プロローグ 出会いのほうよう
ポケットモンスター、縮めてポケモン。
この村の不思議な不思議な生き物。その種類は100、200、300...いや、それ以上かもしれない。
彼らポケモンと村人達が友好関係を築き始めたのは遥か遠い昔の事。
群れを成して襲ってきたモンスターにポケモンは村人達を守るために立ち向かって勝利した。
何故、彼らは村人達を守ってくれたのか?それは、もう誰も知る由もない。
しかし、お互いに共存する道を選んだのは確かな事だった。
その後も幾度となくモンスターが襲いに来るもポケモンが撃退し、やがて村を襲う事は無くなって平和になった。
それからというもの村人達とポケモンは仲良く農業を営み、遊び、学び、時には恋に落ちたり...はしてないはずである。
絆を深めたポケモンとは一緒に暮らしているのはパートナーとして友情があるからこそなのだ。
そんなある時、ぼんぐりという木の実を使って老人が画期的な発明品を作り上げた。
それはモンスターボールと呼ばれるアイテムで、そのボールの中にパートナーのポケモンを収納し遠出する際に連れて歩く事が可能になったのだ。
...が、商人として働く村人以外の人が連れて歩くにしても精々山や湖など歩いて10分足らずの範囲でしかない上にポケモンも一緒に歩く方が楽しいらしく、あまり入りたがらないという一長一短な代物となってしまうのだった。
時は流れ、それでもモンスターボールは普及は続けられた。老人の意地でもあるように思える。
ある日の事、少し村から離れた森の中を少年が散歩をしている姿があった。
白い髪をよそ風が撫で、陽の光に照らされる赤い瞳はキラキラと輝いている。
「今日も良い天気だな~。こうごうせいにはピッタリだ」
そんな風に鼻歌を歌いながら呑気に森の中を歩いていると、ガサガサと茂みが揺れて白い髪の少年は足を止めた。
この森もポケモンが住処としているので少年は一緒に遊ぼうと思い、茂みに近づいて行く。
「...え?」
しかし、のそりと茂みから黒い影が立ち上がり、少年にとって絶対に出会いたくない存在をその目に映してしまった。
巨大な茶色い体躯に両手から伸びている鋭い爪。剝き出しの牙が並んでいる口を持つそれは少年をギロリと見据えた。
そう...ポケモンではなく熊型のモンスター。大きさは少年の背丈の10倍はあると思われる。
少年は恐怖で一歩も動けなかった。逃げようにも逃げられず、叫ぼうにも声が出ない。
グルルルルッ...!
「ひっ...!」
モンスターは少年に向き直るや否や、鋭い爪を立てて腕を大きく掲げる。
このままでは殺される。そう思うだけでもやっとの状態になってしまっている少年に成す術はなかった。
そして、モンスターの剛腕が振り下ろされた。
「...あ、れ...?」
ところが、少年は無事だった。大怪我どころか掠り傷もない。
何故、自分は無事でいるのか...その答えは少年を抱擁している温もりが教えてくれた。
恐る恐る見上げて見ると、黄緑色の髪が風に揺れて少年を見つめている同じ色の瞳が映り込む。
「サナ」
「...サ、サーナイト...?」
ほうようポケモン サーナイト。
亜人型で白を基調に髪や腕などは黄緑色に染まっており、その風貌はドレスを着た女性にも見える。
少年を抱き締めたままサーナイトは片腕を突き出し、熊型のモンスターに掌を向ける。
すると、白い冷気が圧縮されて青白い球体となり、そこから青白い光線のれいとうビームを放った。
れいとうビームが直撃したモンスターは藻掻きながら氷漬けになってしまい、グラリと傾いてそのまま地面に倒れる。
バキィンッ!と地面に埋まっていた石にぶつかった拍子に氷漬けとなったモンスターは粉々に砕け散った。
一瞬の出来事に少年は目を丸くさせているが、そんな暇もなくサーナイトは腕の位置を変えて少年を抱き上げる、ふわりと浮かんだ。
「わっ!?わっ!?と、飛んでる!?」
「サナ...」
「あ、う、うん...」
エスパータイプ特有のテレパシーで危ないから暴れないように、と伝えて驚いていた少年は大人しくする。
サーナイトはサイコパワーで体を支えており、空中浮遊での移動が可能なのだ。
森を抜けて暫くすると、少年が住む村の手前に着地したサーナイトはゆっくり少年を降ろしてあげた。
「あ、ありがとう。助けてくれて...」
「サナ。サナ」
「うん...今度からは無暗に近付かないようにするよ...」
自分を助けてくれた事に感謝を述べ、森にはモンスターも潜んでいるから気を付けるように、と注意するサーナイトにしょんぼりとしながら頷く少年。
そんな様子を見て反省したとわかるとサーナイトは微笑みながら少年の白い髪に撫でる。
少年は恥ずかしそうに苦笑いを浮かべているが、嫌そうな素振りは見せず撫でられ続けた。
「サナ?」
「あ...ぼ、ぼくはベル。ベル・クラネルだよ」
これがベルとサーナイトの出会い。
そして...ベルが生涯を共にする最初のパートナーとの物語の始まりなのであった。
To Be Continued