ダンポケ   作:れいが

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41話 合同遠征の準備

 「ティアー」

 「うおぉお!?...マ、マジでポケモンだったのかよ、ラティアス...」

 「と、とても驚きました...貴女が噂になっているポケモンという存在だったなんて...」

 「わわわわ...」

 「落ち着け、千草。ラティアスには今まで助けられたんだ、怖がる事は必要はないだろう?」

 

 ヘスティア・ファミリアの本拠である教会内で、ラティアスは光の屈折を止めてヴェルフと命達に本当の姿を見せていた。

 事の発端は、これまで一緒に冒険をしてきた彼らになら見せても大丈夫とラティアスが提案したからだ。

 

 桜花が述べたように春姫との再会を果たしたタケミカヅチ・ファミリアとは、幾度か合同でダンジョンに探索をするようになっていた。

 

 ベル達やヴェルフはもちろんの事、ラティアスの力も借りて今まで中層の一歩手前までしか進めなかった彼女らは漸く中層にまで辿り着けるようになったのだ。

 当初、実力差に絶句していたタケミカヅチ・ファミリアの面々だが、既に慣れていたヴェルフから気にするだけ馬鹿らしいから、自分なりのやり方でいくしかない、と叱咤された事で吹っ切れて以降はベル達に頼りつつも折れる事なくダンジョン探索を続けた。

 

 その甲斐もあってか、ヴェルフと命達は18階層にまで降りる許可が出たそうだ。

 そこでベルが合同で遠征をしようと提案を持ち掛けた。当然ながらヴェルフと命達は二つ返事で賛同している。

 

 それに際してラティアスは万が一、彼らに正体がバレた時に動揺や混乱が起きないよう、ヴェル

フや命達には本当の姿を見せる事を決めたという要因もある。

 

 そして、今に至る。最初こそ、自身がポケモンだと言ってきたラティアスにヴェルフは何言ってんだ?と命達も困惑していたが、いざ本当の姿を見て驚愕していた。

 しかし、事実である事を受け止めた以上は次第に落ち着きを取り戻して改めて彼女の姿をマジマジと見つめる。それに対して照れ臭そうにラティアスは頬を染めて苦笑いを浮かべた。

 

 尚、ポケモンの存在が噂になっているのは何故かというと...数日前まで遡る。

 

 神会でポケモンの存在を知ったのは当然、神だけである。その神が面白半分でオラリオ中に広めたのか、というとそうではない。

 降臨したアルセウスの圧倒的な神威の強大さを、身を以って知った神々も流石に強制送還はされたくないと自重して自神の眷族にすら話していないのが殆どだ。

 

 しかし、それに反して面白がる神が居ないというのがおかしな話である。

 アルセウスに強制送還されない度胸試しで、複数柱の神がわざとあちこちにポケモンの存在を言い触らしたのだ。

 本来なら馬鹿げていると、誰も聞く耳を持たず信じないだろう。だが、それは人間同士での常識だ。

 超越存在である神の口から出た言葉であれば、下界に生きる人間達はそれを信じてしまう。

 

 その結果、オラリオにおいてポケモンという存在は認知され始めたのだった。しかし、まだ半信半疑といった所だろう。

 ちなみに言い触らした神々は謎の極致天災に見舞われて強制送還されている。

 

 「ラティアスは皆とこれからも仲良くしたいと思って正体を明かそうって決めたんだよ。

  ポケモンとモンスターの区別を付けるのは難しいかもしれないけど...それでも、皆と仲良くなりたいって気持ちは本当だよ」

 「ティアッ!」

 「だから」

 

 そう言った途中でヴェルフが掌を突き出してきたので、ベルは口を閉ざした。

 

 「わかってるって皆まで言わなくてもよ。今までに世話になってきたんだ、ラティアスを怖がる理由はどこにもねぇよ」

 「はい。これまでに助けていただいてきた恩人...と言うべきなのですから、ラティアスさんでよろしければ今後ともよろしくお願いします」

  

 桜花と千草も同様にラティアスとの関係を断つつもりはない、と彼女を受け入れてくれた。

 その事にラティアスだけでなくベルも嬉しくなり、抱き締め合って笑顔を浮かべる。そんな様子にヴェルフも命達も自然と笑みが零れたのだった。

 

 暫くしてルノア、春姫が戻ってきてリリルカ、そしてリューの姿もあった。

 ラティアスの正体を明かす件は把握しており、上手くいった様子を聞かずともわかったようで合同遠征についての話し合いをする事になった。

 

 リューが来ているのは一緒に向かうためという訳ではなく、ベル達よりも経験豊富な冒険者としてのアドバイスをするためだ。

 

 そのおかげもあって、必要以上にならないよう荷物の分担や負傷者をカバーしながら前進若しくは後退する方法などをリューから助言してもらい、とんとん拍子に話し合いは円滑に進んだ。

 流石は第一級冒険者だ、とヴェルフ達は舌を巻き、彼女をよく知るベル達はそれ以上にリューの成長ぶりに驚いていた。

 

 そうして話し合いは終わり、諸々の準備は後日改めて行うと決まった所で解散となった。

 

 「あ、リリちゃんちょっといい?」

 「え?あ、はい。ヴェルフ様、申し訳ございませんがお先にお帰りください」

 「おう、そうか。じゃあ、またな」

 

 どうかしたのかと思いつつ、リリルカはラティアスと向かい合う。

 

 すると、ラティアスは手に持っていた葉っぱの包みを差し出してきた。それを首を傾げて受け取る。

 問いかける前に開けてみてと促され、リリルカは茎の紐を解くと...中身を包んでいた葉っぱがハラリと開かれた。

 

 「これは...」

 「うん。リリちゃんにプレゼントするね」

 「...あの、リリはまだ決心がついていなくて」

 「もちろんわかってるよ。いつでも待ってるから、その時になったら使ってほしいな」

 

 ラティアスから受け取ったプレゼントを見つめて、リリルカは丁寧に包み直すと大事そうにフードのポケットへ仕舞った。

 

 「わかりました。肌身離さず、大切に持っています」

 「ありがとう!」

 

 喜ぶラティアスはユラユラと空中で揺れて、リリルカもそんな彼女につられて微笑みを返した。

 ベル達に見送られてリリルカはポケットの中のモンスターボールにそっと触れて、何かを決意した表情で本拠への帰路に着くのだった。 

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