宿儺腹ペコ世界線   作:サイドベント

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第2話

 

 

 

「おっかしいなぁ……さっきまで部屋の中で飲んでたはずなんだけどな」

 

 

どこ? ここ。俺の部屋の中じゃないし……外じゃん。めっちゃ暗いし寒いし。また俺記憶失くしちゃいました?

反省はしてるけど……料理してると酒がやめられないんだよね。

 

まだかなりクラクラするし……だいぶ酔ってるなコレ。

 

それにしても暗いな。酔っ払って外に出たとして東京にこんな暗い場所あったっけ? 電灯全然無いし、人がいそうな気配が全く無いし。

 

田んぼも無いから昔おじいちゃんの家に行った時に見た田舎の風景って感じでもないぞ……どうしよう。

 

 

「あ! そうだ。持ち物は……うわ、リュック無いじゃん」

 

 

俺が外に出る時は酔ってても大体はリュックを背負うはず。どこで料理することになるかわからないから包丁とか調味料とか入れてるし、アレが無いと困るなぁ。

 

というかポケットに入れてるはずのスマホも無いじゃん。詰んでない?

スマホ持ってない現代人なんて味の素の入ってない料理みたいなもんでしょ……

 

 

「おい」

 

 

あ、そういえば思い出した。

靴の中に……あった!! 万札一枚と小さめのジップ付き袋に入れた完全密封の味の素!! 何かあった時のために入れといたんだよね。

 

いやまあ、靴の中に入れてた味の素なんて流石に俺でも使わないよ? でもさあ、お守りみたいなモノで安心するんだよね……俺を悪魔崇拝者扱いする奴に撒いたら魔除け的な効果ありそうだし。

 

しっかし、流石に靴の中まで漁る人はいなかったみたいでよかった〜。

いや? よく考えたら服は着てるし普通に外出して迷子になっただけだなこれ。

普通に俺が酔って何も持たずに外に出ただけなのに疑われた誰かさん、ごめんなぁ。

 

 

「おい。この俺に二度も声を掛けさせるな。下郎」

 

「……ん? あ、ごめんなさい。ちょっと考え事してまして……はい、なんでしょう」

 

 

うーわ変なのに話しかけられちゃった。ちっちゃいのに言葉遣い怖いなぁ。

 

ていうか咄嗟に他所行きの態度で接しちゃったけどやばいでしょ。三歳くらいのちびっ子なのに腕四本で、しかも変な仮面付けたコスプレしてるし。

このまま無難にやり過ごさなきゃ。子供に変な態度取ったら炎上しちゃうかもだし。

 

 

「お前の探し物はこれか? これから俺の言う事を聞くのであれば返してやらんでもない」

 

「え? あ! 俺のリュックだ。やっぱり持って出てたのか……拾ってくれたんですか? ありがとうございます」

 

 

持ち上げられたリュックは確かに俺のものだった。

なーんだ、やっぱり俺ってしっかりしてるじゃん。

あと人って親切だな。落とし物が帰ってくる日本、すき。

 

それにしてもよくできたコスプレだなぁ。脇腹の方から生えてる腕普通に動いてるし。ドクターオクトパスだっけ? 昔見たスパイダーマンの敵役みたいだなぁ。

 

 

「匂いがする。この荷物の中からもそうだが、お前の持つその透明な袋の中からもだ。俺の知らん"美味そうなモノ"の匂いがする。だがコレをそのまま食らっても意味がないのだろう? 俺が見るに、お前も料理人。その袋の中身を使ってお前が腕をふるい、そして作った料理を俺に食わせろ。それが条件だ」

 

 

なんか話長いなぁ……酔いのせいか全然話わからなかったぞ……えーっと、とりあえず料理作れば良いのかな。それなら得意だしやろうやろう。

 

 

「良いですよ。えーっと、キッチンとかあります? あとはできればお米とかお肉があると嬉しいんですけど。あ! コンビニの場所教えてくれたら自分で買いますから!」

 

「……お前の言うことはよくわからんな。だが食材ならある。特別に俺の食物庫を見せてやろう。ちょうどいい獣肉がある」

 

 

んん? この反応、コンビニ無い感じ? 

あと獣肉……ジビエかぁ。下処理が結構大変だからあんまりマイレシピ化してないんだよなぁ。まあ作れるけどね。これでも料理人だし。

いっちょやりますか!

 

 

「あ、そうだ。子供のお家に勝手に行ったら俺逮捕されちゃうから、ちゃんと親御さんの許可は取ってからにしたいですねー」

 

「俺に親はおらん」

 

「あ、ごめん。そういうつもりじゃ」

 

「気にするな。そもそも俺が気にしていない。俺という個は生まれた時より完成している。元より親など必要が無い」

 

 

うーわ地雷じゃん。なんかめっちゃよくわからない理由喋らせちゃったし……こんなちっちゃい子に気遣わせちゃって申し訳ないな。

 

それにしても親御さんがいないなんて……じゃあもしかしてこの子、今お腹ぺこぺこなのかな? それで言葉遣いが荒くなっちゃってるのかも。よく見たら服も結構ボロボロだし……

 

そんなにお腹空いてたなら別に俺のバッグ拾った時に調味料だけ食べちゃってても良かったのに。いや、もう食べたのかな? それで満足できなくて料理ができそうな俺に話しかけてきたとか……うん、そんな感じだな!

 

でも、そりゃあ調味料ってよくできてるけどそれだけじゃ満足できなくて当然だよね。なんか泣けてきたな……でもよくぞ俺に話しかけてくれた。

 

だって俺は泣く子も黙る、美味しいレシピでバズりまくりの三蝶リョウジだからね!!

 

よっしゃ気合い入ってきたぞ〜! リョウジのバズレシピ、生でお腹いっぱいご賞味あれ!! どれだけ食材あるのか知らんけど、もう食べられないってなるくらい食べさせてあげるからね!!!

 

 

「いくぞー!!!」

 

「大きな声を出すな、阿呆」

 

 

 

 







リョウジが無意識に自分に課した縛りの一部

・永久に酩酊状態が続く(酒を飲んでも酔いが深くならないので酔う楽しさも失う)
・無為転変により得た術式は今後一切使用不能となる
・料理好きなのに食材がロクに存在しない平安時代で生活しないといけない
・SNSが存在しないので今後の人生で一度もバズれない
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