バカとテストと召喚獣〜The Another Story〜   作:ぷろとうぃんぐ

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12話 使者と協定

「そういえば代表」

「なんだ?東雲?」

 

これまで生きてきた中で最も過酷で激しい昼食を終えた私達。教室に戻って、復活した皆とお茶を飲む。まだあちこちが麻痺してるけど、放っておけば治りそうだよ。

致死量食べた坂本君と木下さんには多く飲ませる。だって、お茶には殺菌作用があるみたいだからね。

そんな平和な中、蘭さんは坂本君に聞いた。

 

「どうして次の目標がBクラスなのよ?通過点に過ぎないのよね?」

 

そう、次の試召戦争の件。

Dクラスに勝てたところで、ようやく第1段階。私達にはAクラスに勝つという目標がある。

早くて明日に宣戦布告を行うらしいけど……

坂本君は神妙な顔つきになって、蘭を見た。

 

「正直に言おう。いくら策略を投じたところで、Aクラスには勝てない」

「何よ、初めから諦めるなんて、代表らしくない」

「仕方ないだろう。相手はあの(・・)Aクラスだ。奇襲が成功したところで、返り討ちに遭うのは目に見えているからな」

「……じゃあどうするのよ?到達点を変更する?」

「いや、一騎打ちの勝負に持ち込む。それしか勝つ道はない」

 

Aクラス。当然学年主席を始めとした40人前後の相手をするのは無理がある。

私や姫路さんだとしても3人抑え込むのが精一杯かな………

 

「でもそんな条件、飲むとは思えないわよ?」

「そうだ。だからこそBクラスを使う」

「設備の交換の脅しで、Aクラスに攻めさせてから、私たちが連戦するんだね?それを逆手に取って交渉、と」

「正解だ小林。それならば応じてくれるはずだ。向こうも学年最強クラスの意地があるはずだしな」

 

つまりこういうこと。

Bクラスに私達Fクラスが勝った場合、設備が入れ替えられる。つまり、私たちのクラスがBクラスの設備に、Bクラスの設備がFクラスの設備に。

それを脅迫材料にして、Aクラスに宣戦布告するようにし、戦争を起こさせる。それなら、Bクラスは1段階設備を落とされるだけ。

Aクラスは学年2番目クラスとの勝負に疲弊しているから、其の隙をついて交渉をする。

………大分奥の考えが読めてきた。いい意味で馴染んでるのかな。

 

「で、誰でもいいが、Bクラスへ使者役を頼みたい」

「私、行こうか?私なら暴力沙汰にならずにすむかも」

「アンタは寝てなさい。まだ治り切ってないんだから」

「…………はい」

 

蓮に止められた。うぅ……最近蓮が私の親代わりになってる気がする……

 

「だけど女子が行った方が良さそうね………少なくとも暴力沙汰にはならないでしょうし」

「私が行きます!ふんす!!」

 

立候補したのは鳥花さん。何でか鼻息荒立てて、気合い十分。……別に得することなんて何にもないんだよ?

坂本君は少し考えた後、

 

「……分かった。その代わり、東雲。月風に同行してくれ」

「…………分かったわ」

 

意図を組み込んだ蘭さん。鳥花さんが宣戦布告をする-------?そのBクラスに?

 

『わ、わたひっ!Fクラスの、月風鳥花でしゅ!この度はせっ、宣戦布告のほどっ、よよよ、宜しくお願いしまっしゅ!ではでは!』

 

うん、すごい不安だ。暴力沙汰にはならないんだろうけど、皆( ゚д゚)←こんな顔してそう。

下手すれば開始時刻を伝えずに戻ってきそう………

 

「それじゃ、行ってくるわね」

「ああ。くれぐれも気をつけてくれ。ここで大切な戦力を失うのは困るからな」

 

そんな会話をしてから、2人は踵を返してBクラスに向かった。

え、と。たかが宣戦布告なのにやけに物騒な単語がいくつか聞こえたんだけど……吉井君がDクラスに派遣された時、もっと呆気なかったような感じだったけど。

私は首を傾けながら、坂本君に聞いてみる。

 

「どうしてそんなに注意を促したの?暴力沙汰にはならないんじゃ………」

「…………相手はあの根本恭二(ねもときょうじ)だ。何をしてくるか、俺すら分からん」

「根本………?」

「ああ。常に喧嘩するには凶器は通常着用(デフォルト)。カンニングは常套手段………なんて奴が代表のクラスだぞ?警戒するのも当然だろ?」

「そこまで悪どいこと重ねてれば、確かに何をしてくるか知れたことじゃないね」

「他の奴は大概根本の命令を受けているが……まともらしいな。Bクラスは副代表を置いて、根本の動きをストップさせているらしいが--------ま、そんなことじゃ奴の卑劣な考えは揺るがないんだろうな」

 

あくまで噂程度なんだろうけど、念には念を入れた作戦になりそう。私も注意しておかないと、下手したら人質とか取られそうだし。

 

「それで、いつ戦争を仕掛けるの?」

「明日の午後だ。まだ補充科目があるからな」

 

私達からすれば連戦………半分以上は男子だから、体力的にはあるけど、女子は体力がない。

姫路さんは体が弱いんだろうし、蓮は蓮で長時間の戦闘が無理。

午前からだったら確実に持たないけど、午後からだったら、まだ勝機があるかな。

 

しばらくして、どこか浮かない顔の蘭さんと、毅然なままの鳥花さんが戻ってきた。良かった、吉井君の二の舞にはなっていないみたい。

 

「大丈夫か?」

「うん。何とか生存してるわ………押し倒されそうになったけど」

 

……前言撤回。何をしてくるか分かったものじゃないね。男の子って怖いよ。

 

「………すまん」

「いいわよ。私が進んで行ったんだし。代表は何も悪くないわ」

「ところで、Bクラスが坂本さんに伝言が」

「ん?」

「えっと………『4時までに決着が着かない場合、戦況はそのままにしておいて、続きは明日の午前9時に持ち越し……その間の一切の試召戦争を禁じる』……でしたっけ……」

「ええ。代表直々のお言葉よ。言えば協定ね。勝手に承諾してきたけど、良かったかしら?」

「構わない。戦力的に短時間勝負の方が嬉しいからな」

「女子が重要戦力だからね………」

「でも引っかかるわね……普通そんな対等的な協定なんて提案してくるのかしら」

 

蓮が訝しげに考え込む。

Bクラス代表はどうも冴えない噂が多いみたいなのに、お互いに利益のある交渉をしてくるなんて、そんなに甘い人なのかな。

 

「とにかくだ。明日は万全の体制で出てきてくれ」

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