ダンポケ   作:れいが

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歴代ポケダンの施設パロディ


16話 ポケモンの村

 「わぁ...こんな所に村があったんて...」

 

 リオルに案内されてポケモン達だけの村に到着したベル。

 険しい山道の中を突き進んで、漸く辿り着くような場所にあるため人が住むには適さない場所なため人の姿は1人としてなかった。

 それにも関わらず、建物や風車など生活に必要な物は何1つ欠けてなく、寧ろ以前よりも立派に整備されているように感じる。

 

 「リオリオ。オルオル」

 「え?ポケモン達だけで作ったの?」

 

 自分が住んで居る村の家々と何ら変わりないしっかりとした作りだと感じたベルはすごいね、と素直に称賛する。

 建物の外見はそこで働いているポケモンの顔を模しているようで、道中の最初に見かけたのは2匹のカクレオンが営む商店、そこと向かい合うようにガルーラの何でも預けられる倉庫。

 卵が孵るまでラッキーが育てるお世話屋、この村で作られた通貨を保管してくれるペルシアンとヨマワル銀行、ペリッパーの郵便局など住居以外の施設が充実している。

 

 そんなやり取りをしつつ歩いている内に、村の一番奥にある家の前で、ここがボクの家だよ、とリオルが言って立ち止まる。

 

 ポケモンが作った故なのか独特な形状をしている木造の家だった。

 ベルはリオルに促されるまま家の中に入る。

 中も外と同じように木で作られた家具や壁があり、とても暖かい雰囲気を醸し出していた。

 

 キョロキョロと見渡していると、いつの間にか違う部屋に行っていたリオルに呼ばれてベルはそこに向かう。

 その部屋は恐らくリビングであるようで、藁を乗せた切り株の椅子と大きな切り株のテーブルが置いてあり、そこにリオルの親である2匹のルカリオが座っていた。

 

 リオルに隣へ座るよう勧められて、ベルは頷くと言われた通りにした。

 どうやら、リオルが先に経緯を話したようで最初にルカリオ達から、娘を助けていただき感謝する、と波導を通じて伝えてきた。

 ベルはいえいえと首を横に振った...が、その時初めてリオルがメスだとわかって思わず二度見した。

 話は戻ってそれから、リオルに本当に仲間になりたいのかと改めて聞いた。

 

 「リオリオ」

 

 リオルは真っ直ぐにベルを見つめ、しっかりと頷いた。 

 その目には強い意志が宿っているのをベルは感じ取って、ルカリオ達にリオルを仲間として迎え入れたい、と自分の口から伝えた。

 最初は大事な娘を渡す事は出来ないと言われる覚悟だったのだが、それに反してルカリオ達はあっさりと承諾した。

 それどころか、娘をよろしくとまで言われてしまいベルは拍子抜けしてしまう。

 

 何故かと聞くまでもなく、父親のルカリオがベルから感じ取った波導を評価した結果だった。

 私達の種族でも、ここまで清らかで純粋無垢、優しく正義感に満ちている波導使いは見た事ない、との事。

 リオルも同調するように、そのおかげで助けられたからね!と嬉しそうに言っていたが、母親のルカリオに危険な目に遭ったのだから反省しなさい、と叱られて耳と尻尾がしょんぼりと垂れる。

  

 ベルは雰囲気が気まずくなる前に話を逸らそうと、先程ルカリオが言った波導使いの事について尋ねた。

 波導使いとは、リオルがここへ来る前に話した通りの様々な技や能力を駆使するのに、最も長けた者を言うそうだ。

 

 「でも、僕はそんな力を使った事なんて...そもそも使えるかどうかもわからないよ?」

 「ルオ。ルオルオ」

 「そっか...リオルと波導を共有したから、僕自身の波導が目覚め始めたんだね」

 

 そう呟くベルにルカリオはそれなら、と言葉を続ける。

 波導はあらゆる生物や物に等しく宿っているが、その力を行使できるかどうかは別問題であるからその技術などを教える事を提案する。

 それを踏まえてリオルも一緒に成長するだろう、という意図をベルに伝えた。

 ベルは迷いなく了承して、波導を操れるようになろうと決める。リオルは大いに喜び、ベルに抱き着いた。

 

 モンスターボールにリオルを入れるのは後にして、早速ベルは波導の扱い方を教授してもらう事になった。

 何か手伝えるかもしれないと、ミミロップもモンスターボールから出ている。

 父親のルカリオは、まず自分の体内にある波導を感じ取る事から始めよう、とベルとリオルに言う。

 波導を共有した時と同じ構えを取り、発動条件なのか不明だが、あの言葉をリオルと一緒に唱える。 

 

 「波導は我にあり...」

 

 目を閉じて意識を集中すると...すぐに感じ取れたらしく、静かに燃える青い炎が見えるようだった。

 その感覚を維持しながら、今度は周囲の波導を利用して地形などを把握するように指示が出される。

 初めて波導を使うベルはどうやればいいのかと思ったが、意識を集中したままでいれば自然と出来るようになるから、と慣れているリオルがアドバイスしてくれた。

 本当なのかと疑問を抱くベル。しかし、数秒すると...確かに視界はクリアになり、周囲の様子や地形が手に取るようにわかり始める。 

 隣にリオル、目の前に居るのはルカリオでミミロップは少し後ろに立っていると把握した。

 

 続けて、ルカリオはどこかにある布を巻き付けたリンゴの木の波導を感知するように指示する。

 ベルとリオルは周囲を見渡して、それらしい木を最初に発見するも布が無いのでハズレだとわかり、別の所にあるリンゴの木を探す。

 やがて同時にルカリオが言っていた目標を見つけ、指を差した。

 ルカリオが頷いてお見事、と褒めてもらいベルとリオルは喜び合いつつも次の指示を待ってルカリオに視線を向けた。

  

 

 その後も波導を感知する範囲を広げたり、逆に範囲を絞って精度を上げたり、ウソッキーの話た内容の真偽をみやぶったりと様々な訓練をしていく。

 ベルは波導を操っていく内に、段々と自分の力として扱えるようになっていった。

 

 そして...日が暮れ始めた頃になって、ルカリオから今日はこの辺にしようと告げられる。

 精神的疲労は僅かに感じられるが、それほど深刻ではないようでベルは深呼吸をしてからルカリオにありがとうございました、と頭を下げる。

 

 この短時間でこれほど波導を使いこなせるとは、類い稀な天賦の才だ、とルカリオはベルを褒め称えた。

 リオルも目を輝かせながら、すごい波導使いの仲間になれるなんて嬉しいよ!と喜んでいる。

 さっすが~!ベルピやるじゃん!とベルの頑張りをミミロップも労った。

 ベルは照れ笑いを浮かべていると、リオルが唐突にはどうだんも撃てるんじゃないかな?と言い出した。

 流石にそれは...とベルはポケモンの技を人間が使える訳がないと思ってはいるが、波導を使えるのだからもしかしたら...と思い始める。

 

 リオルはやってみようよ!と興味津々にどこかへ移動する。

 地面に生えている草の一部が無くなっており、そこから離れた小山の麓が抉れているのにベルは気付く。

 その草が無くなっている所に立ち、リオルは両手を上下に重なるような構えを取って体内の波導を両手に集めた。

 青白い光となりながら波導は空気を巻き込むように光球を形成、両手の間で宙に浮いている状態となった。

 十分に溜めた所で勢いよく両手を突き出し、はどうだんを撃ち放つ。

 

 ドガァッ!と抉れていた麓にはどうだんが命中して土埃と岩の破片が飛び散る。

 ベルに当たらないよう、前に出たミミロップは長い耳を器用に使って弾いていった。

 息を整えながら残心をとるリオル。

 

 すごい威力だと思っていたベルだが、ん?と何か引っ掛かると思うや否や、え!?とルカリオに問いかけた。

 はどうだんはルカリオに進化しなければ覚えない技のはずであり、どうしてリオルが当然のように撃ち出していたのかと。

 ルカリオ曰く、娘のリオルも自身に宿している波導は、付近に住む同個体のリオルよりも計り知れないほど強く、進化前の時点ではどうだんを覚えていたのだとか。

 

 「それなら、リオルもすごい波導使いになれるんじゃないかな...」

 「ルオ、ルオルオ」

 「...うん。リオルのためにも一緒に頑張るよ」

 

 ルカリオから、娘はこれから更に強くなるだろうと言われ、ベルも同意してそう答えた。

 ミミロップもベルと一緒なら間違いなく強くなれるよん、と軽そうに言ったが、その笑みには深い信頼関係が築かれているのが見て取れる。

 戻ってきたリオルに、次はベルの番だよ!と言われるがまま、手を引かれてリオルがはどうだんを撃ち放った位置に着く。

 ベルは先程のリオルが見せた予備動作を真似て構える。自身に宿る波導を呼び覚まし、手に集めるよう意識する。

 

 すると、両手に熱が籠り始めるのにベルは驚くが、すぐに冷静になってそのままの状態を保ち、更に熱くなったと同時に両手を突き出す。

 

 ...が、何も起きず、夕焼けに向かって飛んで行くヤミカラスの鳴き声が空しく響いた。

 

 ベルは恥ずかしさのあまり、顔を真っ赤にしながらリオルとルカリオに謝ると、どちらからも気にしなくていいとフォローしてくれたので多少は救われる。

 但し、出会ってから7年も仲間として一緒にいるはずのミミロップは腹を抱えて笑っていたので、別の意味でベルは泣きそうになるのだった。

 

 やはり人間とポケモンの身体構造が違うからなのか、それとも波導を使えるようになっても技は使えないのか...とベルが考えているとリオルに抱きつかれる。

 これから一緒に頑張ろうね!と満面の笑みで言ってくれて、ルカリオからも励むように応援された。 

 笑い転げていたミミロップも急に真面目になってテンアゲしてこうよ、と長い耳で撫でながら励ましてきた。

 ベルは3匹の優しさに触れられて、嬉しい気持ちになりつつお礼を言う。

 

 

 そうして、母親のルカリオもやって来くると未使用のモンスターボールを取り出す。

 

 「リオル。ここを押してもらえるかな?」 

 「リオ!」

 

 モンスターボールを差し出しながらベルは金具を指で示し、リオルは頷くと小さな手でポンッと軽く押した。

 赤い光に包み込まれ、開かれたモンスターボールの中へリオルが吸い込まれていく。

 掌の上で揺れていたモンスターボールが止まるとカチリという音が鳴り響いた。

 

 仲間になった事を確認して、リオルに外へ出てもらう事を伝える。

 

 「リオル。お父さんとお母さんとは離れ離れになるから...今の間に、沢山話しておいで?」 

 「リオ!」

 

 ベルは寂しくならないように両親と話すのを促して、リオルは笑顔で頷くと両親と話し始める。

 その様子を見ていたベルは、自分がしっかりとサポートしてあげようと心に誓うのであった。

 

 暫くして、満足した様子でタンッと肩へ飛び乗ってきたリオルに、ベルは微笑みながら両親の前に立って挨拶する。

 立派な波導使いになる事を期待している、とルカリオ達に言われてベルは頑張ります、と頭を下げた。

 

 こうして新たな仲間を迎え入れ、ベルはポケモン達の村を後にするのだった。




ポケレン及びアニポケDPで登場したのと似た特別なリオルちゃんです。

次回で旅立ちます。
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