元ポケモンレンジャー、知らない世界でポケモントレーナーをやり直す(仮) 作:黒兎可
ポケモン描写の自信が色々ないので、今後変な部分などありましたらメッセなどでツッコミお願いします汗(アニポケ描写とかレベルで吸収しきれない場合は変更もあり)
ある日夢の中で。思春期らしくボーイミーツガールな夢を期待していたところ、なんか神様的な何かが現れたので思わず殴っちゃった。殴っちゃったけどオレは悪くないと思うし、殴られた相手も気にした感じじゃなかったから無罪だと思いたい。うん、きっと、多分。
『――――』
その相手っていうのは、このポケットモンスターはびこる世界において「神」と呼べる存在、アルセウス。あの何と言うかポニータというか麒麟(※キリンリキではない)というかな神々しい光を放った姿でこっちの目の前に現れたものだから、なんとなく嫌な予感がしたんだ。つい反射で手が出たのは、夢の中の幻ならこれでどこかに消えてくれるからだ。これでどうこうなれば意識が戻るんじゃないかな? っていう期待もあったんだ。
残念ながら、そうはならなかったんだけど。
殴られても、アルセウスは一瞬ぶるりと震えただけで、こっちを何の感情も浮かんで無いような目で見降ろしてくる。えっ、ひょっとして本物のアルセウス様か何かで……? 1にシロガネ2にムクホーク3にビスナと新年縁起物じゃないけど、これはこれで何か縁起の良い夢だったりするのかな?
『――――――――』
「えっ? 何、何か言った?」
『――――――――』
後、何か思念波みたいなのを送ってるのか、向こうから言葉みたいなのが送られてきてる感じがする。するんだけど、何言ってるかわからない。使ってる言葉が違うっていうか、全然知らない国の言葉みたいで、オレは困ってしまう。
オレの言葉にアルセウスも困った感じの雰囲気だ。ちょっと光が弱まって、頭を傾げてる。少しすると向こうも考えたまとまったのか、とがった蹄で、この真っ暗ななぞのばしょの地面を叩いた。夢というか、それにしては薄暗すぎるので、ここはなぞのばしょだろう。うん。
そして、アルセウスの足元から広がった波紋。そこにテレビみたいに映し出された映像を見て、アルセウスが何をいいたいのかわかった。
「あ……、オレ、死んだんだ」
そこにあったのは、ポケモンレンジャーの任務で助けた色違いのモノズの姿。そうだ、あのモノズを逃がすためにオレは洞窟に残って、それで大地震で崩落して――――――――。
死体を映さないあたり、アルセウスも配慮してくれたみたいだ。誰だって自分の死に目を直接見るのなんて、ショックが大きすぎる。とはいえ血が岩の中から流れてるのは見えているから、ちゃんと希望を折って来てる。
キャプチャーしてむしろ無理やり逃がしたんだけど、そうか、映像を見る限りじゃちゃんと逃げ切れたみたいだな。入り口が岩で塞がれたのを見て、一瞬後ろを振り返ってたけど、そのまま足早に逃げてたあたりまだまだ地盤は安定してない感じだな。
ちゃんと生き残ってくれよ……!
「で、そんな風にマヌケにもミッション成功後にドジ踏んで死んだオレに、何か用ですかね?」
『――――――――』
「あの、だから何言ってるかわかんないんですって」
『―――― ……』
そしてやっぱり、アルセウスとオレとのコミュニケーションは上手くいかない。ただまた足元から広がった映像は、変な眉毛をした赤ちゃんの映像。それを見て、アルセウスの方を見たオレに、アルセウスは腕を持ち上げて指さすみたいにこっちに向けて来る。
「あの赤ちゃんが、オレ?」
『――――』
言葉はわからないけど、首肯するアルセウス。
つまりこれは……生まれ変わり的な何かってこと? 転生ってことか。「波動の勇者アーロン・フェルムを駆ける」って漫画が最近やってたけど、ああいうやつだな? あっちは何かミュウが伝説の勇者アーロンの導き手になってその魂を現代に転生させて、相棒のルカリオと一緒にフェルムバトル(1対1のちょっと変わったポケモンバトル)をやってたけど。そんな感じの話か何かなのかな。
それにしたって、何で下っ端ポケモンレンジャーのオレなんかを? 別に特別な資質も何もないし、トレーナーの才能がなかったからレンジャーに転向したはじまりのまちの恥さらし系の元トレーナーなのに。
そんな疑問を口に出すと、アルセウスはやっぱり思念を送って来て。
ただ今度のは意味が伝わった。
『――かの地の鏡その果て、私の影響力が弱いあの大地において。アルカデスたる人とポケモンとの因果には決着がついた』
まあ、意味が伝わっただけだ。ちょっと何言ってるか全然わっかんない。
アルカデスって何?
『だが私の影響力が強きこの大地では、アルカデスたる人とポケモンに相対するためには、人の力よりポケモンの力が必要となる』
「あのだから、アルカデスって一体何なのかっていう――――」
『――――恐れるな。ポケモンと人との心の絆のままに、望むように、在るように在れ。それが其方を導くであろう』
「会話してもらっていいですか? アルセウス、ちょっと一回情報整理しない?」
そんなオレの一言を軽く無視したアルセウスは、全身を一度強く光らせて――――気が付いたら、オレはベビーベッドの上で、がらがらを片手に天井を見上げていた。
いや、あの、だから一体何がどうなってるんだってさ。
それから色々あったというか、なんというか。ひとまず、まずはいったん自己紹介。今のオレの名前はリョウガ。微妙にツンツンした髪型で、変な眉毛が特徴的な感じの男の子。この眉毛が恥ずかしいので、隠すためにヘッドギアをつけている。
前世の自分のことについては、流石に生まれ変わって数年間リョウガとして生活して来たせいか、なんだか名前も思い出せない。とはいえ前世と自分が生まれ変わったってことと、微妙にポケモン知識があること、近年起こった大事件についてなんとなく知ってること(パラレルワールドだけどそこは大体同じような事件が起こってるみたいだ、ロケット団とか)。それくらいしか残っていない。
転生先のこの世界、十歳になるまで過ごしてみた感想としてはやっぱりって言うべきなのか、微妙にオレがいた世界とは違うポケモン世界らしい。パラレルワールドってやつだろう、地方の名前は結構知ってるのが共通してる(カントーとかジョウトとかオーレとか)。それだけじゃなく他も大体は一緒で、この世界
当然ジムだってあるし、チャンピオンもいるらしい。2、3年前に新しいチャンピオンが決まったとかニュースでやってて、明るい髪の色をした帽子の男の子が、相棒っぽいジャローダと一緒にトロフィーをかかげて踊り狂っていたりしたし。
で、オレ個人にあった出来事とか整理することとしては4つ。
1つ目、なんか小さい頃にオヤジが失踪した。
ある日「アルセウスの導きを聞いた。人とポケモン、その境界の調停のために行ってくる」とか言って家を出て行った。それまでも何かポケモンレンジャーじゃないにしろ、何か数人のトレーナーたちと時々出て行くことがあって、オフクロに聞いたら「お父さんは正義の味方なのよ」的な濁され方をしていたのは覚えてる。そんなオフクロでもオヤジのその一言は意味不明すぎらしく、変な病気にかかったの? 大丈夫? とか確認しまくったり、地方一の大都市の病院に連れて行こうとしたりしてたり。
結局大丈夫ってことでお互い話し合って納得したみたいなんだけど、オレとしては色々気がかりだ。なにせアルセウス、あの人の話を聞かない神様のことだし。導かれて転生した子供の父親が失踪とか、気なくさすぎる。
2つ目。そんな子供の頃に例のアルカデスっていうのに出会った。
オヤジがいい加減帰って来なくてオフクロが毎晩、オレに隠れてベッドで泣いていた。そういうフラストレーションがたまっていたのとか、ポケモンレンジャー時代の感覚が抜けきって無かったのか。ポケモンもまだ持ってないっていうのに無謀にもくさむらに出て、近くの山、その奥にある
つまり当時のオレに出来ることといったら、それこそ神頼みしかなかった。1メートルくらいな身長のちびっ子に出来ることといったらそのくらいで、ただそれにしては無謀だったと今では思う。山奥まで向かって行ったら、当たり前のように野生のミネズミとかタブンネとかに襲われて崖から落ちそうになったりして、あわや生命の危機といったところ。
そこに現れたのがアルカデス。何か全身ピッカピカに発光してたヒトガタの何か、誰かだったのは覚えてるけど、具体的にどんな声だとかどんな容姿だとかは全然覚えてない。
そのアルカデスから「今のままでは無理だ」とか「強くならなければ父の元へは連れていけない」とか、そんなことを言われた覚えがある。会うためにどうこうということではなかったんだけど、それでも会えるなら会いたいというか。
『そもそも何故、お前は父に会いたいと言うのだリョウガよ』
「殴る」
『……ん?』
「オフクロが毎晩、オヤジが帰ってこないってずっと泣いてるし、なんかずっと頭痛いって。ストレス抱えて可哀想すぎるから、見つけ出して一発くらい殴る。で、連れ帰る。じゃないとオフクロ早死にしちゃう」
『…………』
「アルカデス?」
『い、いや、何でもない』
何故かちょっと焦った感じの雰囲気だったアルカデスだったけど、ならば強くなれって言い残すだけ言い残してその場から消えて空へと昇って行った。暗雲の中に入っていったアルカデスは、それこそ名前が似てる我らが神様アルセウスっぽい神々しさを発していた。
3つ目。そういったオヤジとかの諸々を踏まえた上で、俺がこの人生で何をやりたいか。
神様ことアルセウスからは「アルカデスの因果が
だからいったんそれは考えないとして、オレがこの世界で何をしたいか。オヤジを探して旅に出る? 無理無理、何か悪の組織とかと戦ってたっぽいオヤジだぞ? 絶対危険が付きまとうに決まってる。オヤジに続いてオレにも何かあったらオフクロが本当に心壊れちゃうんじゃないかって心配で心配で心配だ。本当、毎日毎晩頭痛を訴えてるの、あれ絶対ストレスからだと思う。美人なんだから早死にしないでくれよな、オフクロ……。頭痛薬だけでどうにかならないと思うんだよそれ。
オレだって、例え前世の心を引き継いでいるからといっても、オヤジには懐いていた。身体に心が引っ張られてたのかもしれない。だからオヤジの旅先での失踪っていうのはそれなりに大きかったし、そのことを考えるとオレまで頭痛でどうにかなりそうだ。
だからそういうのをナシにして考えれば――――――――今度こそ、トレーナーをやりたい、というのがすっと思い浮かんだ。
前世だとジムの途中で、はじまりのまちでもらった相棒が全く言うことを聞かなくなって、同期のトレーナーたちにどんどん追い越されていった苦い記憶がある。そのせいで相棒と一緒にリーグに挑戦したりというのを諦めて行って、逆にそんな言うことを聞かない相棒とどうにかして心通わせられないかと、色々頑張った末に至ったのがポケモンレンジャーだった。おかげでポケモンバトルでは全然こっちの指示も聞かないし、オレを小馬鹿にしてたゴリランダーとも一緒に飯を食べられるくらいには、関係が回復した。
ただ、そんな過去(?)に不満や未練がないかといえばウソになる。ふと色々振り返って、やっぱりトレーナーになりたいって思いが出てきた時。胸の内にすとんと何かが落ちる感覚があったのだ。
今度こそ最後まであきらめず……、せめてジムくらいは全部巡るくらいはしたいと思ったんだ。
そして問題の4つ目。故郷の風習が独特過ぎて10歳になっても全然旅立たせてくれない件。
オレの故郷ここトキモリタウン……、厳密には
問題はそこから、この村? 里? まあ村でいいや。村で生まれ育った子供が外の世界へと出るための条件。外の世界だと自動的に十歳を過ぎたら旅に出るならわしなんだけど、ここの村の風習はちょっと違う。
アルセウスとアルカデスに「勇気」「知恵」「力」の3つを示す、というのが試練になっている。これが村ではそれぞれをテスト化、合計点を競う一大イベントとして、子供達向けに扱われているんだ。そしてそれぞれ、「勇気」が「きのみ育成」、「知恵」が「ポケモン知識筆記テスト」、「力」が「力試しのポケモンたちに勝利して、大岩を運んで来る」とのこと。……うん、勇気のあたりもきのみ育成の何が勇気なのかさっぱりわからないし、知恵はともかく力の「ポケモンたちに勝利し」ってあたりが意味不明すぎる。しかも当然、これを生身でだ。というより生身でクリアしないとポケモンをもらえない。不条理!
まあ力試しと言っても本当にポケモンと殴り合えってことじゃなくって、色々と頭を使ったり身体を使ったりして、罠はったり色々上手く回避したりしてクリアしても良い、ということらしい。冒険家としての力試しみたいなニュアンスなんだろう。
筆記テストについてはこの地方固有の知識問題も多いのでギリギリ合格ライン、きのみ育成については複数個の育成が難しくて普通に落第点。力試しで合格点を出しても、ギリギリで試験クリアになるかどうか……。
そんな状態で同年代の十歳児たちと「いっせーのーせ!」で森の奥へと向かったんだけど、ここで悲しい事件が発生した。
「なんでオレばっかり~~~~~~!」
「がんばれリョウガ!」「まるで虫取り棒だな」「樹液?」「ヘンなものでも食べて来たんじゃない~?」
絶叫しながら逃げるオレの背後には、ミネズミやらヨーテリーやらズルッグやらああもう出るわ出るわ大量の野生のポケモン。何故か他の子供達の方には一切いかず、オレが進んでいけばいくほどあっという間に囲まれて、ちょっとした野生の群れみたいな状況に。
結果として十歳の時の試験はクリアできず…………、翌年の十一歳の試験もクリアできていない。こう、毎回力試しの試験に関しては妙に野生のポケモンがオレばっかり目掛けて集まってくるのだ。いじめかな? と思う勢いで、たいあたりしかけてきたり遊んできたりする。ポケモンレンジャーやってた時もこれっぽいことはたまにあったけど、いくら何でもここまでじゃないぞ!? どうなってるんですかアルセウス様!!?
流石にこれは仕方ないと、お陰で腹をくくった。あれだけ大量にポケモンが集まってくるんじゃ、もはや罠をしかけるとかそういう次元の話じゃない。やってやろうじゃないか、フィジカルトレーニング。
とはいえ十歳、十一歳から始めた程度のトレーニングで、十二歳になるまでにあの総数のポケモンを攻略できるとはとても思えない。昔見たホラー映画の「スカイ・サメハダー」ばりに大量のポケモンが襲い掛かってくる状況は、はっきり言えばトラウマものだ。それでも殺されないあたりはあっちも手加減してるのか、オレで遊んでるって感じなのだろう。
それを適度に往なして進むための力がどれくらいか…………。考えるだけ頭が重くて、果たして何年くらいかかるのやら。
せめて二十歳までには村を出たいなーと後ろ向きな思考になりながら、今日もそこら辺で拾ったイシツブテ三兄弟を背負いながらランニングする。ゲットした訳じゃないけど、毎日のように走ってるオレを仲間か何かだと思ったのか、攻撃はしないでこうしてトレーニングに付き合ってくれる。
……こうした本来この地域にいないポケモンだけど、どこか近隣でトレーナーが逃がしたのだろうか、時々こうしてはぐれポケモンみたいなのが紛れ込んでくることがあるんだ。
例えば今、ちょうどオレ達の頭上を飛んで行ったネイティとか。相変わらず変な目でこっちを見下ろしてるけど、あれはあれで可愛いのでヨシ。
そしてトレーニングを続けていた、そんなある日。
「こんな有様じゃ、せっかく目にかけてくれたジェイク先輩にあわせる顔がないわ……。やっぱり向いてないのかしら、ポケモンレンジャー。
でも昔からの夢だったし………」
脚をひねったポケモンレンジャーらしいお姉さん…………、妙にミニスカートから見える脚がドキドキする可愛いお姉さんが、オレの進行ルート上でポーチを開いて、きずぐすりを探していた。
はっきり言って、めちゃくちゃタイプの容姿だった。
【簡易FAQ】
Q.この世界って一体何?
A.ポケットモンスターRéBURSTのパラレル世界。ルビサファとΩα世界との違いみたいなノリだけど、こっちは世界が離れすぎてるのでポケモンの影響力の強弱がそのまま世界観に反映されている。
Q.ミルトの職業
A.本作ではポケモンレンジャーということで。特に何か原作で言及があったわけでもないので、既存世界から扱いやすい設定を流用していくイメージです。
Q.で、合体はするの?
A.しない(迫真)けど、バーストハート関係はまた別な形で出てくる。
Q.主人公の前世?
A.とある地方でポケモンレンジャーをやっていた青少年……、くらいに思っておいてください。