ダンポケ   作:れいが

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フィジカルではルノアさんがベル君より圧倒的に強いです。


第二章
18話 再会のハイタッチ


 幾つもの山々を越えて、本来なら何日もかかる道程をあっという間に通り越してベル達はオラリオが見える上空まで来ていた。

 円形の城壁に囲まれた巨大な都市。幼馴染からの手紙通りだとベルは思った。

 早く行きたい気持ちはあるが、そのまま降りる訳にもいかないので、少し離れた森へと降下していく。

 

 木々の開けた場所へと着地し、ボーマンダに化けているゾロアークから3人は降りて早速向かおうとしたのだが...

 

 グオォオオオオオオオオオオオオオッ!!

 

 「おっと?何かデカい蜥蜴が喧嘩売ってきたよ」

 「エンニュートが大きくなった感じかな?」

 「の、呑気にお話されている場合ではないかと...」 

 

 目の前に出現したのは大型級のモンスターである、ブラッドサウルス。

 セオロの森に棲んでいるはずのモンスターが何故ここに居るのか不明だが、3人に襲い掛かろうとしているのは考えなくともわかっていた。

 ズシンズシンと大きな足音を立てながら、鋭い牙の並んだ口を大きく開けながら突進してくる。 

 

 「まぁ...ちょっとは歯応えあるんじゃないの?肩慣らしになるかも」

 

 ルノアは不敵な笑みを浮かべて、そう言い放つや否やブラッドサウルスに向かって行く。 

 助走をつけた跳躍で頭部に飛び掛かると、硬く握り締めた拳を振り被って...

 

 「シッ!!」

 

 ブレて見える程、素早く拳を突き出した。

 バキャアアッ!!とブラッドサウルの顔側面を容赦なく殴り付ける。

 強烈なストレートパンチが顎部分にめり込み、衝撃でバキバキッと脊椎が砕ける音が響き渡る。

 眼玉がひっくり返り、ドタン!と崩れ落ちるブラッドサウルス。ピクピクと痙攣した後、動かなくなった。

 どうやらルノアの拳一発で仕留めたようだ。

 

 「...え?何この蜥蜴。図体デカいだけで弱過ぎじゃない?」

 「やっぱりルノアお姉ちゃんのパンチに耐えるには相当頑丈じゃないと無理じゃないかな...」

 「ちぇーっ。あーあ、拍子抜けした気分だよ。もう...」

 「ま、まぁまぁ。ここはオラリオの外ですから...あら?」

 

 小石を蹴ってガッカリしながらため息をつくルノアを宥めていた春姫は、向こうの方から聞こえてくる足音に気付く。

 またモンスターが近付いて来てるのかと思ったが...木々の間をすり抜けて、1人の女性が姿を現した。

 青い戦闘衣に黒のインナーウェアを着ており、緑みがかった青い髪をしている碧眼の女性だ。

 

 「そこの人達!ここは危険だよ!大型のモンスターが潜んでる、から...え?」

 

 女性は目を点にして言葉を失った。白い髪の少年達の傍に絶命して倒れているブラッドサウルスが目に入ったからだ。

 最近、オラリオにやって来る商人達から、この森に巨大なモンスターが徘徊しているという目撃情報があったので、ファミリアの眷属達と討伐に森を探索していた。

 しかし、その対象となるモンスターがああなっているという事は...

 

 「あー、もしかして余計な事しちゃった?」

 「あ、う、ううん!そんな事ないよ?その...まさか3人だけで討伐しちゃうなんてビックリしたから」

 「え?倒したのはルノアお姉ちゃんだよ?肩慣らしにって...」

 「...えぇええ!?い、いくらダンジョンに居る個体より弱くても、1人でなんて」

 

 女性がそう言ったのに対し、ルノアはポンッと掌を拳で軽く叩いた。

 

 「なーんだ、外に居るのだと弱いの?それならワンパンでこれなのも納得だわ」

 「待って待って。ワンパンって...もしかして殴って倒したの?」

 「そうだけど?」

 「...えぇええええええ~~~!?」

 

 その叫びが森に木霊して、彼女と一緒に探索していた仲間達が大慌てで集まって来たのは言うまでもない。

 

 

 ブラッドサウルスの亡骸の後処理は任せて、ベル達はオラリオへ向かう事にした。

 最初こそは殴って巨大なモンスターを倒したという事に首を傾げていたが、その証拠を見て仲間達は唖然としていた。

 

 「えっと、自己紹介しとっか?私はアーディ、アーディ・ヴァルマっていうんだ」

 「僕はベル・クラネルだよ。よろしくね」

 「サンジョウノ・春姫です」

 「ルノア・ファウスト。同い年だと思うから、気軽に呼び捨ていいよ」

 

 アーディは3人の名前を覚えた...というよりも以前から聞き覚えがあるのを思い出した。

 何時、どこでと言われずとも、親友がいつも楽しく話していた名前だったからだ。

 

 「もしかして...リューの言ってた、ポケモンマスターを目指してるベル君と料理が美味しい春姫さんとすごい力持ちのルノア?」

 「え?リューお姉ちゃんの事知ってるの!?」

 「やっぱり!私とは友達でもあって命の恩人なんだもん。そっかそっか、それなら...

  って、納得するのもどうかもしれないけど、本当にモンスターを拳だけで倒しちゃうんだね...」

 「あれぐらいチョロいもんよ。3年間道を塞いでた岩を砕く方が大変だったからさ~」

 「...私、それだけは嘘だと思ってたのになぁ...」

 

 しかし、リューが嘘をつくような性格ではないとわかっていたため、半信半疑に留めていたそうだ。

 オラリオへ続く道はまだ少し続いているため、ベルはリューの事を聞き始める。

 

 「リューお姉ちゃんはオラリオで有名になってるの?」

 「そりゃもちろん!闇派閥との大抗争をたったの2日で解決しちゃったんだからね。

  私が本当に死にそうになった直前にリューが助けてくれて...本当に感謝してもしきれないよ。

  今、こうして生きてるのもリューのおかげで...オラリオに住んでる人達が無事なのもあの子達のおかげだよ」

  

 アーディは心の底から感謝しているようで、ベルにそう語った。

 ベルとルノアはリューの活躍ぶりに喜び、春姫は感激して目を潤ませていた。

  

 その後、アーディのおかげでオラリオへと入る事が出来た。彼女はブラッドサウルを討伐の後処理のため別れる事に。

 

 ベル達はお目にかかる事のない風景にキョロキョロと辺りを見渡して、明らかに周囲とは浮いてしまっている。 

 しかし、手紙に書かれていた世界の中心と言われる由縁を目の当たりにして、ベルは目を輝かせていた。

 

 そんな矢先...ガラの悪い冒険者が絡んできて、鬱陶しさのあまりルノアが親が見てもわからなくなるまで顔をボコボコにしてしまった。

 

 「慰謝料払ってくれないと大事なもん潰すよ?」

 「ひぃいい!」

 「ルノアお姉ちゃん、やり過ぎだよ...」

 「ど、どうかお気を静めて...あら?」

 「オラリオへ来て早々に問題を起こしましたか、ルノア。

  私がもう早く迎えに行っていれば...」

 「リューお姉ちゃん!」

 

 背後から聞き慣れた声に振り向くと、そこには少しだけ背が伸びて大人びたように思えるリューの姿があった。 

 ベルはこうも早く再会した嬉しさからハイタッチを求める。何も変わっていないベルの愛嬌にリューは微笑みつつも手をパンっと鳴らしてあげた。

 そんな様子を春姫達は微笑ましく見ているのだった。




 
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