メスガキすくな   作:やめちくり〜

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虎杖を♀にしてしまえば、宿儺になってもメスガキとして映える

それは雑魚の思考だ

男体のメスガキでも、〇いてみせる!!



おじさんのくせに……!!

 

 影から姿を見せた魔虚羅(わからせおじさん)はこのメスガキィ!! とでも言ってるかのように思える怒りに満ちた表情を浮かべ、眼前にいる術者の伏黒を吹き飛ばす。

 

「あ、そーゆー感じね」

 

 宿儺は今の魔虚羅の動きで何が起こったのかを大方理解した。

 

「(調伏の儀…ってところかな? この式神(おじさん)なら、あの虫くんなんて敵じゃない。それに今のワタシだと割とキツそうなくらいには強い。負けないケド。

 恵くん自身は弱っちいから、式神(おじさん)を飼育できていない……)」

 

 宿儺がそう考えている内に、魔虚羅は一歩ずつ宿儺との距離を詰める。しかし、宿儺は気にせずに吹っ飛んでいって倒れている伏黒に目線を移し、思考する。

 

「(式神(おじさん)がまだ生きているってことは、術者はまだ生きているはず。逆に術者が死ねば、式神(おじさん)も消える…はず)」

 

 魔虚羅は未だ動こうとしない宿儺に剣を振るう。それを宿儺は後方にズレることで躱す。

 

「(何かの拍子に恵くんが巻き添えを喰らって死ぬなんて興醒めだしなぁ)」

 

 宿儺は伏黒が死んでは新たな玩具が無くなってしまうと考えた結果、まずは伏黒の対処を優先することに決め、地を蹴って一瞬で伏黒の元へと移動した。

 

「うーん、これは仮死状態……?」

 

 伏黒を見つめながら、顎に手を当ててそう呟く。

 

「わぁー、骨折れてんね♡ かわいそ〜♡」

 

 宿儺はケラケラと笑い、関節が外れたり、骨が折れたりしている伏黒の腕をぶらんぶらん揺らしながら遊ぶ。

 

「死んじゃったら、あのおじさんと遊べなくなっちゃうからね」

 

 そう言うと、宿儺は伏黒の胸元に手をかざし、反転術式を施す。

 

「ま、これくらいなら死なないでしょ」

 

 宿儺伏黒の体を死なない程度に治して魔虚羅の方へと視線を移し、ニンマリと口角を上げた。

 

「ご飯の前の運動として遊んであげるよ。感謝してよね、おじさん♡」

 

 宿儺はやっと自由になり、裏梅のホッカホカのご飯を口に運べると思い、気分が大変良かった。

 受肉したというのに、虎杖という檻に閉じ込められて不愉快極まりなかった。

 ……と言っても虎杖で遊ぶのが思いのほか楽しかったため、割とそうでもなかったりもする。結局、自分が楽しければ何でも良い。それが宿儺というメスガキなのだ。

 

「おいで、おじさん♡」

 

 その声を聞いた魔虚羅はニヤっと笑い、宿儺へと一直線に迫る。それを宿儺はどのくらいの威力なのかを確かめようとその場で迫り来る魔虚羅を待つ。大きく振り下ろされた魔虚羅の剣を両腕で受け止める。

 

「グッ……!!」

 

 剣によって宿儺は下へと押し込まれ、地面に亀裂が走り、大きなクレーターを作った。

 

「(重たすぎ! それにこの力は……)」

 

 宿儺は今の一撃でそれなりに戦力差があると冷静に分析し、加わっている力を横へと逃し、その場から大きく離れる。

 そして、ふぅ……危ない危ないと息を整えてポケットを漁り、先程呪霊から取り返した自身の指を口へと運ぶ。それにより、宿儺は呪力量と呪力出力などを少しではあるが取り戻した。

 

「恵くんの狙い通りになるのは癪だけど…」

 

 更に、宿儺は自ら抜き取った心臓を再生させながら考える。

 

「(あの刃は呪霊特化の『退魔の剣』かな。反転術式と同じ正のエネルギーを纏ってる……)」

 

 魔虚羅は逃げられた宿儺に視点を合わせて、再び迫る。が、その前に宿儺は右手を魔虚羅に向けて口を開いた。

 

──『かい♡』

 

 宿儺の不可視の斬撃が魔虚羅の巨体に刻まれる。

 

「(火力が足りない…。指三本じゃ、厳しいなぁ)」

 

 しかし思っていた以上にダメージが通らなかったことに宿儺は凹む。

 

──ガコンッ

 

 背部の方陣が回ると魔虚羅の傷が綺麗さっぱりなくなっていた。

 

「(再生持ち? 反転術式とは何か違う…。そういう術かな…?)」

 

 宿儺は疑問を解消しようと試すようにピッと不可視(・・・)の斬撃を飛ばす。

 が、魔虚羅はまるで斬撃が見えているかのように弾いた。

 

「うそ…!? ワタシの術が見えてる!!」

 

 宿儺が少し嬉しそうに驚いている隙に、魔虚羅は巨体を活かして力強い打撃を与える。

 

「うぉっ……!?」

 

 宿儺は防ぐことが出来ず、勢いよく建物を次々と突っ切って吹っ飛ばされる。ようやく勢いが止まったと思ったら、今度は建物が崩れて瓦礫に埋もれてしまった。

 

 そして更に魔虚羅が信じられない速度で迫ってきていた。

 

 宿儺は斬撃を飛ばし、瓦礫を粉々にして脱出する。

 

「くっ!! おじさんのくせに生意気……!!」

 

 愚痴を溢しながら立ち上がるが、もう既に鼻先に触れそうな程の所に魔虚羅の逞しい剣が差し迫っていた。

 

 宿儺は再び攻撃を喰らって倒れるが、直前に斬撃を飛ばし、魔虚羅との距離を少し遠ざけたことによって、受ける威力を抑えることができた。

 

「うぅっ……。あ、危なかったぁ」

 

 宿儺は傷だらけの体を反転術式で治しながら、横になっている体を起こす。そして前方に目をやると、方陣を回転させる魔虚羅の姿が見えた。

 

「(もう傷が癒えてる…。しかも一回目よりもはやい。二回目はワタシの斬撃が見えていた。

 ワタシに与えてきた一撃目には正のエネルギー、二撃目には呪力が籠められていた。どれも背部の方陣が回転した後に…。

 多分だけど、能力はあらゆる事象への適応ってところかな…?

 そうなると、無闇矢鱈に斬撃は使えないなぁ。アレでトドメを刺すためにも斬撃で少しでも削る必要があるし。耐性つけられたら困る)」

 

 宿儺は魔虚羅との戦闘でのことを振り返って分析する。

 

「楽しいな……」

 

 そしてこの状況、自身が劣勢に立たされているのを理解していたが、それでも楽しくて仕方がなかった。

 平安では魂を切り分ける、なんてことをしてなかった。故に宿儺との戦闘が成り立つ者は片手で数える程しかいなかった。

 しかし、今は十七の魂が不在。随分と劣ったこの肉体、呪力で相手するには丁度良い、楽しませてくれる相手──それが魔虚羅だった。

 

 宿儺と魔虚羅。両者が同じタイミングで駆け出す。

 

 魔虚羅が大きい腕を振り下ろし、それを宿儺がギリギリで躱してガラ空きの腹部に打撃を与える──ことはせずに少し距離を取る。

 魔虚羅の攻撃が次々と襲いかかるが、それをひたすら躱し続ける。その際、宿儺は一度も反撃に出ていない。

 

「おじさ〜ん♡ がんばれ♡ がんばれ♡」

 

 宿儺は魔虚羅の素早い攻撃をひたすら躱す。魔虚羅に隙ができたとしても攻撃は与えない。

 

「ざっこぉ♡ そんな程度なのぉ?」

 

 躱しながらも、煽ることは忘れない。勿論煽る余裕などないし、煽る必要性もないが、宿儺(メスガキ)の魂が煽らずにはいられない。

 

「当ててみなよ、おじさん♡」

 

 宿儺が攻撃をせず、回避に徹している理由──それは五分間、半径五メートル以内から出ること、魔虚羅に攻撃を与えることを禁じ、その代わりに五分後に三十秒間のみ呪力量、呪力出力共に指十本相当まで取り戻す(・・・・)という縛りを己に課しているためである。

 

「遅すぎだよぉ♡ ほらほらぁ♡ もっと速く動かしてよ♡」

 

 宿儺は遅いというが、実際はとんでもなく速い一振りが宿儺を殺そ(わからせよ)うと迫っている。回避に全振りしているおかげでギリギリ避けることに成功しているだけ。一瞬でも気を抜けば攻撃を喰らい、半径五メートルという枠から出てしまう。それでも尚、煽り続ける。凄まじいプロ(メスガキ)魂だ。

 

──ガコンッ

 

「(方陣が回った? 時間経過での適応…? しくじったかも)」

 

 宿儺は魔虚羅の適応が経験からくるものだと思っていたが、斬撃を放ってないにも関わらず、方陣が回ったことに少しばかり焦りを覚える。

 

「(時間、経験……どちらもかもしれない。まあアレで確実に破壊するために斬撃を使うだけ。少しでも削れればいいし、別に問題ないか)」

 

 宿儺は思考を切り替え、再び煽りながら躱す。

 

「もっと強いのぉ♡ 速いのちょうだい♡」

 

 躱しては、煽って。躱しては、煽って。煽って、煽って、更に煽って、躱して。

 次第に宿儺は躱すことよりも煽る回数の方が増えてきた。もう既に宿儺はこの動きを見切っていた。

 

「おっ♡」

 

 宿儺はそんな声を上げて急に立ち止まる。そんな宿儺を魔虚羅は容赦なく斬り捨てようと、自慢の剣を振り落とし、宿儺へ直撃──するかと思われた一振りは空を切り、隙ができた魔虚羅の腹部には大きな衝撃が走った。

 

「うん、これなら大丈夫」

 

 縛りを結んで五分が経過した。故に今の宿儺には莫大な呪力量、呪力出力を一時的に手にしていた。

 

「次はコッチの番だね♡」

 

 宿儺は体勢を整え、倒れていた魔虚羅が立ち上がったことを確認してから、地面に左手を置く。

 

 

──『捌』・『蜘蛛の糸』

 

 

 地面には蜘蛛の巣状の亀裂が走り、魔虚羅へと向かう──が、魔虚羅には傷一つ付くことがなかった。

 それもそのはず、宿儺の狙いはこの亀裂で足場を崩すこと。

 

 そしてその狙いは上手くいった。魔虚羅の足場が大きく崩れて不安定になり、巨体が揺らぐ。すかさず、魔虚羅に急接近した宿儺は肌と肌(?)が触れ合う寸前で不安定な地を下に蹴り、大きく跳んだ。

 宿儺は落下の勢いを利用して、強烈な打撃を魔虚羅への脳天にお見舞いする。そして打ち込んだ拳から黒い火花が飛び散った。

 

 黒光り呪力が宿儺(メスガキ)を祝福するかのように魔虚羅に大きな一撃を与えた。

 

 黒閃──打撃との誤差0.000001秒以内に呪力が衝突した際に生じる空間の歪みを指すそれは、平均(・・)で通常時の2.5乗の威力を叩き出す。

 

 

 

 

──黒閃により、宿儺のボルテージが上がる。

 

 

 宿儺は地面に着地し、地に伏せる魔虚羅へ右手を向け、構えを取る。

 

 

──『龍鱗(りゅーりん)』 

 

 

 呪術を極めることは引き算を極めること。

 

 

──『反発(はんぱつ)

 

 

 呪詞、掌印など術式を構成あるいは発動させるまでの手順をいかに省略することができるかで術師の腕は決まるとされている。

 

 

──『(つが)いの流星(りゅーせー)

 

 

 しかし省略されている術と省略されていない術とでは、省略されている術の方が威力は劣る。

 魔虚羅は宿儺の『解』に適応──つまり耐性がついているため、本来ならまともにダメージが入らない。

 

 

 

──『

 

 

 

 そこで宿儺は呪詞を省略せずに威力が上がった『解』を魔虚羅へと撃ち込む。

 更に呪詞に加えて、縛りと黒閃によりボルテージが上がっていたこともあり、宿儺の『解』は魔虚羅に大きなダメージを与えていた。

 だが、それでも適応している魔虚羅をこの一撃で屠ることは出来なかった。

 本来であれば、既に術式が適応されているために魔虚羅を屠る決定打がない。

 

「ワタシに屈服してる無様な姿、かわいいね♡」

 

 宿儺(メスガキ)は痛々しい斬撃が刻まれ、倒れ(果て)ている魔虚羅(わからせおじさん)を見下ろしながら、満面の笑みで言う。

 

「でも、楽しかったよ♡」

 

 決定打がない。通常(・・)、術師の所持する術式は一人一つまで。これは術師ならば誰しもが知っている──常識。

 しかし、宿儺(メスガキ)にはその常識が当てはまらない。

 

「ごぉー♡ よぉーん♡ さぁーん♡ にぃー♡ いーち♡」

 

 

──『◾️()

 

 

 宿儺にはもう一つの手札(術式)が残されていた。

 

 手に熱く燃える炎を纏う。これが宿儺のもう一つの術式──

 

 

──『ふ〜が(ぜろぉ)♡』

 

 

「イけ♡ イッちゃえ♡」

 

 魔虚羅(わからせおじさん)の再生が始まった──その直後に宿儺(メスガキ)は大きく、熱い炎を一本の矢を放った。

 

 

 

 

 

 

 魔虚羅を破壊した宿儺は気絶しているであろう伏黒の元へ向かった。

 

「良かった。生きてる」

 

 宿儺は伏黒の生存を確認すると、ホッと一息をついて安心した。もう一度、魔虚羅、宿儺の見た『玉犬』『鵺』『大蛇』以外にも式神(おじさん)と遊びたいなぁと思っていたからだ。

 別に死んでいても遊び道具(おじさん)が減るだけで大した問題はないが、術式の扱い次第では化ける、自身を楽しませてくれるかも知れない相手を逃すのは勿体無い。

 

「よぉーし! 裏梅でも探しにいっちゃおう♡」

 

 宿儺はいっぱい運動したのでお腹が空いていた。そんな宿儺はウキウキで受肉しているだろう裏梅を探しに行こうとした、その時──

 

「へっ……?」

 

 宿儺の意識が奥深くに引っ張られる。

 

「(しまった! 心臓治したんだった!!)」

 

 魔虚羅との戦闘で心臓を治してしまった宿儺は虎杖と肉体の主導権を交代させられた。

 

『くっ…!! こぞー! ふざけんなぁ!! ワタシの自由を返せ…!!』

 

 

──宿儺(メスガキ)の必死の抵抗も虚しく

 

 

「伏黒! 頼むから死ぬなよ!! 伏黒……!!」

 

 

──荒地に投入されたのは、西中の虎 虎杖悠仁(こぞー)

 

 

 

 

 

 

 




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