……どうしてこうなった。
食事を終えたあとに、風呂の入る順番を決めて……諸事情で俺が一番最初に入ることになったんだが、掛け湯をして湯船に浸かっているとなぜか脱衣所に人の気配が。
ん? と思ったのもつかの間、失礼しま~す! と聞き覚えがありすぎる間延びした声と共に、目の前が肌色で一杯に……おっほ、やっぱめちゃでか!!
やっべ、めっちゃやっべと、たゆんたゆん揺れるおっぱいを見ていたら、横からタオルを巻いた奏ちゃんの姿がスッと現れたのだ。……おい、それはだめだろ。
結果、聡子さんを叱り飛ばし、広い脱衣所で二人を正座させるに至る。……ほんとどうしてこうなった。
『……どうして叱られてるのかわかるか?』
俺はため息を吐きながら二人をじっと見る。……俺のため息を聞いて体をびくりと震わせているのを見ると、可哀想になってくるがここは心を鬼にしなければならない。
「え、え~と……」
「……」
聡子さんは目を泳がせて答えないし、奏ちゃんは俯いてしまっている。……まずは奏ちゃんからだな。
『奏ちゃん、どうして一緒にお風呂に入ろうとしたのかな?』
「……」
変わらず俯いてなにも答えない。……大人に怒られるって怖いよな。わかるよ。
だからまず、俺自身も正座して目線が合うようにしたあと、膝の上に置いてある奏ちゃんの手を優しく握ってあげる。
『大丈夫、怒ってないよ。なんでお風呂に入ろうとしたのか知りたいだけだよ』
「……ぁ……あ……」
俺に手を握られた瞬間、体が強張ったのがわかった。でも、俺が手を握った事と優しい声色のおかげかようやく声を出してくれた。うんうん、ゆっくりでいいんだよ。
少なくない時間が流れた後、ぽつりぽつりと経緯を説明してくれた。
・俺がお風呂に入ったあと、お母さんがお風呂に行ったのでついていった。
・服を脱ぎ始めたので何をしているのかと聞いたら、手料理のお礼にパパの背中を流すというので、私も流したいと言ったらオッケーされた。
・だから良いと思った。ごめんなさい。
とのこと。……おおもう……。
俺は両手で顔を押さえたくなるのを我慢して、奏ちゃんの頭を優しく撫でる。
『そっかそっか。話してくれたありがとう。じゃあ、なんで叱られたのかはわかるかな?』
「……勝手に……入ったから?」
『そうだね、お母さんが良いと言っても、俺は言ってないからね。これからは勝手に入らないって約束できるかな?』
奏ちゃんも年頃の女の子だ、異性の身体に興味はあるんだろう。しかも母親に許可を得たならもう止まれないはず。
……ここでキツく叱るのは簡単だ、だけどそれをした場合、萎縮して自分がした悪いことよりも叱られたことに頭がいっぱいになってしまい、反省するんじゃなくて
だからこそ、感情的に怒るのではなく理由を聞いて、諭すように叱るのが正解……のはず! たぶん!
「うん、約束出来る」
奏ちゃんは俺の目をしっかり見ながら答えてくれた。よかった、これで正解だったみたいだ。
『よしよし、じゃあ俺はお母さんとちょっとお話があるから、先に服を着てリビングで待っててね?』
「わかった」
さて、問題は
『ほら、奏ちゃんが着替えるから浴室に行くぞ……』
「ひいん、足が~足が~!!」
泣き言を漏らす聡子さんを無理矢理立たせ、手を引いて浴室に連れ込む。
『……で、なんで奏ちゃん巻き込んで背中流そうとしたんだよ』
「手料理のお礼をしようと思って~あの子もしたいって言うから……」
脱衣所から奏ちゃんが居なくなったのを見計らって、俺は
『あのなぁ……もしセクサロイドってバレたらどうすんだよ』
「えへへ~大丈夫かなって~」
だめだこいつ、なにも考えてねえ!!
まったく悪びれない様子に、俺はため息をついてさらに説教を続ける。
『それ抜きにしても、年頃の娘を異性の風呂に入ることを許可するんじゃないよ。お嫁に行けなくなったらどうすんだ』
「あはは~あの子も私と同じくらいブスだからそれは大丈夫よ~」
『いや、十分可愛らしいが?』
第一印象はたしかによくなかった。髪はぼさぼさの黒髪ロングで、この世すべてつまらないみたいな、ちょっと淀んだ目をしていて正直近寄りづらい雰囲気があった。
だが、仲良くなるにつれて目に輝きが戻ってくると、奏ちゃん本来の可愛らしい姿がよく分かるようになった。
目はいつも眠そうな半目だが、テンションがあがるとぱっちりとした
鼻も口も小さめの為、実に小動物チックで美人とかエロいとかではなく、とても可愛らしい子だと俺は思う。
「じゃあ、私をほんとのお嫁さんにしてくれる~?」
『えー、その件に関しては検討に検討を重ねて、最善の方法を模索した後に後日返答できればと……』
俺は天道さんのものだからね、仕方ないね。……それを抜きにしても俺ってセクサロイドだから戸籍ないしなぁ……ってそうじゃない。
『話を逸らすんじゃない。とにかく、まだ奏ちゃんは小学生だからセクシャルな話題や行動は気をつけること。いいな?』
「……は~い」
叱られてしょんぼりとした姿を確認したあと、俺は一つ頷いて聡子さんの頭をよしよしと撫でてあげた。
「んっ……なんですか~?」
『ちゃんと反省出来て偉い!』
「……ッ 」
『あと、お礼してくれる気持ちはちゃんと嬉しかったからな? ありがとな~』
「えへへ~ 」
おかげで良いものみれたしな……しかし、奏ちゃんのお願いを聞いてあげたのってもしかして……いや、これはまだわかr
『あー! タオル取って抱き締めるんじゃない!! あー!!』
「お礼のお礼です~♪」
お腹にでかいおっぱいが!! でっかいおっぱいが!! 巨大で豊満すぎるおっぱいがあぁぁぁぁぁぁ!!
ふと頭をよぎった疑問は、聡子さんのおっぱいに潰されてしまった。うう、おっぱいには勝てなかったよ……。
少しだけ浴室でひと悶着あったが無事、聡子さんに服を着せたあとようやく湯船に浸かることが出来た。
『あ゛~……』
うーん、やっぱり温かさを感じるだけでこう、身に染みる感じがまったくしない……少しだけ残念に思う。けどまあ、気分は味わえるからいいか。
『しっかし俺がパパかあ……』
あれよあれよという間に偽物のパパになってしまったが、初日はなんとかなった。だが問題は……。
あと13日もあるということ……!! 二週間はどう考えても長すぎんだろ……ッ!!
ほぼ初対面の女性二人と疑似家族なんて、どう考えても無理があるんだ…いや、いかん今さら後悔しても遅い。これも天道さんと平和な日常を過ごすために必要な試練なんだ!
俺は顔にお湯をぱしゃりと掛けて気を引き締める。よし、明日も頑張ろう!
決意を新たに、湯船から立ち上がって体を洗うべくボディスポンジを手に取った。……天道さん、何してるかなぁ。ちゃんとお風呂入ってるかなあ……。
◇◇◇
「……」
私は先程届いた荷物の封を開け、ベッドの上で
「お、おお……」
あまりにも……あまりにも布面積が少ない。上なんて乳首は隠れるだろうが、乳輪は隠せないほどにしか布がない。下にいたってはどう頑張っても
私はその下着と言うにはあまりにも頼りない物を一旦脇に避けて、次の物を広げる。……今度はレースが編み込まれている真っ赤な下着だ。ただ……。
「これ、透けないか……?」
ためしに手にかざしてみると、はっきりと指が見えてしまった。これ、下着の意味を成してなくないか……?
「『これを着るだけであなたの魅力を数段アップ! 意中の男性の心をがっしり掴め!』……ねえ」
今まで見向きもしなかったーーいや、着飾る意味を見出だせなかった為、決して買わなかった
「まったく……まさか私がこんなものを買うとはね……」
私は新しく買った下着を適当に放り投げ、ベッドで横になって天井を見上げる。
……最近まで身に着けていたのは最低限下着の機能を果たす、ただそれだけのシンプル過ぎるもので、着潰したら替える。それだけだった。それで充分だったのだ。
「……海くんは今どうしているのだろうか」
ーー一目惚れしたから。 その一言で私は変わり、救われてしまった。
「海くん」
愛してほしいなんて贅沢は言わない。ただ、笑顔で私を抱き締めてくれる存在が欲しくて、造ったセクサロイドからなぜか生まれた摩訶不思議な
「海く……ん」
《両親》ですらくれなかった温もりを容易くくれた人。
「か……ンッ……い……くぅ……ん……」
それ以上の温もりを、熱さをこの身に刻み込んでくれた
「~ッ!!」
ーーああ、私の
私は熱い熱いため息をつく。いかん、これは癖になりそうだ……。
「……はあ、シャワー浴びるか」
私は気怠い身体を起こしてシャワーを浴びに浴室へ向かう。……あと13日か。……長いなぁ……。
◇◇◇
『ちょ、なにその格好!?』
「私、寝るときはベビードールなのよ~」
「ママはいつもすけすけ」
まじかよ最高かよFoooooooo!!
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また、誤字脱字報告本当にありがとうございます!!
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