迎撃が出来ぬ」
そう言いながら、合図を出して、ガビルの部下が首領に槍を向ける。
「なっ………!?」
「ガ………ガビル殿!」
「これは、どういうつもりだ!?」
「落ち着け!親衛隊長に副隊長。危害を加えるつもりはない。」
「しかし………うっ!」
「手荒な手段になってしまった事は、後で詫びる。窮屈な思いをさせるが、我輩が豚頭帝を討つまで、辛抱してくれ」
ガビルは部下に指示を出して、首領、親衛隊長、副隊長、そして、首領の側近を拘束した。
「息子よ!勝手な真似は許さんぞ!」
「ガビル殿………いえ、兄上!目を覚まして下さい!」
「ガビル君!何を考えているんだ!?」
「ええい!放せい!放さんか!放すのだ!勝手な真似は許さん!」
首領、親衛隊長、副隊長がそう叫ぶ中、彼らは、牢獄へと連れて行かれた。
ガビルが、顔を俯かせていると、部下の1人がガビルの方にやって来る。
「ん?」
「ガビル様、これを。」
「親父殿の………」
ガビルは部下から、首領が持っていた槍を受け取る。
すると、槍とガビルが光り出す。
「こ、この力は………
水渦槍は、ガビルを主と認めた様だ。
その背後から、部下達が大勢やって来る。
「各部族長の掌握が完了したぜ。若い連中には、この防衛戦に疑問を抱いていた者も多かったからな」
「そうか」
「皆、アンタについていく。頼むぜ、ガビル様」
部下達は、ガビルに跪く。
ガビルは、口を開きながら移動する。
「良いだろう。我輩が、蜥蜴人族の真の戦い方を見せてやろうぞ!時が来たのだ!」
「おお!」
ガビルはそう叫ぶと、部下達は答える。
こうして、ガビル達は俺たちの合流を待たずして、動き出してしまった。
「蹂躙せよ。蹂躙せよ。蹂躙せよ。蹂躙せよ」
湿地帯を埋め尽くす豚頭族の大軍。
その一角から、ざわめきが生じた。
「ううっ………!」
一体の豚頭族が、蜥蜴人族の攻撃を受けて、倒れた。
「豚どもを必要以上に恐れる事など無い!湿地帯は我らの領域!素早い動きで豚頭族どもを撹乱するのだ!ぬかるみに足を取られるのろまに後れは取らん!」
「やった!」
「攻撃が効いてるぜ!」
「然り!」
「豚頭族など、我ら蜥蜴人族の敵ではない!よし!一旦離脱!」
ガビルの実力は、仲間達が認める物だった。
だが。
「ああっ………うわぁ!」
「ん?」
ガビルが、部下の悲鳴に、何事かと豚頭族の方を見ると、豚頭族が豚頭族を食べていたのだ。
「何だ?」
ただ一つ、誤算があるとすれば、ガビルは知らなかった。
豚頭帝の恐怖を。
「豚頭族が、豚頭族を食っている………!?」
首領は知っていた。
豚頭帝の恐怖を。
その違いが今、結果となって、ガビルに牙を剥く。
「蹂躙せよ。蹂躙せよ。蹂躙せよ。食べた仲間の力を我が物に!食べた獲物の力を我が物に!」
ガビル達が唖然となる中、大鬼族の里にも響いたその声が、湿地帯にこだまする。
今回はここまでです。
今回は、ガビルが戦闘を開始するまでです。
ガビルは、豚頭帝を侮っていた。
その為、窮地に陥る。
直也が言う、あれとは。
ヒントは、キングオージャーの劇中でも登場しました。
体への負担が大きいといえば…………。
次回から、豚頭族との戦闘が始まります。
感想、リクエストは絶賛受け付けています。
アンケートは、しばらく続けます。
シズさんは復活させて欲しいというのが多いですね。
シズさんは、超絶怒涛究極完全体キングオージャーの永遠の命の代用みたいにやる予定です。
シズさんも変身出来る様にしようかなと思いますが、考えているのは、キングキョウリュウレッドか、タランチュラアビスのカラーリングのスパイダークモノスの戦士のどちらかですね。
色々とリクエストを送ってくださり、ありがとうございます。
シズさんを直也のヒロインの1人に入れるのか、キングキョウリュウレッドやキョウリュウジャーを転生者や転スラの世界の人間の集まりにするのか、ダグデドの様なキャラを出すのかは、考えていきます。
もし、意見があればお願いします。
シズさんを復活させるか否か
-
復活させる
-
復活させない