勇者ヒンメルと恐るべき吸血鬼(笑)達   作:クソザコ吸血鬼

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一話

 

 

 とある町。

 

 勇者ヒンメルが率いる勇者パーティ一行。彼らはそれぞれ食材の買い出しの為、又は金策の為、あるいは魔導書を得るため、別行動していた。

 

 

「号外! 号外!」

 

 

 何かを叫び、ビラを撒く男。

 

 その男は興奮で顔が赤く上気し、喉が張り裂けんばかりに力強く発声していた。

 

 

「おや、いったい何があったんですかね」

 

 

 紙もインクも無料ではない。

 例え、何処ぞの魔族を討ち取ったとて、口伝で話が広まるのが一般的だ。

 

 手間暇かけてビラを撒くのは、人間国家ではとても珍しいことだった。

 

 

 疑問に思った僧侶ハイターは地面に落ちた紙を手に取り、じっくりと眺め、驚嘆の声を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

「知っていますかヒンメル」

 

「ああ、あれか」

 

 

 

 どっぷりと日が暮れて。

 ヒンメル達は酒場で話し合っていた。

 

 話の種は当然、今日ばら撒かれていたビラ。

 その紙に書かれていた情報についてだった。

 

 

 

「どうやら南の勇者が“屍姫”ブラナームを討伐したらしいですね」

 

 

 屍姫ブラナーム。

 

 

 彼女は魔王と轡を並べる、古くから生きた伝説の魔族である。

 特筆すべきは彼女の異常な精神性。

 

 

 彼女は魔族としては異端だった。

 

 

 元来、魔族は自らの魔力を誇示する生物だ。

 

 

 人間が権力を求めひけらかすように。

 魔族の本能として。魔力を練り上げ、己の強大さを見せびらかさずにはいられない。

 

 そのように魔族にとって魔力は命の次に大事な要素である。

 

 だが彼女の魔法は使う度に魔力の上限を削るという、魔族にとって死より恐怖すべきものだった。

 

 

 己の研鑽した貴重な魔力。

 普通ならば易々と手放すことなぞ出来やしない。

 

 

 だからこそ彼女の精神は同族の魔族からしても異端であり、異常であり、摩訶不思議であった。

 

 

 そして、彼女が扱う魔法も、また。異常極まりないものだった。

 

 

 ーー『生物を不死の眷属に変える魔法』

 

 

 彼女は自分の魔力を犠牲にして、いくつかの弱点はあるものの、強力無比な“吸血鬼”達を生み出すに至った。

 

 

「しかし、良く討伐できたね」

 

「なんでも昼間、眷属が行動出来ない時間帯で奇襲をしかけて討ち取ったらしいですよ」

 

 

 さて、とハイターはごほんと咳をひとつ吐き、本題に入ろうとする。

 

 

 強大な魔族が取り除かれた。それは大変喜ばしい。

 

 人類を脅かす悩みの種がひとつ減り、嬉しさのあまり、ついつい酒が進むというもの。

 

 

 だが、ハイターの手元にあるジョッキは既にカラッポ。

 

 

 普段のハイターなら即座におかわりを頼む所だ。

 しかし、今日のハイターは一味違う。

 

 

 なぜなら。

 

 

 

「お金が、ありません……!」

 

 

 

 ハイターが腰に付けていたパーティ共有財産である袋。

 それを逆さにして上下に揺らすと、テーブル上に出てきたのは数枚の硬貨だけであった。

 

 

 

「これは……」

 

 

 ヒンメルにとって予想だにしない金額。

 これでは明日、宿屋に泊まることすら出来ないだろう。

 

 

「ですので、明日から本腰を入れて稼がなければいけません。フリーレン、分かりましたか?」

 

「…………? なにかいった?」

 

 

 

 魔法使いフリーレン。

 世にも珍しいエルフの彼女は今日購入したらしき魔導書に夢中だったようで。ハイターの言葉は何も耳に入っていなかった。

 

 

 その日から、フリーレンは話し合いの最中に魔導書を読むことを禁止された。

 

 

 

 

 

 

 

「長らく滞在してしまいましたね」

 

 

 

 それから一ヶ月。

 魔王と並ぶ魔族。それが討伐されたと知らされ町中お祭り騒ぎだった。

 

 その分羽目を外す人が多くなり、人手が足りないとのことで短期間の治安維持の仕事を受けた。

 

 これが存外金払いが良く、大分懐が潤った。

 

 

 

「生臭坊主はタダ酒をかっくらってただけでしょ」

 

「失礼な。一部町の教会のお手伝いをしてましたよ」

 

 

 

 軽口を叩き合い、旅立ちの準備をする。

 魔王を討伐する為には一箇所に長く留まってはいられない。

 

 名残り惜しみながらも、勇者パーティは町から旅立った。

 

 

 

 

 

 

「うわっ吸血ヒルだ!」

 

 

 

 数日後。野営をしている最中、下等吸血鬼である吸血ヒルに戦士アイゼンが襲われた。

 

 

 

「アイゼン!」

 

「ああ、くっつかれただけだ」

 

 

 そういうや否や、首筋にひっついた吸血ヒルを力任せに引き離し焚き火に放り込んだ。

 

 すると吸血ヒルはまたたく間に燃え盛り、灰になった。

 

 

「怪我は?」

 

「ない」

 

 

 そう断言するアイゼン。

 念の為ハイターが確認したが、首にはかすり傷一つ無かった。

 

 

 吸血鬼は人族の血が主食である。

 

 その為、吸血鬼には共通して、血を啜りやすいよう尖った牙があるという特徴がある。

 

 だのにアイゼンは噛まれても平然としているどころか無傷。ハイターはドン引きした。

 

 

 

「しかし、屍姫ブラナームが討たれても吸血鬼は健在ですか」

 

 

 

 主たる存在が死ねば、魔法効果が切れるものも多い。だが先程のヒルは吸血鬼の特徴を失うことなく生きていた。

 

 つまり。未だ人類は吸血鬼を排除出来ておらず、苦境に立たされて居る、という事だ。

 

 

 

「フリーレン。君の意見を聞きたい」

 

「なにかな」

 

 

 

 この場にいる全員がヒンメルの言わんとしている事に察しが付いた。恐らく、彼は。

 

 

 

「吸血鬼とは共存できると思うかい?」

 

 

 

 その言葉に、反射的に無理だ。とフリーレンは答えようとして。思い留まった。

 

 

 

「……分からない」

 

「なるほどね」

 

 

 

 ヒンメルは満足気に頷き、にこやかに笑った。

 長旅の付き合いで、フリーレンが無理なものは無理とハッキリ宣言するタイプだと理解している。

 

 その彼女が、無理だ。と断言しなかった。

 それならば可能性はある。

 

 

 

「吸血鬼はずっとブラナームに支配されていた。一部を除き自由意志が無かった。だけど、あいつが死んだ以上押し止められていた理性が浮上しないとも限らない」

 

「要するに話してみないと分からないって事ですか」

 

「そういうことだね」

 

 

 パチパチと焚き火が音を立てて燃える。

 燃え尽きて灰になった吸血ヒルの残骸が風に舞って、どこかへと飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 そしてさらに幾日か経過した。

 

 

 

「聞いた話によると、もう少し歩けば村に到着するはずだ」

 

 

 時刻はすっかり夜も更けた頃。

 折角だから家内で休みたい、と意見が上がった為、ペースを上げて歩行していた際。

 

 

 ざっざと足音を立て。

 目の前に一人の男が立ち塞がった。

 

 

「皆、構えろ」

 

 

 それぞれが己の武器を構えて警戒する。

 眼前にいる男は敵意に満ちている。

 

 

 高等吸血鬼の外見的特徴として、鋭い牙。顔色の悪い肌。尖った耳が挙げられる。

 

 薄暗くてよく見えないが相手の耳がエルフのように尖っているのが辛うじて分かる。

 今では殆ど絶滅したエルフと偶然出会ったと考えるより、吸血鬼だと考えるのが妥当だ。

 

 

 そして彼ら、人型の高等吸血鬼は一様に、自分が使う魔法にあやかった二つ名を名乗り対峙する。

 

 彼ら吸血鬼は魔族同様、特異な魔法を扱うことが出来る。態々その扱う魔法を開示してくれるのだ。

 吸血鬼は名乗りをあげるまで闘うのを待つ。それが対吸血鬼戦闘の常識であった。

 

 

 場の空気が冷え、緊張感が盛大に高まった頃。

 ようやくその吸血鬼は名乗りを挙げた。

 

 

 

 

「我が名は吸血鬼 野球挙大好き!」

 

 

「変なの出てきた!」

 

 

 

 丁度月光が指し、眼前にいる吸血鬼の全貌があらわになる。

 

 その名の通り、男は野球挙大好きと書かれた旗とタスキを肩にかけジャンケン模様の着物を装着していた。

 これだけで十分トンチキなのが分かる。

 

 顔は白い布で頭部と口元を隠しており、目付きは歴戦の将軍とばかりに鋭い。が、他の要素で全てを台無しにしている。

 

 

「……これが押し止められていた理性か?」

 

「おそらく支配から解き放たれた反動ではないでしょうか」

 

 

 あまりの衝撃的な格好に思わず口に出る。

 さもありなん。今まで勇者ヒンメル達が遭遇した吸血鬼は黒マントに黒礼服でバッチリコーディネートされた格好良い吸血鬼ばかりだった。

 

 このような色物と対峙したのは初めての経験だったのである。

 

 

「野球拳は守るべきこの星の文化財産である!! 誰でもできる懐深い遊戯性! 脱衣により、より親密さを増す人間関係! 私は野球拳を若き世代へと受け継ぐ担い手である!!」

 

 

 拳を振り上げ、感情的に熱く語る吸血鬼。

 これもまた勇者パーティにとって初めて出会うタイプの吸血鬼だった。

 

 

「そもそも野球挙とはなんだろう?」

「東部に伝わる遊戯だね。地方によって独自ルールがあるから種類は豊富だよ」

 

「ほう、そこのお嬢ちゃんは博識だねぇ。だが、分からないという男共の為に一度手本を見せてやろう」

 

 

 相手が扱うものが遊戯をするだけの魔法と聞き若干空気が緩み、緊張感が薄れていく。

 

 

 ーー無論、彼はそれを見逃す吸血鬼ではない。

 

 

「アウト! セーフ! よよいのよい!」

 

 

 そんな変な掛け声と共に出された手はグー。ヒンメルが咄嗟に出した手はチョキ。つまりヒンメルの負けである。

 

 

「……くっ、負けてしまった」

 

 

 ヒンメルは急にマントの留め具を外し、地面に放り投げた。

 

 

「何をやっているんですかヒンメル」

 

 

 呆れた声と共に言うのはハイター。

 わざわざ敵に付き合わなくても……という顔をしてたしなめようとしている。

 

 

「よよいのよい!」

 

 

 その隙にまた変な掛け声と共にジャンケンを仕掛けてくる吸血鬼 野球挙大好き。

 

 ヒンメルはまた負けてしまいベルトを外す。

 

 

「違うんだ! 身体が勝手に野球挙を!」

「身体が勝手に野球挙を!?」

 

 

 とんでもないパワーワードである。

 わざと対話する為に付き合っているのかと勘違いしていたが、既に相手の魔法が発動していた事に気付いていなかったのだ。

 

 この魔法のおそろしさをヒンメルは即座に理解した。一度脱いだ服を再度着用する気になれない。

 いや、着ようとすると身体が拒絶反応を起こす。

 

 仮に勝負に負け続ければ、戦士ならば武器である剣や斧を。魔法使いであれば杖をいつかは手放してしまう。

 

 つまり、これは下らない名前とは裏腹に、敵対生物である吸血鬼を前にして、強制的に無防備になってしまう魔法なのだ。

 

 

「フリーレン!」

 

 

 フリーレンはその意を組んで、吸血鬼を倒すため魔法を解き放つ。

 

 

 ーー『地獄の業火を出す魔法』

 

 

 フリーレンは杖から魔法を放ったが、それもあえなく結界に弾かれて無効化された。

 

 

「無駄だ! 我が野球挙結界は野球挙をしている間、どのようなものもぜぇええーったいに通さん!」

 

 

 強制的に脱衣を行わせ、かつ勝負をしている最中には身を守る事すら可能。まさに攻防一体となった魔法。

 

 ある種完成された魔法にフリーレンは戦慄した。

 

 

 そうこうしているうちにヒンメルは全敗して全裸に剥かれた。

 

 

「敗者とはいえ共に野球拳をした同志。裸のままでは哀れである……このTシャツを着るがいい」

 

 

「こんなダサいのはイヤだーー!!」

 

 

 しかし、元の服を着るには拒絶感を覚えるため、泣く泣く野球挙大好きと書かれたTシャツを着るヒンメル。

 

 

 

「さてお次はそこの戦士だ!」

 

「ぬぅ!」

 

 

 またもや掛け声と共にジャンケンを繰り出す野球挙大好き。アイゼンは負けて兜を脱ぐ。

 

 

「私、アイゼンが兜脱いだとこ初めてみたよ」

「ええ、私もです」

 

 

 外野が観察している間にも勝負は続き、アイゼンはあっという間に全裸に剥かれてしまった。

 

 

「どうする?」

「ここは私が行きましょう」

 

 

 残るはハイターとフリーレンだけ。

 

 女性であるフリーレンに任せるわけにはいかず、自らかって出るハイター。

 しかし彼は焦ることなく微笑んでいた。

 

 

「大丈夫です。野球挙という名称には少々面食らいましたが、要するに勝敗を決めるのは普通のジャンケン」

 

 

 ーーならば必勝法があります。

 

 

 そう断言するハイターは勝利を確信していた。

 ジャンケンならば、子供の頃何度も行った。その際やられた一発で決着が付いてしまう無法技がある。

 

 本音を言えば、あまり使いたい技では無かった。

 

 だが目の前にいる相手は敵。

 

 心を鬼にしてかからなければならない。

 

 

 

「へっ、自信満々じゃねえか」

 

「私は女神の敬虔たる僧侶です。吸血鬼ごときに負けるわけにはいきません」

 

 

 そうしてまた野球挙大好きの掛け声により、強制的にジャンケンを繰り出される。

 

 

 野球挙大好きが出した手はグー。

 ハイターが出した手はグーチョキパーを同時に出す魔手。

 

 

「残念ですがこれも試合。ならば私の勝ちです」

 

「そういうズルは一発アウト」

 

 

 結界内に雷が発生し、ハイターの服だけを破りさった。

 

 

 

 

 

 

 

「へっへっへっ、これで邪魔な男どもは消え去った」

 

 

 最後に残ったのは魔法使いフリーレン。

 

 他の男どもは無惨にも全裸に剥かれ、強制的に野球挙大好きと書かれた服を着用している。

 

 

 

「思ったんだけど」

 

「なんだいお嬢ちゃん」

 

 

 

 ぐへへと鼻の下を伸ばして対峙する野球挙大好き。

 完全に助平心が丸見えである。

 

 

「負けたら脱衣するルールって何時から広まったの? つい五十年ほど前まではどこの地方にも無かったはずなんだけど」

 

 

「…………よよいのよい!」

 

 

「あ、無視した」

 

 

 長寿であるエルフ。リアル生き字引の彼女からの質問は都合が悪かったようで強制的に野球挙が始まった。

 

 

 

「くそっ! やめろーー!」

 

 

 外面を放り捨て叫ぶヒンメル。

 野球挙結界を殴り、どうしようも出来ず己の無力を噛み締める。

 

 

「ふはははーッ! 無駄だ。野球挙結界は無敵! 外部からのどんな干渉も受け付けん!」

 

 

 

「外部からの」

「干渉は?」

 

 

(ということは結界内なら攻撃が効くのでは?)

 

 

 

 フリーレンは再び『地獄の業火を出す魔法』を解き放ち、野球挙大好きにぶつけた。

 

 

 

「ぬわっちゃっちァァァァァァ!!」

 

 

 

 彼は全身炎に包まれ叫び声を上げる。

 なんとか火を消そうとして地面に転がりまくる。

 

 

 

「初めから攻撃すれば倒せたんですね」

「まあ吸血鬼は普通の攻撃じゃ再生するから、剣士には倒せない相手だったとは思うけど」

 

 

 暫くして。

 無事消化出来たはいいものの、気絶している野球挙大好きがその場には残った。

 

 

 

「トドメ刺します?」

「……いや、まずは話を聞こう」

 

 

 だがしかし。やはり目が覚めた途端敵対しないとは限らないので、身体にロープを巻き付け身動きが取れないように縛っていく。

 

 

 やがて野球挙大好きは目を覚ました。

 

 

 

「どうして僕らを襲ったんだ?」

 

「……俺は、この先にある村の住民だったんだ」

 

 

 

 それから語られる話は、吸血鬼 野球挙大好きが元人間だった頃の記憶だった。

 

 かつて元善良な村の住人だった彼は、出稼ぎから帰る途中に屍姫ブラナームに襲われ、『生物を不死の眷属に変える魔法』により吸血鬼へと変貌。

 

 そしていつしか野球挙をする魔法に目覚めたものの、ブラナーム曰く下劣で品性の欠片も無いとの事で意識を奪われ、一般吸血鬼として働かされていたらしい。

 

 それでようやくブラナームが討伐された事により、元の意識が復活。

 最近元の村に帰ることが出来、夜警をしているらしい。

 

 

「……あれ? じゃあなんで僕達を襲ったんだ?」

 

 

 ヒンメルは一瞬納得しかけたが。言っている事とさっきまでやっていた行動に大きな食い違いがある事に気付き、再度質問を投げかけた。

 

「野球挙がしたかったからだが?」

 

 一点の曇りもない目で即答する野球挙大好き。

 

 

「やっぱこいつトドメ刺した方が良いんじゃない?」

「うーん……でも人は殺していないみたいだし」

 

 

 ひそひそと小声で相談した結果。

 とりあえず村に行ってから考えよう、となった。

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、この村は滅んでないみたいですね」

 

「そらそうだろ。元の意識が戻ったんだ。誰が大事な家族も同然な人達を殺すかよ」

 

 

 村に到着すると、夜中であった為出歩いている人は誰も居なかったが、点在する家屋には光が灯り人の営みが感じ取れた。

 

 

「しかし良く吸血させてくれる人がいるね」

「いや、まあ、別に牛乳でも栄養取れるからな」

 

 

 改めて判明した新事実。

 さらりとこともなげに言う情報はそれだけ衝撃的だった。

 

 

「ちなみにいつ頃戻ってきたの?」

「二週間ほど前だ。割と近くの地域にいたから助かったぜ」

 

 

 その後、経過観察の為一月ほど滞在した勇者一行だったが特に問題は起きず、旅立った。

 

 

「吸血鬼って人と共存出来るんですね」

「牛乳で生きれるならもはや吸血鬼と呼んでいいか疑問だけどね」

「しかしあんなヘンなのは懲り懲りだ」

「まあ、流石にアレは極1部の例外だよ」

 

 

 そう会話しながら街道を進む勇者ヒンメル一行。

 

 

 

 ーーだが彼らはまだ知らなかった。

 

 

 これから先、屍姫ブラナームによって抑えられていた恐るべき吸血鬼達が牙を向くことをーー

 

 

 むしろ変態の割合が多い事をーー

 

 

 今の彼らは、知る由もない。

 

 

 

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