みんなゴールデンウィークはどうだったかな〜?
筆者はね。G(激務)W(ウィーク)でした。
クソわよ。
どしたもんすかね、これ。
王都の中にある下町の一角、そこにある酒場の2階で俺は悩んでいた。その手の中にあるのは、ご丁寧にも蜜蝋…であっているはずだ、で封されたいかにも高級そうな封筒。それも蝋には王家の紋章が捺されている。
(いやまあ、差出人はわかってんだけどさ…)
なんでまた庶民たる俺がこんなやばい代物を持っているのかというと超単純。学校の廊下で知らない生徒にすれ違いざまにポケットに突っ込まれたからである。多分王家…というかアレクシア殿下の使いだったんだろうな、あの人。アレクシア様今日休みだったし。
(…っていうかそもそもどう開けるの、これ?)
不詳このマスール、生前含めてそれなりに歳をとっているが生憎こんな上等な手紙を受け取ったことがない。そもそも現代日本で使われているんだろうか。
そんな益体もないことを考えながら悪戦苦闘すること5分。面倒くさくなった俺は仕方なしに封筒の隅っこを切り裂いた。手刀で。こう、ピッて。中身にも被害はなかったし思ったより綺麗に切れて僕満足。
(はてさて中身は、と…)
そう、問題は手紙の内容である。ただでさえ相手はアレクシア殿下。顔を合わせるたびに俺を騎士団に勧誘してくる相手である。俺はもう衛兵団所属だから断るしかないんだけど、あれ断るのもすっげえ神経使うんだよなあ。相手王族だぞ?
そう思いながら封筒から手紙を取り出して、目を通す。案の定、最初の数行は簡単な挨拶と騎士団に入らないか?という
─アレクシア様が襲われた?それも【シャドウガーデン】を騙る奴等に?
─それも1人じゃなくて3人?後から湧いて出てきた?
─しかもその後シャドウ本人に助けられた?
…はっきり言って頭が理解を拒んでいる。なんだこれ。新手のイジメか何かか?というか貴女何やってんだ。仮にも一国の王女が護衛もなしに街を彷徨くんじゃないとあれほど説教しただろうが。ゼノンの件から反省なしか。
気のせいじゃなく突然に頭痛がしてきたのでこめかみをグリグリと揉みほぐす。気休め程度のマッサージだがしないよりはマシだ、しないよりは。そうやって無理矢理血流を良くした上で、思考の海へと潜る。
(…差し当たっての問題は犯人の素性か。)
『相手は【シャドウガーデン】を名乗ったから【シャドウガーデン】所属だよ。まちがいない、ぼくはくわしいんだ。』と言えたら楽なんだが生憎とそうはいかない。アレクシア様はゼノンと戦ったあの時一応シャドウを見ている。おまけにあいつ特有の魔力はそうそう間違うものではない。となると間違いなく本人。
とくると、だ。犯人が【シャドウガーデン】ではないとすると【教団】説が濃厚になる。まあ前科あるしね。ただそう決めつけるのはあまりに早計。世の中には俺の知らない悪い奴がいくらでも潜んでいるのだ。【シャドウガーデン】じゃないなら【教団】だな、と決めつけるわけにはいかない。精々可能性が高い、くらいのものである。
(あとは犯人の強さ、か。)
巷では弱い、と称されがちなアレクシア様だが実際のところそうではない。個人的に言わせて貰えばあれは比較対象である姉のアイリス様が頭おかしいくらい強いだけで、アレクシア様自体は普通に上の下、くらいの実力はあると思う。そんなアレクシア様が単独でもそれなりにやる、と犯人の実力を評した。
「厄介だなあ…。」
ついでにそれが後からぽこじゃが湧いてきたというのである。そんなの厄介にも程があろう。そもそもそれなりに強い奴を数揃えてくる組織なんて厄介以外に形容しようがないのである。
「…俺に関わってこなきゃいいんだけどな…。」
手紙を最後まで読んで、それから同封されていた騎士団入団届をまできっちり目を通してから俺は再び手紙を封筒にしまった。それからその封筒を手元の灯りに使っていた灯火に翳す。
「わ、めっちゃ燃える。」
パチパチと音を立てて燃える炎が、一瞬だけ俺の部屋を明るく照らし出し、そしてすぐに元の薄暗さへと戻っていった。
「とか言ってたのにさあ!」
王都の下町を走る。走る。走る。背後から突き出された剣をジャンプして躱し、ひたすらに裏路地へと進んでいく。
「と、とっ!」
背後から追ってくるのは現状3人。俺のことを追いながら剣を振り回してくるその3人を引き離しすぎないように、だが攻撃は当たらないように。その点を意識しながら
「ああもう!こっちは手伝いがあるんだっての!」
「我らは【シャドウガーデン】」
「うるせえ!」
置いてあったゴミ箱を踏みつけ飛び上がりながら上着を脱ぐ。この間ズダボロ新調したこの上着を今傷つけるわけにはいかない。そう思いながら上着だけでなく中に着ていたワイシャツのボタンも外して行く。あ、剣が頬を掠めた。
さて、現在俺は例の犯人の一味と追いかけっこをしているわけだが…なぜこうなってしまったのか。そもそも俺は今日授業が終わってから普通に下宿先に帰っていたのである。その途中で『あれ?やたら今日静かだな?』とか思ったのも束の間。突然暗がりからこの刺客3人組が飛び出してきたのである。
「我らは、【シャドウガーデン】。」
「いやもう、面倒というかなんというか…!」
愚痴りながら路地裏を走ること数分。多少の奇異の目に晒されながらも俺が辿り着いたのは路地裏の中ではちょびっとだけ開けた場所。人の目はなく、けど多少の喧嘩はできる。そんな地元の
「まあいいか。ようやく着いたことだし。」
俺に遅れること数秒。刺客3人組が俺に追いついた。だが、その時にはもう俺の臨戦態勢は整っている。脱いだ服と鞄、それから一応靴は揃えて壁の方に置いておいた。そして今までの追いかけっこで十分身体は温まっている。
「じゃあ、」
俺と刺客たちが向かい合う。俺は素手だが、相手は剣を持っている。数でも武装でも負けている状態。それでも生憎だが。
「やろうか。」
負ける気がしない。
ゴキリと首を鳴らして、最強の
「…我らは【シャドウガーデン】。」
そんなマスールの心情を知ってか知らずか、うわごとのように繰り返しながら刺客が剣を構えた。いや、構え直した。それは無意識の恐れ。意識が失われたままで行われた、目の前にいる男に対する警戒の発露。
「……本当にそれしか言わないのな。」
そう呟いたマスールが、ゆっくりと構えを取る。両拳を顔の前に、肘で顔を覆うように。その体勢を取った彼の両腕の隙間から、ギラギラとマスールの両目が輝いた。
…もしここにシャドウがいたのならば彼の構えをこう呼んだだろう。
“
「…………」
「…………」
構えを取った両者が睨み合う。刺客たちはいかにこの肉の壁を超えて行くかを。マスールはいかにして無力化しつつ情報を手に入れるかを。互いの思惑が交差する中、先に動いたのは
「ッ……!」
刺客たちだった。彼らはなんの合図もなく、けれどほんの欠片ほどの狂いも無く全く同時に弾かれたように動き出した。放たれた矢の如き勢いの3人は手数を活かして同時に攻め立てる。その狙いは頭部、そしてガラ空きの右脇と左脇。絶対に同時に守りきれない3点同時攻撃。
「………。」
そしてマスールは両腕の隙間から迫り来るそれを見ていた。そして剣がまさにマスールを射抜かんとした時。
轟音が響いた。
それはまるで、何かが地面に叩きつけられたかのような─いや、正しく地面に叩きつけられた音だった。現に今、マスールの足元の地面には蜘蛛の巣上の亀裂が走り、その中心では刺客の1人が身体を痙攣させながら倒れ伏している。
「「ッ………!」」
そして他の2人─両脇を狙っていた2人はマスールの後ろにいた。彼らは確かにマスールを狙っていた。防御の構えを取っていたマスールを正確に、だ。だがそれが裏目に出た。
「まずは1人。」
ヌト…と赤い粘液を手から滴らせながらマスールが呟いた。
そもそもマスールのしたことは物凄く
だが、相手が
「…我らは、【シャドウガーデン】。」
「…うるっせえな。それしか喋れねえのかよ。」
瞬く間に1人が戦闘不能。その状況でも顔色ひとつ変えない刺客たちをマスールは睨みつけた。
「ほんっとうに…やり辛えな。」
そして只々同じ言葉を繰り返し続ける
マスールのJOJO風パラメータ
破壊力 - A
スピード - A
射程距離 - E
持続力 - A
魔力 - ─(欠落)
精密動作性 - C
成長性 - A
圧倒的な脳筋物理近距離アタッカー。
一切の魔力と特殊能力を持たない代わりにその他のステータスは高い。