誤字報告感謝!
【噂の新人】
「それで、まんまと逃げられたと?」
「もうそんなに睨まないでよー!」
「あの、勝子をそんなに責めないで下さい」
「……すみません。私が不用意に話しかけたばかりに」
「いや、すまない。責めている訳ではない」
都内にある魔法少女たちの拠点。
名称『魔物対策本部』とシンプルなものだ。
重要な会議に使われる部屋に5人、いや、4人と1匹がいた。
3人は赤緑青の魔法少女と言えば分かるだろう。1匹はウサ耳のミッ◯ィーみたいな妖精だ。ならあと1人は?
彼、失礼。彼女はこの本部のリーダーである「
高身長・中性的な顔立ち・鋭い目と初見だと男性と勘違いしそうなほどである。
百年以上と続く魔物との戦いに自身には魔法少女としての適性が皆無であったが、それでもと腐らずに顔を上げ進み続け魔法少女たちの居場所を作った人たちの1人である。
そんな彼女はいま目の前の少女たちの報告を聞いて頭を悩ませている。
(魔力を持たない魔法少女……。確か噂だと魔物を使った人体実験の産物らしいが、こちらで確認している情報はどれも確証には欠ける眉唾物。無論事実ならば到底許されるものではない。とはいえ、その子を放っておくことは出来ない)
「…その子は何か言っていたか?」
「それが、その、私が抱きしめようと近づいたら全力で逃げられちゃいまして……」
「私は殴られて何も……」
「あの子は、まるで獣のようにこちらを威嚇していました」
「獣…か。妖精はどう思う?そもそもありえるのか?魔力無しで魔法少女のような力を得るのは」
「あり得ないキュ」
妖精は体全体を横に振って否定する。
「僕の方でも他の妖精や、それこそ女王様にも聞いたりしたけど、そんな方法は無いキュ。もし、もしやるにしても、考えたくないけど、魔物の中には魔力を使わなくても強い個体がいるから……キュ」
妖精は考えたくもない最悪の結果を想像して言葉が続かなくなる。
「妖精、それ以上はいい。ありがとう」
「……キュ」
「妖精さん、こっちに」
梨花が落ち込んだ妖精を抱きしめて慰める。
その様子を見た茅は眉間のしわが深くなるのを自覚して、また怖がらせてしまうと思い眉間を揉んで表情を戻す。
「氷輪さん。最初に攻撃されたみたいですが、傷は大丈夫ですか?」
「は、はい!少し青タンが残っていますが病院の方でも安静にしていれば大丈夫だと診断してもらいました」
「玲美ちゃん、私の治癒魔法もまだ完璧とは言えないので無理は禁物ですよ?」
「分かっています。高ランクの魔物が現れない限りは出撃を控えるつもりです。あと、茅さん。あの時は気付かなかったことがあるのですが」
「なんだ?」
「あの時、彼女に触れた瞬間、まるで肉が焼けるような音が聞こえたのです。ほんの一瞬だったので聞き間違いかもしれませんが」
「あっ!そういえばあの子、私から逃げる時に見えた左肩が焦げたみたいに黒かったのはそういことなのかな?」
「もしかしたら、それで私たちを敵と思って攻撃してきたのでしょうか?」
「………すみません。今回は明らかに私のミスです」
玲美が唇を噛んで自身のミスを悔やむ。
わざとではない、だからといってあの子を傷つけてしまった事実は変わらない。彼女の心は罪悪感に締め付けられる。
(人々を助ける幼馴染の2人に憧れて、魔法少女になったのに……私は…)
とうとう顔を下に向けて俯いてしまった玲美の両隣にいる勝子と梨花が声を掛けあぐねていると。
「ひょぅ……玲美。顔を上げなさい」
「……茅さん」
「私たちはその子にどんな事情があるのかは分かりません。知らないが故にすれ違いも起きてお互いを傷つけてしまうこともあります。ですが、真摯に向き合い続けて少しずつ相互理解を深めればいずれ手を取り合える日が来ます」
「そうだよ!まだ誰も死んでたりなんかしてないから、次会った時にでも私たちみんなでごめんなさいすれば遅くないよ!」
「玲美ちゃん、まだ私たちはあの子と仲直りできる時間があります。ですので、顔を上げてあの子を探しましょう」
「キュ!みんな笑顔が1番キュ!」
それぞれの言葉を聞いた玲美は心の締め付けが緩み、少し冷静になった。
「みなさん、すみません」
「レーちゃん!こういう時はありがとうって言うんだよ」
「……ありがとう、ございます。あと玲美です」
重くなっていた空気が霧散して和やかになっていく。
茅は少し微笑んだあとで、時間を確認して顔を引き締める。
「ひとまず、その少女については妖精とともに身元を調べます。他の魔法少女にも捜索の協力を仰ぎますので、貴方たちも見つけたらまずは報告するように」
「はーい!」
「了解です」
「分かりました!」
「では、解散と……?」
会議室に向かって走ってくる音が聞こえる。
会議室の扉を荒々しく開くと金髪の少女がいた。茅を見つけるとズカズカと怒った様子で近づいて机を両手でぶっ叩いて睨みつける。
「茅さん?アタシの質問に正直に答えてくれる?」
時は金髪が真っ白と出会う前まで遡る。
「これで、いっちょ上がーりぃ!!!」
『縺薙?繧ッ繧ス繧ャ繧ュ?∬ェソ蟄舌↓』
近未来的な衣装を纏った魔法少女の踵落としが魔物が振るった棍棒もろとも頭を蹴り砕き、さらに追加で魔物の体に稲妻が走り黒焦げになった。
「ふん!大したことないわねって危な!」
『繧医¥繧ょ?雋エ繧抵シ』
『縺。縺上@繧?≧?√&縺」縺阪?蜷ク陦?鬯シ縺ィ縺?>驍ェ鬲斐□?』
金髪の大きなツインテールの彼女は「
ちなみにネットでは彼女の荒々しい戦い方や能力で近くで撮影してたスマホや周辺の電子機器が高確率でショートするため「サイバークラッシュ被害者の会」が作られることもしばしばある。
彼女を非難する人もちらほらと居るが「近くにいるお前が悪い」「さっさと逃げろカス」「お前が戦え」とファンが辛辣に一蹴するのが落ちだ。
「ああもう!しつこいわね!周囲に被害を出すなって言うけど、アタシがやられたら元も子もないでしょ!!」
目の前の黒焦げの魔物の死体以外に、角の生えた醜悪な大柄の魔物と全身がドス黒い粘液に覆われたスライムのような魔物が同時に襲いかかってくるが、魔法少女として戦い続けたサイバーは冷静に立ち回る。
「これやると後がしんどいけど『
両手に持っていた棒と槍が発光すると間髪入れずに地面に突き刺し広範囲に電流が走った。周囲に魔物以外の生物が居ないのは確認済みだから先ほどとは比べ物にならない電流を浴びた2体の魔物は断末魔も上げる間もなく絶命した。
「……タハー、やっぱ詠唱なしにやると疲れるわね」
一気に魔力を放出したサイバーは膝をつき休息を取る。
一息ついたサイバーが変身を解除しようと視線を下に向けたとき、自分に影がかかってるのに気付く。
(しまっ━━━)
『縺九°縺」縺溘↑??ヲャ鮖ソ繧?シ』
小賢しくも死んだふりをしていたスライムが背後からサイバーを飲み込もうとゴブシュする前に踏み潰された。
「きゃっ!?な、なにいや苦ッ!!?」
潰れる音とともに黒い粘液が飛び散り顔にも掛かってしまった。ヌルヌルするし凄まじく苦いし臭くて吐き気を催してマーライオンしそうになるがうら若き乙女のプライドで我慢した。
危ないところを助けてくれた感謝半分と全身不快なヌルヌルまみれにした怒り半分で正面を睨みつける。
「莨壹>縺溘°縺」縺溘◇?√せ繝ゥ繧、繝?縺上s?」
「えっ……な、え?ちょっと、何してrうわっ」
そこには恍惚とした表情でスライムを解体する真白の少女がいた。
(何この子!?アタシと同じ魔法少女?いえ違う?魔力がない……どういうこと??でも魔物は魔力がないと倒せないはずだから、魔力のない魔法少女って何それ矛盾してるじゃない!?)
「って、そんなことはどうでもよくて!そこの白いあなた!」
「縺ゅ▲縺ッ縺ッ縺ッ笙ェ讌ス縺励∩縺?縲∝ィッ讌ス貅「繧後k縺薙?荳也阜縺ァ遘√□縺代?蟷ク縺帙r謗エ繧?縺ョ縺鯉シ」
「こ・の!無・視・す・る・なぁ!!」
真白の少女にずかずかと近づき頭を掴んで目線を合わせると思わず息を呑んでしまうほど端正で整った顔があって同性でも少し見惚れてしまった。
頭を掴んだまま見惚れてたので鬱陶しくなったのか真白の少女が振り払った。
「あっ、コホン。まずは、ありがとね。おかげで助かったわ。それと、その、アタシが言えたことじゃないけど…ね?もうちょっと周りに気を…」
「縺ゥ縺?〒繧ゅ>縺」
「ああ、その責めてるわけじゃって、よく聞いたら日本語じゃないのね。何語なの?って聞いても分からないのかな……あっ、そうだちょっと待ってね!」
「………」
サイバーが手のヌルヌルをハンカチで拭いて鞄の中を探ってる間、真白の少女は興味を無くしたのか再びスライムの解体を再び始めた。
粘性で硬そうな肉体をまるで裂けるチーズのごとく剥がしていく。剥がすたびに酷い臭いがするのでサイバーがつい顔を顰めてしまう。
「うぅ、よく平気な顔で解体するわね……。ねえ!これ、受け取って!」
「……?」
「今日休みだからクッキーを焼いたのよ。気に入ってくれたらいいんだけど…」
「…………………」
解体の手を止めて目の前に差し出された袋を見ると真白の少女は瞬きもせず硬直した。
(………もしかして、何か地雷、ふんじゃったのかしら?)
「あの、要らなかったらあっ!」
「………」パクッ
真白の少女は一口クッキーを齧ると近くで見ないと分からないほど小さく微笑んだ。喜んでくれたと安堵したサイバーが鞄から追加でクッキーを渡そうと取り出す。
「よかったら他の」
「エホッ、カハァゲホゲホッッ!!ヒューオッッエ!カハ、ウォォオエエエ!!?」
真白の少女が喉を押さえて激しく咳き込む。
サイバーが手に取っていたクッキーを落としてすぐに駆け寄って背中をさする。
「ちょっと、あなた大丈夫!?すぐに病院…に…」
「ッッップ!!!オエッ━━━!!!!」
真白の少女の口から出た塊が地面を赤く彩った。
「……血っ?な、なんで?どこか怪我でも、いや何かの病気?ねえあなた本当に大丈夫なきゃっ!?」
「フーッ!フーッ!フーッゴポ」
背中をさすっていたサイバーを突き飛ばした真白の少女は口元を押さえて息を荒くしながら素早くスライムから何かを引きちぎるとサイバーを一瞥する。
「あっ……」
瞳は震え、顔色もより白く見えて苦悶の表情で喉や胸を押さえながらそのまま何処かに走り去った。
サイバーは小さくなっていく姿に手を伸ばして、待って、と口に出せなかった。
しばし呆けていたサイバーだが、すぐに立ち上がり改めて赤く彩られた地面を見る。普通に考えたら失血死してもおかしくないほどの血の量、それに加えて魔力無しでも魔物を屠るほどの強さ。
今すぐにでも追いかけたいが、既に見えなくなって数分経っている。今から探しても見つからないだろう。
ならば
(茅なら何か知ってるはず!あの人、いつも何か隠し事してる雰囲気があるし、何より……あんな苦しそうな顔を見て、放って置けるわけないじゃない!!)
サイバーは残りの魔力をふんだんに使って魔物対策本部に向かって全力ダッシュした。なお、周囲の被害。
そして現在に至る。
「………じゃあ、まだ何も分かってないってわけね」
「そうだ。それよりも、吐血したのか?場所は?」
「アタシが通ってる高校近くのマンションの通りよ」
「ちょっと待って、血を吐いたの!?」
雷華から聞いた話に思わず血相を変えて席を立った勝子。梨花は不安そうに、特に玲美は膝に置いていた手を握りしめて表情がこわばる。
「そうよ。初めましてね、アタシは稲沢雷華もといサイバークラッシュよ。あんた達は最近活躍してるパーティね」
「サイバークラッシュ……確か2年前に都市を広範囲停電させて炎上した魔法少女ですね」
「なんで最初に出てくるのが炎上なのよ!?アタシだってあれから反省してるんだから!!」
梨花の発言に憤慨した雷華のツインテールがバチバチと音を立てながら逆立つ。そんな軽くキレてる雷華に勝子が緊張した表情で近づく。
「あの、私は加地鬼勝子でブラッドサンシャインです。その子は何処に行ったか分かりませんか?」
「ごめんなさい、分からないわ。ここらを担当している魔法少女は把握してるつもりだけど初めて見るし、知り合いの中でも魔法少女になったって聞いたことも無いわね」
「そう、ですか…」
「…ともかく、予想するにその少女は何かしらの難病を患っているのだろう。これは時間をかけるとまずいか」
「ですが茅さん、魔法少女になれば万全の状態になるはずでは?」
「それは違うキュ」
玲美の疑問に梨花に慰められていた妖精が飛んで会議室の中央に浮かぶ。
「確かに魔法少女になれば元の肉体よりも遥かに丈夫な作りに変わるけど、それはあくまでも元の肉体を参照してるキュ。下半身不随の子も魔法少女になれば歩けるようになるけど元々歩ける子よりも劣るキュ。特に命に関わる病気は緩和されるキュけど限度があるキュ」
「でも待って、あの子から魔力を欠けらも感じなかったのだけど?」
「それが不思議なんだキュ……」
雷華の疑問に全員が頭を悩ませる。
そんな中、茅が席を立ち手を叩いて注目を集める。
「まず少女、仮名として《
茅の言葉を聞き、各々荷物をまとめて退出する。
雷華も一刻も早く魔力無しを探そうとすると茅に肩を掴まれる。
「ところで一つ聞くが、稲沢さん、いやサイバークラッシュ……ここに来るまで無闇矢鱈と電気を撒き散らしてないだろうな?」
「…………………し、してないわよ?」
「そうか。なら私のスマホが鳴り続けるのは何故だ?」
茅の掴む力が強くなる。
耳をすませば茅の胸ポケットからスマホのバイブ音が鳴り続けている。
「スゥーーー、ごめんちゃグハァッ!?」
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【踏んだり蹴ったり】
踏んだり蹴ったり。
まさに今の状況に相応しい。
「待ってください!そんなに汚れてバイキンでも入ったら!」
目玉の魔物を目潰ししたら近くにいた魔法少女に回復魔法をかけられそうになる。吸血鬼、即ちアンデッド故に逆にダメージになる。
あまりにもしつこいので振り切るために下水道にダイブした。
「おや?可憐なお嬢さん、そんなに急いでどこに行くんだい。みんな彼女にオモテナシを!」
「「「はい!お姉様〜〜〜!!!」」」
その次は下水道に隠れて数を増やしていたネズミゾンビの大群を駆逐したら男装麗人の魔法少女とその取り巻きに囲まれるが『姿隠し』と『虚像』のコンボで下水道から脱出した。
「あの魔物を一撃で…!魔力は感じられないが是非手合わせを!」
さらに遠くまで走るとやたら大きい猪が結界を張ろうとして無防備な横腹があったのでドロップキックして風穴を開けた。大量の血を手に入れてご満悦していると目の前にいきなり転移してきてた晒を巻いている刀を持つ魔法少女。
まさか問答無用に居合い切りされるとは思わなかったが、2度目の居合い切りに合わせて飛び頭突きして目を回してる間に廃墟の一軒家に飛び込む。
1ヶ月誰にも見つからなかったのが嘘かのように怒涛のエンカウント。
何でこんなに馬鹿みたいに見つかるかというと運が悪いのもそうだが、何よりも
(……クッソ。まだ癒えないのか?肩の火傷、いくらなんでも遅すぎる)
廃校で青いのに触られた左肩の火傷。
吸血鬼ならば火傷程度すぐに癒えるはずが、まるで聖の魔法で焼かれたかのように再生が遅延している。
さらには左肩の痛みで周囲の魔力探知が疎かになるし、魔法も安定せず気分が滅入ってくる。
(おかしい、あの時に聖魔法を使われた記憶は無い。いくら俺が食事に夢中になっててもあの忌々しい聖の気配を見逃すはずがない!……おえっ、興奮すると吐きそう…)
胃袋に溜め込んだ血を吐き出さないよう口元を押さえる。
さてどうしたものか、この傷が癒えない限り逃げ隠れするのもしんどい。何処か最低でも1週間眠っても見つからない場所を探さねば。
(でも、今はちょっと寝たい。埃まみれなベッドだけどちょうどいい。寝よう)
「おやすm」
ドゴォッ!!
「見つけたぞぉ!!さあ!再び試合を!!」
(なんだよ!もおおおお!!?またかよおおおおおお!!!)
晒を掴み思いっきり下に引っ張ってボロンさせて逃げる。意外と大きかった。
マンション屋上、そこに死んだ目で横になる吸血鬼。
「………チカレタ」
いや、肉体的な疲労は無いけど精神面が辛いんよ。こうやって逃亡生活すると800年前の吸血鬼狩りを思い出して嫌になるわ。
………おんやぁ?また魔物か?頻度が多いな、もう。今度は何が出たんだ。
地面を這いずりながらマンションの下を見る。
(なになに?ミノタウロスとオーガとスライムね………スライム?スライムだと?あの真っ黒スライムはまさか!?)
死んだ目に光が入り体を起き上がらせる。
自分の予想が正しければこの肩の問題も解決する。今すぐ飛び降りたいがあの金髪が魔物を仕留めてからでも遅くないな、しばし待とう。
(にしても、この世界の子どもたちは逞しいな。いくら力を持ってるからって言っても死ぬかもしれないのに。俺には命を賭けて戦うなんて無理だな、引き篭もりすぎた)
「…油断してるな、流石に目の前の死を放ったら駄目だよな」
両足を『硬凝血』で硬くさせてスライムに目掛けて飛び降りる。
ゴブシュ
「きゃっ!?な、なにいや苦ッ!!?」
よし、不意打ち最高!
これぐらい肉体が飛び散ればもう動けまい、解体させてもらうゾ☆
「会いたかったぞ!スライムくん!」
「えっ……な、え?ちょっと、何してrうわっ」
さてさて、肉体が塵になってないからコアは無事なはずだ。むしろ無事じゃないと非常に困る。あっ、やべ、これからのこと考えると楽しくなってきた!
「あっはは!楽しみだ!娯楽溢れるこの世界で私だけの幸せを掴めるのが!」
「こ・の!無・視・す・る・なぁ!!」
ぐおっ!?おっと、そういえばまだ居るんだった。
どうしよう、解体の邪魔して欲しくないんだけど……なんか見惚れてない?『魅了』使ってないよな?というか離してくれ。
「あっ、コホン。まずは、ありがとね。おかげで助かったわ。それと、その、アタシが言えたことじゃないけど…ね?もうちょっと周りに気を…」
「どうでもいい」
悪いね、俺が望むニート生活以外は気にしてられないんだわ。用がないなら放っといてくれ。それでスライムくん?何しれっと地面に染み込んで逃げようとしている?
逃さんぞ、この臓器千切ったらもう思考もできんだろ。ブチッ
「うぅ、よく平気な顔で解体するわね……。ねえ!これ、受け取って!」
ん?なに、クッキー?なんで?
「今日休みだからクッキーを焼いたのよ。気に入ってくれたらいいんだけど…」
あーんー、正直吸血鬼的には全く必要ないんだけど、ここで受け取らず作業の邪魔されても困るしなぁ。
「あの、要らなかったらあっ!」
まあ、いつになっても人から何か貰うのは嬉しいから、くれるならありがたく貰うか。にしてもクッキーか、何百年前か忘れたけど人から初めてもらったのもクッキーだったかな。
あの時は本当に楽しかっ
《お姉ちゃん…クッキー、汚れ、ちゃって、ごめん、ね》
「よかったら他の」
「エホッ、カハァゲホゲホッッ!!ヒューオッッエ!カハ、ウォォオエエエ!!?」
ああクソクソクソクソ!!!?何でいま思い出す!?おかげで気管に入って盛大に咽せてるわ!?てかやばい咽せすぎて胃が!!
「ちょっと、あなた大丈夫!?すぐに病院…に…」
「ッッップ!!!オエッ━━━!!!!」
我慢できなかったよ☆
ちくしょうめ!せっかく溜め込んだ血が、もうやっぱり溜め込まずすぐに吸収すればよかった…。
「……血っ?な、なんで?どこか怪我でも、いや何かの病気?ねえあなた本当に大丈夫なきゃっ!?」
「フーッ!フーッ!フーッゴポ」
いやごめん、マーライオンの衝撃で渇いたらまずいから離れてね。ちゃちゃっとスライムのコアを回収して金髪が怪我してないか確認して、うん大丈夫そうだ。健康的で艶のある美味しそうな━━これ以上はやめよう。
さらばだ、金髪の魔法少女!クッキーは嬉しかったぞーーー!
金髪の魔法少女を置いて人や魔力の気配が無い場所を探り当て気分を落ち着かせる。
「さてさてさーて、まさか現代日本でこれが手に入るとは思わなかったけど、これは期待できるな。もしかしたら、異世界の自宅よりも快適なものを作れるやもしれんぞ!」
スライム、特に黒いスライムは死肉を好むから負の側面が強い。これがあれば例え聖魔法でこんがり焼かれても全回復する!
まずは上下関係を叩き込む。所詮スライムだから単調な思考回路ゆえにただ魔力が大きい奴に従うから、『魔力隠蔽』を0.2秒解くだけでも十分よ。
「それに加えて『契約』で裏切りの可能性を完全に潰して……よし!これを飲み込んで……大きいなこれ」
これ口に入れようとしたら顎どころか頬も裂けるだろ?こんなとこで詰む?嘘だろ?もういっそのこと顎千切って喉に押し込むか?
あれこれ悩んでいると首から下の感覚が消えた。
(……あり?首落ちてね?)
「任務…完了」
おやおや、最近背後を取られてばっかだな。
次からは背後に立つと爆発するよう背中に魔法陣を仕込んどくか。というか誰だ?魔法少女にしてはえらく陰気な顔をしてるな、まるでこの世に希望は無いと言わんばかりに。
というか待てよ?
これ首落ちてるからそのままコアを食道にぶち込めるな!吸血鬼を舐めるなよ、弱点で消し炭にならない限り首を落としても体は動くからな!
「……なんで、動いて!?」
ヴァカめ!呆けてる暇があるなら腕を落とすんだったな!そして、無事にコアを取り込めたぜぇ!おっと、今更動いても遅いぞ!
「ぐっ!そんな、切断した首が戻って……!?」
う〜ん♪この感じ久々だなぁ。肩の火傷も消えた、600年の引き篭もりのなまりも緩和された感じがする。
「ふぅ、で?お前だれ?」
「━ッ!『シュレディンガーの━━」
ああ答えない?じゃあいいや。
「『
加地鬼勝子(ブラッド・サンシャイン)
年齢:15歳
身長:147㎝
体重:平均的
特長:腰まで伸びてるインナーカラーが赤の黒髪・腹筋が割れてる・目が若干赤い・お尻にホクロがある
性格:真っ直ぐで友達思い・負けず嫌い・おっぱい星人
能力:格闘メイン・瞬間的に身体能力を大幅に強化できる・勘が鋭い・何もかも焼き尽くそうと思えば太陽擬きを出せる(なお被害)
吸血鬼に対する印象:話せば友達になれそう!
家族:天涯孤独の身
森田梨花(クロス・ロザリオ)
年齢:15歳
身長:162㎝
体重:重い
特長:薄い緑色のポニーテール・驚異のバスト(by勝子)・目が茶色のタレ目・ふっくらとした体型
性格:人当たりが柔らかくおっとりしている・世話焼き・友達の悪口は忘れない
能力:植物を使った支援・結界・回復魔法・杖で殴る
吸血鬼に対する印象:少し前に、イジメにあった妹と同じ雰囲気を感じました。
家族:父母・姉・妹の4人家族
氷輪玲美(シルバー・グラス)
年齢:14歳
身長:156㎝
体重:少し軽い
特長:全体が青色のウルフカット・ちっぱい!(by勝子)・赤い眼鏡・青い切れ目・浮いた肋骨が少し見える
性格:決まりごとはキッチリと守る生真面目・色々と溜め込みがち・自己嫌悪
能力:精密な魔力操作・複雑で強力な魔法を扱える・負の浄化
吸血鬼に対する印象:すみません、倒れてたので分かりません…。ですが、次会ったときはきちんと謝罪したいと思います。
家族:シングルファザー
ちょっとアタシは!?
無い
なんでよ!?