ダンポケ   作:れいが

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前回のあとがき通り、リューさんはポンコツ加減が本編より増してます。
まぁ、ブイズだから仕方ないね。


9話 ブイズにメロメロ

 今日もサンサンと陽の光が照らされる晴天の下、村人達はポケモンと一緒に色々な作物を育て、伐採した木を木材にし、荒れた土地を効率よく開拓し、子供は楽しく遊んでいたりしていた。

 熟れた作物は生で食べても美味に思える程瑞々しく、手伝いをしていたバクフーンがつまみ食いをするくらいだ。

 当然、フシギダネに見つかってお尻をツルのむちで引っ叩かれる。更にはパートナーのおばさんからのゲンコツで頭からたん瘤が膨らむ。

 

 「...本当にモンスターが...仲良くしてる...」

 「信じてくれる?リューお姉ちゃん」

 「...ええ。この目で見たからには、疑う余地はありませんね」

 

 リューは諦めたようにそう答えてベルに頷く。そうして戸惑いながら、村の中を進んで行った。

 村人達は見知らぬリューの姿を見て首を傾げていたりして、ベルに誰なのか問いかけると説明をしてもらい、すぐに受け入れてくれた。

 村にはエルフという種族は居ないのでベルと同年代の子供はリューに興味津々の様子である。

 一方、よそ者の自分をこうもあっさり受け入れたという事にリューは戸惑いを隠せないでいた。

 

 村を見て回りながら歩いていると、鳴き声が聞こえてきてその方を見る。

 そこには5匹のポケモン達がじゃれ合っていて、1匹がベル達に気付くと嬉しそうに駆け寄って来た。

  

 「ブイー!」

 「こんにちは、イーブイ。皆と遊んでたんだね」

 「ブイ!...ブイ?」

 「あっ、この人はリューお姉ちゃんだよ。迷子になってたから僕の村に連れて来たんだ」

 「ベ、ベル。出来れば迷子になっていた事は伏せていただけると...」

 

 切実にそう懇願していると、イーブイはじっと自分を見つめている事に気付くリュー。

 そして、嬉しそうにリューの回りをぐるぐると周り始めた。

 興味津々の様子のイーブイにリューは困惑しつつも、何とか落ち着かせようと屈んで手を差し伸べる。

 

 するとイーブイはキキィっと急に止まり、まるでよろしくと言わんばかりに尻尾を振りながら差し出された手に頭をぐりんぐりんと擦り付けた。

 その行動にリューは驚いて思わず手を引っ込めそうになるが、不思議と嫌な感じはしなかったのでそのまま撫でてみる。

 イーブイは気持ち良さそうにゴロゴロと喉を鳴らす。

 モンスターであるのに、その愛くるしくて可愛い仕草にリューはいつの間にか微笑みを浮かべ、警戒心が解けてしまっていた。

 

 「可愛いからずっと撫でていたくなっちゃうよね」

 「あ...そ、そうですね。何故だか撫でる手が止まらなくなっています...」

 「あっ。他の皆もこっちに来てるよ」

 「え...?」

 

 ハッとなり顔を上げると、イーブイと戯れていたポケモン達がリューの元へ集まり、興味深げにリューの事を見ていた。

 敵意のようなものは感じられず、むしろ友好的と取れる。

 やがて1匹が前に出て、お辞儀をするとリューはそれに驚くが、すぐに自身もお辞儀を返す。

 顔を上げると頭の中に、イーブイに構ってあげてくださりありがとうございます、という声が響いてくる。

 

 周囲を見渡し、誰がそう言ったのかリューは慌て始める。ベルはそれに気付いて答えた。

 

 「今のはエーフィで言ったんだよ。エスパータイプだからテレパシーっていう力で話す事が出来るんだ」

 「そんな力が...凄いですね。普通のモンスターではないと改めて認識しました」

 

 リューが感心していると、3匹が前へ出て自分も撫でてほしいと言うかのように上目遣いで見つめてくる。

 

 「ブースター」

 「リーファ」

 「フィアー♪」

 

 赤い全身にオレンジ色をしたフサフサの体毛が頭部、首周り、尻尾に生えている、ほのおポケモン ブースター。

 クリーム色のスマートな体型で体の各所から草が生えている、 しんりょくポケモン。リーフィア。

 白を基調に耳や尻尾などの先端部はピンク色で左耳と首元からリボンのような触角が生えている、むすびつきポケモン ニンフィア。

 

 エーフィのテレパシーでその事を伝えられ、リューはまず最初にブースターを撫でてあげると気持ちよさそうに受け入れてくれた。

 頭部のフワフワしている体毛の感触にリューは夢中になりそうになるも、何とか我に返って今度はリーフィアを撫でる。 

 額の中心からピョコンと伸びている大きな緑色の毛が掌をくすぐって、思わずふふっと笑みが溢れた。

 最後にニンフィアを撫でようとすると、ふわりと左耳から伸びているリボンのような触手がリューの頭に添えられて撫でられた。

 

 「あ、あの、これは...?」

 「フィア♪」

 「撫でてくれるお礼にうちも撫でてあげるわぁ、だって」

 「...ベルは言葉がわかるのですね。それもすごいと思います...」

 

 撫でつつ撫でられるリューは困惑しながらも悪い気はしなかった。寧ろ心地良いと思う。

 暫くして、撫でるのを止めるとニンフィアも合わせてリボンのような触手を離す。

 

 「ブイー!」

 「え?あ、とっ...うわぁっ!?」

 「リューお姉ちゃん!」

 

 その途端にイーブイがまた撫でてもらおうとリューの胸に飛び込んで、バランスを崩したリューはそのまま倒れそうになる。

 既の所でベルが手を引っ張り、何とか尻もちをつく程度に済んで安堵する。

 

 リューも平静を保ってイーブイがスリスリと摺り付いて離れようとしないため、そのまま抱きかかえる形で起き上がり、ベルにお礼を述べた。

 

 「ありがとうございます、ベル。助かりました」

 「う、ううん。怪我をしなくてよかったよ...」

 「...イーブイ、でしたね?危ないですからいきなり飛び込んできてはいけませんよ?」

 「ブイ~」

 

 まだ幼い子なので理解があまり出来ませんから、大目に見てもらえると...と、伝えてくるエーフィにリューは苦笑いを浮かべてイーブイの頭を撫でてあげながら、言われた通り大目に見る事にしてあげた。

 そんな事はいざ知らず、イーブイは嬉しそうにまたゴロゴロと喉を鳴らすのだった。

 

 「あ、ベル君。こちらにいらしてたのですか」

 「春姫お姉ちゃん!今、リューお姉ちゃんに村を案内してんだよ」

 「リューお姉ちゃん...?...あ、これはお初にお目にかかります。私、サンジョウノ・春姫と申します」

 「ご丁寧にどうも...リュー・リオンです」

 

 互いに自己紹介を終えると、春姫はリューの腕の中で心地良さそうにしているイーブイに視線を向けた。

 イーブイは性格によって人懐っこさも変わるが、ここまで見ず知らずのリューに甘えているのは珍しい。

 リューから伝わってくる優しい雰囲気を感じ取ったのだろうかと春姫は思った。

 

 「シャーッ」

 「サンダー!」

 「ブラッ...」

 「グレイ...」

 「あ、シャワーズ達は春姫お姉ちゃんに毛並みを綺麗にしてもらってたんだね」

 「はい。少し毛並みがよろしくありませんでしたから...」

 

 シャワーズ達はすっきりした表情で満足そうだった。

 姿形は違えど、どことなくイーブイと似ているシャワーズ達をリューはマジマジと見ていると、足元に近寄って来るのに気付く。

 そして、リューの腕の中で甘えてるイーブイを見て羨ましいと感じたのか、自分も撫でてほしいとシャワーズが擦り寄って来た。

 もう驚きもせず慣れたように頭を撫でてあげると、シャワーズは幸せそうな表情を浮かべる。

 

 「シャーッ」

 「(まるで水に触れているかのように感じますね...不思議です)」

 「サンダー!」

 

 しっとりとした滑らかな体毛の触り心地にリューもご満悦しているようで、撫で続けてあげた。

 当然ながら、それを見てサンダースも撫でろ!と擦り寄り、まだ撫でてもらえていないエーフィもジッと見つめてきてリューは困惑し、見かねた春姫が順番に撫でてもらうようお願いして、渋々といった感じで引き下がり、それぞれを撫でてあげるのだった。

 

 「あれ?ブラッキーとグレイシアはいいの?」 

 「ブラ...」

 「そっか、皆が終わるまで待つんだね。優しいなぁ、ブラッキーは」

 「グーレイ」

 「べ、別にルノアお姉ちゃんも他人に撫でられたからって気にしないと思うけど...」

 

 ツンとそっぽを向くグレイシア。苦笑いを浮かべてベルは仕方ないといったように彼女の頭を撫で始める。

 ちなみにだが、イーブイ、シャワーズ、サンダース、ブラッキーを除いて残るブイズは皆、メスという。

 ベルに撫でられて最初は俯いたままでいたグレイシアだが、数分もしない内にベルの掌に頭を擦り付けて、無言で甘えてきていた。

 

 どうやら、本当は撫でもらいたかったらしい。 

 そんなグレイシアにベルはリューに撫でてもらわないのか問いかけた。

 頭を擦り付けるのを止めたグレイシアは、順番を待ち続けて漸く撫でてもらっているブラッキーを見据える。

 

 「ブラッ...」

 「もうよろしいのですか?他の皆さんより短い気もしますが...」

 「ブラッ」

 「後ろ...?」

 

 ブラッキーに身振りで教えられてリューが振り返ってみると、グレイシアがいつの間にか背後に立っていた。

 撫でで欲しいという訴えが見て取れる程、そわそわしながら見つめている。

 そっとリューは手を頭の添え、毛並みに気を遣って優しくと撫で始める。

 その気遣いに心を許したグレイシアは心地良さそうに目を細めて、されるがまま受け入れていた。

 心を開いてくれた事に喜びを感じるリューはだが、それと同時に芽生えた概念がある。それは...

 

 「(...なるほど...可愛いは正義なのですね...)」

 

 との事。

 ブイズを撫で回している間にすっかり夕暮れ時となったので、春姫に宿泊施設を教えてもらい翌日にオラリオへ向かう手段を教えてもらう事に決めたリュー。

 ベルと春姫に見送られ、ブイズを引き連れて宿泊施設へ向かうのだった。

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