ダンポケ   作:れいが

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42話 リリルカの相談事

 西と南西のメインストリートに挟まれた第六区画。そこに聳え立つのはアポロン・ファミリアの本拠だ。

 その出入り口となる正門から、欠伸をしながら出てきた同族の少年にリリルカは話しかけていた。

 

 「あの、すみません」

 「ふあ?...なんか用か?」

 

 少年は開けていた閉じると、すぐにリリルカと向き合う。同族嫌悪していないその対応に安堵しつつ、問いかけた。

 

 「ダフネ・ラウロス様にお会いしたいのですが、本拠にいらっしゃいますか?」

 「あー自室に居るはずだ。呼んで来るから待っててくれ」

 「あ、お、お願いします...」 

 

 出てきた門に再度入って小人族の少年は本拠へ戻って行った。わざわざ呼びに行ってもらえるとは思ってもみなかったので、リリルカは戸惑いながらも待つ事に。

 しかし、数分後も経たない内にダフネが背後から現れて思わず尻もちをつく。

 ダフネは心配して手を差し伸べ、大丈夫だと返事をしながら手を取って立ち上がるリリルカ。

 

 「君、リリルカだよね。ベル達のサポーターをしてくれてる」

 「はい。一度しかお会いした事がないのですが、覚えてくださっていて幸いです」 

 「そりゃ、ベルがお世話になってるんだから覚えてないと失礼でしょ」

 

 その言葉でベル達が何故あんなにもダフネを慕っているのか、リリルカはその理由を改めてわかった気がした。

 冒険者以前に人としての器が、彼女は大きいのだ。ベルは勿論の事、リューからも信頼されているのも頷ける。

 リリルカは早速、ダフネにラティアスから貰ったプレゼントを見せた。ダフネは特に顔色を変えずにリリルカの肩に手を乗せる。

 

 その瞬間、周囲の景色が一変してどこかの森の中へと変わっていた。

 以前にも似たような体験をしたリリルカだが、突然の事に困惑して周囲を見渡している。

 

 「心配しないで。ウチの魔法...というか わざ で移動しただけだから」

 「わ、わざというのは...ひょっとしてポケモンがくりだす わざ の事ですか?」 

 「そう、どういう訳か使えるんだよね。まぁ有効活用してるけど...それで?ウチに会いに来たのは?」

 「あ、えっとですね...実は、このモンスターボールは昨日、ラティアスさんからいただいた物で...」

 

 ダフネはリリルカがラティアスのパートナーになるには自身の非力さや経験不足では不安だという、相談を静かに聞き入っていた。

 生まれ育った場所が違う時点でポケモンの事を理解するには時間もかかれば、実戦経験も追いつくのにもままならないはず。 

 それらの不安要素を聞き終えたダフネは腕を組んで考える素振りを見せた途端に消えた。リリルカからは全身が上下にブレたように見えていた。

 

 先程のようにまたすぐに戻って来るだろうと思っていたリリルカだったが、数分経ってもダフネが戻って来る気配がない。

 

 「...ダフネ様、まだでしょうか...」

 

 しばらく1人で居ると...茂みからガサガサと葉っぱが擦れ合あう音がして、ビクリとそちらへ顔を向ける。

 まさかモンスターかと緊張が走るリリルカ。地上のモンスターはダンジョンの個体より弱いとはいえ、油断すれば命はない。

 

 せめてもの抵抗はしようと足元に転がっていた きのえだ を拾い上げてビクビクと怯えながら構えた。

 そして、茂みを掻き分けて勢いよく現れたのは...

 

 「「ピチュー!」」

 「「ピチュ~!」」

 「うわぁああ~~~!?...へ?」

 「「「「ピチュ?」」」」

 

 4匹の こねずみポケモン ピチューだった。思わず叫んだリリルカだったが、拍子抜けしてそのまま固まってしまう。

 てっきりモンスターかと思っていただけに緊張が解けて、その場にヘナヘナと座り込んだ。

 やはり自分にはラティアスのパートナーは務まりそうにないのでは?と自らに問い続ける。

 

 ふと、ピチュー達が近寄ってきて、心配そうな表情で見つめているのに気付く。

 

 「ピチュー?」

 「あぁ、えっと大丈夫ですよ。ちょっとビックリしてしまって...皆さんは遊んでいただけなのですよね」

 「ピチュ!ピチュピチュ!」

 「ピチュー!」

 「あ、あはは。そうなんですね...」

 

 言葉は通じないが、楽し気に話しかけるピチュー達にリリルカは自然と笑顔になる。

 4匹は同じ種類のポケモンであるものの、外見にいくつかの違いがあるのをリリルカは不思議に思った。

 

 並びから一番左端のいたずらっ子でやんちゃそうなピチューは恐らく通常の個体であると思われ、その隣のしっかり者そうなピチューは頭部にくせっ毛が立っている。

 更に隣のピチューは一番端の個体と似ているが左耳がギザギザになっていて、最後に右端のピチューは体色がレモン色ではなく黄色いのだ。

 

 もしかすると4兄弟なのでは?と疑問に思っている最中、ピチューが近寄って頭をスリスリとリリルカに擦り付けてきた。

 

 「ピチュー!」

 「え?あ、撫でてほしいと...?わかり、ました」

 「ピチュ~」

 「...ふふふ、気持ちいいですか?」

 「ピチュー!」

 「ピチュピチュ!」 

 「ピチュ~」

 「あ、はい。あなた方も撫でてほしいのですね」

 

 くせっ毛のピチュー、ギザみみピチュー、黄色いピチューの順に撫でてあげるリリルカ。その愛らしさに思わず顔が綻ぶ。

 ピチュー達はリリルカの撫で方に心地良さを感じて、もっと撫でてほしいとせがんだ。

 その要求に応えるようにリリルカは丁寧に撫でてあげた。

 

 満足したピチュー達がじゃれ合うのを見守っていると、また茂みが揺れ動いた。

 今度こそモンスターではないかと慌ててピチュー達を両腕いっぱいに抱いてその場から立ち上がる。

 ピチュー達は困惑というよりも不思議そうに自分達を抱き締めるリリルカを見つめていた。

 

 やがて、茂みを掻き分けて勢いよく現れたのは...

 

 「ムチュー?」

 「ブビィ?」

 「ヒメ~?」

 「ウパー」

 「マリルリ?」

 「ソーナノ?」

 「うわぁああ~~~!?ってまたポケモンでしたか!」

 

 同じようなリアクションをして、リリルカはその場にへたり込むのだった。

 

 

 

 「あっはははは!それで、ウチが戻って来るもう懐かれちゃったんだ?」

 「そうみたいです...」

 

 ダフネが戻ってきた頃にはピチュー達に加え、友達のムチュール、ブビィ、ヒメグマ、ウパー、ソーナノに囲まれていた。

 お姉さんと思われるマリルリはそばに立って微笑んでいる。

 

 「ところで、お隣の方はダフネ様をお呼びしてくださった...」

 「オイラはルアン・エスペルだ。ダフネとは同郷じゃないがポケモンの事なら何でも知ってるぞ」

 「ルアンは所謂...ポケモン博士なの。生態はウチやベルより熟知してて、リリルカの てだすけ にはうってつけと思って連れてきたわけ」

 

 なるほど、と人選としては間違っていないと思いながらも...矛盾を覚えるリリルカ。

 同じ村の出身ではないのに何故、ポケモンの事を知っているのかというものだ。

 博士という称号は何年もかけてなるもので、第一印象としてはリリルカ自身と同い年にしか見えないと思った。

 

 それを察したダフネは、何故か笑うのを堪えながら答えた。

 

 「こう見えて、ぷふっ...中身は500歳のジジイだから、年の功ってやつだよ」 

 「ジジイとはなんだこら」

 「ご、500歳ぃい~~!?」




またルアン君がショタジジイポジションに
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