プロトマーリンに褒められたい男……スパイダーマッ!!   作:妖精狩りの男……スパイダーマッ!!

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あと2話でロンドンは終わります。


赤い蜘蛛とシャーロック・ホームズ。

 

「はあ、はあ、一体どうしてこうなったんだ!」

 

私はホームズに言われた通りにイーストエンドで蜘蛛男と切り裂きジャックに関する聞き込みをしていると切り裂きジャックの方は知らないが蜘蛛男なら見たという人がたくさんいた。

その人たちが言うには『何かを探しているようだった』『左腕に腕輪をつけていた』この2つの情報を集めた後に少女の証言と照らし合わせるために足跡などを探していると突如として白いローブを着た集団に襲われた。

命からがら逃げている。しかし追いつかれるのも時間の問題だろう。

 

「もしかしてホームズも襲われて………ホームズなら大丈夫か」

 

ホームズなら私が心配せずとも切り抜けることができるだろう。それよりも私の方が危ない。

 

建物と建物の隙間に逃げ込み隠れようと思った時、途端に足が動かなくなった。疲れからなどではない、足裏と地面が釘により固定されたように動かなくなったのだ。

 

なんとかして足を動かそうとするが全く動かない。

悪戦苦闘していると前から1人の男がゆっくりと歩いてきた。

 

「君は……シャーロックホームズではない……だとするとワトソンという助手か……困るんだよ、一般人がジャック・ザ・リッパーについて調べられるのは。

不安分子はここで排除しなければな」

 

殺される。

その言葉が頭の中で何度も繰り返される。すまないホームズ。私はここで死んでしまうようだ。

 

男が私に手のひらを向ける。私は死を覚悟して目を瞑った。すると私の体は何か強いものに引っ張られ浮き上がり、誰かに優しく抱えられた。

うっすらと瞼を開けて見てみるとそこには例の新聞に載っていた蜘蛛男がいた。

 

「貴様は何者だ?」

 

先ほどまで私を殺そうとしていた謎の男は苛立ちを見せながら言った。

その言葉に蜘蛛男は佇みながら答えた

 

「……地獄からの使者……スパイダーマン…」

 

そう言った瞬間に蜘蛛男の雰囲気がスイッチで切り替えたように変わった。私はこの変わりようをホームズで見たことがある。彼が推理を始める時によく似ていた。

 

スパイダーマンのその背中はとても大きく見えた。同時に傷だらけで弱々しくも見えた。

 

スパイダーマンは私をゆっくりと地面に下ろした後、謎の男に向かって走り出した。謎の男が放った紫色に光る縄をするする交わして接近する。

 

「お前ら魔術師が何をしようと勝手だ。だが一般人を襲うのは看過できない」

 

スパイダーマンは壁を歩いていた。比喩表現ではない。スパイダーマンは本当の蜘蛛のようにいともたやすく歩いていた。壁を破壊している様子もない、何かワイヤーで吊るしている様子も無い。

本来現実ではあり得ない動きをしたのだ。

 

接近した時の勢いのまま馬の蹴りよりも強い威力で踵落としをするが透明な壁に阻まれて魔術師と言われた男は無傷だった。

 

「なるほど……蜘蛛男の正体がまさか『地獄の蜘蛛』だったとはな。予想していたが当たって良かった。用意した礼装が無駄になるところだったよ」

 

「…………」

 

男が何を話しているのかはわからないがスパイダーマンがハンドジェスチャーで逃げろと言ってきた。おそらく私がここにいる限りスパイダーマンは全力で戦えないのかもしれないと思いその場から逃げた。

 

逃げている途中で私を追っていた白いローブの男達が蜘蛛の糸に捕らえられている姿を目撃した。スパイダーマンが倒してくれたのだろう。

私はこの事件が関わってはいけない類のものだとホームズに伝えるために事務所に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの一般人は逃げたか……まあいい事務所の場所はわかっているんだ。いつでも殺せるだろう」

 

「俺がそれを許すとでも?」

 

「君に許される意味がどこにある?」

 

スパイダーマン……彼はその辺の木箱に糸を引っ付けて、遠心力を活かして魔術師に投げつけた。

しかしそれも透明な壁に防がれ、木箱は破壊されて木箱としての機能を無くした。

 

しかし魔術師の視界が木箱の残骸によって見えなくなっている隙をついて魔術師の足に蹴りを当てようとローキックをするがそれすらも防がれる。

 

「やはりな……『地獄の蜘蛛』よ、君では私には勝てない。我が家に伝わる魔術を突破する手段を持っていない君ではな」

 

魔術師は勝ち誇る。伝説的な人物に自分の魔術が勝ったということに喜びを覚える。

 

 

「はっはっは!!このまま君を殺して不老の秘密でも研究させていただこう。なんせ1300年ほど前から生き続けている魔術使いだ!さぞかしその体は貴重な素材になるだろう!」

 

魔術師は高らかに笑い勝ちを確信していた。

 

「そうだな……お前の勝ちだ……今はな」

 

そう言って彼は全力で道路の方向へ走り出す。

 

「待て!卑怯だぞ!」

 

魔術師の言葉を聞かずに逃げ出した。魔術師も追いかけようとしたが仕掛けられた糸や引っこ抜かれたガス式の街灯によって行く手を阻まれる。

なんとか障害物を避けて道路に出た時、スパイダーマンの姿は消えていた。

 

「地獄の蜘蛛め……まあいい、ジャック・ザ・リッパーの現れるところに奴も必ず現れる。その時に捕えれば良いでしょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は事務所に帰ってすぐにホームズに先ほどの事件を伝えようとしたがホームズの姿が見当たらなかった。

 

「ハドスンさん、ホームズはまだ帰ってきてないかい?」

 

「まだお帰りにはなられていませんね」

 

やはりか……ホームズがいるであろうホワイトチャペルはここから歩いていくには遠すぎる。やはり馬車で行くべきなのだが今の時間帯を考えれば走っている辻馬車も少ないだろう。

どうしたものかと考えていると馬車が止まる音がした後に玄関の扉が開かれた音がした。

私は階段を駆け降りて確認しに行くとそこにはホームズが立っていた。

 

「ホームズ!大変なことが起きたんだ!」

 

「落ち着きたまえワトソン。蜘蛛男……スパイダーマンのことなら私も知っているとも」

 

「ホームズも白いローブの男達に襲われたのかい?」

 

「それに関しては事務所内で話そうか……落ち着いて会話をするには椅子が必要だからね」

 

ホームズは階段を上がり、事務所に入っていく。椅子に座り少し落ち着いた後にハドスンさんに部屋の外に出てもらった。

 

「ハドスンさんを部屋の外に出す必要はあったのかい?」

 

「白いローブの男達は情報を秘匿したい様子だった。情報を知ったものを排除するならば情報を共有し合うのは既に襲われた私と君だけで十分だろう」

 

「それもそうか……それでホームズも襲われたんだね?」

 

「襲われたさ。聞き込みや事件現場でヒントを探している時に突如として現れた白いローブの男達を自慢のバリツで撃退していたのだが彼らのリーダー的な存在が現れた時にスパイダーマンが私を助け出してくれた。

彼と私で白いローブの男達……スパイダーマンは魔術師と言っていた彼らを撃退した後にワトソンも襲われている可能性があると思った私はスパイダーマンに頼んで君の救援に向かってもらった」

 

「なるほど……だからスパイダーマンが……」

 

「ワトソン、この依頼は諦めよう。明らかに私たちの専門外だ。そもそも依頼者が怪しすぎる」

 

「依頼者が怪しい?」

 

「私はスパイダーマンに聞いた。兄弟や姉妹はいるのかを」

 

「………つまり彼女は妹では無かった?」

 

「その通りだ。それに私たちは素性を調べずになぜ彼女を信用してしまったのか……おそらく魔術というもので印象操作をされていた可能性がある」

 

魔術……私の足が動かなくなったのや白いローブの男達が出していた紫色の縄も魔術の影響なのだろう。

 

「しかし依頼を諦めると言っても事件を解決しないわけではない。私たちは魔術師に顔を見られている以上狙われ続けるだろう。ならばスパイダーマンと切り裂きジャックと魔術師について調べなければならない」

 

ホームズはいつにも増して真剣な表情を浮かべる。数々の難事件を解き明かした名探偵シャーロック・ホームズも魔術という人智を超えたものになると厳しいのだろう。

 

「きゃーー!!」

 

そんなことを考えているとハドスンさんが叫び声が家全体に響き渡った。私とホームズは急いで叫び声のあった方向に向かうとハドスンさんが目を見開きながら腰が抜けていた。

 

「大丈夫で…す………か」

 

私はハドスンさんに駆け寄り、ハドスンさんが見ている方向に目を向けると暗い夜の闇の中に赤色の蜘蛛が立っていた。私は驚きを隠せず開いた口が塞がらない。

 

「夜分遅くにすまない。シャーロックホームズの力を借りにきた。切り裂きジャックの居場所を突き止めてほしい」

 

彼が……スパイダーマンがいた。

 

 

 

 

 

 

 

スパイダーマンを事務所内に入れて話を聞いた。

彼は2週間前から切り裂きジャックを追いかけていて、殺人を止めようとしているが出会うことができずにいたらしい。

時間をかけていたら魔術師という人たちも切り裂きジャックを探していて何度か接敵したと彼は言った。

 

「要するに私たちに切り裂きジャックの居場所……または次の犯行現場を調べてほしいということで間違いないかな?」

 

「間違いない。……それに魔術師達に顔と名前を知られている君たちを放っておくのも危険が多すぎる。俺の近くにいてもらった方が安全だ」

 

確かにスパイダーマンなら私たちを守れる実力があることは先ほどの戦いでわかっている。シャーロック・ホームズとバレているなら事務所に突撃される可能性も考えたらスパイダーマンに協力するのが得策だ。

 

「……その依頼…受けさせていただこう」

 

しかし1人では決まらないのでホームズに耳打ちで聞こうとしたがその前に依頼を受けてしまう。ホームズのことだきっと考えがあってのことなのだろう。私が何か言うべきではないと思い黙っておいた。

するとスパイダーマンがさまざまな情報を提供してくれた。

 

・魔術師は倒してもキリがないこと

・切り裂きジャックの正体が魔術や霊的な何かであること

・ジャック・ザ・リッパーの凶器は一本のナイフであること

 

その情報からホームズが考え込むがこれでは情報が足りない……というよりも魔術だと私もホームズもさっぱりわからないことが多すぎる。

 

「これだけで犯人を特定するのは不可能だ。明日からも捜査を続ける。……明日は朝早くから全員でホワイトチャペルに向かおう」

 

「わかった……今から俺は屋根の上で見張りをするとしよう」

 

「スパイダーマンは寝ないのかい?」

 

「一年ぐらいなら寝なくていい」

 

そう言って窓から屋根へと登って行ってしまった。

 

私とホームズは明日のために睡眠をとり、体力を回復させることに専念した。

 

 

 

 

 

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