「……なるほど、つまり海君はこの世界の人間ではないと。確かにまあ、そうであるなら色々腑に落ちるものがある」
初体験を済ませた俺たちはまたすぐに二回戦を始めて……まあ、めちゃくちゃヤりまくった後、天道さんがお腹を鳴らしたため泣く泣く中断し、昼食を取りながら色んな話をした。……ちなみに、何度も求めてきたのは天道さんの方である。恥ずかしがりながらおねだりしてくる姿はとてもとてもえっちだった。
『まじですかぁ……男女比1:100……? 男は貴重な存在で政府に保護されてるとか……いやまあ、それはいい。それはいいんだけどさ』
「ふふ、どうだい? このミス日本代表は。とても美しいだろう?」
『天道さん……答えわかって聞いてるでしょ……』
昼食を食べ終えた天道さんが立ち上がり、ベッドに腰かけていた俺に意地悪そうな笑みを浮かべつつ抱きついてくる。俺は抱き返しつつも、モニターに写し出されていた動画から目が離せなかった。
ーーそこには、満面の笑み?を浮かべている肉団子の姿があった。いや、顔に肉が付きすぎてて目が開いてるのかどうかすらわかんねぇ……なのに鼻と口はめちゃくちゃはっきりわかる。
『俺のいた世界では……その、まあ……というか、なんで逆に2位の人はほとんど骨と皮なんですか、そのわりに目と唇はめちゃくちゃでかいし』
「ふむ、体もそうだがこの二人は特に美しいね。顔のパーツの大きさと配分が実に……」
そういって目を伏せる天道さん……え、マジで嫉妬してるの!? この顔を!?
『天道さん天道さん、俺はこの二人より天道さんの方が美人と思っていますから。いやほんとに。だからそんな顔しないでください』
「……ほんと?」
『ですです。見てくださいよこれ。また天道さんとしたくておっきくなってるんですから』
「……システムを起動させたらそんなものすぐ大きく出来るだろ……」
く、そう言われたらそうなんだけど……この体、便利だけど不便だなぁおい!
『じゃあ、なんで俺が大きくしたと思います……?』
「……わかんない」
そういって俺の腕を強く抱き締めながら上目遣いで見つめる……絶対わかっていってるだろこの人。
『……天道さんを抱きたいからですよ』
「ッ♡ か、海くん!!♡」
そういって俺をベッドに押し倒し、唇を重ね『博士、いらっしゃいますか?』部屋に響くノックの音!?
『お、お客さんですよ天道さん!! と、とりあえず服を着てください!』
「それよりも君はベッドに横になって動くんじゃないぞ!? わかったね!?」
あわあわと慌てて起き上がり、天道さんに服を着せようとする俺を押し止めている間に来客が部屋の中に入ってきた。
「博士、居るなら返事を……うっわ……」
「……返事を聞いてから部屋に入りたまえ」
『……』
間一髪、俺は全身をピンと伸ばして固まる事が出来た。
「びっくりした……とりあえず服を着てください」
「君が着る前に入ってきたんじゃないか……」
くっ……さすがに動くなと言われた手前、首を動かして見ることができない……目だけ動かしてもだめだ。どうがんばっても見れないので俺は耳を澄ませる……うーん、すごいな、話をしてるのにしっかり服を着る音まで聞こえる。
「しかし、まさか博士が使用するなんて意外ですね、今までの試作品は稼働試験だけして使わなかったのに……そんなに良いのができたんですか?」
「私だって女だ。そういう日もある……まあ、良いものは出来た。彼がそうだよ」
「……彼? おお、あれが! さすが博士、いい仕事しますね。私は球体間接が好きなんですがやはりメンテナンスとか潤滑油でベッドが汚れるのが気になっちゃって」
天道さんじゃない声の主がだんだん近づいてくる。なるほど、とりあえず本物のセクサロイドの振りをすればいいんだな?
「まて、それ以上近づくんじゃない。まだ起動試験の途中だ」
「なに言ってるんですか、起動試験は午前中の予定ですよね? もうとっくに終わってるはずでは?」
「……」
「別にいいんですよ、楽しんでいても。ただ、ちゃんと報告していただけないとこの後の工程に響くんです」
「ぐ……す、すまない」
あかん、ぐうの音も出ないくらいの正論だ。そういえば起動試験の最中だってのにヤりまくってた。
「ではさっさと清掃して持っていきますよ」
「は?」
は?
「起動試験が終わったんですから、商品開発部に渡して仕様やらなんやらを確認してもらわないと……納期まで時間はないんです、ちゃっちゃっとやりますよ!」
え、そうなの!? 起動試験終わったら営業部に渡すだけじゃないの!?
「ま、待て! 待ってくれ!!」
「うわ、びっくりした。いきなり大声出さないでくださいよ……なんです? ただでさえAI再検査で期限押してるんですよ?」
ドキドキしながら成り行きを見守って……聞き守っていると、天道さんの大声でびくりと体が反応してしまった。大丈夫だよな、ばれてないよな?
「せ、清掃は私一人で行うから! 君は外で待っていてくれないか?」
「いや、二人でした方が早い……あー、いや、そうですね。申し訳ないですがお願いしていいですか?」
「う、うむ! 任せたまえ!」
あれ、急かした割りにはあっさり引いてくれたな……まあ、これでなんとか天道さんと話す時間が出来た。早く対策を練らねば!
「では、部屋の前で待ってますので、終わったら声をかけてくださいね。……あと」
「な、なんだ? まだなにかあるのか?」
「……部屋、すごく臭いです。最近ちゃんとお風呂入りました? そんな状態でセクサロイド使ったら臭いが染み付きます。なので念入りに消臭と消毒、してくださいね。シャワーもついでに入ってください」
「」
……oh……嗅覚センサーに表示された数値が高いのって、いい匂いってことじゃなかったんだ……
『……あー、天道さん? そんなに落ち込まなくても……』
「……」
知らない人が居なくなったのを確認して起き上がった俺は、呆然とドアを見てフリーズしている天道さんを抱き上げ浴室に向かう。
『い、いやぁ、研究室?にベッドがあるのもそうですけど、浴室まであるなんてすごいですね! しかもユニットバス! これなら全然研究室に住めちゃいますね!』
ぴくりとも動かない天道さんの服を脱がせながら話しかける。そっとしてあげたい……あげたいけど事態は急を要するんだ……っ!!
「……はっ!? な、何をしている海君!?」
『あ、戻ってきました? いや、お風呂に入ろうと思って服ですね……』
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
『おぶ!? い、いきなりどした!?』
天道さんに唐突に突き飛ばされてドアに頭や背中を打ち付ける。あ、視界に黄色のダメージ数が出た……。
「い、いいいいか海君!! しばらく、しばらくそのままでいたまえ!! いいか、決して私の服や下着に触れるんじゃないぞ!? わかったか!? わかったなら返事!!」
『はい!』
「よし!!」
そう言って下着を脱いだあと、ソレを白衣に包んで脱衣所の隅に押し込み浴室に飛び込んでしまった。……なにも言うまい……なにも……。
浴室にまで聞こえる、ごっしごっしと体を洗う音をBGMにしながら俺は視界に表示されたインターフェースを操作できないか挑戦していた。
ーーすごい。視界にあるソレを見たいと思うだけで、別ウィンドウが現れて詳しい事がわかるのか……思考入力というやつだろうか、すごい近未来的だ……。
まるでSFの世界……いや、まあセクサロイドなんてものがあるんだからSFな世界なんだけど、その事実に改めて直面して俺は少しだけ興奮した。しかし問題はある。それは
人間だった頃のように感じるんだが、情報でしかもらえないような感覚。なんて言えばいいんだ、柔らかくて気持ちいいと思う前に、柔らかさ45気持ちいい、みたいなワンテンポ遅れてやってくる感覚がどうも変な
「ま、待たせたね海君……そ、その、君の洗浄もしないといけないから……一緒に入らないか……?」
ひゃっはー!! 入る入る!! 感覚の話? そんなもんは後でいいだ後で! 気持ちいいもんは気持ちいい! それでヨシ!!
天道さんにボディを徹底的に洗われたあと、一緒に湯船に浸かっている。狭い湯船なので天道さんは俺の膝の上だ。
「すまない、商品開発部が検品することを忘れていたよ……」
『いえ、色々ありましたし仕方ないですよ……それよりどうしましょう?』
俺に背を預け、ぱちゃぱちゃと湯を叩く天道さんを見ながら、こっそり頭の匂いを嗅いでみる。……うーん、石鹸の良い匂い……。
さっきまではなんにも匂いしなかったのに……もしかしてあれか、ある一定以上の数値が出たら五感がシャットアウトされるのか?
「それなんだが、特段心配することはない」
俺は匂いを嗅いでいるのに、天道さんは真面目に対策を考えてくれている。さすがにこれは失礼なので嗅ぐのはやめておこう。
『え、そうなんですか?』
「仕様の確認だからな、言われたことを黙々とこなせばいい」
『そんなことでいいんですか?』
「ああ。今の君は設定ソフトを入れていないからただのアンドロイド……と思われている。だから返事も機械的にすること。……できるね?」
『畏まりました』
ためしにやってみると、天道さんは振り向いてよろしいと笑いかけてくれた。
「あと、私の事は博士と言うように。天道博士と呼んではいけないよ?」
『畏まりました』
「……今はまだいいから」
なんて言って俺の腕を抱き締めてくる天道さん……可愛いかよ……。
『そろそろお風呂からでましょうか、あの人も待ってますし』
「……そうしようか」
『あ、体拭いたり髪を乾かしましょうか?』
名残惜しそうに湯船から立ち上がる天道さんに声をかける。下心などではなく、あくまで俺の奉仕心からの言葉だ……どうも、天道さんはずぼらな人みたいだし。
「ふぐっ……時間がないんだ。それはやめておこう」
『そうですか……わかりました』
断られてしまった……。いかん、ちょっと調子に乗ってしまっているな、俺。これでは一回えっちしただけで彼氏面する痛い奴みたいじゃないか……え、えっちするくらいの仲なら恋人じゃないんですか?
なんて自分の言動に少し反省していると、高性能な耳が浴室から出る博士の言葉拾ってくれた。
「……それに、我慢出来る自信もないし……な」
はぁん……。しゅき……。
過去話ばかりになってすいません……次の更新でなんとか過去から脱却したいです。
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