バカとテストと召喚獣〜The Another Story〜 作:ぷろとうぃんぐ
蓮「追いつきそう?何とかなるかしら?」
頑張ってます!!
蓮「ま、いいわ。話数調整もあるだろうし、ゆっくりね」
「良かった………危うく姫路さんの弁当食べられないかと思った……」
「そのリスクを考えて、反対してくると思ったんだけど………思ったより素直だったわね」
「私は運が悪いです……しょぼーん」
「そうね。残念だわ……」
そうこうしていると昼休みが終わってしまうので、早速鳥花さんのサンドイッチから。
何故かバッグに大量に持って来ていたので、普通に5人でも足りてしまうほどだった。……これ、普段1人で食べてるの?胃袋が破壊されそうだよ。
気になる感想はというと。
「ん、美味しいわ。1つ1つバリエーションが違って、飽きないわね」
「はいっ、とても美味しいです!パンもふわふわしていて、食べやすいですね」
「そうじゃのう。売り始めたらあっという間に完売しそうじゃ」
「ボリュームがあるね。サンドイッチっていうより、ハンバーガーみたいなのあるけど、お店のに負けないくらい美味しいかも」
「自分で言うのもなんですけど……今回のは成功しました。いつもは失敗するんですけど、良かったです」
中身はトマトや玉子、ハムとマヨネーズを挟んだものや、ハンバーグやピクルスを挟んだハンバーガーじみたものまであった。
結構こっていて、美味しい。
「美味しいと思うよ、鳥花さん」
「あ、ありがとうございます…!沢山あるのでよろしければ!」
ドサッと音を立ててバッグから次々現れるサンドイッチの山。どんだけあるの、これ。
続いては蘭さんの弁当。
中身は一般的なものだった。
定番メニューのウィンナーや鱈子のスパゲティ、更にピンクの爪楊枝などとても乙女っぽかった。
「あ、美味しいです。私も見習いたいくらいです!卵焼きなんてトロトロしてて食べやすいです!」
「………美味い。いくらでも食べられる。女子の弁当を食べれる日が来るとは………生きてて良かった」
「そうねぇ………味もしつこくなく、尚且つどれも味が出てていいわね。私好みよ、蘭」
「そ、そう………?ありがとう、蓮。まだここにあるからもっと食べていいのよ!」
再びバッグの中からエンドレス。百合フラグ発生してるよ。
最近の女の子って、よく食べるのかなぁ………私がおかしいの?
次に吉井君の手作り塩水。これについては感想のしようがないよね。
「なかなか飲みごたえが------って辛ッ!お前俺のだけ塩分度多いだろ!塩浮いてるぞ塩!」
「砂糖水………なかなか行けるわね。糖分補給にはもってこいだわ。………すごく甘いけど」
「ソルトウォーター、なかなかいいですね!でも、お昼ご飯で飲むものじゃない気がします」
塩水と砂糖水。名前通りのもので、この中で1番手抜きかな。
さてさて、いよいよメインの姫路そんの料理。
重箱に入っているので、相当量の量がある。ちゃんと9人分作ってきてくれたみたいだ。
「それじゃ、姫路さん。頂きます」「はい、どうぞ。いっぱい食べてくださいね」
「…………(パクッ)」
最初にエビフライを摘まむ土屋君。期待の感想は……?
だけど、私が想像してたのとは真反対の反応だった。
バタン ガタガタガタガタ
『『『!!!?』』』
まるで何かに取り憑かれたように、食べた瞬間、料理を取りこぼす土屋君。しかも顔の脂汗が半端ない。
…………なんで?どうしたの土屋君?
まだガクガク震えている土屋君はかろうじて起き上がると、
「………(グッ!)」
姫路さんに親指を向けた。そして……動かなくなってしまった。
「(え、何、何事!?)」
「(毒が持ってあるんじゃないかしら………今のは、冗談だとは思えないわよ)」
「(ははは、いくら姫路さんに限ってまさかそんなことはないよね、雄二?)」
「(ははは。全くだ)」
一応悟られないように姫路さんと島田さんには気付かれないようにアイコンタクト。
吉井君と坂本君がそれぞれ毒かもしれない、と思しき料理を食べる。
「うん。このヒレカツ、衣はネバネバ、中はドロドロ、味はこれまで経験したことがない未知の扉を開けたような-----------ゴぱっ」
「この煮物なんて、ちくわはグチョグチョ、ガンモはぬるぬる、味は1週間放置してあったおにぎりのような-----------ゴぱっ」
ちょっ!!死んだ!!なんか嬉しくない感想残して死んだ!!
不安しかないよ!?大丈夫!?
「大丈夫ですか!?吉井君!?坂本君!?土屋君!?」
「う、ぅ……………美味しかったぞ、姫路………」
「う、うん………ありがとね……」
「感想聞くあたり不穏なお弁当よね………」
「はわわわわ………ついに死人が出ちゃいました!?」
この2人は目を白黒させている。意識障害なのだろうか。そうだったら、この中に一体何が入ってるの?
蓮と蘭さんは信じられない、といった顔でこちらを見ているし、姫路さんや島田さんは首を傾けている。
ここは、私が行かないと---------
「(………ワシが行ったほうがいいのかの……?)」
「(……私が行く。任せて)」
「(翼。そんなに早く死に急ぐものでもないわよ!?)」
手身近にあった箸で、唐揚げを1つ食べる。
私だけでも、しっかり感想しないと、わけがわからない未知のものになっちゃう。
「うん………これは、味はもっさりとしていて、舌の上で死霊が盆踊りを踊っているような………1口食べるごとに知ってはいけない世界への扉が…………ぅぐ」
パタリ、と私は力尽きたように倒れた。体の何割か、既に動かなくなっている。そんな効力のある毒だとは…………
これは、毒だ。しかも有毒性のあるテトロドトキシンみたいな………
「(嘘………あの翼までこの有様なの……!?)」
「(レイプ目になってるところを見ると、かなりガチみたいよ……)」
「(殺傷兵器ですか!?)」
「(そうとしか思えんじゃろう……既に4人も犠牲者が出てるんじゃ…)」
蓮、蘭さん、鳥花さん、木下さんはお互いアイコンタクトを取って、これは白か黒かを話し合っている。
やめて………これは、間違いなくスリーアウト、ゲームセットのお弁当だから、触らない方がい、ぃ………
ダメだ、意識がなくなってきた……
「(く、私が提案しなければ、こんなことにはならなかったのかも……!!)」
「(そんなことないわよ。誰かしら被害者は出ていたわ………!でも、残りの弁当、どうするの………?)」
「(雄二!出番だよ!!)」
「(待て!お前が食べろお前が!!)」
「(ええぃ!!往生際が悪い!!)」
吉井君と坂本君は何とか無事みたいだけど、土屋君は完全に撃沈している。逆に、姫路さんにこんな弱点があるとは思わず、無念とショックが残っていそうだ。
すると吉井君が起き上がると、天上を指差して言い放つ。
「あぁっ!!島田さん、姫路さん!あそこにUFO!?」
「え!?」
急に言われ戸惑いながらも指を指した方を見る。騙される方もどうかとは思うけど、これはチャンス。
「(くたばれやぁぁぁぁぁ!!!)」
「(モゴァァァァァッ!!?)」
目一杯坂本君の口の中に残りの弁当を突っ込む。ちなみに、少し残ったご飯類は普通に食べられた。
問題は、手作りだと思われるおかずの方にあったわけだよ。
一仕事終えた顔の吉井君。坂本君には悪いけど、新たな犠牲者を出さないためだよ。恨むなら姫路さんの料理を恨んで………
「何よ、何もないじゃない」
「そうだね、僕の気のせいだったよ。姫路さん、お弁当美味しかったよ」
「早いですね。もう食べちゃったんですか?」
「特に雄二がすごい勢いでね。どうだった?雄二?」
「ぅ………お、美味しかったぞ……前衛パティシエに向いてるかも、しれないな………」
やばい。坂本君の目が虚ろだ。
ちなみに、前衛パティシエというのは
食べたものが悪かったらしく、私の場合全身に
あはよくば、溺死や窒息死なんてものも出来ると思う。こんなに死を間近で感じることになるなんて……
しかし、死への片道切符の押し売り販売は、これだけでは終わらなかった。
「そういえば----------デザートもあるんです」
「ああぁっ!!姫路さん、あれはなんだ!?」
「(明久!次は俺でもやばすぎる!!)」
「(何よ、どうなってるのこれ……)」
ついに島田さんがアイコンタクトに参加する。島田さんには迷惑かけたくなかったけど……この際しょうがない。
「(し、島田さんも、食べてみれば分かるよ………)」
「(見た目普通の杏仁豆腐じゃない。私も食べていいの?)」
「(たった今から、姫路さんに如何にバレずにこのデザートを処理するか、にミッション変更よ)」
「(劇毒薬じゃあるまいし、そんな………)」
パク。
ゴ、フゥッ!!
島田さんが口に入れた瞬間、大きくむせ返った。たった少しでも口を押さえて涙目になっている。
「(な、何なのよこれ………味がごっちゃごちゃじゃない………)」
「(ちゃんとした材料なんて、使われていないようね……)」
「(僕や雄二、小林さんが言った感想、合ってるよね………)」
「(ええ………よくもまぁこの表現出来ない味を表現したわね………)」
「(まずは材料が気になるわね……)」
蓮は姫路さんにこの料理の材料を聞くことに。見た目は普通よりもかなり美味しそうなのに、中身はドロッドロ。統一感がまるでない。
私に至っては5感のうち、触覚と嗅覚が失われている。思ったより大災害だね………放課後病院に行かないといけないかもしれない。
「姫路さん?」
「はい、どうしましたか?」
「ちなみに、この料理の材料って、どうなってるの?」
「えっと、色々入れました。でもフルーツは缶詰めですよ?」
「あとのものは?」
「美味しくなるように、隠し味を使いました。これには、ナトリウムアジドとアコニチンが入ってます」
「な、え………っ………!!」
私は驚きのあまり、言葉にすることが出来なかった。
聞いたことがある。ナトリウムアジドにアコニチン………それは
猛毒。
「(何よ、そのナトリウム何とかって)」
「(アジドの別名は、アジ化ナトリウム………要するに塩だけど、使い方によっては毒だよ………起爆剤に、使われてたくらいだし……っ)」
「(き、起爆剤ですかっ!?)」
「(うん……アコニチン………トリカブトっていう花にある毒だよ………どれも、悪くて死に至ることが……ううぅっ!!)」
「(翼!!)」
「(そんな、まさか……瑞希ならそれくらいの常識あるんじゃ……)」
「(…使い方によっては、どんな風にもなるからね………)」
これは常識ではないかもしれない。授業でもそんなに聞く名前でもないし、かといって、日常売られるものでも到底ない。
なのに、なんで姫路さんはこんな劇薬持ってるんだろう………
蘭さんは青ざめた顔のまま姫路さんに聞く。
「……貴女、これ……味見は、したんでしょうね………」
「してません。だって、太っちゃいそうですし………」
1口で5kgも太るなんて言ったら、もう何にも食べれないけど、それは絶対にない。どんな過剰神経してるの………?
とにかく、目の前のこれをどうするのかが重要。
すると、ここで名乗りをあげたのは木下さんだった。
「(ワシが行こう……)」
「(ダメだよ秀吉!!雄二のようになるよ!)」
吉井君に貶された坂本君だったけど、見れば白目を向いている。どうやら多摂取すると即死、小摂取でもジワジワ削られていくみたいだ。
じゃあ、このままだと私や吉井君も………
「(大丈夫じゃ。この胃袋はジャガイモの芽程度ではビクともしない。信じるのじゃ)」
「(………ジャガイモの芽って、毒よね………)」
胃袋は、意外にタフなのかもしれない。
すると私達のアイコンタクトを知ってか知らずか、ポン、と手を叩いた。
「そういえば、スプーンを教室に忘れちゃいました。とってきますね!」
タタタ、と駆け足で扉の向こうへ消えていく姫路さん。これは好都合だ。
「ここまで被害出して、気付きもしないとは……」
「瑞希………恐ろしい子ね………」
「翼、アンタ大丈夫なの?」
「………蓮。先に旅立つ私を許して」
実は既に下半身の感覚がなかったりする。
「翼さん、死んじゃ嫌です!死なないで下さい!!せっかく、折角会えたのに!!」
「そうよ翼。私よりも先に逝くなんて許さないわよ!!」
『愛する人の為に戦場まで行ったけど、愛する人を庇って死に行く人』の茶番トークだ、と銘打って言えないのが些か悲しい。どこの昼ドラ。
これ、本当に私死んじゃうんじゃ………
「さて、ではその間に頂くとするかの」
「ごめんなさい………私のせいで、こんなことに……」
「東雲の所為ではなかろう。むしろ被害は抑えられた、と言っても過言ではないぞい」
「多分、全滅だったわね………」
一斉に頂きます、と姫路さんのお弁当を食べていたら。
全員お陀仏だったかな………そう考えると、nice game.と思える。
「それでは、頂きます」
勇者なことに、杏仁豆腐を一気に口の中に流し入れた。
「むぐ……なんじゃ、案外普通じゃゴブフぉっ!!」
木下秀吉。享年16歳。自称鉄の胃袋は白目で泡を吹いていた。
ついでに私も息絶えるように一緒に気絶していた、と後に鳥花さんと蓮から聞いた。