プロトマーリンに褒められたい男……スパイダーマッ!!   作:妖精狩りの男……スパイダーマッ!!

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遅れてすまない。本当にすまない。
ミス・クレーンの短編小説を書いていたら遅れてしまった。
再度謝ろう。すまない。


キャメロットを襲う男、スパイダーマッ!!

 

「ということでキャメロット襲撃します」

 

周りには誰もいない夜。月明かりが世界を明るくして火が入らない秋の夜。

俺はマーリンと2人きりで会話をする。

 

俺はマーリンに襲撃のことを話すがモルガンについては一切を口にしない。契約書の効果がどこまであるのか本人が把握できていないからだ。

 

「なるほど……面白そうだ!それにアーサー達は攻め込むことは慣れていても襲撃には慣れていない。いい練習になるだろう。

今は安全な時期だしこれから波乱の時が来る。それに備えるのも良いけど突然の裏切りなどにも対応しないといけなくなる。

だからこれは予行練習……仲間が裏切った時にどう対応するかのね

それにもちろん君は誰も殺す気はないのだろう?なら安心だ」

 

マーリンはいつものように笑顔を浮かべながらわかりきっていることを聞いた。

 

「もちろん。あと俺が戦うのは円卓とアーサーだけだからそれ以外の奴らは襲わないよ」

「いつ襲撃するんだい?」

「明後日の夜明けから襲撃を開始する予定。だからそれまでアーサーに言わないでおいてほしい。あと襲撃時にはマーリンは無干渉でいてほしいです」

「いいよ、それとその日にキャメロットにいる円卓の騎士全員とアーサーを倒せた場合にはご褒美をあげよう」

「ご、ご褒美ですか……」

 

俺は唾を飲み込み期待する。男の子だもん仕方がない。

少しの静寂が1時間にも感じるほどマーリンの言葉を期待して待っているとマーリンが耳元で甘い囁きをする。

 

「君がボクにしてほしいことをなんでもしてあげよう」

 

あまりの衝撃に脳がフリーズする。俺はマーリンが言った言葉を理解した瞬間に脳がリセットされ、また理解する。そんな無限ループを10秒間続けて放心状態になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「(´⊙౪⊙)۶ッッッッィィィィイイイイヨッシャアアアアァァァァ!!!!」

「待ちなさい、その言葉の前半はどうやって発音したのですか!?」

 

襲撃当日。

黒いスパイダースーツに身を包んだ俺はやる気のあまり人には発することのできない言語を口にする。

よほどやる気に満ち溢れているので逆に心配になったモルガンは不安を覚えながらも作戦を開始する。

 

今回の作戦は至って簡単でサーチ&デストロイ。見つけ次第襲いかかり仕留めるだけの簡単なお仕事である。

しかし簡単ではない理由が一つあった。敵が強すぎる。

アーサーは疎か円卓の騎士と一対一でまともに戦っていては俺に勝ち目はない。

1人やれたとしても次を倒すための体力が残らない。

なのでアーサーに関してはモルガンと俺のタッグで仕留めることになった。

 

 

しかしモルガンだけは水人形であり、本体はオークニーの城から俺に向かって無線を飛ばしながらゆっくりと本を読んでいる。

1人だけ暖かい部屋でぬくぬくしている罪は重いぞ。

 

「それで俺はべディ、アグラヴェイン、ランスロットを優先して倒せばいいんだよな?というか殺す必要は無いって優しいな」

「今回の目的は円卓たちの戦闘データの収集と愚弟への嫌がらせですもの」

「性格悪いのか良いのかわからない。まあ、今回は日頃の鬱憤を晴らす為に全力で闘ってくる」

 

 

そう言って俺は走り出し糸をうまく使って白亜の城壁を登る。

見張りの兵士たちはまた俺が変なことしてるだけと思って何もしてこない。

常日頃から城壁は勝手に登ってるし、黒くなったとはいえスパイダースーツを着るなんて俺しかいないからだ。

 

城壁を登った後は窓からキャメロット城内に侵入して少し狭い渡り廊下でベディヴィエールを発見したので蜘蛛の糸を天井に引っ付けて勢いの乗ったドロップキックを叩き込んだ。

 

背中から直撃したもののベディの奴はすぐに立て直し、冷静に物事を判断して俺が敵だということを察する。

 

「お久しぶりですね。1月前にお会いした以来でしょうか……貴方が無闇に人を襲うとは考えれません。だとすると洗脳……いや、貴方のことですしマーリンに唆されましたか」

 

なんだこいつ、前から頭が良いと思ってたけど理解力高くね?

洗脳はされてないけど答えに一瞬で答えに行きやがったよ。それとも俺が単純すぎるのが悪いの?

 

そう思っているとベディヴィエールは容赦なく俺に斬りかかってくるがスパイダーセンスで事前に察知しておいたおかげで後ろに軽く跳び楽々避けることに成功する。

 

「久しぶりだなベディ……俺は洗脳などされていな……」

 

「銀の腕よ、私に輝きを!

我が魂喰らいて奔れ、銀の流星――一閃せよ、銀色の腕(デッドエンド…アガートラム)!!」

 

ベディヴィエールの右腕の銀色の義手が光り輝き俺目掛けて突っ込んでくる。

これはベディヴィエールの膨大な魔力を秘めた銀の腕を用いて振るわれる絶技。

敵を瞬速の「手刀」によって一閃せしめる超かっこいい技。

 

「人に使う技じゃないだろぉ!!!」

 

避けきれないと思った俺は指先から出した蜘蛛の糸を包帯のように使って己の左腕に巻き付けて防具のように使う。

しかし威力が高すぎたのか俺の腕はボロボロになりながら痺れている。なので隙だらけになっているベディヴィエールの顎に強烈な飛び膝蹴りを喰らわせた。

 

脳震盪により気絶したのか、ベディヴィエールはその場で倒れて動かなくなる。しかし息や脈はしっかりとしているようなので殺してはいないようだ。

 

この勝負はベディヴィエールが銀色の義手の出力を下げていたおかげで勝てていたものだ。

もしも下げていなかったら俺の左腕は綺麗に切断されていたことだろう。

 

「ごめんな……お前を糸で縛っても義手で斬られる可能性もあるから…」

 

俺はベディヴィエールの鎧を剥がして服を脱がせる。

マーリンから貰った特殊な服を着せて人目のつかないところに放置した。

 

「さて、次の獲物はどこだろうな?」

 

正直に言うと結構ギリギリ。

ベディヴィエールは本人の強さよりも軍を指揮する者としての強さがあるから1人でいるうちに倒せたのはよかった。

 

そう思いながらモルガンから貰った礼装を使って回復をしていく。魔術回路が2本とはいえ礼装の起動には問題はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから数時間。

 

「ムリ、マジで、もう死ぬ。

 戦うたびにボロボロになっていったら流石に苦しい。ランスロットもアグラヴェインも何とか倒せたけどスパイダーセンスの調子が良くなかったら41回は死んでた……特にランスロットの攻撃は掠っただけで内側から爆破されるのは絶対に避けないとダメだった。

 アグラヴェインの野郎も攻撃力は高くないけど恐ろしいほどに殺意が高い」

 

やっぱり厨二病って煽ったことにキレてるのかな?あいつが珍しく選択を間違えるように扇動したはいいものの誰よりも俺を殺そうとしてきた。他のみんなはなんだかんだで戸惑ったり出力を下げてくれてたりするのにあいつだけ俺の首を容赦なく取りに来てた。

 

「愚痴をこぼすのは後もう少しですよ、この扉の向こうにいるアーサーで最後です」

 

余裕そうな顔のモルガンが俺に発破をかける。

モルガンはとても余裕そうな顔している…まさか場内に残っている円卓メンバーって少なかった?

 

「モルガンは誰を相手にしてたんだ?というか今は水人形じゃないよな?もしかしてやられた?」

「ガウェインとケイ」

 

……なるほどな。

ガウェインはモルガンの子供だから戦い方を知っていても不思議ではないし対抗策も考えやすいだろう。

ケイさんはシンプルに弱いからな……口だけで竜の首を切れるぐらいには心理戦は強いけどモルガン相手だと無理だよな。

 

でもこの2人だと水が肉体の代わりになっている水人形は相性が悪すぎる。ガウェインは太陽パワーで水を消し飛ばせるし、ケイさんは触れている物を乾燥させる能力がある。

ケイさんは一体どこを目指しているのだろうか?何度も考えたことがあるほど多彩な能力を持っている。

 

おそらく破壊された水人形をビーコンにして移動してきたのだろう。

 

「さて、ほどほどに回復してきたところだしアーサー戦いってみるか」

 

玉座がある部屋の扉を壊さないようにゆっくり開いて中を覗く。

すると見覚えしかない銀髪の青年が不機嫌そうな顔で玉座に肘を乗せながら座っていた。その姿はまさに帝王……

 

「待っていたよピーター……そしてモルガン」

 

────あっ、まずいブチギレてるわ。

 

そう悟った瞬間、モルガンに無理やり抱き寄せられ、強引に顔を胸に埋められる。

特に興奮することもないがアーサーからの殺気を帯びた視線が体をこわばらせる。

 

硬直しているせいでモルガンの顔は見えないが凄く楽しそうな声でアーサーを煽る。

 

「久しぶりですね我が愚弟よ。

 貴方の大切な親友が私の物になった気分はどうですか?」

「……最悪な気分だよ。ピーターが君の物という戯言を言われるのはね。ピーターはの物だ」

「ふっ……執着深い男は嫌われますよ」

「ピーターが僕を嫌うはずないだろう?それと人の物を取る女性も嫌われるよ」

 

──なんだこいつら

 

俺はどっちの物でもないんだけど……助けてマーリン!!俺この2人の争いに巻き込まれたくないよ!!特に俺の取り合いって酷くない?

ここで私のために争わないで!!って言ってる女の子の気持ちがようやくわかったよ。

 

ひとまずモルガンの拘束を解いて部屋の隅っこに逃げる。

あの2人の間に挟まっていたら確実に死ぬことが嫌でもわかる。助けてランスロット!!……俺がメンタルをボコボコにしたんだった……

 

アーサーとモルガンは戦闘体制に入る。

アーサーは一瞬でモルガンの懐に飛び込むもそれを予測していたのか床から黒い槍が出現してアーサーを貫こうとする。

 

しかしアーサーはモルガンへの攻撃を辞めて後ろに回転しながら回避する。モルガンがそんな隙を許すことはせず、どこから取り出したかわからない黒い剣を確実に当たらない距離で振るとアーサーの体に剣で切り裂かれたような傷が浮かび上がり苦しそうな顔をする。

 

「風よ!」

 

アーサーが叫んだ瞬間に壁は吹き飛び、モルガンは空中へ放り出される。危ないと思って助けようとしたらモルガンは空中に立っていた。

浮いていたわけでも飛んでいるわけでもない、ここが地面だと言わんばかりに立っていた。

 

その瞬間に頭の中でとあるイメージが流れ出す。

 

そこを好機と見たアーサーはエクスカリバーを両手で握りしめて、斜め下に剣先を向けて上方向への薙ぎ払いの準備をする。

 

約束された勝利の剣(エクス……カリバー)ァァァァ!!!」

 

人々の「こうであって欲しい」という想念が星の内部で結晶・精製された神造兵装であり、最強の幻想(ラスト・ファンタズム)。聖剣というカテゴリーの中において頂点に立つ最強の聖剣。

そのエクスカリバーによってアーサーの竜の心臓で生み出された膨大な魔力を光に変換し、集束・加速させることで運動量を増大させ、光の断層による究極の斬撃として放った。

最強……その言葉に相応しいほどの熱量を持ったビームが空中にいるモルガン目掛けて飛んでいく。

 

モルガンがその攻撃に対抗して魔術を唱えようとした瞬間に現在キャメロットにいないはずのトリスタンが見えない位置から真空の矢を放ち、雲一つない晴天の空にモルガンの杖槍を持った右腕から出た血飛沫が舞った。

 

スパイダーセンスでそんな未来を見た俺はモルガンがある方向へ走り出す。糸を使って助けようとしてもモルガンに対してはセーフティーがかかっているせいで糸を発射することはできない。

ならば俺に残されたできることは一つ。

 

約束された勝利の剣(エクス……カリバー)ァァァァ!!!」

 

予知した通りアーサーがエクスカリバーを発動させる。その瞬間俺は既に上空にいた。具体的に言うとモルガンの真上だ。

キャメロットの屋根に糸をくっつけて弓で矢を射るように自分を青空へと飛び立たせた。

 

糸をモルガンではなく地面に放ちながら自由落下中にモルガンをキャッチする用意をする。

予知通りに居場所がわからないトリスタンがモルガンを射抜き、血飛沫が舞う。

 

このままではエクスカリバーの光がモルガンに到達するまでに間に合わない。だから先ほど地面に飛ばしておいた糸を使って加速する。

 

「モルガン!!」

 

究極の光がモルガンを呑み込もうとする瞬間に光の前に飛び込んだ。

圧倒的な熱量が全てを消し去り、俺とモルガンは1秒後の自分たちの光景を頭の中に思い浮かべる。

 

しかし落下して重力加速した俺はモルガンの腰辺りをガッチリと掴む。

刹那とも言えるほどのほんの僅かな時間。うるさい心臓を無視して血管が破れるほど全力で下方向に移動するように糸を持った手に力を入れる。

光がちょうど真上を通過していき、俺とモルガンは九死に一生を得た。

 

そのまま重力に従い落下して石の床にぶつけられる前にモルガンがお姫様抱っこで俺を抱えてくれた。

しかし腕が怪我をしているので左腕の方が高くなってしまい落ちそうになるがバランスのいい体制で落下することはなかった。

 

「なぜ私を助けた?貴方からすると私は敵だ。今は契約により共闘しているとはいえ、契約を破ると死ぬからだ。だから私を見殺しにする方が利があったはずだ……なのに一体なぜ…?」

「……一応モルガンとは1ヶ月間一緒にいた仲だからな。

 腹に穴を開けられたりしたけど別に俺は気にしてないからな。一緒にご飯を食べなら友達って言うぐらいだしな。

 だからモルガンを助けた……これで良いか?」

「ですが少しでも遅かった時、貴方は確実に死んでいました……」

 

そう言いながらゆっくりと地面に着地して俺を下ろしてくれる。

 

「俺だって誰でも助けるような人間じゃない。俺がモルガンを(友人として)大切に思っているから助けたんだ」

「………えっ?」

 

モルガンは鳩が豆鉄砲食らったようにあっけにとられきょとんとしていた。

 

「嘘を………ついては…いない…。なら本心で?」

 

ありえないものを見るような目でこちらを見つめる。

 

「俺がモルガンを助けるのってそんなにおかしいことかな?」

「…………私は貴方を手に入れたくなりました」

「はあ?」

 

するとモルガンは俺の顎をクイッとする。

 

「今日から貴方は私のモノです。断ることは許しませんよ」

「え、なんで?」

「魔女ですもの……欲しいモノは如何なる手を持ってして手に入れる。当たり前のことでしょう?

 しかし今日のところは負傷もあるので一旦引きます。来週迎えに来るので準備をして待っていなさい」

 

モルガンは堂々と言い切った後に鏡を出現させて消えていった。

 

「俺が……俺が何をしたって言うんだ……」

 

あの後、円卓会議を開いて反省会をした。そしてその後俺は1人でキャメロットの修理を3日間寝ずにすることになった。

 

 

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