や、やばいやばいやばい!! どうして!? なんでっこのタイミングで!?
頭の中でやばいと、どうしようという言葉がぐるぐる回る。そうだ、俺は
「パパ……ねえ、パパ……?」
奏の不安そうな声を聞いて、俺は我に返る。自分の迂闊さを呪う前に、まず奏の誤解……いや、誤解じゃないがとにかく安心させねば!!
『へえ。新しいセクサロイドが発売されるんだな~』
「パパ?」
『ん? どうした奏?』
俺はなんでもない風に装いながら、奏に微笑みかける。このときばかりは冷や汗とか出ないセクサロイドの身体に感謝しかない。
「……さっきのって」
それでも奏の俺へのセクサロイド疑惑は晴れた訳じゃない。どうする、ここからどう挽回する……!
『ああ、新しいセクサロイドみたいだな。まあ、奏にはまだはy「パパ!!」……』
適当に管に巻こうとしたが、奏は誤魔化されなかった。この家に来て初めて聞いた奏の大声に、俺は言葉に詰まってしまう。
「なんで新型セクサロイドがパパそっくりなの? パパはセクサロイドなの……? パパはパパじゃないの……?」
目に涙を溜めて俺を睨む奏に、俺は……。
『俺は奏のパパだよ。そうだろ……?』
「じゃあ答えてよ! パパはセクサロイドなの? 人間なの? どっち!?」
大きい声を出したせいか、奏の瞳から一粒の涙が溢れ落ちるのを見て、俺は腹を括る。
ーー俺は人間だよ
「……じゃあ、なんでセクサロイドはパパそっくりなの?」
目をごしごしと拭って、俺にすがるような目で見てくる奏に、あえて
『……奏、今から言うことは聡子さんに内緒にできるかい?』
「ママに内緒……?」
『そう、とっても大事なことなんだ……できる?』
本当に話したくないという雰囲気を出しながら、奏をじっと見つめる。
「……うん。できる」
目元が赤くなった奏は力強く頷くのを見て、俺はぽつりぽつりと話し始める。
『セクサロイドが俺と瓜二つなのは……俺を
「え?」
『実は、開発者の天道博士と俺は、同じ部署で働いていた同僚でな……』
よくわかっていない様子の奏に、俺は必死に練り上げた
同僚だった天道博士に一目惚れされたこと。猛烈なアプローチをされたが断り続けていたこと。そんな中、俺と聡子さんが付き合いはじめて……心を病んだ天道さんが、俺そっくりのリアルなセクサロイドを作ってしまったこと。それが会社の偉い人の見つかって商品化してしまったこと。
俺の話を聞いた奏は、それはもう驚いたし悲しんでもいた。
「そう……だったんだ」
『ああ……この話は聡子さんももちろん知ってる』
嘘である。
「……ごめんね、パパを疑ったりして」
『いいんだよ。話さなかった俺も悪いんだから……』
ごめん……ほんとごめん天道さん……貴女の元に戻ったらなんでもするから許してほしい……。
俺が心の中で天道さんに土下座して謝っていると、奏は頬を膨らませて怒りはじめてしまった。え、なんで?
「それにしても信じられない。パパがいくら優しくてかっこいいからって、パパそっくりのセクサロイド作るだなんて」
『は、ははは、そうだね……』
フラれた相手のセクサロイドを作るなんて完全にやばい奴である。しかも商品化もするとか……。
「たまに遊びに来てたけど、そんな人だなんて知らなかった。ねえ、ママは止めなかったの?」
『セクサロイドを取り上げたらストーカー化するかもって話になったから止めなかったよ。……それに聡子さんの大事な友達だったしね』
なんとか適当にそれっぽいことを言って誤魔化す。今回は素直に信じてくれたようだが納得いかないようにでまだむくれていた。
『だから、もし天道博士が遊びに来ても怒ったりしたらダメだよ? この話はもう終わったことなんだから……』
そういって頭を撫でるとようやく機嫌が直ってきたのか気持ちよさげに撫でられていた。……なんとか誤魔化せた……よかった。
「ねえパパ」
『ん? なんだい?』
「パパがセクサロイドじゃないって証明して?」
あかん、誤魔化せてなかった!!
『な、なんでだ? 似てる理由は話したろ?』
「うん。だけどセクサロイドじゃないって証明はしてないよね?」
ぐうの音も出ない正論である。まあ、顔は笑ってるから本気ではないみたいだけど……。
『やれやれ、じゃあどう証明すればいいんだ?』
動揺を悟られないように、困ったような笑みを浮かべて肩をすくめてみせる。
「簡単だよ。私にえっちな事をしてほしいの」
『どうしてぇ……?』
ソファーに座った俺の目の前で、目をキラキラさせながらこちらを見ている奏の顔を見て、頭を抱えたくなるのをグッと耐える。
「パパも知ってると思うけど、小学生はセクサロイドが使えないの」
『そりゃまあ、まだ使うには早いよね……』
「というわけどうぞ」
『ええ……?』
両手を腰に回し、胸を張ってどうぞと言わんばかりに突き出してくる奏。
揉めと? 小学生の胸を揉めと!? いやまあ、母親の遺伝かかなり立派なものをお持ちのようだけども!!
『さ、さすがに娘の胸を揉むのは……ねえ?』
「……パパはセクサロイドなんだ……本物のパパじゃないんだ……」
うるうると目に涙を溜め始める奏に俺は慌てて
『尻! 尻なら揉むぞ!? それならどうだ!?』
「……パパはお尻好きなの?」
一瞬で涙が引っ込む様子に騙されてるんじゃね? と思わなくもないが、今はどうでもいいと頭を切り替える。
『ああ、実は尻が好きなんだ俺』
ーー嘘である。俺は尻よりおっぱいが好きだし、おっぱいが大好きである。
故に、尻なら下心なく揉める。……いや、小学生の尻を揉むとかやばくないか? おっぱいと同じくらいやばくないか? いや、おっぱいと尻はイコールではないから大丈夫なはずだ。
「……わかった。痛くしないでね?」
『あ、ああ……』
くるりと俺に背を向けると。揉みやすいように尻を突き出してきた。
ぴっちりとしたデニムに包まれた少しだけ丸みが帯びている尻に、俺はゆっくりと人差し指を這わす。……うん、デニム生地の手触りしかかんじねえ。これならいける!
「ひゃうっ……♡く、くすぐったいよパパ……」
『す、すまん。……じゃあ、揉むぞ?』
そう返事をして両手で小さなお尻を包み込むように鷲掴みにする。おー、やっぱ尻だから柔らかいなあ……。
「んっ……♡んっ……♡パパ、はげしっ♡」
『そうか?』
よし、おっぱいならともかく尻なら興奮しない! これは健全!!
揉む度におっぱいとは違う感触に、つい楽しくなって揉みまくってしまう。……あれ? なんかちょっとエロさを感じるような……?
俺の心になにかが芽生え始めた時、玄関から声が聞こえた。
「ただいま~お弁当忘れちゃった~」
「!?」
『聡子さん!?』
ぱたぱたとこちらに近づいてくるスリッパの音を聞いて、慌てて手を離す俺。奏ちゃんも背筋を伸ばし、真っ赤になった顔を冷ますように手で仰いでいる。
「ただいま~。あ、二人ともリビングにいたの?」
『あ、ああ。テレビを見てたんだ』
「そうだよパパとテレビをみてたよほんとだよ?」
それは逆に怪しい事してた風に聞こえるからやめてくれ奏。……いやまあ、してたけども。
俺たちのおかしな雰囲気に首を傾げるも、特に気にせず荷物やスーツの上着をソファーにかける聡子さん。
「そうなのね~。お弁当忘れちゃったからお昼食べに戻ったのよ~」
『そうか、もうそんな時間か……今から作るけど時間は大丈夫?』
慌てて時計をみると時刻は12時を少し過ぎたところ。しまった、揉むのに集中しすぎてたか……。
「大丈夫大丈夫~」
「パパ、私が作るよ?」
『いやいや、朝食作ってもらったから昼は俺が作るよ』
立ち上がり、キッチンに向かおうとすると背中から声をかけられる。
「あ、お客様が一人いるけど大丈夫~?」
『お客さんか? まあ、一人ぐらいなら大丈夫だぞ?』
三人分も四人分も手間はそんな変わらないから大丈夫だが……奏は大丈夫だろうか?
俺が心配そうに奏を見ているのに気づいたのか、聡子さんは俺を安心させるように笑いかける。
「大丈夫、奏ちゃんもパパも知ってる人よ~」
え、俺も奏も知ってる人って……え、まじ!?
『ちょ、まっ!!』
俺が止めようとする前に、聡子さんに手招きされてリビングに入ってきたのは、会いたくて会いたくてしかたなかったーー
「やあ、お邪魔するよ。海君に奏」
天道 歩。その人だったーー。
更新が遅くなってしまい申し訳ありません!
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