宿儺腹ペコ世界線   作:サイドベント

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第4話

 

 

 

 

 

キン

 

 

キン

 

 

キン

 

 

 

 

なんかキンキン聞こえる。

 

 

「……は?」

 

 

目開けたら目の前に真っ二つになったデカい目玉があるんだけど?

なにこれ寝起きドッキリ? しまったな……もっとデカいリアクションできてたら良かったのに。勿体無い。

 

あ、消えてく。目玉はよくわからない言葉をブツブツ呟きながら消えていった。なーんも残ってない。なんこれ。

幻覚……にしてはリアル過ぎかな。また手品かなぁ。

 

 

「起きたか。見たように呪霊はすぐに消えてつまらん。殺す前に肉を齧り取ってもみたが、不味くて仕方がない」

 

「んん……?」

 

 

今のって生き物なの? ゲテモノでも案外美味しいってあるけどやっぱり見た目通り不味いんだな。

いや、生だからか? 焼いたり蒸したりでなんとかならんだろうか……色々やってみて最後に味の素を少しだけ……なんかいけそうだな。

 

 

「食うなよ? お前のような雑魚が食えば、それだけで死に至る。アレは蝿のように湧くが、その尽くが毒だと思え」

 

「やめときます」

 

 

あぶねー。ちょっと肉の欠片もらって味見しようかと思ってたわ。

死にたくないのでやめます。はい。

 

しかし相変わらず頭はクラクラしてるし……もう俺一生酔いが醒めないのではなかろうか。

いや、シラフから酔いに入る瞬間が一番気持ち良いんじゃん。

諦めてたまるかよ!

 

 

「あの程度の呪霊の処理など造作も無い。しかし俺の腹は昨夜から満たされていない……契約は成っている。外に出るぞ。食材調達だ」

 

 

確かにそろそろ起きなきゃだよね。雑魚寝とはいえ人の家でのんびりし過ぎちゃったし。

 

よっと……うわ、立ち上がれるけどめっちゃクラクラする。

元々低血圧だし頭痛はわかるけど、やっぱまだこれ酔い醒めて無いわ。体感めっちゃ寝たのにずーっと調子悪い。

 

マジでおかしい、本当に俺の肝臓やばい……? お前、消えるのか……?

 

 

「昨日から匂ってはいたが……お前、縛られているな。それも相当に固く。そのせいで頭が常に十全に働かぬといったところか……ケヒッ、雑魚の上にロクに呪力も練れんとは呪術師としては致命的だな」

 

「え、臭い? ごめんね……」

 

 

やーばいわ。ちびっ子に酒臭さ指摘されるとかマジ反省。でも本当に丸一日は飲んでないのになぁ。

 

あと真面目な雰囲気のところ悪いけど相変わらずキッズの言うことがわからん。

しばり? じゅじゅつし? 緊縛プレイは好かんし、なんだその噛みそうな名称は。

そんなものになった覚えはないぞ……俺は料理人だ。

 

そんなことを考えつつ、俺を無視してさっさと廃屋から出て行く四つ腕キッズの後ろをついて行く。

 

しかし食材調達と聞けばワクワクしちゃうな。コンビニが無いならローカルなスーパーとかあるかもしれない。

意外とそういうとこに面白い食材とかあるんだよね。

 

 

「とか思ってた時期が俺にもあったよ。そういえば昨日の食材も獣の肉だったなぁ」

 

「喜べリョウジ。大きさこそ昨日のものより小さいがコイツの肉は柔らかく美味い。血抜きも済んだしバラバラにして持って帰るぞ」

 

 

目を輝かせる不思議キッズ。微笑ましいね。全身が血塗れになってなければだけど。

あと俺のリュックに血塗れの獣肉入れるのやめてくれない? まだ返してくれないのつらい。

 

 

『俺はお前に"料理人として腕をふるえ"と言ったな。昨夜は食材が途中で切れ、俺もまた腹を満たせなかった。それで……満たせたのか? お前の料理人としての矜持は』

 

 

こんな感じで煽り風論破されちまったぜ……三歳児に見下されてくやしい(ビクンビクン)

 

というわけで俺のリュックは絶賛キッズのものになってます。

 

そんでスーパーなんてものはもちろん無く、野生の獲物をキッズがしっかり仕留めたわけだけど……怖かった(震え声)

 

『ケヒヒッ!』とか笑いながら動物さんを不思議な力で躊躇無くブッコロしてましたよね……いや、生きたまま大動脈切断は血抜きにもなるし無意味とは言わないよ?

でもいきなり首チョンパからの噴水みたいに上がる血とか、それを気持ち良さそうに浴びる姿とかさ。

俺がシラフだったら漏らしてたわ。

 

やっぱりヤバキッズじゃないか!!

 

でもなんか離れられないんだよね。アルコールでたっぷり全身浴してる脳みその端っこは相変わらず逃走推奨派なんだけど。

 

なんつーか……第六感? 離れようとすると悪寒がするというか……大事なものを失う気がする。

 

あ、もしかしてキッズがお腹いっぱいになってないからかな? 約束守れてないし、それこそ目の前のキッズを放っておくなんて俺の料理人のプライドが許さないしな。

もうそれで良いか。頭回んないし。

 

 

「さて夕餉だ。期待しているぞ? 今日こそ俺を満足させられるかもしれんなぁ。そしたらお前の荷物を返してやろう。約束通りにな」

 

 

嘘だー。アレは絶対返してくれない顔だぞ……絶対また「足りない」って言って俺を寝かせない気なんだろ? 

まあ頑張るけどさぁ。

 

 

「それとリョウジ。今夜お前のその"縛り"について話せ。これは命令だ」

 

「んん? だから縛られてないけど……まあいっか。とりあえずわかんないことばっかだから色々話すよ」

 

 

そんな感じで安請け合いしたことによって、俺はここから凄まじい出来事に巻き込まれていくことになるのであった。

 

いや、口は災いの元ってほんとね。

 

 

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