輝く星になれたなら   作:ケジメファイア

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幕間です

次回、コール魂の叫び報知ASC「諦めが一番カッコワルイ」
次々回東京ダービーを見つめて、帝王賞へ「追い切る。走り切る。」
最終回「輝く星になれたなら」


羨ましさと、悔しさと

 

「ねぇ、あんちゃん」

 

 トレーニング技法書を読んでいて、ふと、つぶやく。

 マイルCS南部杯も、チャンピオンズカップも、惜しくもなく。

 さらに冬は爪が割れたりして、ずっと順調さを欠いた。

 結果の出ないモドカシサも、最近はそれが当たり前になって。

 

「私、さ」

「最近ナイトが羨ましいんだ」

 

 羨ましいというか、妬ましいというか。

 同じチームで、私を慕ってくれる後輩。昨年末、ジュニアオープンを圧勝して、ミックファイアの再来だとか大井の怪物2世と呼ばれてしまっている。

 チームに入ってからは、多忙なトレーナーの代わりに、時折後輩たちのメニューを見ているので、彼女からはセンセイなんて茶化しがてらに呼ばれてまんざらでもない。

 

「トレーニング課程、ありかな」

 

 もうすぐ進路を考えなきゃいけない。

 成績が出てないのは悔しいし、同時に、これ以上ズルズル引き延ばし続けていても、という気持ちもある。

 

「会長、引退式、か」

「今は会長じゃないだろ」

「・・・うん。でも、アタシにとっては」

 

 いつまでも、スピーディ先輩は前を行く指標で。

 ついぞ追いつけないままで。

 レースに専念したスピーディキック会長は、年末のレースを最後に引退。

 年明けの浦和で引退ライブを執り行う。

 

「昨日、さ。先輩と会って」

「後悔せず踏ん切りつける方法って、ないんだなって」

 

 ずっと、思ってた。勝って花道を飾りたい。みんなそう思う。現実そううまくはいかない。もう、丸一年勝利のない私は、勝利の味を忘れてしまっている。

 

「もちろん、Jpn.1を勝った、あの年の日本ダート界のエース」

「でも、いつか絶頂期は終わるし、ピークが終われば勝てなくなる」

 

 それは、わかってる。

 

「今年、今年何にもならなかったら」

「私は」

 

 昔の私みたいに、爪や足元が原因で走れないウマ娘たちが楽しく走れる、もっと輝ける、そんな未来を作りたい。

 私が手伝ったナイトが、勝った時の笑顔を見たとき。

 それまでは、ほかのウマ娘の笑顔なんて気にしたことはなかった。むしろ、にくいくらいだった。

 けれど。

 笑顔が輝くとき。

 私が、あの風景を見て零れた笑顔。

 もっと、見たい。

 

「先輩に言われたんだよ」

「ずっと、苦しそうだった、って」

 

 それは、私が走る理由が、走りたいじゃなくて。

 走らなきゃ、だったから。

 前を向くんじゃなくて、後ろにいた子たちを気にしていたから。

 

「スピーディ先輩が踏ん切りをつけれたのはさ」

 

 会長職を辞めて、自由気ままに一年走った時に、新しい目標を見つけたから。

 スマホで、浦和レース場の中継配信を流す。

 

「あ、コールが号泣してる」

 

 ステージ端でうちわとペンライトを握りしめながら大号泣してる親友の姿。

 

「ナイト、ずっと頑張ってる」

「私も、今年いっぱいは、全力で頑張ってみる」

「うん、頑張ろう」

 

 あんちゃんは、頭を撫でて。

 そこまでだった。

 今年、まず上半期のローテは川崎記念、かしわ記念、帝王賞。

 冬は建て直し。

 

「あと、私自身の考えだと、マイルが合うんだと思う」

 

 少なくとも、去年。負けている中でもマイルは戦えた。

 無論。Jpn.1級に出るのは責務だけど、確実に出るならJpn.3でも構わない。

 大目標はマイルCS南部杯。

 

「私は、勝ちたい」

 

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