ダンポケ   作:れいが

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ある意味ハーレムは達成しました。


15話 信じる心

 「...えっ...」

 

 リューが村を発って1年が過ぎた頃、幼馴染から手紙が届いてベルは戦慄した。

 今、オラリオはとても危険な状況となっているから、絶対に来てはダメという内容だ。

 闇派閥という悪辣な組織が何故か猛威を振るい始め、オラリオの街は混乱の渦中にあるらしい。

 ベルはすぐにでも助けに行かないと、と思い立ったのだが最後の行に書かれていた言葉に思い留まった。

 

 そっちでお世話になったリューと会って、一緒に闇派閥を懲らしめてる所だから皆が来るまでに何とかしとくよ、と書かれていたからだ。

 確かに彼女とリュー、更に仲間のポケモン達の実力なら最悪の事態になる事はあり得ないと思う一方で、それでも万が一という事があるとベルは不安に掻き立てられる。

 ベルは家の裏で農作業をしていた祖父の元へ急ぎ、縋る思いでその手紙を見せて相談すると...

 ここは任せるべきだ、と返されてベルはそんな...と思ってもみなかった返答に困惑した。

 

 「ベルよ。お前は...あの子達が弱いから死んでしまう、と思っているのか?」

 「!?。ち、違うよ!そんな...そんな訳ない!絶対にないよ!」

 「ならば、信じて待つんだ。あの子達がよーく強いとわかっているのだろう?

  それに...今のお前がオラリオへ行って、何になる?」

 

 普段から優しい祖父の、その強張った表情で諭されたベルはハッとなる。

 今の自分がオラリオへ行っても足手纏いにしかならない。それどころか彼女達の邪魔になってしまうかもしれない。

 それでも心配で仕方なかった。何か役に立てるはないのか?どうにかして向かう口実を作れないかと思ってしまう程に...

 そんなベルの心情を読み取った祖父は優しく頭を撫でてあげた後、口を開く。

 

 「今のお前のやるべき事は...強くなる事だろう?彼女に負けない、そして認めてもらえるくらいに」

 「あっ...」

 「あの子達なら大丈夫じゃ。儂にはわかるぞ?強く頼もしい仲間達が居るのだからな。

  そして...必ずオラリオに平穏を取り戻してくれると信じておる。

  ベルよ...お前は違うか?」

 「...ううん...僕も信じるよ。オラリオを救ってくれるって...!」

 

 ベルが力強く頷いたのに対して、いつもの優しい微笑みを浮かべた祖父は少し乱暴に頭を撫でてやった。

 

 

 それから数日も経たない内に幼馴染から手紙が届く。今度はリューの手紙も一緒に入っていた。

 祖父は不在だったため、春姫達に伝えるべくルノアの自宅へ向かった。

 2人もオラリオの現状は聞かされているので、早く開封するよう急かされる。その時は何故か、サーナイトもソワソワとしている様子であった。

 ベルは一度深呼吸をして、封を破いて手紙を取り出す。

  

 最初に心配かけてごめんね、と謝罪の後に書かれていたのは...

 闇派閥は壊滅させて、私もリューも元気だから、という待ち望んでいた文面だった。

 

 そう読み上げた途端に春姫達は、はぁ~~と安堵のため息をつくする。

 闇派閥がどうなったかよりも、2人が無事である事が何よりも気掛かりだったからだ。

 手紙には続きがあり、闇派閥は壊滅させたものの未だに街は混乱しているから、安全になったら手紙を送る、とも書かれていた。

 それならと、ベル達は手紙を待つ事にした。

 

 続いてリューの手紙も読む事にした。その時点で心配事は綺麗さっぱり無くなっていたので、ベルはワクワクとした気持ちで手紙を読み始める。

 長い長い文章を読み続けて口内が乾きかけた頃、最後にこう書かれていた。

 

 サーナイト、貴女との約束は守りましたよ、と短い文章が綴られていた。

 どういう事だろう?とベル達は首を傾げるが、ふとサーナイトを見ると赤い瞳から大粒の涙を零していた。

 どうしてそんなに泣いているのかわからず、ベル達は戸惑っていたが、サーナイトは大丈夫ですよ、と目尻に涙を溜めたまま微笑んで答える。

 ベルは心配しながらも、サーナイトがそう言うのなら...とそれ以上は追及せずに、手紙を折り畳んで封筒へ戻した。

 

 そうして、心配事の無くなったベルはオラリオへ向かうために、修行や特訓に励むのだった。

 

 

 それから5年の時間が過ぎ去り...

 幼く泣き虫だった少年は、いつしか逞しく立派に成長してきていた。

 ルノアの胸元くらいまでしかなかった身長も、あっという間に抜いてベルの方が高くなっていた。

 顔つきも子供らしさは残るものの、凛々しさがあって体つきもしっかりとした筋肉がついている。

 何より、精神面での落ち着きがより顕著に表れていた。

 

 森で遭遇したモンスターを相手に、カモネギから教わった剣技やガラガラとマクノシタに叩き込まれた体術を応用して倒すのも容易くなっていて、村を守る事に大きく貢献していた。

 村の手伝いも幼い頃より半日程で済ませられるようになって、それも村での貢献に繋がっている。

 ベルが居なければ、畑の手伝いやモンスター退治に時間を取られてしまい、他の仕事に支障をきたしてしまう。

 そんな時でも彼は嫌な顔一つせずに快く引き受けてくれるため、村人達は感謝してもし切れない程だった。

 

 また村を守るだけでなく、オラリオに向かうために強くなる事にも余念がない。

 サーナイト達との特訓は日々欠かさず行って、2ヶ月に1回行われるポケバト大会では連勝記録を更に伸ばしている。

 ポケモンと親交を深めるのも忘れてはいない。尤もベルは目標と関係なく自然体で仲良くなっているようだった。

 

 そうしてポケモンマスターの道を着実に歩み続けているベルは今...

 

 「くっ!...リオル!もっと手を伸ばして!」 

 「リオ...!」

 「ミミ~~~~ッ!」

 「ミミロップもあと少しだから頑張って!」

 

 テンガン山に連なるシロガネのやまの断崖絶壁でミミロップの長い耳をロープ代わりに掴みながら、必死で岩肌に張り付いているリオルを救出しようとしていた。

 何故こんな状況になってしまっているのか。

 

 体力作りのために、いつもの山道で走り込みをしていたベルはどこからか聞こえる声に気付いた。

 辺りを見渡してみても姿は見えず、首を傾げるが再び聞こえてくる。それも耳ではなく、頭の中に直接響いてくるような声が。

 ふと山道の右側が崖となっている事に気付いた途端、まさか、と崖の下を覗き込んでリオルが落ちそうになっているのを発見する。

 慌ててスピアーの入っているモンスターボールを手に取ろうとした。

 だが、今はミミロップだけを連れているの思い出して焦るものの、時間がないと判断してミミロップと協力し、リオルを助けるべく手を伸ばしているという訳である。

 

 耳を引っ張られてミミロップは痛みを堪えつつ、伏せた状態で踏ん張りながらベルが崖にぶら下がれるよう懸命に支えている。

 リオルはベルの手を掴むために何とか崖を這い上がろうと必死に手足を動かしていた。 

 ベルもリオルも共に汗だくで疲労困憊になりながらも諦めずに手を伸ばし続けていると...ようやくリオルの手をベルは掴む事ができた。

 

 「やった...!ミミロップ!引っ張って!」

 「ミッミィイイ~~~!」

 

 渾身の力を振り絞って、そのままゆっくりとミミロップは崖に落ちかけていたリオルとベルを一緒に引き上げる事に成功する。

 その場に全員大の字になって呼吸を荒くし、顔を合わせると不思議な事に笑い合うのだった。

 暫くしてから、ベルはリオルに気を付けるよう注意をしてミミロップをモンスターボールへ収納し、走り込みを再開しようとする。

 すると、待って!と先程から聞こえてきていた声が、またベルの頭の中に響き渡った。 

 

 「...ひょっとして、君の声なの?」

 「リオ!オルオル!」

 「え?こっちの手をこうして...こっちは翳して...」

 

 興奮気味に言っているリオルの言葉に従い、ベルは右手を胸の中央に、左手は前に翳す。

 同じ位置にリオルはワクワクした様子で右手を置いて、左手を翳してベルの手に重ねた。

 

 「リオ!オルオル」

 「...うん。いくよ...波導は我にあり」

 

 そう唱えた瞬間、ベルとリオルの体が青白い光に包み込まれた。その感覚にベルは戸惑いつつも、リオルの声に耳を傾ける。

 

 それは波導という魔法とは異なる、気やオーラと同じようなエネルギー派、またはそれを操る技術の事らしい。

 ベルはどんな風に違うのか、問いかける。リオル曰く、全てのものには固有の波導があり、視力の有無や距離の遠近を問わずに生物や物体の存在を感知する事が可能との事。

 更には相手の心情をキャッチする事も出来て、良心と悪意、真意と偽りをも見抜けるそうだ。

 

 リオルやルカリオの種族は波導を自在に操れるポケモンであり、そして今、ベルの波導と共有しているという事だった。

 そうする事でより言葉がハッキリと聞き取れるようになって、会話が出来ているとも。

 

 波導を通じて、ベルはどうして波導を共有したかったのかを尋ねると、それはベルの波導が今までに感じた事もないほど強大で清らかだったから興味が湧いてね、とリオルは答えた。

 最終進化までしている両親でもこれだけ強い波導は身に宿していない上に人間なら尚更だよ、と言い、ベルは少し照れ臭そうにしながらも嬉しそうに微笑む。

 リオルも釣られて笑みを浮かべたが、顔を反らして何かを考え始める。

 そして、唐突にボクを君の仲間にしてほしい、と頼み始めてきたのにベルは面喰ってしまう。

 

 いきなりの事で戸惑いながらもベルは、何故仲間にしてほしいのかと一先ず基本的な事を聞いてみた。

 その問いかけにリオルは、良き心の持ち主を認め、悪しき心を憎む。

 強大な波導を秘める、その優しさと正義感に満ちている心に惹かれ、共に歩んでみたい、と答える。

 

 その答えにベルは胸が熱くなるのを感じると同時に嬉しさが込み上げてきて、それならすぐにでもと言い掛けたが先程までのリオルの言葉を思い出す。

 両親が居るのであれば、まず話し合わなければとリオルに住処へ案内してもらう事にした。




波導の勇者が放映されてた当時、ルカリオは伝説ポケモンと思っていたり何故かサスペンダー付けてると勘違いしてました。
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