大体予想通り.....うん、多分(呪術を見て)
ちなみに登場可能(ルートによって不確定含む)な呪術キャラは
・メロンパン(確定演出)
・ナナミン(出現率高。イリヤ・士郎ルートとかで出る)
・乙骨(出現率低。部品ルートで出る)
・五条(1ルートだけ出てくる)
だったんですが。乙骨、お前......お前.....
.....やはり、遠坂の話が気になる。
来いと言った限り、何かしらの用事が有るのだろう。
それに壊したからには謝らなくては、ケジメが付かないというものだ。
「悪い、士郎。ちょっと行ってくる!」
駆け足で居間を出て靴を履き、玄関を飛び出す。幸いにも、この間に桜を送って行ったおかげで道程は覚えている。あの距離であれば、少し急げば途中で追いつくはずだ。
しかし、本当に何の用事なのか。さっきは魔術がどうのこうの言ってたし、その下準備でもするのだろうか。
.....贅沢を言うようだが、頭で覚える勉強が良いな。薬物とかのドーピングは最終手段にしたい。やれと言われたらやるけれど。
「しっかし、全然追いつかねぇ。どこまで行ってんだ!?」
急いで住宅街まで走り切り、そのまま坂を駆け上がっていく。横目に見ると、俺が吹き飛ばされた時に薙ぎ倒した家々が見えた。立ち入り禁止の看板が置かれ、数人の警察が事情聴取を行っている。不可抗力とはいえ申し訳ない、怪我人が出てなきゃいいんだが。
「────ありゃりゃ?」
「早すぎんのよ。先行った私も悪いけど」
遠坂家の玄関まで着いたが、ガチャリと鍵が掛かっている音がした。そして頭を捻ると同時に、遠坂本人が後ろからやって来る。どういう原理だ、もしかして途中で追い越したのか?
「どした、事情聴取でも受けてたのか?」
「いや、ちょっと野暮用で....まあいいわ。入りなさい」
「おー、お邪魔します」
遠坂に先導されながら、洋風の屋敷のような家に入っていく。外観は衛宮邸をそっくり洋風にしたような感じで、あの家ほどではないが広い。内装も当然のように洋風だが少々レトロチック気味で、世界史の教科書に載っていた西洋館を想起させる。
「めっちゃ良い所住んでんだな、遠坂」
「まあね。築何年かは知ったことじゃないけど、全然ガタはないし」
「羨ましいなぁ。ウチは新築だけど、破壊神がいるし」
「.....破壊神?」
どれだけ良い家に住んでいようが、とんでもねぇ居候もどきがいれば簡単にガタが来る。暴れた拍子に襖が吹っ飛んだり、ビデオデッキを意図せず壊したり、ストーブを加湿器と間違えて給油口に水を入れたり。日に日に加速していく暴れっぷり、明日には敷地ごと吹き飛んでいてもおかしくないな。
「そう、破壊神がウチには度々来るの。んで、創造神は士郎な」
「どんな家なのよ.....ほら、無駄話は終わり。地下室に案内するから、付いてきて」
「えーと、コレとコレ。クッションも必要だし、ビーカーと分度器も要るわよね。あの家、特に魔術品の気配とかなかったし。それと....ねえ虎杖君、士郎は魔術の研究とかしてないの?」
「いや、してないな。鍛錬で土蔵に引きこもってるのは結構あるけど」
「典型的な自己研鑽型かぁ.....あっ、どうせならカット用の器具も。あとコレ、持って」
「はいはい.....って、重ォ!?」
遠坂家に入場して十分くらいが経過。え、地下室?秒で素通りしたよ。
今の状況も良く分かってないが、成り行きで荷造りを始めた遠坂の手伝い中である。
「その器具の拡張魔術、どうにも緩いのよね。器具自体の素材の問題だとは思うんだけど」
「いや.....俺が重いって言うのは中々だぞ!?なにコレ!?」
「鉱山で取れたての原石専用の保管庫。落としたら弁償ね」
できるか!と口から吐きそうになった悪態を飲み込み、渋々ながらも保管庫を運ぶ。というか、やけに重い。原石というと岩に混じった宝石だったか。多少重いのは想定していたが、金庫サイズのくせに軽く二トンは超えてるんじゃないか?
「置く場所は考えろよな、コレ.....床抜けるぞ」
「ちゃんと床側に補強魔術を使うから大丈夫よ。それと────」
「まだあんのか.....」
宝石の鑑賞室らしき部屋を出ると、次に向かったのは....どこか見覚えの有る部屋だ。他の客室に比べて少々広々としている、大部屋といっても過言ではない部屋。確か、ここに俺は────
「────開けちゃダメだ」
「へ?」
「遠坂、その部屋はいけない。絶対に後悔する」
そうだ、絶対に(俺が)後悔する羽目になる。ああクソ、両手が塞がっているのがもどかしい。片手でも空いていたのなら、今すぐ遠坂の首筋に"トン"して気絶させ、何事も無かったかのように衛宮邸に持ち帰って....うん、この言い方は語弊があるな。
やっぱりケジメは無しだ。できれば誤魔化して、遠坂の機嫌の良い時に────
「なに?それを運ぶためのボストンバッグを取りたいんだけど。収納用の拡張と、軽量の魔術をかけてるから荷運びは楽になるわよ?」
「いやそれは助かるんだけど....ああそうだ、俺が取りに行くから!」
「女子の部屋を前に何言ってんのアンタ!?」
ピシャーン!と勢いの良い平手打ちが俺の頬を鳴らす。うむ、一切の躊躇いが無い良い一撃だ。これが固有スキルなら、性犯罪者許すまじとばかりの特攻効果が付与されていただろう。
「アンタは外で待ってなさい!中に入れたら何するか分からないし!」
「ああいや、もう白状するから!だから一回怒らずにストップして、マジで!」
「白状って何を────────」
頭から湯気を立てつつ部屋に入る遠坂。しかし、後ろにいる俺の方を向きながら入ったのが災いした。そのまま何も気づかずに部屋に足を踏み入れた遠坂は、見事に俺がぶち開けた穴にホールインワン。助ける暇も無く小さな悲鳴と共に落下し、うんともすんとも言わなくなった。
ちなみに、気絶したわけではない。打ちどころが悪くてポックリ逝ってしまったわけではない。むしろ、悲鳴を上げていた割には華麗に着地し、こちらを無言の状態で睨んでいるわけで────
「......許して?」
「正座」
「はい」
「────まあ、今日の所はこれくらいで勘弁してあげる」
「やっと終わった......」
「何か言ったかしら?」
「気のせいじゃね?」
突然の正座敢行より三十分、漸く解放のお告げが下った。
勿論、タダの正座ではない。さっき預かったばかりの保管庫を膝の上に乗せた、もはや拷問まがいのド正座である。学校での遠坂の評判がアテにならないのは察していたが、ドSだという噂は本当だったんだな。
「Minuten vor schweisen.....あのね、魔術師にとって修復の魔術くらいは朝飯前なの。わざと壊したなら兎も角、こういう時はキチンと報告して。対処が遅れたら大変でしょ?」
「うん、それに関してはマジで申し訳ない」
「それじゃ、これからの態度で経過観察としようかしら。はい、バッグ」
無造作にバッグの口を開いて、こっちに見せてくる遠坂。いや、明らかに入るサイズじゃないだろう。そんな肩掛けのできる旅行用カバンに、両膝に乗せられる保管庫が入れられるものか。
「そんな訝しむような顔しないの。取り敢えず入れてみなさい」
「いや、絶対破けるって────うおっ!?」
バッグの口元に持って来てやると、まるで掃除機に埃が吸い寄せられるように保管庫が消えていった。拡張の魔術とは言っていたが、こんな機能になっているのか。なんでもアリかよ、魔術って。
「ほら、どんどん入れていくわよ。早くしないと、昼ご飯を食べ損ねるじゃない」
「お、おう。ここに有るのは全部入れていいんだな?」
「そうよ。日用品とかも入れてるけど、順番とかは気にしないでいいからね」
詰め込みながら、こっそりラインナップを確認する。宝石箱に、座布団サイズのクッション。眼鏡ケースに、ハンカチ、それに目覚まし時計。実験用の天秤に、歯ブラシ、ウチの学校の生徒手帳。私服に、これは.....寝間着?
「すごい大荷物だな。遠坂、どっか旅行にでも行くのか?」
「旅行といえば旅行ね。というか、虎杖君も無関係じゃないのよ?」
「え、そうなの?」
「同盟を組むんだから、同じ場所で生活をした方が良いじゃない。ウチの家は難攻不落だと思うんだけど、貴方たちを住まわせると何かしら穴が出来そうだし。それなら、一から拠点を作り上げるのも悪くは無いかなってね」
「めっちゃ考えてるなぁ.....」
感心しながらも作業を進める。確かに、聖杯戦争という危機的な状況下だ。士郎は家でランサーに襲われたとも言っていたし、敵から補足されている状態で同じ場所に留まるリスクを冒す必要はない。
どこかホテルでも借りて仮拠点とするのも悪くないだろう。問題は藤ねえや桜だが、少し社会体験してくるとゴリ押せばいけると思う。多分だけど。
「今日からよろしくね、虎杖君」
「おう」
「帰ったら一番良い部屋、探しといて。そこを私の部屋にするから」
「.....おう?」
「だから、貴方たちの家に泊まりに行く準備をしてるんだけど?」
......なんでさ
「ってな感じだけど」
『すまん、聞かなかったことにしていいか?』
「ダメだと思う。というか、隣には────」
『いいか悠仁、遠坂は学校のアイドルだぞ?そんなのがウチにいるだけでもパニックなのに、止まったり住まわれたりしたら気が気じゃないっていうか、いやその前に藤ねえに殺されるだろ。まさかアイツ、俺を混乱させてマスターを一人減らそうと画策してるんじゃ無かろうな!?』
「────隣に遠坂がいるんだけどなぁ」
遠坂の家の電話から、士郎に確認の電話をかけてみる。いやはや、よく口が回るものだ。喋る度に隣からどす黒いオーラがムンムンするんだが、どうしてくれる。
「え、えっと────」
「.....はぁ。魔術師同士ってのは人間扱いする必要はない関係なんだけど。士郎にそんなこと言っても無駄か」
貸して、とばかりに手を差し出した遠坂に受話器を渡して一歩下がる。何やら氷のような冷たい声色が聞こえてきたので、耳を塞いで聴覚を遮断する。哀れ士郎、君の犠牲は───あれっ?
「説得終わり。行きましょ、虎杖君」
「なあ、遠坂.....士郎は、下の名前で呼ぶんだな」
「え───ああ、そうね。意識してなかったから、割と前からそうなってたんじゃない?」
「.....確かに」
そう言われてみれば、割とそんな感じがする。その時は気づかなかったけど、同盟を組むことになって気が緩んでからは"士郎"呼びだったような。
「それとも何、私が貴方と同じ呼び方だと不満?」
「いや、気になっただけだって」
「そう.....大丈夫よ、貴方の呼び方は変えないから。これは、私なりのケジメ」
最後の方は吐き捨てるように言うと、俺に一瞥も寄越さずに玄関へと向かう遠坂。そんなに床を壊したのを怒っているのか、はたまた別件で何かやらかしてしまったのか。うむ、乙女心というのは良く分からん。
しかし、このまま鍵を掛けられてはたまったものではない。
俺も遠坂の後を追うように、急ぎ足で玄関に向かおうとして────
『用件が、一件。再生、します──────』
「.....ん、なんだ。留守電?」
先ほど士郎と話していた時に、誰かから電話が掛かって来ていたのか。固定電話のランプが赤く点滅している。どうやら遠坂が乱暴に受話器を置いた弾みで、再生ボタンが押されてしまったらしい。
そして────
『うっス。姉ちゃんの....いや、美綴綾子の弟の、
ツー、ツーという音と共に再生が終わる。
点灯が点滅に変わり、やがて消えていく赤いランプ。
俺にはそれが、何かの警鐘のように見えた。
少しずつ、地獄が近づいて参りましたね。
他呪術メンバーの登場ルートに迷い込むかもしれませんが
その場合は大抵、碌な事になっておりません。
お気を付けください。
次回、「執行任務 ~下準備~」