プロトマーリンに褒められたい男……スパイダーマッ!!   作:妖精狩りの男……スパイダーマッ!!

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一度投稿したものの、文章がなんとなく気に入らなくて修正を加えての再投稿です。

消したやつを読んでいた方には申し訳ない気持ちでいっぱいです。
また作品を読んでいただけると幸いです。

内容はほとんど変えておらず、文章を変えただけですので5話からでも読めます。

四話目までは実質プロローグです。

上でこんなことを書いていますが初投稿です(大噓)


転生した男、スパイダーマッ!!

 

 

 

とある小さな村の近くにある森の中、木の葉の間から春の眩しい太陽の光が美しい黄金の髪にその優しさを表すようなエメラルドグリーンの瞳を持った少年と時代と場所を考えれば珍しい黒髪と黒い目を持った少年を照らすように差し込んでいた。

 

風により木の葉や髪の毛、衣服が揺れ動き躍動感が演出される。

 

「クックック、貴様もここで終わりのようだなアーサー…」

 

黒髪の少年がニヤリと笑い、金髪の少年に声をかける。黒髪の少年は慣れたような手つきで一本の木の棒を金髪の少年に向けていた。

 

「僕は、僕はこんなところで終わるわけには行かないんだ!」

 

金髪の少年は黒髪の少年に向かって強気に発言する。その黄金の少年は黒髪の少年が持つ木の棒をよりも少し大きい木の棒を構えていた。

 

2人が睨み合い動かないでいると彼らの真横にいつのまにか金髪の整った容姿を持ち不機嫌そうな態度の青年が立っており、その青年が2人の少年に向かって拳を振り下ろした。

 

「なにサボってんだクソガキ共!」

 

黒髪の少年と金髪の少年の頭にガン!と骨に響く音がなるほどの強烈な拳骨が落とされる。

 

「うぁぁぁ!!何するんだよ!せっかくいいところだったのに!というかアーサーはともかく俺まで殴る必要ないでしょ!」

 

「いたた、ケイ兄さんはすぐに殴るんだから」

 

黒髪の少年とアーサーと呼ばれた金髪の少年は頭にできた大きなたんこぶを押さえながらアーサーの兄であるケイに文句を言う。

 

「ピーター、お前また農作業をサボってアーサーと遊んでいたな?お前を殴ってでも連れてくるようにお前のお袋さんから言われてたんだよ。あとアーサー、お前もピーターに流されて一緒にサボるな」

「え、なんで俺が元凶みたいな言い方されてるの?」

 

ピーターと呼ばれた黒髪の少年はケイの言ったことに納得がいかないようだ。

 

「とりあえずとっとと仕事を手伝ってこい、ただでさえ近年は不作が続いているんだからお前たちにも働いてもらわないと……」

「はいはい、働いてきますよ」

 

ピーターは文句も言いながらも急足で村に戻り、農作業をしに行った。

 

 

 

 

春の暖かい日差しが眠気を誘いこむ昼頃……俺は畑を耕していた。

汗が流れ落ち、肉体から水分と塩分が失われていくがそんなことは気にせずに鍬を振り下ろし、土を柔らかくしていく。

 

俺の名はPeter……日本語で書くとピーターだ。

 

 

今から俺の経歴を話そうと思う。

俺はいつものように大学生活を楽しみ就寝すると気づいた時にはピーターという少年になっていた。そして俺にはアーサーという親友ができた。

 

……え?説明が少なすぎる?

そうは言われてもブリテン……今でいうところのイギリスに転生してチート能力もなければ一般大学生が知識チートで無双できるわけでもない。

確かに動物の糞とか貝殻とかが肥料になるのは知ってるけど肥料への加工の仕方なんて知らない。料理がクソ不味いこの時代で、冷凍食品やコンビニ飯に頼ってばかりだった俺に料理なんて作れるわけもなくみんなと同じように生野菜を齧ったりしている。

 

あとやってることと言ったら農作業してアーサーとチャンバラごっこをして、たまにサボって森に入る、この時代の子供らしいことをしているぐらいだ。

 

少し違う点といえばアーサーと一緒にケイさんに時々稽古をつけてもらっている点だ。だからか俺とアーサーは同年代の中では強いらしい。

木剣での試合になると俺はアーサーには負けるが喧嘩などのルールが無い戦いなら俺にも勝ち目はあるかもしれない。

でも強くなったからといってアーサーのように騎士なりたいわけでもない。なんだかんだの成り行きでこうなってしまった。

この時代じゃやりたいこともあるわけでもないし、騎士になりたくないわけでもないし将来的にはアーサーに付いて行って騎士になってもいいかなと考えている。

 

 

そして急に話は変わるがそんな俺にも最近誰にもいえない悩みができた。

 

それはアーサーがアーサー王なんじゃないかということだ。俺自身はアーサー王なんてサブカルチャーでしか知らないし登場人物だってアーサー王とランスロットと魔術師マーリンを名前だけ知っているレベルだ。

 

これでもしもアーサーが本当にアーサー王だったら今までに殴り合いの喧嘩やイタズラを仕掛けた俺は処刑されるのではないかと恐怖で夜しか眠れない。

アーサーなんてありふれた名前なんだから俺の考えすぎな可能性もあるけどね。もしもこれで本当にアーサー王だったら俺は泣くかもしれない。

でもやっぱり可能性を考えてしまう。確かアーサー王はエクスカリバーを抜いて王様になったのならアーサーは元々庶民の可能性が出てくるわけだ。

 

そんないらないかもしれない心配をしながら農作業をしていると遠くの方から俺を呼ぶアーサーの声が聞こえてくる。

 

「お〜いピーター!」

 

アーサーがいい笑顔でこちらに手を振りながら走ってくるので俺も手を振りかえす。

 

「どうしたんだアーサー!」

「こっちの畑は終わったから手伝おうと思って来たよ」

「ありがとうな!」

 

俺はアーサーに手伝ってもらい今日の分の仕事を終わらせ、森の中にある湖で水切りなどで遊びながらアーサーといつもようにくだらない会話する。

 

 

 

「なあ、アーサーはもしも俺が騎士になったらどう思う?」

「え、ピーターが騎士に?」

「そうだ、お前と一緒に騎士になるのもいいかもしれないと思ってな」

「ピーターがなれるの?格好をつけようとして死んじゃったりしない?大丈夫?」

 

アーサーが本当に心配そうな顔で聞いてくる。

 

「…アーサー……俺にだけ辛辣じゃない?ガチトーンで心配してくるじゃん……」

「それはピーターが大切だからだよ。この前も山に入った結果、猪に追いかけられてケイ兄さんに助けられたばかりでしょ。それにその時も僕を逃すために策もなく囮になったりするんだから」

 

1HIT

 

「それに高いところから着地するたびに怪我したり」

 

2HIT

 

「訓練の習い始めの頃は剣が手から抜けて僕の方向へ飛んできたりもあったよね」

 

3HIT

 

「も、もうその辺にしてくれ。自分の惨めさに泣きそうになる」

 

アーサーは普段優しいのに俺にだけ言葉のナイフを遠慮なく刺してくる。他の人には心配だとしても遠回しに伝えたりと紳士的に言うのに何故か俺だけに厳しい。

 

「まあ、もしも騎士になるなら僕も嬉しいけどね」

「嬉しいこと言ってくれるな。アーサーはてっきり俺のメンタルをブレイクしたいだけだと思ってたよ」

 

アーサーは仲のいい相手にはなかなか辛辣になれるタイプとわかっているけどね。

 

「僕は親友を無闇に傷つけるような真似はしないよ」

「……やっぱりお前はイケメンだな……もしも俺が女だったら惚れていたと思う…」

 

実際アーサーはイケメンだし性格も良いし気遣いもできるしで多分惚れていただろうな。

 

「君が女の子だったら僕たちは親友にはなれていなかったかもしれないね」

「それもそうかもな……初めての出会いは1歳頃らしいしそこから殴り合いの喧嘩とかもしなかったら親友じゃなくて友達止まりだったと思う」

 

俺自身も自我が戻った時には一歳を超えていてアーサーとの出会いはわからないんだよな……なんというか物心付く前に友達ではあったみたいな感じだ。

 

「やっぱり男の君が一番好ましいよ」

 

なんだか少し気持ち悪い表現だが、素直に言ってくれるのは少し恥ずかしいな。

俺はアーサーのこういう素直に言ってくれるところが好きだ。もちろん恋愛的な意味じゃない、1人の人間として好ましいと思っている。

 

「ねえピーター、今から試合でもしないかい?」

「急にどうして?」

「ピーターも騎士になるなら剣の腕は今のうちに磨いておかないと」

「……それもそうだな、アーサーの家の前でいいよな?」

「うん、今日はケイ兄さんもいるしね」

 

俺はアーサーの家に向かう前に先に手に持っていた石を回転を加えながら湖に投げる。

平べったい石は水の上を何度も跳ねてやがて湖の底へ沈んでいった。

17回跳ねた……新記録だ。

 

その後森を抜けてアーサーの家に向かいケイさんに声をかけて木剣を貸してもらい、家の前で試合を始めた。

 

俺はアーサーの剣をいなして防御や回避をするがアーサーは剣の軌道を変えたりして攻撃を入れてくる。

 

元々わかっていた通りアーサーは俺より強い。剣の腕もそうだが何よりも反応速度が段違いなのと勘が鋭いのが厄介だ。

俺の剣なら目を瞑ってても回避してきそうでな……

 

そんな天才を相手にしているからこそ俺も強くなれているとは思うのだがアーサーとの差が埋まる気がしない。

しかしそれで諦める俺では無い。自分で言うのもなんだが俺は負けず嫌いだ。剣の才能では敵わなくても小手先の技術でなんとか対抗する。

 

木剣と木剣がぶつかり合い腕に強烈な痺れが何度もくる。動きすぎた影響からか汗がだらだらと滝のように流れ出す。強く踏み込んだ時に飛び跳ねた土が俺とアーサーの顔を汚す。

 

俺の木剣がアーサーに弾き飛ばされくるくると回転し、地面に落ちたと同時に俺も尻もちをついて倒れた。

 

「そこまで」

 

ケイさんの少し渋めの試合は終わり、アーサーも尻もちをつきながら深呼吸をしていた。

 

「はぁ、はぁ、やっぱりアーサーに勝てねぇや」

「そういう君も、君も腕を上げたね。何発かもらいそうになったよ」

「え?正直自分が強くなった実感なんて一切ないんだが……前回とほとんど変わってないと思うぞ?」

 

「おそらくアーサーが肉体的に、ピーターが戦術的に成長しているからだな」

 

ケイさんが俺たちの会話に割り込み疑問点の答えを教えてくれる。

 

「どういうこと?」

「まずアーサーは自身の反応速度が速すぎてピーターのフェイントにすら反応してしまう。その後の本命の一撃すらも対処できている今はいいがいつか対応できなくなる、だからこそ反応したとしても攻撃なのかフェイントなのか見極めていかないといけない。

逆にピーターは自身の能力をフェイントなんかでカバーできてはいるが少し考えすぎで反応が遅れ気味だ。あとは純粋な身体能力の差だろうな。アーサーの身体能力に勝てるところがない分ピーターは頭で勝負しようとする。

結論を言うとアーサーはもっと考えて見極めろ、ピーターは思考を早くして身体を鍛えろ。こんなところか?」

 

「…………」

「…………」

 

「ん?急に黙ってどうした?」

「け、ケイ兄さんが僕たちに的確なアドバイスをするなんて……」

 

自分自身も口だけは最強と豪語していたぐらいには口論なんかには強いと思ってたけど俺とアーサーの必要なことをすぐに見つけ出すなんてすごいな……

 

「おいおい、さすがに10歳のお前らぐらいなら俺でも教えることくらいはできる。まあ、アーサーに関してはたまに負けそうになるけどな」

 

なんというかこんなのでも騎士なんだなぁと実感した。

 

「それよりも日が暮れる前に川に水浴びに行ってこい。汗と泥で汚いぞ。木剣は片付けておいてやるから早く行ってこい」

「「はーい」」

 

俺とアーサーはケイさんの言葉に従い着替えを持ってきた後に近くの川へ走って向かい汗を流す。

 

少し冷たい水が傷口に染み、少し痛みを感じながらも火照った体を冷やしていく。

 

「ああ〜気持ちいい!」

「確かに気持ちいいね」

 

そうやって川で汗を流しているとアーサーがとあることを話し始める。

 

「ねえピーター」

「どうした?」

「僕はピーターと親友になれて幸せだよ」

 

……アーサーが恥ずかしいセリフを素で言ってくる。

 

「君が僕に追いついて来て、いつも先に行こうとするから僕も負けずに君の前を走り続けるために頑張れた。君がいない人生はつまらなかったかもしれない。本当に僕の親友になってくれてありがとう」

 

言葉で言うのは恥ずかしいから言わないけど俺もそう思ってるよ。

俺がこんなクソみたいな世界でも楽しいと思えてるのはアーサー、お前のおかげだよ。アーサーがいなければ俺は自殺していたかもしれないし何もせずに無気力に生きていたかもしれない。

 

「俺もそう思ってるよ」

 

「何か言った?」

「ううん、なんでもない。それよりもさっさと着替えて帰ろうぜ、ケイさんも日が暮れる前に戻ってこいって言ってたしな」

 

俺たちは服を着替えてそれぞれの家に帰り、クソまずいブリテン飯を食べ、今日も眠りについた。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

真っ赤で巨大な蜘蛛が真夜中の社会の明かりに照らされながらビルとビルの間を自由に空駆ける。

でも自由なのに、自由には見えなくてたくさんの血の鎖に繋がれ、悲しみの涙を流し、手のひらからは金髪と銀髪の男女が零れ落ちた。

それにもかかわらず蜘蛛は誰かを助けては夜のしじまへと消えていく。

 

その真っ赤な蜘蛛が消える瞬間にビルの窓から反射して映った姿にはよく知っている顔が一瞬だけ見えた気がした。

 

 

 

 

そこで俺は意識が覚醒して夢から現実へと引き戻された。

 

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