あべこべ世界の魔術師さん   作:SCD

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n回目の再投稿
不定期だけどちゃんと投稿していく(今年の目標)


1話 魔王軍唯一の男

 

 (今日は魔王様との会議か………行きたくねえ)

 

 会議室に続く通路を歩きながら心の中で愚痴を吐く。重い足を引きずりながらも歩いていくがやはり気が気じゃない。

 

 (どうしたものか…………)

 

 俺の名前はレン。この世知辛い世の中を生きる男だ。

 今年で20歳になり、成人してから早くも5年もの月日が経とうとしている。

 

 こう見えて魔王軍の中では数少ない《魔術師》であり、3年もの間『魔王軍の幹部』を勤めている。まあ実際は後継者としての意味でやっているだけなんだが。

 

 (今更思い返してみれば…………男が俺1人なの相当辛すぎるんだよな)

 

 今の仕事はやりがいがあるからこれといった文句はない。

 あるとすればそれは魔王軍の中で俺が唯一の男だと言うことぐらいだ。

 

 それに本当なら魔王様と幹部達による会議なんて行く気はない。むしろ俺の身が危険すぎるから会議なんてほったらかしたいってのが本音だ。だけど参加しないと魔王様には怒られるし、他の幹部達には怪しまれたりするリスクがあるから行くしかない。

 

 「………さっさと行こう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「今日皆に集まってもらったのは他でもない。………いつになったらあの忌々しい勇者共を倒すのか聞きたい!!」

 

 「「「「「………」」」」」

 

 持っていた資料をテーブルに叩きつけ、怒鳴り始めた魔王様。彼女の声が会議室全体に響き渡る中、俺達幹部は何も言えず黙り込んでしまう。

 

 見た目は可愛い子供なのに、怒った時はめちゃくちゃ怖いんだよな。特に魔王としての風格なのか威圧感が半端ない。

 

 「この2ヶ月の間で、勇者共は徐々に魔界の境界にまで近づいている。それに加えてどんどん強くなって来ているでわないか」

 

 「「「「………はい」」」」

 

 彼女の言葉に納得してしまう他の幹部達。

 まあそれについては俺も納得はしている。なにせあの勇者一行は何故か戦うたびに力を増していくからだ。原理はよく分からないが、成長速度が以上に速いことだけは分かる。

 

 なんならゴキブリのようにしぶといんだよなあいつら。

 

 「だが『ブリザード』のお陰でなんとか勇者共は一旦、自分達の国に戻っていることが幸いだ」

 

 「「「「………」」」」

 

 それを聞いた幹部達が俺の方を見てくる。

 

 (すまん、全員揃ってこっち向かないでくれ)

 

 魔王軍の幹部になって3年間。

 自分の名前や正体を明かさず、『ブリザード』と言う名前を使ってまで過ごしていた。なんでそんなことをしてまで魔王軍の幹部をやっているのかというと────俺の家庭事情にある。

 

 

 俺は人間である親父と、『氷魔族(ひょうまぞく)』と言う氷の魔法や魔術などを得意とする種族である母さんの間に生まれた。

 

 親父は魔法とかの才能はなかったけど、剣士として実力だけは俺が知っている中で誰よりも強い。母さんは親父とは真逆で、氷の魔法とかに関しては爺ちゃんを除けば誰よりも強い。

 

 そんな正反対な2人がどのようにして結ばれたのかと言うと────母さんの一方的な一目惚れだったらしい。けれど親父曰く、母さんは他の女性とは違いなんか超が付くほどのヘタレだったらしい。

 

 (でも家だと毎日イチャイチャしているから想像できないんだよな)

 

 そして幼い頃に両親からこの世界の常識などを色々と教えられた。それは人間、魔族などの種族関係なく男が少ないと言うことを。

 

 そのせいか女性は男に飢えていて、子孫を残すためなら襲ってでもヤらなければならないと言うほどと言われた。まあ何百年ぐらい前に存在した国が1人の男による奪い合いで滅んだと言う伝説も存在する程だ。

 

 当時それを聞いた俺は流石に怖がったし、同時に親父のことを羨ましいなと思った。なにせ母さんは俺達家族に優しくしてくれたり、時には厳しくしてくれるから親父は本当に素敵な人と出会ったんだなと言える。

 

 (逆になんで爺ちゃんがあんなトチ狂った性格なのか知りたいんだけど)

 

 ここで問題となってくるのが俺の祖父である爺ちゃんだ。

 母さんの父親であり、今年で70歳後半という年齢になる。そして何を隠そう昔は俺と同じ魔王軍の幹部として活躍した人物だ。

 

 幹部だった頃の爺ちゃんは『冷酷な悪魔 ブリザード』と言う物騒な名前で呼ばれていた。人間や魔族から恐れられ。なんなら同族にも恐れられたけど、無暗唱で特大魔法などをぶっ放すイカれた老人だから仕方ないか。

 

 (そのせいで俺が爺ちゃんの後を継いだんだもんな)

 

 5年前。やりたいことがなかった当時の俺に爺ちゃんから魔王軍の幹部にならないかって誘いを受けた。それに対して当時の俺は流石に拒んだし、母さんと妹たちも反対していた。

 

 親父は………なんか無関心だったけど。

 

 けれど爺ちゃんはどうしてもやってほしいと土下座をしてまで俺に頼み込んでいた。結果としては俺が継ぐことになったのは言うまでもない。

 

 一応妹たちも候補にあったが、爺ちゃんが俺じゃないといけなかったらしい。当時は説明してくれなかったけど、18歳の時に送られた手紙で俺は真実を知ることになった。

 

 それは何故か親友である先代魔王様との約束があったらしく。その約束の内容を簡単に説明すると『じゃ、俺の孫とお前の娘が結婚したら俺達親戚同士になるじゃん(笑)』と言うマジでふざけているとしか言わんばかりのものだった。

 

 2年間死に物狂いで魔術や体術などを学ばされたはその為だったのかと思い出すだけで反吐がでる。俺の貴重な時間返せよクソジジイ。

 

 「それと一つだけ報告がある」

 

 「「「「………?」」」」

 

 (………?)

 

 魔王様が何故が一瞬こっちをチラ見した。まるで疑っているような眼差しだ。……俺に関わる内容なのか?え、なんかやらかした?

 

 「実は新しく入隊する人材がいるのだが…………。ブリザード其方に妹とかいるか?」

 

 「えっ……妹が2人いるけど」

 

 「………そうか」

 

 俺の返答にどこか悩んでいる魔王様。というか妹たちがくるの?それっ俺の身がクッソ危なくなってない?

 

 「とりあえず入隊してくるのはブリザードの親族だ。一応1週間後ぐらいには来ると思うが、その際歓迎してやってくれないか?」

 

 「わかりましたわ」

 

 「大丈夫」

 

 「わかったニャ」

 

 「………うん」

 

 「ならよい。報告はこれで終わりだ」

 

 そして魔王様と幹部達による会議が終わった。椅子から立ちあがった彼女達は次々に会議室から出て行く中、一人だけ残った俺はものずこく頭を悩ませている。

 

 (ど、どうする?このままだとこの場所が血の海になりかねないんだが?)

 

 妹たちが魔王軍に入ってくるのが予想外だった。ただでさえ問題児のあいつらにどう対処する?あと1週間したら来るんだぞ?

 

 (………その時はその時でどうにかしよう)

 

 俺は考えるのをやめた。だってどのみち俺が酷い目にあうのは変わらないんだ。とりあえず………部屋に戻って寝よう。

 




最近はやる気がなさすぎて食って寝てのニート生活みたいになってる
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