破壊され尽くした渋谷にて
「無為転変」!!!
無為転変と偽夏油の遠隔術式の組合せにより、日本全土において既にマーキングされていた1,000人弱の脳が呪術師のソレに書き換えられていく。
次々と術式を発現させていく"覚醒型"の術師。
しかし各々にどんな術式が発現するか、それについては偽夏油も把握していない。
素体の厳選はした。しかし自分の手を離れてこそ、想像も付かない結果をもたらす。偽夏油はそう信じている。そしてそれこそが"面白い"と。
故にどんな術式が発現するかまでは彼は感知していないし、知ろうともしていない。
そしてここに一人、その期待に応える"天才"がいた。
名を
無為転変を施される以前は、飲酒が大好きで創作料理がすごく得意な只の一般非術師であった。
しかし彼もまた"選ばれし者"だったのだ。
本来の未来において、短期間で類稀な呪術の才を覚醒させた
三蝶リョウジに発現した術式は『任意のタイミングで血縁者と自分を入れ替える』というものだ。
しかし問題が生じる。三蝶リョウジの血縁者は既に全員この世におらず、本来ならば彼の入替対象はこの世に存在しない。
だが、元非術師であったからこそできた発想の転換。そしていつものように酩酊状態だったからこそ、その発想は更に飛躍していく。
リョウジは酩酊しながら確信した。
『血縁者』とは"何"を指すのか。それ即ち己に流れる血を脈々と受け継いできたその全てが対象となり得るはずだ、と。
"今"いないのであれば、"過去"からその対象を持ってくれば良い。
その発想の転換により"対象の拡大"が起きた。つまりは術式の拡張である。
結果、三蝶リョウジの術式は『過去の血縁者』と自分の入れ替えを可能にした。
つまりは本人限定だが"
そして三蝶リョウジには日車を超える術師としての才能があった。
類稀な"才能"、覚醒して得た"術師としての本能"、そして酩酊状態が奇跡的に噛み合い、更に無意識下で自らに課した"極限の縛り"が合わさったことにより、発動したのは『1,000年を超える過去の血縁との入替』という術式効果。
そうして"覚醒"から数十分後、三蝶リョウジは現代から消え去った。
偽夏油は早速の脱落者に違和感は持ったが、まさか"覚醒型"の一人がタイムトラベルをしたとは夢にも思わなかったため捨て置いた。
当然、偽夏油以外の現代の術師の誰もソレを知覚しなかった。
また、三蝶リョウジの術式の発動は現代の術師たちがこれから辿るであろう歴史において、その大勢に影響を及ぼさなかった。
筋書き通り五条悟は宿儺に敗れて死に、偽夏油は髙羽&乙骨に破れ、宿儺は完全体となり呪術師たちを追い詰めることになる。
だがしかし、彼の行いは無意味ではなかった。彼の術式の本質は只のタイムトラベルに収まらない。
"新たな世界線"の創出。彼は同じ物語において、異なるスタート地点から全く新しいルートを構築することができる。
それこそが彼の術式、"
この術式によって生まれた世界線を仮に呼称するのであれば。そう。
"宿儺腹ペコ世界線"
そう呼ぶのが良いだろう。
三蝶リョウジがその世界線で何を成し、そしてどのような影響を残したのか。
それはこれから記していこうと思う。
主人公の名前、みちょうりょうじは調味料(ちょうみりょう)のアナグラム(字余り)
※この作品はフィクションです。作中に登場する人物は実在の人物とは全く関係がありません。マジで関係ありません。