ダンポケ   作:れいが

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第四章
34話 魔法と発展アビリティ


 ヘスティア・ファミリアの本拠である廃教会にて...帰還してきた眷属達からの報告を聞いた主神の叫び声が響き渡った。

 

 「フレイヤの眷属がベル君を助けに行くのを妨害したって言うのかい!?」

 「そっ。春姫とリリルカもその場に居たんだから...ね?」

 「は、はい...まさか【猛者】が現れるとは思ってもみませんでしたし、何より...あんなオーバーキルは見た事がありませんよ」

 「や、やはり埋めてしまったのは...」

 

 言い淀む春姫にヘスティアは何をしたのか問いかけたかったが、それよりもリリルカが言った言葉に引っ掛かった。

 つまり、他ファミリアの眷属と喧嘩をした挙句にボコボコにしてしまったという事だろうと。

 

 喧嘩の理由は聞いた通りならば、向こうに非があるのは明白なのだが...リリルカ曰く、先に手を出してしまったのはルノアなので近日中に行われる神会でフレイヤがその事を前提として、何かしらの請求をしてくるかもしれないと。

 

 「ヘスティア様、絶対に折れちゃダメだからね?誰がどう言おうとあの猪野郎が突っかかって来たのが先なんだから」

 「そ、それはそうだけど...」

 「何が目的だったのか知ったこっちゃないけど、また何かしら邪魔して来たら今度こそどてっ腹に風穴開けてやるわよ」

 「ひぇ...」

 「ル、ルノアさん、どうかお鎮まりください...」

 

 ルノアがメキメキと拳を鳴らしながら怒りを露わにすると春姫は焦りながら宥める。リリルカはその迫力にガタガタと震えていた。

 

 ヘスティアも彼女の気迫に押されながらも冷静に考えた。恐らく、フレイヤも自身の眷属が痛い目に遭ったのなら許す事は無いだろう。

 それが火種となって最悪の場合、大規模な戦争遊戯へと繋がってしまう恐れすらある。それだけは避けたいとヘスティアは思っているが...

 

 実際問題、フレイヤの眷属がベルの危機を知っておきながら妨害してきたのは事実である。

 ルノアの言い分はヘスティアとしてもご尤もな意見だと思っていたので、膝の上で握り拳を作ってルノアと顔を合わせる。

 

 「わかったよ、ルノア君。神会でその事を問い詰めて、二度とそんな事をさせないようボクからペナルティを申し出るから」

 「し、しかし、ヘスティア様。やはり分が悪いと思いますが...」

 「それでも、ボクの眷属が危険な目に遭っていたのに...そんな事を許せる程、寛大ではないよ」

 「...そうですか。まぁ、リリが他ファミリアの主神様に口出しするのも場違いですからね」

 「そんな事ないさ!君がボクらの心配をして、そう言ってくれてるんだろう?」

 

 ヘスティアの核心を突く言葉にリリルカはハッとして、少しだけ頬を赤らめながら顔を背けるのだった。

 そんな彼女に春姫はニコニコと微笑んでいた。恥ずかしがってるのを可愛らしいと思ったからである。

 

 ふと、足音が聞こえてきて、ベルだとわかるとルノアは長椅子から立ち上がってレックウザの様子を訪ねた。

 

 「どう?レックウザの様子は」

 「うん。傷は完治してるけど...ちょっと僕に対して警戒してる感じかな」

 「はぁ~...やっぱ殴っときゃよかったわね、あの時。そうすればあの金髪碧眼のためにもなったかも」

 「ダメだってば...暴力で解決する事に意味なんてないんだから」

 

 ベルは黒いレックウザが入っているモンスターボールを撫でてあげながらそう答えた。

 斬りかかったアイズが良くないのはもちろんの事だが、仕返しをするのも間違っているからだと思っているからだ。

 彼女が反省して黒いレックウザに謝罪すれば、アルセウスの裁きも軽くなる...事はまずないだろうが、少なくとも命を以て償わせるとまではいかないはずだ。

 

 そう考えていると、今度はヘスティアが近寄って来て3人のステイタスの更新をしようと提案してきた。

 

 「そのレックウザ君との戦いでかなり熟練度が上がっていると思うからね。

  近々、神会もあるからついでに最終的なステイタスを確認させてもらおうよ」

 「確かにあの猪野郎との戦り合いは意味ないけど、伝ポケとバトルしたんだから相当な経験値は得たしたでしょ」

 「特にベル君はゲットまで成し遂げたのですから...とても期待が持てますね」

 「じゃあ、お願いします!ヘスティア様!」

 「ああっ!じゃあ、下に降りて用意が出来たら始めるとしようじゃないか」

 

 地下の部屋に降りたヘスティアと3人。最初にルノアからステイタスの更新を始める事にした。

 乱雑に脱いだ服をベルに投げ、ベッドに寝そべると背中に乗ったヘスティアが神血を垂らす。

 白い光と共に神聖文字が浮かび上がり、今現在の蓄積されている努力値を確認すると...

 

 「...ト、トータル1518オーバー!?」

 「何ですかそれぇ!?そんなの普通じゃあり得ませんよ!?」

 「おー、流石レックウザ。ドサイドンとかニドキングと喧嘩するより全然上がるわね」

 

 村では度々ポケモン同士が縄張り争いをしており、他のポケモン達に迷惑がかからないよう拳で話し合ったりした事がある。

 それによって熟練度は蓄積され、ルノアがヘスティアの眷属となった時点でレベル10となっていたと思われるのだ。

 

 「基本アビリティがオールSSSSSって...というか、ステイタスを公表したばかりなのにエイナ君が卒倒しないかもしれないよ...」

 「そ、それは大変ご迷惑をお掛けしてしまいますが...事実を隠してしまうのはよろしくないでしょうから」

 「んー、それもそっか...じゃあ、彼女には申し訳ないけど気をしっかり持って書類仕事を頑張ってもらおう!」

 

 ほとんど投げやりにエイナの仕事を増やすような発言をしつつ、ルノアをランクアップさせるヘスティア。

 だが、予想外の事態が起きる。なんと消えずに残った熟練度が加算されて再びランクアップが可能となり...結果的にレベル13となった。

 ヘスティアが神会でどう説明すべきか頭を抱えている中、それにはリリルカも思考が吹っ飛びそうな程、頭が真っ白になりになっている。

 

 ちなみに発展アビリティや魔法の追加はされていなかった。尤も本人曰く別にあっても無くても意味ないから要らないとの事。

 他の冒険者が聞けば絶句するといった様子になるような発言を平然と述べたルノアに、ヘスティアは考えるのをほぼ諦めて頷くしかなかった。

 

 次に春姫に刻まれたステイタスの更新を行った。彼女もまたトータル1250オーバーのアビリティがオールSSSSであった。

 2段階のランクアップとなるためレベル8...それはオッタルを超えた事になる。

 

 「あれ?春姫君は案外...いや、普通でもないけどデタラメに上がったって感じではないね」

 「その...飽くまで皆さんのサポートや援護に徹していましたから、そのレベルに留まったのではないかと」

 「あー...直接的に戦った訳ではないからって事だね?なるほど。それじゃあ、いよいよ...ベル君。春姫君が着直したら君の番だよ」

 「うん!」

 

 春姫が着物を着直してベッドが降りると、服を脱ぎながらベルはうつ伏せに寝そべった。

 もしかしたらダフネを超えるかもしれないと内心ワクワクしているのだ。

 

 

 一方でとんでもない熟練度が叩き出されても驚き過ぎないよう、ヘスティアは一度深呼吸をする。

 そして、意を決して指から神血を垂らすとステイタスの更新をした。

 

 カチカチとあり得ない程の速度で神聖文字の数字が上がっていき...やがてカチリと止まってベルの基本アビリティを恐る恐る確認する。

 リリルカも緊張した面持ちで固唾を呑み込むと、ヘスティアは枯れたような声を絞り出しつつ言った。

 

 「...熟練度、3000オーバーだって...!?しかも発展アビリティと魔法が同時に追加と発現してる!?」

 「えっ!?僕、魔法が使えるようになるの?」

 「ああ...しかも魔法は2つ、発展アビリティに関しては僕も初めて見るレアアビリティが5つも追加されているよ!」

 「...うごごごご...」

 「だ、大丈夫ですか、リリルカさん...!?」

 

 気が遠くなって額に手を当てながら倒れそうになるリリルカを春姫は抱き止めて、ソファに移すと膝枕をして寝かせてあげた。

 その間にベルは再び心を躍らせて、同じく気が遠退きそうになっているヘスティアに問いかける。

 

 「ヘスティア様。それなら、ルノアお姉ちゃんと同じぐらいになるのかな?」

 「...と、とりあえず、ランクアップしてみようか...」

 

 ルノアのステイタスを更新する時点で、エイナに相談すべきかどうかという考えはヘスティアの頭の中から外れてしまっていたのだ。

 現在の時点でレベル5なので...その熟練度による基本アビリティはオールSSSSSSS。

 レベル10と先程までのルノアと同じランクアップを成し遂げのだ。

 

 「...うん。さっきまでのルノア君と同じレベル10にランクアップしてるよ」

 「やったぁー!ダフネちゃんのレベルを超えたんだ!」

 「まぁ、アイツの事だからレベルとか気にしてなさそうだけどね。それで、どんな魔法とレアアビリティなの?」

 

 ルノアが質問すると、ヘスティアは急いで羊皮紙にベルのステイタスを書き込んだ。

 それをベッドの上に置いて、リリルカの看護をしている春姫を除いてベルとルノアに見せる。

 

 「まずは発展アビリティから。最初にシンクロ、スナイパー、じゅうなん、もうか、せいしんりょくの5つだ」

 「え?それって...どれもサーナイト達のとくせいやかくれとくせいだよね?」

 「とくせい?それって一体...?」

 「ポケモンがそれぞれ持つ特殊能力のようなものです。

  例えば、シンクロでしたら相手から受けたわざでどく、まひ、やけど状態にされた際、相手もそれと同じ状態異常にさせる事ができます」

 「通常は1つか2つだけど、稀にかくれとくせいっていう特別な条件で3つ目を持ってる場合があるんだよ」

 「ポ、ポケモンにそんな能力があるなんて...」

 

 神でさえ知り得ないポケモンのとくせいを持つ事になったベルに、ヘスティアはますます嫌な予感を覚えた。

 レベルの事は基よりレアアビリティの説明まで神会でしなくてはならなくなったからだ。

 

 面白そうな事があれば、とにかくイジらないと気が済まない神々がいる。そんな神にその事を教えてしまえば...まず間違いなく面倒な事になる。

 どう対策を練るべきかとヘスティアが考えていると、ベルが魔法についても教えてほしいと言ってきたので一度思考を中断させた。

 ステイタスの下に書かれている魔法。そこには魔法名と詠唱文が表示されている。はずだった。

 

 「ん?魔法って確か、詠唱しないと使えないんでしょ?何でどっちも書かれてないの?」

 「そう。本来なら必要なんだけど...多分、ベル君の魔法にはそれが必要ないのかもしない。つまり、どちらも速攻魔法という事だよ」

 「じゃあ、この【福音】って」

 「わぁぁああああああああああ~~っ!?ここで魔法名を言っちゃダメぇ...って、あ、あれ?何も起きてない...?」

 

 慌てふためくヘスティアだが、ベルが発した魔法名による攻撃や効果で部屋が吹き飛ばなかった事に驚きつつも安堵してヘナヘナと脱力する。

 迂闊にも魔法を発動させてしまうところだったベルの頭にルノアはゲンコツをゴチン!と叩き込んだ。

 レベル10とはいえ3段階上の拳は いわ、若しくは はがね タイプ並みに硬く、叩かれた箇所から大きなたん瘤が膨れ上がる。

 

 「ったく、もう...ポケバトでも教えたでしょ?冷静に判断して指示をするようにって」

 「ご、ごめんなさい...」

 「ま、まぁまぁ、ルノアさん。それくらいにして差し上げて...ヘスティア様、もう1つの魔法はどういったものなのですか?」

 「あぁ、えっと...【ポケモン・フレンダ】という魔法名なんだけど、これはもしかして...」

 

 何となく予想がついているヘスティアにベルは首を傾げる。ルノアと春姫も最初は同じように頭の中に?のアンノーンが浮かんでいたが、すぐに!のアンノーンの とっしん によって?は弾き飛ばされた。 

 

 「恐らくはポケモンを呼び出せる魔法なんじゃないかな...使ってみるまではボクもわからないよ?」

 「じゃあ、今使ってみなよ。た・だ・し!間違ってもホエルオーとかイワークとか呼び出さないようにね?」

 「な、なるべく、中くらい又はか小さいポケモンでお願いしますね」

 「わ、わかってるよ。えっと...魔法名を言うだけでいいのかな?」

 

 ヘスティアに確認を取り、ベルはベッドから立ち上がる。右手を前に翳し、呼び出すポケモンをイメージしながら魔法名を発した。

 

 「【ポケモン・フレンダ】!」

 

 すると、目の前の床にモンスターボールを模した紋章が出現。2、3回程激しく光を放つとキラキラと粒子が弾け飛んで部屋中に舞い散った。

 紋章の中央に影が現れ、次第に輪郭がハッキリとしてくると光は収まっていき、その紋章は閉じるように消える。

 

 目の前に現れたポケモンにヘスティアと少し気持ちが回復したリリルカは感嘆の声を漏らした。




アンケートのポケモンは自分の趣味(癖)です。

呼び寄せたポケモンは?

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