メスガキすくな   作:やめちくり〜

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ちまちま書いてたら出来上がっちゃった。
ストックしとこうと思ったけど、前回キリが悪いところで終わっちゃったから、投稿。多分明日も投稿する。



おじさんの大っきい♡

 

 雨に打たれながら、伏黒は虎杖の帰りを待っていた。

 

「(生得領域が閉じた!! 特級が死んだんだ)」

 

 無事に釘崎を連れ出し、建物から脱出した伏黒は生得領域が閉じたことで呪霊が祓われたことを理解した。

 

「(後は虎杖が戻れば……)」

 

 虎杖が戻ってくることを願うが、その希望は伏黒の肩をちょんちょんと人差し指で突かれることで崩壊する。

 

「おにーさん♡」

 

 あの時を思い出す甘ったるい声が耳に響き、すぐに振り返るとそこには───

 

「なっ!?」

 

───嘲笑うような笑みを浮かべる宿儺(メスガキ)がいた。

 

「アイツなら戻らないよ♡」

 

 伏黒は、石を投げればメスガキに当たると言われるほど多く生息するメスガキと似たような甘ったるい声をかけられているのにも関わらず、冷や汗が滝のように流れ出れ、体の震えが止まらない。"恐怖"という言葉では表しきれない感情が全身を襲った。

 

「なんでそんなに怯えてるのぉ? それでも呪術師ぃ? だっさぁ♡ ざーこ♡ ざーこ♡」

 

 宿儺は息を吐くように罵倒する。と、そこで何かを思い出し、口を開く。

 

「あ、そうだそうだ。言い忘れてた。ここ見てよ、ココ♡」

 

 宿儺は自身の心臓辺りに穴が空いている制服を指差す。そしてよく見ると、制服どころか肉体までも穴が空いていた。伏黒は一瞬何が起こっているのか理解できなかったが、宿儺がポケットから取り出した心臓を見て理解させられた。

 

「まさか……!?」

「そう、そのまさか♡ 理解できて凄いね♡」

 

 宿儺は手に持っている心臓を伏黒の顔に投げつける。

 

「ッ──!?」

 

 凄まじいスピードで迫り来る虎杖の心臓を当然避けることのできない伏黒は見事にクリーンヒットを決められてしまい、声にならない声をあげて体が後方へと揺れる。そしてそんな彼の顔は虎杖の血で赤く染まっていた。

 

「ぷぷっ、お、お似合いだね、その顔。見慣れてるからかなぁ? 赤い血がよく似合う♡」

 

 よわよわおにーさんは常日頃から血塗れだから♡ と体を震わせながらバカにする。

 

「ワタシは心臓が無くても生きられる。でもこぞーは違うんだぁ♡ つまり、こぞーが戻ってくることは死を意味するの」

 

 宿儺は一歩ずつ足を動かして伏黒へと近づく。

 

「虎杖は戻ってくる。その結果自分が死んでもな。そういう奴だ」

 

 伏黒は短い期間ではあるが、虎杖の善性を見ていた。だから震える声を押し殺して、そう言い切ることができた。

 

「こぞーにそんな度胸はないよ。だって、さっき泣きじゃくってたもん。『死にたくなーい、わーん、わーん。怖いよぉ〜』ってさ♡」

 

「(腕が治ってる。治癒…。反転術式が使えるんだ。宿儺は受肉してる心臓なしで生きられるとは言え、ダメージはあるはずだ。虎杖が戻ってくる前に心臓を治させる。心臓を欠いた体では俺に勝てないと思わせるんだ)」

 

 伏黒は脳内で虎杖を助ける算段を思い浮かべる。

 

「(できるか? 特級の前ですら動けなかった俺に…。いや、できるかじゃねぇ、やるん──)」

「おにーさんとワタシの二人っきりだね♡ なら、分かるよね♡」

 

 自身を鼓舞している最中に宿儺は口を伏黒の左耳へと近づけて囁いた。

 そんな欲情を掻き立てるような言葉を耳元で囁かれたら、思春期の男、いや思春期でなくとも色々勘繰ってしまう。しかし、相手は宿儺。一部の界隈ではご褒美になり得るが、生憎世の男が考えるようなことを意図しているわけではない。

 

「ぐっ……ッ!!」

 

 伏黒は式神を召喚する暇もなく、宿儺の速すぎるという言葉で言い表せない、目にも止まらぬ速さで拳が腹部へと刺さり、体を()の字に曲げて吹き飛ぶ───

 

 

 

「だぁめ♡」

 

 

 

───寸前に伏黒の左腕を掴み、自身の方へと引き寄せて再び耳元で囁く。

 

「この程度で痛がってるのぉ? 呪力の扱いがなってないなぁ。ざっこぉ♡」

 

 宿儺はお腹に呪力を込めてね♡ とアドバイスを送り、腕を掴んだ状態で伏黒の動きを固定し、腹部に膝蹴りを入れる。

 

「ガッ……!!」

 

 伏黒は口から血を噴き出し、その場で腹を押さえる暇もなく、両膝が地へと向かう。が、地に両膝が着く寸前に体が浮かび上がった。

 

「はい♡ はい♡ 手加減してあげてんだから、そんなすぐに休憩しないでよ♡ ワタシまだまだ足りないから、いっぱ〜い楽しませて♡」

 

 宿儺は伏黒のツンツンした髪を掴み、無理やり立ち上がらせると、ほぉーれ♡ とニコニコしながら軽く投げる。

 軽く投げられたとは言え、それは宿儺基準である。伏黒は水切りのように地面をバウンドし、五〇メートルほど先でようやく動きが止まった。その際、肋骨の何本かが粉砕した。

 

「(これで手加減かよ……!!)」

 

 仰向けで倒れている伏黒は腹の辺りに手をやり、穴が空いていないか確認する。あの一撃は穴が空いていてもおかしくなかった、そう思えるほどの重い一撃が刺さっていた。恐らく、宿儺のアドバイスがなければ確実に穴が空いていた。

 

「(クソ…!! もうこれしか──!?)」

「おにーさん、もうおしまい?」

 

 伏黒が上手く回らない頭で必死に思考した結果、自死覚悟で式神を呼び出すことに決めた。しかしその直後、背後から恐ろしい宿儺(メスガキ)の声が耳に響き渡った。

 

──『大蛇』

 

 伏黒は横たわりながら、反射的に召喚しようとした式神ではなく、片手ですぐに召喚できる式神──大蛇を呼び出した。

 白く巨大な大蛇は影から姿を現し、宿儺を大きな口で豪快に挟み込む。

 当然、伏黒はこれだけで宿儺をどうこう出来るとは思っていない。ちょっとした時間稼ぎ程度。この隙に伏黒は最強の式神を召喚しようとする。

 この時の伏黒の頭には虎杖を助けるという考えは存在していなかった。ただ、眼前にいる宿儺(メスガキ)殺す(わからせる)という強い気持ちしかない。

 

「布瑠部──」

 

 大蛇の口に挟まれていた宿儺は斬り裂くように破壊し、体を自由にする。

 

「由良由良──」

 

 宿儺は地面に着地し、伏黒からの呪力の"起こり"に目を見開く。

 

「八握剣異戒神将──」

 

 魅せちゃえ♡ 魅せちゃえ♡ と、まるで幼い子どもが新しい玩具を買い与えられたかのような笑みを浮かべて宿儺は言った。

 そして宿儺の明るさとは反対に、伏黒の周りは静寂に包まれた。

 

 

──『魔虚羅』

 

 

 伏黒の身長の二倍程ある神々しさを感じさせる白い巨体──魔虚羅を影から呼び出した。そして周りにはまるで救世主の登場を祝うかのように玉犬、蝦蟇などの式神が雄叫びを上げる。

 

「すっごぉ〜いね、恵くん♡」

 

 

 

──宿儺(メスガキ)殺す(わからせる)、その伏黒の意志を継いだ魔虚羅(わからせおじさん)が一本の大きくて逞しい(つるぎ)をぶら下げて宿儺(メスガキ)にその姿を見せた

 

 




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