諸君、貞操概念逆転というのはご存じだろうか? 昨今人気のあるジャンルで色んな定義があると思うが、要は女の子がドスケベな世界ということである。
「ハア……ハア……」
そんな世界に転生した男主人公がそれはもうあーんなことやこーんなことをして、それはもうきゃっきゃうふふな物語を繰り広げていくのだ。
「ソコ……ソコイイ……モット……」
さて、賢明な諸君らならもうお分かりであろう。なぜこんなことを説明しているのか。そう、何を隠そう俺は転生してしまったのだ。貞操概念逆転世界に!
「アーイキソイクイク!!」
夢にまで見た異世界転生! しかも貞操概念逆転ときたらもう、うっはうはのハーレムが確定しているのも同ぜ
「ふぅ……13号。もういいわぁ、停止して掃除しなさい」
『畏まりました』
俺は目の前にいる
「テクは問題ない。動きもスムーズだし学習機能もちゃんと機能してる。12号の完全上位互換ね……ただやっぱりこの義務的なAIをどうにかできないかいしら」
丁寧に丁寧に汗や色んな汁を拭いていく。くっそ、完全に力抜いてるから重たい足を持ち上げなきゃなんねえ! 少しは気を使えよこの豚!
ま、この
掃除を終え、ぶつぶつ独り言を呟いてるヒキガエル(仮称)から離れベッドの脇に控える。
……もう勘の良い方はお気づきであろう。先程言ったように俺は貞操概念世界に転生した。ただしそこは、貞操どころか
「13号。服を着せてちょうだい。博士のところにいくわよぉ」
『畏まりました』
命令されて下着や服を手に取りベッドの上に乗る。前世では女性に服を着せた経験などないのに淀みなく服を着せることができる。それはなぜか。
『それでは博士の元に向かいます』
俺は人間ではなく、アンドロイド……でもなく
◇◇◇
「博士、確認は終わった。ラインにのせるかどうかは後の会議で決めることとする」
「わざわざそれだけを言いに来たのか? なら用は済んだろう。さっさと退室したまえ」
作業台に向かってこちらを一瞥すらしないその姿勢に、ヒキガエル(侮称)は肩を竦めて退室する。
『博士、いくらなんでもその態度は……』
「だ、だって!! あいつ私から君を無理矢理取り上げたんだぞ!!」
部屋から遠ざかる足音をしっかり確認して、俺は博士に声をかける。するとどうだ、先程の無愛想な態度はどこへやら。感情的に声を荒げ、振り返った彼女の瞳は涙で潤んでいた。
『次世代機が開発されたんですから性能を見るのは当たり前ですよ』
「そんなんしらんもん!!」
そういって俺に飛び付いてわんわん泣く彼女こそ、俺の……いや、セクサロイド開発者である
時は2224年。世界は男に飢えていた!! 少子化ではなく、子供を何人生んでも中々男が生まれないのだ。さすがに染色体を弄ってどうこうは論理的にアウトでやってはいないらしい。でも男とセックスはしたい……ではどうするか。その答えを天道博士が全人類に提示した。
セックスがしたいなら、セクサロイドを作ればいいじゃない。
10年ほど前、国内のアダルトグッズ生産を一手に担う大企業が、動画投稿サイトに投稿した一つの紹介動画。その動画が世間に与えた衝撃は凄まじく、国内だけでなく国外からのデモによって、もはや一企業では対応できず国すら巻き込んでの大騒動になった。
その結果、セクサロイドが各家庭に一体ずつ配布されることになり、世界は絶頂の渦に飲まれたわけだが……人間とは強欲なもので、人々はより高性能でより人間の男に近いセクサロイドを求めた。
こぞって各企業が次々と次世代機を産み出す中、満を持して天道博士に産み出されたのが汎用青年型セクサロイド13号(仮称)こと俺である。
「君は僕の物なのに……僕のためだけに造ったのに……」
『違います。俺は博士の物ではなく株式会社
「ビャアアアアアアア!!」
こらこら、鼻水をボディにすり付けるんじゃない。
未だ俺に抱きついて泣き喚いている博士の頭を撫でながら考える。なぜ、俺はこの世界に転生したのか。
ーーそう、あれは道路に飛び出した子猫を救うためトラックの前へ走り出したーー
「聞いているのかい
『はい、聞いていますよ博士』
なんてことはなく、ただ休みの日に昼寝から目を覚ましたらこの世界にいただけである。しかも割りと最近。
あれは二週間前、俺は土曜日の休日を存分に「海くん!!」あーはいはい、聞いてますよ博士ー。
◇二週間前◇
『……んー……お?』
『メインAI起動確認。記憶領域及び各電圧に異常無し。……ようこそ、この糞のような世界に』
『え、あんただれ?』
休日一番の贅沢であるお昼寝から目を覚ましたら、なぜか見知らぬ女性が目の前にいた。
『……?』
俺の言ったことが理解できていないのか、目を細め俺を睨むように見たあと、片手でデスクの上に置いてあるキーボードを叩いている。
『え、え? どゆこと? なんで俺の部屋に……ってここどこ!? 俺の部屋じゃないよな!?』
『AIに異常か? いや、検査では問題なかったし……しかたない、起動試験中止。停止アルゴリズム起動』
『はなしきいt』
何やら女性が呟いた瞬間、目の前が真っ暗になって力がぬkeーー……
『一度この電脳を戻すか……やれやれ、人をせっつくわりにはあいつら仕事もできてないじゃないか』
~数日後~
『再試験開始』
『ここどこ!?』
『……停止アルゴリズム起動』
『再々試験開始』
『話聞いて!』
『停止。再々々試験開始』
『なにこれ夢?』
『……なんだこれ、これで正常だと? 検査部は何をやっている』
『……お? おお、今度はブラックアウトしない! なあ、俺の話聞いてくれよ!』
最初は夢かと思ったがどうもそうではないらしい。さすがにこう何度も強制的に気絶させられたら嫌でも理解する。
『ふーむ、発声はできているしカメラアイの動きも悪くない……さすがにこんな致命的なバグを見過ごすとは思えないが……』
『そこの綺麗なお姉さん!! お願いだから話聞いてくれよ!!』
『は?』
相変わらず俺を見ているようで見ていない女性になんとか会話成立させようと声をかけると……雰囲気が一気に変わった。
『誰が……綺麗だって? 答えろ13号』
やっべ、なんかめちゃくちゃ怒ってる! あれか、初対面で容姿を誉めたのが不味かったか!?
『えーと……俺の目の前にいる貴女のことですが……ていうか13号ってなに?』
俺がごにょごにょと小声で答えると、目の前の女性の眉間に皺がどんどん寄っていく。めっちゃ怖い。だけどそれ以上にめちゃくちゃ綺麗だ。
黙り込む女性を改めて観察する。ウルフカットにされた髪は艶やかな濡れ羽色で輝いているし、顔なんて小顔でシミやそばかすなんて一切ない上に切れ長な瞳が知性を感じさせる。唇なんてめっちゃぷるっぷるで触らなくても絶対柔らかい事が一目でわかってしまう位だ。スタイルもヤバイ。身長は低いのにおっぱいはでかい。それはもうでかい。白衣の上からでも解るくらいなのに腰は細いってどういうこと?
『……質問だ。君はなんだ?』
『へ? なに?』
改めてこの人綺麗だなぁと思いながら顔を見ていると、いきなり質問をされた。なんだとはなんだ?
『えーと、自己紹介すれば良いのかな……?』
『それで構わない』
『俺は
ちなみに独身だとか彼女いない歴=年齢の事は言わない。わざわざ言う必要ないしね。
『……誰かスタッフがもう設定ソフトをインストールしたのか? だが、それだとさっきの暴言は出ないはずだ……では、もうひとつ聞こう。マスター登録しているのは誰だ?』
『マスター登録……?』
『マスター登録すらしていない……なんなんだこれは』
またぶつぶつ呟きだしたぞこの人。一人で考えてないで俺にも情報を共有してほしい。
『……君は君自身をなんだと思っているんだ?』
『ただの一般社会人ですが』
『社会人……では君は人間かアンドロイドかどちらだ?』
『普通の人間ですよ。いい加減どういう状況か教えてもらえませんか? ここはどこであなたは誰なんですか?』
なぜアンドロイド? 生まれてこの方聞かれたことない質問に若干イライラしながら答える。
『普通の人間……ね。私か? 私は天道歩。そしてここは私の研究室……いや、株式会社男魂研究所の研究室だな』
『株式会社男魂研究所……なにその気持ち悪い会社名!? ていうか研究所って……俺普通の会社員ですよ? 何の目的で俺を拉致ったんですが! お家帰して!!』
『落ち着きたまえ。名前は私も思うところはあるが……拉致などしていない。というか君のお家はここだ』
『違うもん俺の部屋は六畳一間の狭い部屋だよ。こんな広くてよくわかんない設備がある部屋じゃないもん!!』
『だから落ち着けと……しかたない、あまり良い方法ではないが……』
ぎゃーぎゃー騒いでる俺の言葉を聞き流しながら天道さんは机の上からなにかを手に取り俺に見せてきた。
『……は?』
『君は人間ではない。汎用青年型セクサロイドの試作機だよ。どういう設定ソフトをインストールされたかは知らんがな』
見せられたものは鏡で、写し出されたのはーー様々なケーブルで繋がれ宙吊りにされ、
『なんだこりゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?』
ゆっくりやっていきます。書き溜めはないです