プロトマーリンに褒められたい男……スパイダーマッ!! 作:妖精狩りの男……スパイダーマッ!!
今回は伏線を貼り付けてる話だからそこまで面白く無いかもしれない
面白くなかったら初投稿だと思っていてください。
湖の貴婦人、湖の乙女、ニミュエ、ヴィヴィアン。
数々の名前や異名を持つ湖の精霊である彼女は生まれて初めて心の底から恐怖していた。
赤と青の全身タイツ……彼女目線で言うならば魔術によって作り出された正体不明の魔術礼装。それを身に纏い、邪悪な気配を発しながら、不思議なポーズと奇声をあげる男が彼女たちの住む森に入ってきた。
それだけなら彼女が貼った最高峰の隠蔽の結界で湖に気づかれず、去っていくはずだろう。
なぜなら結界を潜り抜けるのは時計塔と呼ばれる現代の魔術組織の実質的な最高位である
しかしその変な男は自然の一部とも言える精霊が本気で貼った結界を何事もなかったかのように素通りし、結界内に入ってしまった。
彼女は謎の侵入者の目的を把握するために養子のようなものであるランスロットを向かわせる。
ランスロットはアーサー王物語に語られる円卓の騎士の中でも最強と名高い騎士、現在は若いとはいえランスロットに勝てる者は神秘の薄れたこの時代では数えるくらいしかいないだろう。彼女もそれをわかっていた。
しかし相手が悪かった、悪すぎた。
謎の男はランスロットを翻弄して、ほぼ無傷で捕えてしまった。
こんなことができるのは蜘蛛の力によるものなのだが彼女はその力の詳細をまだ知らない。
なのでただの人が魔術すら使わずに自分の加護を持ったランスロットを完封したようにしか見えなかった。
そして突如として現れた謎の男……スパイダーマンはランスロットに連れられてこちらに向かってきていることを知った彼女は覚悟する。
そう覚悟したはずだったのにランスロットが連れてきたスパイダーマンを見て彼女は心の奥底から恐怖してしまったのだ!
ただ立っているだけのスパイダーマンから発される邪悪で悍ましい気配は精神を蝕むように大きく広がる。
魔術で作り出した水鏡で防犯カメラのように遠くから見ていた時には感じ取れなかったほどのドス黒い気配があった。
ただの人がこんな力を持つことがあり得るのか?そんなことを思ってしまうほど彼の力はこの地球には異常であり、小さい人の体に収まるとは考えられなかった。
「えっと……湖の貴婦人?それともニミュエさん?どっちで呼べばいい?」
スパイダーマンはニミュエに対して気軽に話しかける。
小さな器に無理やり押し込められたように力が入っているのにこの人間はどうして普通に会話ができるのか……それすらも怖くなった。
「……どちらでもお好きな呼び方でお呼びください。それと貴方のお名前もお聞かせください」
ニミュエは冷静に名前を聞いているが内心はまったく冷静ではない。
「じゃあ、ニミュエさんと呼ばせてもらうよ。俺の名はピーターよろしく。そしてここに来た要件なんだけど俺の力についてニミュエさんの眼から見て何かあるのか聞きに来ました」
ここでひとまず安堵する。
もしもスパイダーマンの目的がニミュエの殺害などの場合、下手に殺しては力が溢れ出しそうだし、捕えるにしてもランスロットを無傷で破ったスパイダーマンを捕えるのは至難の業というものだ。
なのでこうして会話で要件が終わるのは最も安全な方法だった。なのでニミュエは正直に話した。
「力とはその禍々しい神性のことですか?」
しんせい?
なんでなんだよ!!しんせいの『しん』って神だよな……ふざけんな!
神さま関係とかろくなことにならないじゃん!!俺が知ってる神だけでもゼウスとかイザナミとか頭のおかしな連中じゃん!!
ゼウスは浮気常習犯で強姦上等なクソ野郎だしイザナミはイザナギとの痴話喧嘩で人間を大量虐殺してるし。
うわーやだー!!力を貰ったのは感謝するけど神様関係とか絶対にやだー!!しかも禍々しいってなんだよ!
その場で膝から崩れ落ち、自然と涙が流れるがスパイダーマンのスーツで誰からも見えない。まさに仮面の下で涙を流す……違うこれ、別のヒーローだ。
「そもそも貴方はどうやってそれだけの力を?今の神秘の薄れたこの時代に神々の干渉はなく、ヘラクレスやヘクトールのように神の加護を与えられることはあり得ません。しかもそれほど恐怖を駆り立てられる神性は初めて見たのですが……」
「なんか変な蜘蛛に嚙まれたらこの力を手に入れたのですがそんなにやばいやつなんですか?」
「はい、私たち精霊は地球の一部のようなものなので地球で生まれたものとそうでないものは感覚でわかるのですが、その力は明らかに地球で生まれたものではありません。しかも私が持っている精霊の目のように特殊な目を有していたりしないとわからないものでしょう。隠蔽工作が何重にも施されています」
オーマイゴッド、言葉の通りoh may god。まさに俺は力を与えた神様。
本当に俺なんかに力を与えた神様は誰でどんな目的があるんだよ。しかもこの地球じゃ無いってことは異世界か宇宙、別空間とかそんな感じ?
というかそんなに隠蔽されているからマーリンでもわからなかったのか……本当になんなんだろう、この力……
あーーーーーーー、なんだかメンタル的にしんどくなってきたな。やっぱり厄ネタなんだよな。
アーサーと一緒に旅を続けれるかな?マーリンと手を繋ぐことすらもできなくなるのは嫌だな……もっとイチャイチャしたいよ!!
まあ、一度もイチャイチャしたことは無いけどね。
デメリットについて聞くのがものすごく怖いが聞かないことには埒が明かないので恐る恐る聞くことにした。
「そういえばこの力にデメリットとかありそうですか?とてつもなく運がわるくなったり、体に激痛がはしったり、誰からも忘れられたり、人じゃなくなったりとかは……」
「おそらくありませんね。その力は加護によく似ていますが少し違う性質です。なので力を一方的に与えることはあっても何かを奪われる心配はないでしょう。ですが十分に注意してください、私でも力の大元を見抜くことはできませんでしたので」
なるほど、つまりデメリットはなさそうなのか……うれしいいいい!!少なくともで感覚麻痺ぐらいはありえると思っていたから本当に嬉しい!!これからもスパイダーマンとして活動できそうだしアーサーと一緒に働けるし、マーリンの近くにいれる。
デメリットの有無を聞いたことだし帰ろうと思い、ニミュエさんとランスロットに帰りのあいさつをする。
「いろいろとありがとうございました。俺はアーサーとその兄、そしてマーリンの旅に追いつかないといけないのでこの辺で失礼させてもらいます」
そう言うとランスロットが慌てて聞いてきた。
「もうお帰りになられるのですか?」
「うん、ここからブリテンに戻るのは時間もかかるし、まだ太陽が出ているうちに森を出ていきたいからな」
するとニミュエさんが笑顔で素敵な提案をしてくれる。
「それなら私がブリテンに送りましょうか?湖から違う湖への移動なら簡単にできますよ」
「いいんですか?」
「勘違い攻撃してしまったこともあるしマーリンの関係者ならこの場所やこの魔術を誰かに広めたりはしないでしょ。ならこのぐらいのことはさせてください」
「ありがとうございます。これだけのことをしてくれたのなら俺も恩を返さないといけない。もしも困ったことがあったら俺を頼ってくれ」
そういうと水のムチのようなものが湖から何本も飛び出し、俺の体へと巻き付く。
「え?」
「少しの間、息を止めてくださいね」
咄嗟に息を吸い込むとニミュエさんはその動作を確認してか、俺は湖に引きずりこまれ、10秒ほど水中を漂うと見知らぬ森の中の湖にいた。
ちょっと強引すぎないか?スパイダーマンのスーツを着ていなかったら鼻に水が入ってめちゃくちゃ痛いことになりそうだった。
やっぱり人外ってこわいわ~…………俺もアーサーもマーリンも半分くらい人外なんだけどね。たしかにマーリンは性格が終わっているらしいし(アーサー談)アーサーもガチギレしてるときは俺にだけ非人道的だしな……やはり俺しか性格の良い人外はいないのか……
そんなこと考えているひまは無いんだった。早いうちにアーサーたちを見つけないと。
そう思い濡れた体で少しでも現在地を把握しようと歩き始めようとした瞬間、聞きなれたイケボが俺の名前を呼んだ。
「ピーター……だよね?」
その声がした方を振り向くと俺の親友であるアーサーが直立不動で困惑の表情を浮かべていた。
えっ、スパイダーマンのスーツ姿で声すら発していないのに俺だと気づいたの勘なのか友情パワーがなせるものなのかは、わからないがどっちにしろ少し怖いな。
もうとっくにばれていそうだがノルマ回収のために腰を低く落として例のアレのポーズをとりながら叫ぶ。
「アーサーの親友、スパイダーマッ!!」テッテレーーーーーテレレレ
アーサーからの目線が困惑のものから冷たい視線へと変わる。
その目はまるで高校生になっても中二病の真似をして遊んでいた俺を冷たい視線を向けてきたクラスメイトを思い出してしまった。
するとアーサーに肩をポンとたたかれる。
「辛いことがあったんだね。今日はゆっくり休んでくれ」
そういうアーサーの目からは涙が流れていたが長年の付き合いがある俺は騙されない。
「おい、お前わかってて言ってるだろ。というか口元を手で隠してるけど笑っているのは気づいてるからな」
「あ、ばれた?だって仕方がないでしょ。一週間ぶりにあった親友が変なマスク着けて変なポーズとってたら笑うしかないよ。しかも全身濡れてるし……頭でも打ったの?大丈夫……ではなさそうだね」
反論の余地もないな。俺もアーサーがこんなことをしていたら心配はするけどその前に笑う自信しかない。
しかしそれとこれとでは話が別だ。
「よくも哀れな青年(俺)を笑ったな、許せん!!親友すらも許さない男、スパイダーマッ!!」
そういいながらスパイダーマン関係なしのアームロックをかける。
「えっ?ちょと!ピーター!謝るから!謝るから!その痛いのだけはやめてほしいかな……」
昔かけた時のことをアーサーは覚えているようだ。
「うるさい、問答無用だ!」
その後ケイさんとマーリンが来たのでやめてやったが30分もかけ続けたせいでアームロックにトラウマを持ってしまった。
反省はしている。後悔はしていない。
もしも力を与えた奴の正体がわかっても感想欄には書かないでね。ネタバレされたく無いから
あと次回はアーサー視点を書きます