ダンポケ   作:れいが

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40話 輝夜 対 カモネギ

 「久しぶりだね、リューちゃん!」

 「ラティアスさん。お元気そうで何よりです」

 

 神会が行われてから翌日。

 ラティオスと一緒に星屑の庭へ訪れたベルは【ポケモン・フレンダ】をアリーゼ達に披露しようと訪れていた。

 どのような魔法なのかを聞いたアリーゼは二つ返事で早く見せてほしいとねだって、ベルは快く承諾すると中庭へ移動する。

 

 中央へ立つと、昨日と同様に右手を前に翳しながら呼び出すポケモンをイメージしながら魔法名を発した。

 魔法の発動によって、その場に複数体のポケモン達が召喚される。

 

 最初は見知らぬ場所に居る事にポケモン達は驚いていたが、ベルやルノア達を見つけて久しぶりの再会に喜んだ。

 

 「ハナ~」

 「フラ~」

 「キレイハナとフラエッテって言うのね。この子達とすごく仲良くなれだわ!」

 「なるほど。どちらもアリーゼの二つ名繋がりという訳ですか」

 

 「カモ」

 「輝夜、こちらの方々が以前よりお話していたカモネギ師匠とカミツルギ師匠です」

 「ムノタクシロヨ。ナルイテッナニワセガーリュ」

 「...あぁ、そうでしたか...名前通りなのと想像の斜め上をいっているのに些か困惑してしまいました」

 

 「ケヒー」

 「マニュ」

 「なんだよこいつら、人相悪いな...っておい!?何ペロペロ舐めてきてんだこの猫は!?」

 「そのマニューラはおっとりな性格なので人懐っこいんです。グレッグルもライラとは気が合いそうなので仲良くしたいようですね」

 

 和気藹々とした雰囲気で、アリーゼ達がポケモン達と戯れている光景を見つめてアストレアは微笑む。

 モンスターは冒険者に危害を加える危険な存在という常識がオラリオのみならず、この世界には根付いている。

 

 しかし、そんな常識を覆すポケモンという存在が自神の眷族と仲睦まじい様子に嬉しく感じていたのだ。

 

 そんな時、ふと...近寄ってきた萌黄色のポケモンが会釈をしてきた。そうげんポケモン ビリジオンだ。

 

 「初めまして、ビリジオンと言います。この度は息子...ケルディオがリューのパートナーに加わったため、挨拶に伺いました」

 「あら、それはご丁寧にありがとう。私はアストレアよ」

 

 アストレアはビリジオンの丁寧な挨拶に対して、同じように会釈を返した。

 ケルディオがリューとパートナーを組んだ事については事前に知らされていたようで、これから仲良くしてほしいとビリジオンは伝える。

 

 人間で言えば、母親として息子がお世話になる一団に対する社交辞令のようなものだ。

 

 それに対してアストレアは快く承諾した。その返答にビリジオンはホッとしつつ微笑むとリューと楽し気に遊ぶケルディオを一瞥する。

 

 「ケルディオはまだ未熟な面もありますが、必ずリューと一緒に乗り越えていけると信じています」

 「そうね。リューだけでなく、あの子達の成長に繋がると私も思っているわ」

 

 アストレアはビリジオンにそう返事すると、再びポケモン達と戯れるベル達の様子を微笑ましく見守るのであった。

 

 「決めた!私、この子達のパートナーになるわ!」

 「でも、そのためにはモンスターボールでゲットする必要があるんだ。どんなに仲が良くてもパートナーとしての証は必要だからね」

 「それによ、こいつらの存在はまだ明るみにしちゃならねんだからって頭に乗っかるな!」

 

 

 その後、輝夜とカモネギの模擬戦が行われる事になった。

 以前に機会があれば剣を交えてみたいという希望をリューは覚えていたのだ。

 

 カモネギに了承を取り、中庭の中央辺りで輝夜は対峙する。

 

 「準備はよろしいですか?お2人とも」

 「カモ」

 「ええ。いつでも始められます」

 「では...始め!」

 

 リューの合図で輝夜とカモネギは、お互いが持つ彼岸花とネギを構えた。

 ベルはアリーゼ達と離れた場所から観戦しており、勝負の行く末を見守る。

 

 先に動いたのは輝夜だった。目にも止まらぬ居合抜きでカモネギの胴体を狙う。

 もちろん斬るつもりはなく...峰打ちを叩き込もうとしており、その一撃で終わらせようとしていた。

 

 「カモ」

 「...なっ!?」

 

 ところが、その一撃はカモネギに軽くいなされてしまった。普段から涼しい目をしている彼女の瞳が大きく見開かれる。

 咄嗟に後退すると即座に構え直し、次の一手を繰り出す。並みの冒険者であれば瞬殺であろう輝夜の剣戟だ。

 

 だが、それさも難なく躱され...それどころか、カモネギはネギの先端を輝夜に向けている。

 

 「カモ」

 「...いいだろう。これほど血が騒ぐのは初めてだ...!」

 

 まるでいつでも斬れると挑発されているように感じ取った彼女は、その挑発に敢えて乗った。

 素早く横一文字、縦斬りと輝夜が次々に繰り出す斬撃を、カモネギは全て みきり 、それを受け止める。

 

 力押しでなら、と鍔迫り合いになるも輝夜との体重差を とっしん でカバーするカモネギ。

 その衝撃に耐えきれず、後退する輝夜はカモネギが接近してくるのを防ぐために彼岸花を薙る。

 

 カモネギはネギを咥えて翼を羽ばたかせると かぜおこし 繰り出す。

 

 「カモッ!」

 「ッ!デヤァアッ!」

 

 威力は低いながらも体が浮き上がりかねないと察した輝夜は、思い切り彼岸花を振るい下ろして かぜおこし を切り伏せた。

 カモネギはやるな、と輝夜の剣技に感心した様子で咥えていたネギを再度、翼に持ち直す。

 

 「...嘗めてかかっていた訳ではないが...認めるしかあるまい」

 

 輝夜もリューを師事したカモネギの剣技に感服し、彼女もまた敬意を表して剣を構え直した。

 

 これで決着がつくといった雰囲気が2人の間に漂う。アリーゼとライラ、いつの間にか集まっていたネーゼ達も固唾を飲んだ。

 

 そして...両者同時に動き、接近したその刹那。

 輝夜の一太刀はカモネギの頭頂部に生えている冠羽を掠め、カモネギの みねうち が輝夜の首元を捉える。

 

 通り過ぎてお互いに背を向けたまま風が吹き、やがて輝夜が片膝をついた。

 

 「そこまで!勝者、カモネギ師匠です」

 「...御見それしました。お見事でございますなぁ...リューが師匠と仰ぐのも頷ける」

 「カーモ」

 

 すくっと足元が覚束ない様子もなく立ち上がって、輝夜は一礼をする。カモネギも輝夜を称賛しているようで一鳴きしてから頭を下げた。

 その直後、拍手喝采が起きた。横を見ればアリーゼ達が輝夜とカモネギを称えて手を叩いている。

 アストレアも勝負を見届けて、勝敗は及ばずとも彼女がまた成長する糧を見出したのに微笑んでいた。

 

 「初めての手合わせでカモネギ師匠の剣技に追いつけるとは...流石ですね、輝夜」

 「それはどうも...リューがボコボコにされていたという実力をよぉく理解しました。なので...」

 

 徐に輝夜は作法に則った動きで両膝をついて正座となる。

 鞘に納めた彼岸花を体の横側へ置くと...両手で三角形を作るように前について、深々と頭を下げ土下座をした。

 

 「カモネギ師匠。不肖ながら...どうかこのゴジョウノ・輝夜めを弟子にしてくださいませ」

 

 誰もが予想してもいなかった輝夜の姿に、拍手を送っていたアリーゼ達は驚きのあまり言葉を失った。

 あの輝夜が誰かに(ポケモンだが)頭を下げて懇願してる。それにはアストレアまで口を片手で隠している程だ。

 

 カモネギは土下座をしてまで頼み込む本気具合に、輝夜の誠意を見出した。ベルやリューも同じように頭を下げてきた光景がカモネギの脳裏に過る。

 そして、この輝夜も自分の技を伝授するに相応しいと...カモネギは輝夜の前に歩み寄った。

 

 その気配に気付きつつも頭を下げたまま輝夜は返答を待つ。

 やがて、ポスンと翼で頭を撫でられ...リューが顔を上げるように代弁した。

 

 「カモッ」

 「...輝夜、弟子入りを認めてくださるそうです。おめでとうございます!」

 「...ありがとうございます」






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