Fate/black flash   作:なんか変な色の翼

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マスターとの契約の話、出てきませんでした(確認ミス)
富岡義勇が腹を切ってお詫び申し上げます。




【分岐】契約と荒縄

 

 

「あれれ?お返事はくれないの、エミヤ?」

 

 

してやったり、とばかりに俺を見るイリヤ。

.....うむ、先ずは間違いを正すとしておこう。どうも締まらない。

 

 

「いや、違うぞ。俺はエミヤじゃない」

「─────え?」

「俺の名前は虎杖悠仁だ。衛宮の姓は持ってない」

 

 

ほえ?と不思議そうに首をかしげるイリヤ。どうやって調べたのかは分からんが、俺が住んでいる家の名前がそのまま苗字だと勘違いしているのだろう。確かに士郎とは兄弟みたいなものだが、血は繋がっていないのだ。

 

 

「うん、それじゃ.....イタ、ドリ?」

「発音が違う。それだと板+鳥だろ。虎杖ってのは花の名前で────」

 

 

.....いや、待て。なんで和やかに会話してんだ。

流された俺も悪いが、どうして向こうは警戒を解いているんだろう。

 

 

「そう身構えなくてもいいよ。今日はバーサーカーは置いてきたし、セラにも内緒で来たんだから。何かあった時のためにリズは連れて来てるけど、イタドリを殺すのは許してないから安心して?」

「お、おう。えっと.....ありがとう?」

「うんうん。お礼を言えて偉い!」

 

 

イリヤは、楽しげに俺の顔を見上げてくる。まるで風船を持ったピエロを追っかけてくる子供のようだ。あの夜では信じられないほど表情がコロコロと変わり、その素振りは年相応の少女のものだった。

 

そんで、もう一人の方は────

 

 

「..........」

「.....あのー、リーゼリット?」

「何か用?」

「いや、話しかけてきたから、そっちの用を聞きたくて」

「イリヤから聞いて」

 

 

一瞬だけ会話が成立したものの、電源コードが断線したみたいに会話を切り上げられた。しかもフイッと視線を逸らされてしまったし、もしかしたら嫌われているのかもしれない。全く心当たりはないけれど。

 

 

「それでイリヤ。何の用だ?」

「用っていうか、お話したいだけだよ?フツウの子供って、仲良くお話しするものなんでしょう?」

「いや、確かにそうだけど。俺たちは敵同士だろ?」

「それは違うよ、わたしに敵なんていないから。他のマスターは芋虫か、いいとこで害虫。本当ならテキトーに踏みつぶして回ろうと思ってたけどね」

 

 

さらりと恐ろしい事を口にするイリヤ。いくら何でも自意識過剰だと突っ込んでやりたかったが、あのバーサーカーを見せられてはぐうの音も出ない。これは自身ではなく、絶対的な信頼なのだろう。

 

 

「あっ、それと。もう一人のお兄ちゃんの名前も教えて?」

「.....いや、それは出来ない。何に使う気か分からんし」

「別に丑の刻参りして呪うつもりとか、名前を書いたら死んじゃうノートとかを持ってるとかじゃないからね?そんな遠回りな事をしなくても、バーサーカーで全員ぺちゃんこだもん」

 

 

また恐ろしい事を口走りやがったな。衛宮邸の屋根の上にズカズカと昇り、そのままヒップドロップで全員鏖殺するバーサーカーの幻覚が見えたぞ。病み上がりだってのに食欲が減退したらどうしてくれるんだ。

 

しかし、イリヤのお願いを拒絶した瞬間に背筋がゾゾッときた。別に寒くなってきたわけじゃない。今まで視線を外していたリーゼリットが、呪いの人形みたいな冷たい眼で俺の事を見てきたからだ。怖い怖い、バーサーカーが二人になったのかと思ったぞ。

 

 

「.....衛宮士郎。アイツは、衛宮士郎だ」

「シロウね。うん、ちゃんと覚えた!」

「頼むから悪用すんなよ。たった一人の親友だから」

「分かってる分かって────くしゅん!」

 

 

可愛らしい声でくしゃみをするイリヤ。厚手の帽子に上着を着ているが、しきりに手袋を擦り合わせる仕草をしている。もしかして、寒いのに弱いのか?

 

 

「あ、ごめんね。それで─────」

「イリヤ、外で立ち話するのも何だからさ。どっか入らないか?」

「え?」

「どっかお茶できるとこにでも入ろうぜ。俺、奢るから」

 

 

デデン、と数日前に貰ったバイト代の万札をイリヤに見せる。ネコさんからは自分のために使えと言われていたが、イリヤとリーゼリットほどの美少女とお茶をしたと聞かせれば褒めてくれるに違いない。実態は話せないようなものなんだけども。

 

商店街の奥を指差して案内しようとすると、イリヤは後ろにピッタリと並んでついてくる。リーゼリットも少し距離を離しながらも付いてきてくれるようだ。

 

ここまで来たなら、毒を食らわば皿までというもの。

彼女らを満足させて、何事もなかったかのように家に帰ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

「────それで、どうやってここまで来たんだよ」

「普通に車だよ?ベンツのSLクーペってやつで、凄いエンジン音がするの!」

「高級車じゃん。運転はリズが?それとも、お抱えの運転手とかいるのか?」

「ううん、私が運転してるわよ。慣れてるし」

 

 

他愛もない話を続けながら、ブラックのアメリカンコーヒーを啜る。うむ、やはり苦い。周りに女子しかいない空間だから少し大人ぶってみたくなったというのも有るが、チビチビとしか飲めないので逆に恥をかいているような気がしてたまらない。

 

ほら、すごく見られてる。真正面の美人二名から白い目で見られてる。

 

 

「コーヒー、飲まないの?」

「ちょっと猫舌でな。リズは紅茶だけど、熱いのは平気なのか?」

「話逸らした。それと、そのコーヒーはアイスのはず」

「.....すいません、ブラック飲めないのに格好つけました」

 

 

少し呆れたように目を細めるリズに、クスクスと笑いを堪えるイリヤ。これが遠坂とか桜ならいつも通りに振舞えたんだろうが、ほぼ初対面というのが少し厄介だ。色んな一挙手一投足が、やけに目について気になってしまう。

 

そりゃ何されるか分かったもんじゃないというのも有るし。

イリヤは、なんか分からんけど親近感を持ってしまったのも有るし。

リズからは何というか、自分と何か近いナニカを感じているというか.....

 

いや、何考えてんだ俺は。運命とかそういうのは信じない系だってのに。

 

 

「はい、シロップ。残したら勿体ないから」

「あっ────悪い、助かる」

「いいの。それと、ケーキも頼みたい」

「どうぞどうぞ」

 

 

リーゼリットの頼んだ紅茶に付いていたシロップを受け取り、コーヒーの中に溶かしていく。やはり違いが分かる女性というのは、レモンティーやミルクティーなどではなく紅茶を嗜むのだろう。ホットチョコレートを頼んだイリヤとは大違いである。

 

 

「それで、何の話だったっけ」

「ううん、ちょうど一区切りついたところ。次は何のお話をするの?」

「うん、そうだなぁ.....」

 

 

そのイリヤは俺と話をしたいと言っていても、話題を何一つ持って来ていなかった。何も話すことが無くても話かけてくるというのには少々驚いたが、きっとお嬢様のような育てられ方をしたのだろう。話し方やテーブルマナーも、どこか品が漂ってるし。

 

しかし、それと対極な彼女の幼い一面とのアンバランスさが、余計に不思議さを掻き立てている。こんな年端もいかない少女らが、保護者もいない状態で日本に渡ってきたというのか。相当に格式の高い家柄なら、誰か代わりに来れる人間もいただろうに。

 

 

「そうだ。イリヤは何処に住んでるんだ?イリヤは元から冬木に住んでるってわけじゃないから、どっかに引っ越してきたんだろ?新都の方にはホテル街が有るんだけど、あそこら辺に泊まってるのか?」

「ホテル、ホテル.....それは分からないけど、今は別荘に住んでるよ。ここからアッチの方に行ったら、大きな森が有るでしょ?そこの奥に曾々お爺様が建てた洋館があって、アインツベルンのマスターはそこに住むのが風習なんだって」

「風習.....もしかして、イリヤの家系って」

「そう、代々に渡って聖杯戦争に参加してるの。たしか、私で五回目かな」

 

 

.....今の俺には、何も分からない。

アインツベルンが何なのかも知らないし、イリヤが実は嘘をついてるのかもしれない。

 

だが、そうだとしても。

彼女らが戦場にいるのは、酷く残酷で間違っている事のように感じた。

 

 

「でも、ニホンに来て良い事も有ったよ?ここの冬はお城に住んでた時よりも寒くないし、ふかふかのコートも着れるから」

「そっか。でも、寒いもんは寒いんだな」

「分かってるじゃない。私、冷たいのより暖かい方が好きだもん」

「俺もだ.....あっ。ホットチョコレート、口元に付いてるぞ」

 

 

どこだろう、と窓を鏡代わりにして汚れを気にするイリヤ。ナプキンを一枚とって渡そうとすると、代わりに目を瞑って口元を差し出される。どうやら拭いてくれるのだと勘違いしたようだ。

 

助けを求めるようにリズの方を見るが、やはり無視された。こうなっては仕方がない。ナプキンを手に取って身体をテーブルに乗り出し、優しく彼女の口元をなぞろうとする。しかし、その瞬間。

 

 

「────行かなきゃ」

「え?」

「もう帰らないと。バーサーカーが起きちゃった」

 

 

誰かに呼ばれたように、突然イリヤは目を見開いた。

 

そのまま椅子から跳ね降りる。そして口元を拭う事も無く、ご馳走様も言わずに駆け足で店を出て行ってしまった。リズも俺に一瞥もくれずに、引き留める隙すら与えずにイリヤの後を追っかけて行ってしまう。

 

 

「.....なんだったんだ、一体」

 

 

ポツンと取り残された俺。さっきまでワイワイと騒いでいたのが嘘のように、冬の冷気とは違った寒さがテーブルに訪れたような気がした。コーヒーに口をつけてみるも、先ほどまで感じていた人工的な甘さが今では煩わしく感じる。大勢で食う飯は美味いと言うが、それは孤独に食う飯はマズいという事の証明でもあるのだろう。

 

 

.....用件は済んだ。長居は無意味だ。

 

カップにコーヒーを残したまま、俺は伝票を会計に持って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お会計、14800円になります」

「ファッ!?」

「お食事代に加えて、お連れ様が持ち帰りのケーキを注文されてまして」

「たまげたなぁ..........」

 

 

 

 

 

 

 






【ここから先は本編とは以下略】
【覚悟の有る者だけ通るが良い】



虎「デデン、狂気の第二回!マジで誰得で作者のキーボードを打つ手を破壊しにかかるだけの苦行こと、タイガー道場はっじまるよー!」
イ「押忍!ししょー、今回のお題は?」
虎「うむうむ。ズバリ、虎杖悠仁の戦力について!前回は俺の状態について色々言ってたけど、今回は感想でも言及の多かった戦闘力について見ていくぞ!」
イ「えっと、原作の呪術廻戦では1000年以上生きた呪術師の加茂憲倫が作った宿儺の器だったよね?でも、FATEにコンバートしたんだから多少は設定が変わってるでしょ?」
虎「まあ、辻褄合わせは必要だからな。でも用語自体は元々存在する現象を固有名詞に直してるだけだし、出来るだけ原作のイメージは残しながら組み上げてるし、独自解釈はキチンと説明してるから大丈夫.....のはず!」
イ「ふーん。でも、本当に1000年生きた魔術師が作ったなら凄いよね。ユーブスタグハイトでも200か300年くらいしか生きてないんだし。第二次聖杯戦争辺りからプランを建てていれば、ユウジみたいなサーヴァントを制御可能な人間も製作可能なのかも」
虎「いや、アインツベルンの爺さんも凄いけどな。失敗作呼ばわりのリズでも擬似サーヴァントも同然の戦闘能力だし、俺みたいに魔術回路のパンクも起こさないんだろ?なんだよ完成された生命って、チートか?」
イ「悠仁は純人間だし調整されてないし、扱いの違いが出てるんでしょ。それに完成された生命でも、戦闘型やマスター型だと短命だしね。それはそれと、今のユウジは役に立ちそうなの?」
虎「んー、デバフが掛かってるからな。魔力が使えない以上はサーヴァントにダメージは入らないし、対マスター戦でも言峰以下になってる」
イ「え、つまり凛に負けちゃうの?」
虎「そういや言峰と遠坂はトラウマ込みにしたら言峰が勝つってくらいの実力差だったな。対魔力が有る以上は遠坂の攻撃は通じづらいけど、宝石まで使われると普通に負けると思う」
イ「それだと.....実力は投影が使えるシロウくらい?」
虎「そのくらいだな。アーチャーが1/10の出力になって、ようやく拮抗出来るくらいって表現すれば丁度いい」
イ「やだ、私のお兄ちゃん弱すぎ.....?」
虎「そりゃサーヴァント基準だと弱いけどね!?」
イ「それに、今の状態で魔力が完全に回復してもサーヴァント相手には不安が残るのよね。リンの手助けが無いとアサシン相手でも厳しいんだから、本調子になってもサーヴァントを相手にする時はガツガツしちゃだめだよ?」
虎「俺の役割は奇襲の隙を作ったり、マスター組を殺されないようにするためのアシストだという事を忘れずに。序盤で経験値を稼いで、中盤後半で大立ち回りするのがベストだ。気張ってこーぜ!」
イ「あはは、交流会編が終わってから見せ場が右肩下がりな呪術本編とは真逆だね、お兄ちゃん!」
虎「(吐血)」
イ「では、次が有ればお会いしましょー!バイバーイ!!」

【ここまでで千字】
【所要時間、まさかの一時間越え】
【さっさと投稿しろやボケ(殴)】



次回、「誅伏賜死、覗き魔打ち首編」


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