ダンポケ   作:れいが

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4話 ポケモンバトル! サーナイトVSカイリキー

 「...どうしてこうなってるの!?」

 「いやー、ごめん。うっかり話したらこうなっちゃって...」

 

 指定された空き地はバトルする分には充分な広さがあり、雑草がちらほらと生えているだけで障害物となりそうな物は何も無かった。

 ...少し離れた所に居座る観客の村人達は除いて。

 どうやらルノアがここに来る途中で近所のおばさんに話した事から、広まっていき興味を持ったがために集まったようだった。

 情報があっという間に広まる田舎の恐ろしい所だと思われる。

 村人達は期待に満ち溢れた瞳で2人を見ているが、それにベルは先程よりも緊張感が増してしまっていた。

 

 「ま、気楽にやろうよ。しっかりと基礎基本を教えてあげるから」

 「う、うん...よろしくね、ルノアお姉ちゃん」

 「任せなさいって!じゃあ、カイリキー。準備体操を済ませておこっか」

 「カーイリキー!」

 

 カイリキーはニカッと笑って、4本の腕を伸ばしてストレッチをしながら青い旗が立っている自分のコーナーに向かって行く。

 やる気十分である事に微笑みながらルノアは次にベルと春姫に指示を出した。

 

 カイリキーは白い歯をキランと輝かせながら笑って、4本の腕を伸ばしてストレッチをしながら自分のコーナーに向かって行く。

 やる気十分である事に微笑みながらルノアは次にベルと春姫に指示を出した。

 

 「ベルはあっちで準備を済ませておいて?

  春姫は審判をしてもらうから、ちょっと打ち合わせしよ?」

 「わ、わかりました。...ベル君、頑張ってくださいね」

 「うん...」

 

 先にコーナーで腕立て伏せをしているカイリキーの元へ向かうルノアと春姫。

 ベルも自分のコーナーに着くと、収縮していたモンスターボールを膨らませるように起動させてから金具のロックを外す。

 軽く投げるとモンスターボールが開いてポンッとサーナイトが屈んだ姿勢で現れた。

 

 「サーナイト。これからポケモンと勝負する事になったんだけど...」

 「サナ。サナサナ」

 「あっ...うん、上手く指示を出せるように頑張るから!」

 

 立ち上がりながらサーナイトは話の内容は把握しているようで、貴方の指示に従って戦います、とテレパシーで答えた。

 それにベルは意気込んで返事をする。信頼されている事に多少は緊張感も和らいだようである。

 バトルを開始する前にサーナイトから覚えている技を改めて確認する事にした。

 

 ポケモンの技はメインとして4つ、補助としてそのポケモンが覚えられる技なら幾つでも覚えるのだ。

 サーナイトはサイケこうせん、ほのおのパンチ、マジカルリーフ、テレポートをメインとしているらしい。

 

 やがて、準備を整えたベルは前に出て行く。

 既に準備体操を終えていたルノアとカイリキーがいつでも戦えるように身構えるのを見て、ベルは軽く深呼吸した。

 一方で春姫も審判を務めるという緊張はあるようだが、ベルを応援する為に気を引き締める。

 

 まずはポケモンバトルの基礎基本をルノアは教え始めた。

 パートナーのポケモンが動き回る中、どの様にして的確な指示を出すか。

 相手の動きからどんな技を繰り出すのかわからない以上、上手く回避させられるか。

 攻撃したとしても耐えられるか。急所への大ダメージを与えられるのか、等。 

 それらの動きと指示のタイミングを見極めるようルノアは自分が知る事をベルに伝える。

 

 「これがポケモンバトルの基本だよ。しっかり覚えておくようにね」

 「うん、しっかり覚えておくよ」

 

 ベルは勉強などは得意なので覚えるのも早い。

 それをルノアは知っているため、聞き返そうとはしなかった。

 2人のやり取りを見ている村人達は今か今かと待ち構え、その時を待っている。

 そして...

 

 「ベル、準備はいい?」

 「うん。やろう!ルノアお姉ちゃん!」

 「その意気込み良し!春姫!」

 「はい!これより、ベル君対ルノアさんのポケモンバトルを始めます!

  使用するポケモンはお互いに1体のみとして、制限時間は5分間です!」

 

 審判らしく声を響き渡らせながら春姫はバトルの内容を説明する。

 今回は所謂、模擬戦なので簡潔にバトルが終了となるようにしたようだった。

  

 「それでは...始めっ!」

 

 上げていた右腕を春姫は振り下ろし、バトル開始を告げた。

 村人達は待ってましたと言わんばかりに歓声を上げ、盛大な拍手が2人を包み込んだ。

 ベルとルノアは既にモンスターボールから出ているそれぞれのパートナーを前に出す。

 

 「カイリキー、頼んだよ!」

 「カーイリキー!」

 「サーナイト!頑張ろう!」

 「サナ...」

 

 4本もある腕の筋肉から胸筋などを見せつけるようにポーズを決めるカイリキー。

 それに対してサーナイトはクルンと一回転して両腕を広げながら、美しくお淑やかにお辞儀をした。

 

 「...それじゃ、ちょっとだけ本気でいくよ?」

 「...ッ!うん!」

 

 ルノアの纏う空気が変わってベルは冷や汗を流した。明らかに宣言通り本気で来るのだと。

 しかし、だからと言ってここで引くわけにはいかない。

 ベルは改めて気を引き締め、返事を待っているルノアに頷く。

 それを見たルノアはわかっていたかのように白い歯を覗かせて、そう来なくっちゃと呟いた。

 そして、先制するべくカイリキーに指示を出す。

 

 「カイリキー!どくづき!」

 「(いきなり弱点狙い!?それなら...!)

  サーナイト!かげぶんしん!」

 

 貫手の構えで毒に染まった指先を突き出してくるカイリキーに、サーナイトは分身を作り出して回避行動に移った。

 分身の1体にどくづきが直撃すると分身は消え、本物のサーナイトが背後から接近してきているのに気付くカイリキー。

 

 サーナイトはベルの指示ではなく、独断でマジカルリーフを発動させる。

 紫系統に光る不思議な葉っぱが舞うと、右腕をサーナイトが突き出すと同時に勢い良くカイリキーに向かっていき、次々とぶつかっていく。

 しかし、カイリキーの分厚い筋肉の壁に防がれたようで効果はいまひとつ、手応えを感じなかった。 

 

 少し離れて華麗に着地するサーナイト。白いスカートの様な部位を払うようにして、カイリキーに向き合う。

 再び、ルノアの指示でどくづきで攻撃を仕掛けてくるカイリキーに対し、ベルも回避するよう叫んでサーナイトは頭上へ飛び上がった。

 

 「サーナイト!サイコショック!」

 「サナッ!」

 

 「カイリキー!ビルドアップからひかりのかべ!」

 「リキーッ!」

 

 不思議な念波を実体化し、それを投げ飛ばして攻撃するサイコショックに対して、カイリキーは体に力を込めながら筋肉を更に分厚くさせるビルドアップにより自分の攻撃と防御を上げた。

 続けて虹色に光る楕円形の鏡のような、ひかりのかべを形成。

 サイコショックが直撃したものの、カイリキーは笑みを浮かべて健在だった。

 

 エスパータイプの攻撃はかくとうタイプには効果バツグンであるのだが、特殊攻撃のダメージが弱められた事と防御が上がっていた事で一撃では倒せなかったのだ。

 

 「(弱点になる攻撃でも、あんな風に防ぐ事が出来るんだ...!)」

 

 ベルはルノアの指示に目を見開いていた。カイリキーを回避させるよりも、防御を主体にする立ち回りを見せた事に。

 攻撃を回避させず、敢えて受ける事で威力が増す技はある。

 しかし、それ以外に攻撃を受け止める事で、その程度かと威圧する場合もあるのだ。

 

 観客はルノアの指示とカイリキーの防御に驚愕しているベルを見て、これは分が悪いなと旗色の悪さを見出していた。

 しかし、ベルは臆する事なく次の攻撃手段を考え始める。

 カイリキーの防御と特防が上がっているため、制限時間以内に倒し切るのは厳しいがルノアに認めてもらえる勝負にしてみせたかったからだ。

 相性のタイプではサーナイトが有利。あの防御を上回る威力となる技。

 

 「(...そうだ!やってみよう...!)」

 

 それらの要素を合わせながら、ある打開策を思い付いたベルは次の指示をサーナイトに出す。

 

 「サーナイト!連続でエナジーボールとシャドーボール!」

 「サナ!」

 

 「カイリキー!ほのおのパンチとメガトンパンチで弾いて!」

 「カーイリキー!」

 

 自然から命の力と黒い影の塊を両手に集め、右手からエナジーボール、左手からシャドーボールをサーナイトは両腕を突き出して発射する。

 発射すると同時に再度、命の力と黒い影の塊を集めてベルの指示通り連続で発射していく。

 カイリキーは右手を燃え上がらせるほのおのパンチでエナジーボールを、白く発光する左手のメガトンパンチでシャドーボールを弾いていった。

 どちらも相性はカイリキーの技が有利であり、弾けなかった分のダメージは微量ながら受けているものの、サーナイトが攻撃を止めた頃にもその場で踏み止まっていた。

 

 「(さぁ、ベル。アンタの力量を見せてもらうよ)」

 

 「サーナイト!上からほのおのパンチ!」

 

 サーナイトは跳び上がって降下しながら右手に燃え上がる炎を纏わせ、ほのおのパンチを振り下ろす。

 速さは申し分なく、普通のモンスターであれば一撃で仕留めていた所だが、カイリキーは4本の腕を一ヵ所に交差する事で防御を固める事で受け止めた。 

 動きが止まったその隙を見逃さず、テレポートで背後に回ると両手にバチバチと電気を収束し、電撃の束であるチャージビームを発射する。

 

 カイリキーは前方に蹌踉けて、すぐさま振り返ると同時にサーナイトに、からてチョップを叩き込もうとする。

 しかし、鋭いチョップを挟み込むようにしてサーナイトが両手を回転させると、カイリキーの巨体は宙を舞う様に転ばされた。

 ねんりきを応用して攻撃を受け流したのだ。

  

 カイリキーは転ばされ、サーナイトは距離を置いた事でお互いに自身のコーナーに戻る形となり、村人達は歓喜の声を上げる。

 ベルは、よし、と何かを掴んだように呟いてサーナイトに指示を出す。

 

 「サーナイト!サイコショックから...!」

 「サナ!」

 

 サーナイトは再び不思議な念波を実体化させてサイコショックを放つ。

 カイリキーは防御姿勢を取って受け止めていた。

 先程と同様にサイコショックによるダメージも微量だろうとルノアが思ったその時、サーナイトが次の攻撃でオレンジ色の光弾を放ってきたのに訝った。

 それは何と、カイリキーと同じタイプの技である、きあいだまを放出してきたのだ。

 

 カイリキーもその行動に訝しみながら、再び受け止める態勢に入った。

 当然ながら効果はイマイチなのでダメージは少ない。...が、ここでルノアはこれまでの技の効果を思い返す。

 どれもタイプは異なるが、どれも相手の能力を下げる効果がある。それは...

 

 「(...とくぼう下げっ!?)カイリキー!まもる!」

 「リキッ!」

 

 「サーナイト!テレポートで至近距離からしねんのずつき!」

 

 一瞬でサーナイトはカイリキーの目の前にテレポートし、思念の力を額に集めてしねんのずつきを繰り出す。 

 まもるは先制して攻撃を受けない技。

 しかし、ルノアの指示のタイミング、カイリキーの予備動作、テレポートの間合い詰めなどの要因が重なり...

 

 「サァヌァアアアッ!!」 

 「ギッ...!」

 

 まもるを完全には発動させられなかったカイリキーはしねんのずつきが頭部に直撃した事で怯み、動きが止まる。

 それを見逃さず、ベルとサーナイトが考えるトドメの一撃は合致した。

 

 「サーナイト!サイケこうせん!」

 「サナッ!」

 

 不思議な七色に発光する輪状の光線、サイケこうせんを発射して直撃させる。

 効果バツグンである上にとくこうが下がっている状態で、この技を受けたカイリキーは立っていられるはずもなく...

 

 「リキ~~...」

 

 ドタァンッ!と大の字で目を回しながら地面に倒れるカイリキー。 

 それを見た春姫は即座に宣言する。

 

 「カイリキー、戦闘不能!よって勝者はベル君!」

 

 村人達はおぉ~~!とまさかの圧勝勝ちに驚きと喜びを露わにする。

 それと同時に空き地全体に拍手喝采が響き渡ったのだった。

 ベルはサーナイトの方へと視線を向けた。すると、振り返ったサーナイトは微笑みながら頷いたのを見て、ベルは満面の笑みでサーナイトに駆け寄って行く。

 一方でルノアは倒れているカイリキーの安否を気遣った。どうやら回復すれば大丈夫な様子である。

 

 「やったぁぁああ~~~っ!すごいよサーナイト!勝っちゃったよ!」

 「サナ。サナサナ」

 「勝ってバトルが終わっても、すぐコーナーに入っちゃダメでしょ?」

 「あっ、そ、そうだね。嬉しくてつい...」

 「今度からは気を付けるようにしないといけませんよ。ベル君」

  

 万が一、でんきタイプの技やどくタイプの技が地面に残っていたりすると、それが原因で状態異常になってしまうかもしれない。

 ルノアは少し強めに、春姫は優しく注意して少し俯きながらベルは反省する。

 しかし、ポンッと頭に手を乗せてわしゃわしゃと白い髪をルノアは撫でながら、先程までのバトルを褒めてくれた。

 

 「やるじゃないの。これなら私から教える事はないみたいかな...

  これからは自分で作戦を立てたり、サーナイト達と一緒に特訓するんだよ?」

 「もしもお力になれる事がありましたら、是非お手伝いさせてくださいね」

 「...うん、ありがとう。春姫お姉ちゃん、ルノアお姉ちゃん!」

 

 優しく撫でてくれる手と言葉に、ベルは気恥ずかしくも嬉しく思いながら、これからもっと頑張ろうという決意を抱くのだった。

 村人達からもバトルを終えたベルに労いの言葉が投げかけられる。 

 そんな彼らにベルは軽く手を振りながら、ありがとうございました!と大声で感謝の言葉を伝えるのだった。

 

 「ベル、後で春姫の特製カレー食べてきなよ。ご褒美って事で」

 「え!?ホント!?いいの!?」

 「はい、もちろんいいですよ。他のポケモンの皆さんとも顔を合わせたいですから」

 「わかった!じゃあ、絶対に行くね!」

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