『キィーー!!!』
宿儺が虎杖へと代わる時、甲高い声が響き渡る。
「おっ、大丈夫だった?」
「驚いた。本当に制御できてるよ」
虎杖は自身の心配よりも五条の心配をする。
「でも、ちょっとうるせーんだよな。『こぞー! 絶対に許さないんだから!』って」
自身の内でギャーギャー喚く少女の声をかき消そうと頭をガンガン叩きながら言う。そんな彼に五条は、奇跡だね〜アハハ〜といった感じで笑う。そして虎杖の無事を確認し終えてから、額に指を当てる。すると、虎杖は体の制御を失い、倒れ込む。
「何したんですか」
倒れてきた虎杖を抱えた五条は気絶させたのとさも当然かのように言う。
それから色々あって、虎杖は全ての指を取り込んだら死刑ということになった。
一方、生得領域での宿儺は……
「な、何なのよコイツ!! 早くこっから出せぇ!! 裏梅に会わせろぉ!!」
▽
東京都立呪術高等専門学校。日本に二校しかない呪術教育機関の一校。
そこに虎杖は入学のため招かれていた。
「とりあえず、悠仁はこれから学長と面談ね」
「学長……」
「下手打つと入学拒否されるから気張ってね」
「ええっ!? そしたら俺、即死刑!?」
「な〜んだ。おじさんが頭じゃないんだぁ♡」
そんなやり取りをしている五条と虎杖の輪に割って入る
「力以外の序列はつまらないね。あ、でもでもぉ! 勘違いされると困るから言っとくけどぉ、おじさんもワタシに比べれば弱いからね。ざ〜こ♡」
「ははっ、僕に勝てなかったくせによく言うね」
突如虎杖の頬に現れる大きな口。その口は宿儺のものであり、五条に対して煽りを入れる。恐らくこの世界に五条を雑魚と言えるのはこの
そして五条はその安っぽい煽りに、笑いながら言い返した。
「は、はぁ!? 負けてないし! たった一本分で勝ったつもり? おじさん、だっさ〜い♡」
「それ、負け惜しみ? 悠仁に抑え込まれて口しか出せないくせに。そっちの方がダサいじゃん。
ま、そんなことどうでもいいんだ。宿儺に聞きたいことがある。君は歴史上では男ってことになってるんだけど、女だよね…?」
宿儺は一瞬何言ってんだ? デリカシーねぇな、と思ったがすぐに理解した。
「あー、あれでしょ。女のワタシに負けたのが悔しくてぇ♡ 恥ずかしくてぇ♡ 情けないからぁ♡ 男ってことにしたんでしょぉ。ホント、ダサくて惨めだよねぇ♡」
「やっぱそう言う感じか」
「今も昔もおじさんがダサいのは変わらないねぇ♡」
五条はウンウンと頷き、分かってるねとニコニコしながら歩く。
「アンタはおじさんの中でもマシだね♡」
「おじさんじゃないよ。まだピチピチの現役だもん」
「なにその言葉遣い〜。きっもぉ♡ 今のおじさん、すっごぉ〜くきもちわるかったよぉ♡」
「おじさんおじさん言ってるけど、そっちは平安時代のおじいちゃんでしょ? いや、おばあちゃんか」
「誰がおばあちゃんよ! このクソジジイ!!」
「どの口が言ってんの。僕より明らかに歳上じゃん」
「…チッ。まあ、いいよ。一応おじさんには借りがあるからね。こぞーの体をモノにしたら真っ先に自称さいきょーおじさんを殺してあげるね♡」
「宿儺に狙われるなんて光栄だね。楽しみにしてるよ」
五条は口角を上げ、嬉しそうに溢す。
「やっぱコイツ有名なの?」
「両面宿儺は腕が四本顔が二つある仮想の鬼神。だがそいつは実在した人間だよ。千年以上前の話だけどね。
呪術全盛の時代術師が総力を挙げて彼に挑み敗れた。宿儺の名を冠し死後呪物として時代を渡る死蝋さえ僕らは消し去ることができなかった。紛うことなき呪いの王……いや呪いの女王……女王って感じもしないな〜」
「そ、っか……」
呪術を知って間もない虎杖に宿儺の実態を説明する。虎杖は伏黒の反応を見て、善人でないと分かっていたが、この可愛い声や子どもっぽい言動の宿儺がどうしても悪人には思えなかったため、ショックを受けた。
「先生とどっちが強い?」
「う〜ん、そうだね」
少しの間考え込む五条。そしてゆっくりとその口を開く。
「力を全て取り戻した宿儺にならちょっとしんどいかな」
「負けちゃう?」
虎杖の少し不安を孕んだ声。しかし五条は当然かのように言う。
「勝つさ」
カッコよく決めた五条であったが、そこに待ったをかける人物がいた。先程閉じられた口が再び開く。
「やーい♡ やーい♡ 凡夫♡ 凡夫♡ なにカッコつけてんだよぉ〜。
ワタシの指一本でさえ破壊できないくせにぃ♡ 勝てると思ってるのぉ? キャハハハハハハハハハハ!!!!」
宿儺は高い声で、たくさんの唾を飛ばしながら笑い続ける。ただ満足いくまで、ひたすらに。
あまりの煩さから五条と虎杖の二人は耳を塞ぐ。そして笑い始めてから一分が経ち、ようやく笑い声がおさまる。
「あぁ〜♡ たくさん笑ったぁ♡ お腹いたぁ〜い♡ もう笑わせないでよぉ♡ ぼんぷぅ〜♡」
「……先生、絶対に勝ってくれよ」
「勿論。僕 最強だから」
この二人には絶対にこの
▽
「はぁ、せっかくお外に出られたと思ったら……」
髪を後ろで束ねた綺麗なポニーテールをぶら下げる
「でも、受肉したってことは裏梅もこの時代にいるってことなんだよねぇ」
宿儺は羂索という平安時代の知人に呪物にしてもらい、長い時を経て表へと出ることができた。
羂索はある計画のために宿儺が必要であった。宿儺は全く興味がなかったが、裏梅の異なる時代の食材で作った料理が食べたいなぁと思ったため、羂索の計画に一応は応じることとなった。縛りは結んでないが。
「あぁ〜、早く裏梅の料理食べたいなぁ〜」
うつ伏せの状態で両脚を交互にパタパタさせながら言う。宿儺は前述した通り、裏梅の料理を食べたいがために、呪物となった。
裏梅以外の料理は全部ゴミだと思っているため、口をつけようとしない。体に覚えさせられたあの味を忘れることができない。
――裏梅はこの世界で唯一、宿儺を(料理で)わからせた人間なのだ。
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