よろしければお答えお願い致します。
曰く、ルアン・エスペルは過去の世界よりやって来たそうだ。
ベル達の故郷である村の祖先がポケモンと共存し始めたばかりの遥か昔の時代から。
それを聞いたリリルカは信憑性が薄いと思いながらも、どうやって過去からやって来たのか尋ねる。
「セレビィっつー幻のポケモンの力を貸してもらってこの時代に来てるんだ。偶にポケモンの生態を比較するために過去へ戻ったりもしてるけどな」
「ときわたりポケモンって呼ばれてる通り、セレビィは今の時代より遥か未来から時を超える事が出来るのよ」
「そ、そんなとんでもないポケモンまでいるんですか...」
「まぁ、そもそも時間と空間って概念はディアルガとパルキアが」
「あーはいはいはい今はポケモン歴史学のお勉強はいいから。リリルカに要点だけ教えてあげてよ」
ダフネが強引に話を変えると、ルアンも若干不満そうにしていたが要望通り本題に入った。
リリルカの不安をどう解決してくれるのか、それさえ聞かせてもらえればラティアスのパートナーにはなれないと踏ん切りをつけて諦めてもらおうと思っていた。
だが、あっけらかんとルアンはそんな心配するだけ野暮だと笑い飛ばした。その反応にリリルカは困惑して、ダフネとルアンを交互に見つめる。
「非力だろうと経験不足だろうとポケモンのパートナーになる条件はたった1つ。一緒に成長していこうと信頼し合って絆を深めていくだけだ。
お前はそれだけ皆と仲良くなれてるんだ。それなら後は努力して強くなっていけばいいさ」
「で、ですが、何の知識も無いのにリリがラティアスさんに指示を出すなんて、到底...」
リリルカはスカートの裾をギュッと握り締めながら俯いてしまう。
そんな彼女の頭にポンッとダフネが手を乗せて、優しく撫でた。リリルカは顔を上げて彼女を見つめると、その優しくも強い意志を宿した瞳に思わずドキッとした。
「リリルカ。君が今より強くなるために必要なのは...ずっとずっとポケモンを好きでいる事だよ」
「え...?」
「嬉しい時はハイタッチして、失敗したって笑い合えばいいんだよ。
ポケモンとパートナーになるってそれぐらい単純に考えれば、ラティアスに指示を出すのだって怖くはなくなると思うわ」
リリルカはその言葉の真意を汲み取ろうと、頭の中で反芻しながら何度も考える。
そして、このモンスターボールをプレゼントしたのは、自身の事を信じて一緒に強くなろうとラティアスなりに背中を押してくれてるのでは?と思った。
すると、不思議と心が軽くなったような気がしたのだ。そうだとしたら、ラティアスの気持ちに応えなければならないとリリルカは強く握り締める。
その様子にダフネとルアンはもう大丈夫だろう、と思い顔を見合せて頷いた。
「それじゃ、早速ポケモンについての生態から指示の出し方まで頭に叩き込んでやろうか」
「え?い、今からですか?それは、構いませんけど...で、出来れば初心者向けの教え方でお願いしたいなと」
「心配すんなって。近所のガキンチョが居眠りしてたら耳引っ張るくらいで済ませてんだから」
「それはそれでリリは嫌なんですが!?」
「...で、肝心なのは相性だ。今のところ確認されているタイプは全部で18種。
ドラゴン、ゴースト、じめん、ひこう、どく、むし、みず、でんき、いわ、くさ、あく、こおり、ノーマル、ほのお、かくとう、はがね、エスパー、フェアリーだ。
オイラが研究を始めた当初は第一世代から第三世代までしかいなかったけど、今じゃ第九世代にも分かれてる。
最後に言ったフェアリーは3つ前の第6世代とはいえ、つい最近発見されたばっかりで現状最新タイプって感じだな。
ちなみに本来の順番は世代的にノーマル、ほのお、みず、でんき、くさ、こおり、かくとう、どく、じめん、ひこう、エスパー、むし、いわ、ゴースト、ドラゴン、あく、はがね、フェアリーになる。あくタイプとはがねタイプ以来だった訳だ」
ルアンの慣れた口調の説明にリリルカの頭は既に容量を超えて茹りそうになっていた。
ポケモンバトルの基礎基本から教えてもらうはずが...冒頭のタイプ相性講座は数時間にも及び、やっと終わったかと思えば わざ の種類についての説明が始まる。
「ぶつり、とくしゅ、へんか の3種類で重要なのはこうげき と とくこうのどっちかが高いかによるな。
こうげき 高ければ ぶつり、とくこう が高ければ とくしゅ って感じだ。へんか はバフとして両方に効果を上げたり出来るし、相手を状態異常にしたりも出来るぞ」
「...ぷきゅぅぅ」
「...ルアン。ちょっと休憩しない?」
「おいおいまだ教えないといけない項目の半分もいってないってのに...」
こうしてリリルカは遠征開始までの一週間、ルアンにポケモンの生態知識とバトルのいろはを徹底的に叩き込まれる日々が始まったのだった。
座学こそ苦労したが元々地頭が良かったのか飲み込みが早く、特にラティアスが併せ持つタイプのドラゴンとエスパーについてはとことん噛み付いた。
どのような わざ なのかは実際に近辺にいたポケモンを呼んで見せてもらいながら覚えていった。
「では、問題!たいあたり してくる時3本の尻尾で自分の体をピシピシと叩くのはだーれだ?」
「ケンタウロスさんです!」
「正解!次はシルエットクイズだ!だーれだ?」
「マルマインさん...の真似をしてひっくり返っているビリリダマさん!」
「...正解!」
バトル関連以外にポケモンクイズやポケモンの名前を覚える歌を覚えたりもした。
「よし、なんとかギリギリ覚えるべき基礎知識は覚えられたな。あーよかったぁ~...」
「ありがとうございます、ルアン様。リリがわからないところを噛み砕いて教えていただいたおかげです」
「へへっ。オイラを誰だと思ってんだよ?ポケモン博士なんだからこれぐらい朝飯前だっての」
リリルカはルアンに感謝し、その感謝を素直に受け取ったルアンは照れ臭そうに鼻を擦る。まんざらでもないのだろう。
確かに丁寧に教えた甲斐もあるが、リリルカ自身の理解力や勤勉さがあったおかげとも言えると。
その上で感謝の言葉を述べているのだから、本当にラティアスとは良いパートナーになれそうだと、ルアンは思ったのだった。
遠征まで残り2日。当日まで他になるべく覚えてもらう内容を教えてもらう事にして、オラリオに戻るとリリルカは本拠へ向かおうとした。
その際、ダフネが少し話があるというので付いて行くという事に。
人々が行き交う西のメインストリートを、ダフネと並んでリリルカは話の内容を予想しつつ話しかけた。
「それでダフネ様、お話というのは...?」
「まぁ、そう大したもんじゃないけど...パートナーはラティアスだけでいいのかな?」
「え?あぁ...最大6匹までをパートナーに出来るというのは知っていますが、そうですね...」
「ラティアスだけで戦力に事欠けるって事はないのは間違いないよ。でも、仲間がいた方が楽しいからさ。
その辺はもちろん、リリルカが譲れないって気持ちを尊重するわ」
ダフネの少し不器用な気遣いが伝わってきて、リリルカは素直に嬉しかった。
確かにパートナーはラティアスだけでも構わないが、仲間がいれば彼女も喜ぶかもしれないと思った。
しかし、もし他のパートナーと仲良くし過ぎてヤキモチを妬いてしまわないかという不安も過る。
うーんとあれこれ考えている間に、本拠である青の薬舗へ到着していた。
ハッとなったリリルカに対してダフネは遠征までに考えておいてくれたらいいから、と言い残して踵を返すと本拠へ戻って行く。
リリルカはお礼を言いながらお辞儀をしてダフネの背中が見えなくなるまで見送り、裏口から入って行った。
自室に入ると、ベッドに腰かけて改めてダフネの言葉を思い出す。
そして、リリルカが導き出した答えは...
「...そうですね」
ラティアス以外にもパートナーを?
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ラティアスのみとする