ダンポケ   作:れいが

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19話 春姫の手料理

 「ようこそ、アストレア・ファミリアへ!貴方達がベル君とルノアさんと春姫さんね!」

 

 ルノアが起こしたいざこざは何とか沈静化し、リューに連れて来られたのは星屑の庭だった。

 最初ルノアは事情聴取でもされるのかと身構えていたがそうではなく、当分の寝泊まりのために案内したのだという。

 偶然にも居合わせたアリーゼが、リューに以前から話を聞かせてもらっていたベル達だと聞くと満面の笑みで出迎えてくれた。

 

 リューがアストレア・ファミリアに所属してから、ずっと興味を持っていたベル達が来るのを心待ちにしていたようである。 

 その後にライラや輝夜、ネーゼなどの団員達、そしてアストレアとも挨拶を交わしてベル達は迎え入れてもらえた。

 特にベルは中性的な顔立ちの愛嬌とその人懐こさで可愛がられていた。

 

 パートナーのポケモン達も紹介して、リューの手持ちであるポケモン達はベル達のポケモン達との再会を大いに喜んでいた。

 

 楽し気な会話が進むにつれて、唐突にアリーゼがベル達が来たお祝いに歓迎会を開こうと言い出した。

 すると、即座にリューは挙手をしてある提案をする。ライラは行きつけの店で開くつもりでいたのだが、その提案に拍子抜けする。 

 

 「では、春姫さんの手料理を皆さんに振舞ってあげませんか?

  私も久々に食べたいですから」

 「そ、そうですか...では、ご期待に添えるようお作りします」 

 

 そうして歓迎会での食事は春姫の手料理が並ぶ事に。

 食材の買い出しを終えてから春姫は早速、調理に取り掛かり始めた。手際よく食材を切り、鍋に調味料を加えて煮込み始める。

 その香りは厨房から廊下まで漂い、通りがかったネーゼが思わず足を止めてしまう程だった。

 

 ベル達も率先して春姫の手伝いをして夕方頃には出される料理が完成する。 

 

 飾り付けられた食堂に並ぶ料理の滋味たる香りにアリーゼ達は思わず涎が垂れそうになっていた。

 歓迎会の準備が整うとベルが音頭を取り、一斉にいただきますと言ってすぐにそれぞれが春姫の作った料理を口に運んだ。

 一瞬の沈黙。春姫は少し困惑したが、その直後には美味しいという声が響き渡る。

 その味に舌鼓を打ちながら絶賛し、春姫は嬉しそうに微笑む。リューも久方ぶりの味を堪能して頬を緩ませていた。

 

 「素晴らしい味わいでございますなぁ。これはリオンが提案して正解と思うしかないか」

 「んぐっ、はい。この味を、はぐっ...んむぐ。どれほど待ち侘びていたか...」

 「おい。もうちょっと落ち着いて食えよ...あー、ほら見ろスープが!」

 

 そう褒めている輝夜に対して、リューは頷きながら一心不乱に頬張るとライラが零れそうになるスープを避難させる。

 楽しい歓迎会が過ぎている中、唐突にサーナイトが何かに気付いてベルの肩をちょんちょんと突ついた。

 どうしたのかと思ったベルはサーナイトを見ると、窓を指しているのに気付いてその方を向く。

 

 「...あ、あの、アストレア様?窓に誰かへばり付いてるんですが...」

 「え?...あっ。あらあら...ちょっと待っててね」

  

 そう言って苦笑いを浮かべたまま立ち上がるアストレアは出入口へと向かう。

 と、同時に窓にへばり付いていた人物も即座にどこかへ行ってしまった。

 一体何だったんだろうとベルは思っていたが、少ししてからアストレアが先程の人物を連れて戻ってきた。

 そして、ベルは気付く。その人物は神威を放っていると...

 

 「アストレア様。その人は...神様ですか?」

 「ええ。この子はベル・クラネル。遠い地方から来たのよ」

 「へぇ、そうなのかい。初めまして、ボクはヘスティアっていうんだ!」

 

 そう元気よく自己紹介をしたヘスティアだが、その直後にグルルルル~と腹の虫が鳴ってしまう。

 ベルはあの時、窓にへばり付いていた理由を察してアストレアと同じ気持ちになって苦笑いを浮かべた。

 歓迎会はまだ続いているからとアストレアが誘うと、ヘスティアは喜んで席に座るのだった。

 皿を手にヘスティアはとりあえず目の前にある料理を取って、口の中へと頬張る。余程美味しかったようで、涙を浮かべていた。

 アリーゼ達はいつの間にか来ていたヘスティアに驚く様子もなく、至って普通に自分が気に入った料理を勧めた。

 

 恐らく食べ足りなくなると予想されて作っておいた料理も全て無くなり歓迎会は終わりを迎える。

 途中から参加したヘスティアを含めて全員満足し、春姫にお礼を言った。特にヘスティアはあれもどれも美味しかったと熱弁していた。

 

 少し休憩をしてから片付けを始めようとした時、皿洗いだけでもと思っていたヘスティアだったが、ベル達とリューの4人と一緒にアストレアに呼び止められてその場に残った。

 

 

 「リューは知っているけれど、ヘスティアはまだファミリアを立ち上げていなくて眷族が居ないの。

  だから、貴方達でよければ...ヘスティアの眷族になってみるのはどうかしら?」

 「え?ヘスティア様のですか...?」

 

 唐突な提案にベル達はもちろん、ヘスティアも首を横にブルブル振ってアストレアを止めようとする。

 

 「そ、そんなべ、ベル君達に悪いよ。今の時点で貧乏だから3人となると生活が厳しい気も...」

 「でも、いつまで経ってもそのままという訳にはいかないでしょう?

  少なくても手助けはしてあげるから...ね?」

 「う、うーん...」

 「...なるほど、私もここに居る理由はそういう事でしたか」

 

 そうアストレアに説得され、ヘスティアはベル達の方を見てかなり悩んでいると、先にリューが口を開いて答えた。

 何かを理解したようで、アストレアと向き合う。

 

 「確かに皆さんをヘスティア様に預けて心配な気持ちはありますが...

  私はアストレア・ファミリアの一員としてオラリオを守るために正義を掲げたいのです。

  ですから、改宗はしません。但し、もしベル達がヘスティア様の眷族となるのであれば、手助けはもちろんさせてください」

 「...ありがとう、リュー。その信念は尊重しなければね。

  ベル、ルノア、春姫。リューの言った事を踏まえて考えてもらえないかしら?」

 

 ベル達は顔を見合わせて、すぐに頷き合うと...ベルが立ち上りって意気揚々に答えた。

 

 「はい。僕達は...ヘスティア様の眷族になります。

  リューお姉ちゃんの手助けがあってもなくても...答えは変わらないですから」

 「ほ、本当にいいのかい...?僕なんかの眷族になって...」

 「そもそも知らない神様を最初から拒否するなんて事も馬鹿らしいじゃないの」

 「はい。これから支え合っていく仲として、よろしくお願いいたします」

 

 それぞれの意思を聞いてヘスティアは大粒の涙を流し、ベル達は優しくヘスティアを囲んだ。

 アストレアはその様子を嬉しそうに見つめ、リューも穏やかな笑みを浮かべていたのだった。

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