バカとテストと召喚獣〜The Another Story〜 作:ぷろとうぃんぐ
「よくやってくれた。作戦は成功だ」
坂本君が面と向かって言う。私が破壊したドアについては、弁償という形に収まった。
やっぱり思い通り、2重の奇襲だった。私たちは土屋君の奇襲を成功させるブラフ……!
流石としかいいようがないね。あの不利な状況でひっくり返すなんて。
「さ、戦後対談と行こうじゃない?Bクラス負け組代表さん?」
「くっ………」
床に座り込んでしまっている根本君。さっきまでの強気はどこにいったんだろう。
その時、扉がなくなった後ろから、誰かが入ってきた。
「ちょっとお待ちなさい!」
「……お前、誰だ?」
「あたしは
深々と頭を下げる副代表。まるでお嬢様みたいだ。
ちなみに、私たちの副代表は蘭さんだったりする。
「それはご丁寧に」
「………どうせこのポンコツじゃ話にならないだろうから、あたしが聞きますわ」
「おい咲未!!代表にそれはあんまりの扱いじゃないか!?」
根本を一瞥してからそう言う湾城さん。自分たちの代表をポンコツ呼ばわりとは、流石。
「………分かった。お前らには卓袱台をプレゼントしてやるところだが、俺たちにとっては通過点にすぎない」
「………条件は何ですの?」
「Aクラスに『戦争の意思表示』をして来るんだ。『宣戦布告』じゃあない」
「………それだけですの?設備の交換と釣り合う条件じゃ………」
「それから、そこにいるポンコツがこれを来て行動してくれれば、の話だが、な?」
坂本君が取り出したのは、女子の制服。さっき木下さんに貸していたのと多分同じものだろう。
封筒を取り返すためのギミックでもある。……個人的な趣味ではないと思いたい。
当然根本君は頭を振る。
「ばっ、馬鹿を言うな!誰がそんなものを着るか!!」
「……ふふっ。かまいませんわ。その条件、酒のツマミにして、飲み干してあげますわよ」
「って咲未ぃっ!?」
「愚弟共!そこのトンコツにこれを着せるのよ!」
ついにトンコツになっちゃったよ。
「馬鹿がっ!!誰がそんなフリフリした服なんて着ぶグぉっ!」
「とりあえず黙らせたわ」
「……お、おう………」
あの悪逆非道な根本君が押されてる………咲未さん、パワフル……
坂本君はブレザーを咲未さんに手渡す。
「んじゃ、折角だから可愛くしてやってくれ。記念なんだしな」
「そうね。折角だからね」
「……それは約束出来ませんわ」
「何で?」
「土台がもう取り返しがつかないじゃないの。可愛くするのは土台ごと取り替えるべきですわ」
………成る程、なかなか手厳しいお言葉を。
でも気絶してるから、着替えさせるのも結構楽なものだよなぁ……
ということで、根本君の着ていた制服は私たちが預かることになった。
制服のポケットから例の封筒を取り出す……ん?これ、もしかしてラブレター……?
ほほう……こりゃ無闇に攻撃が出来ない訳だよ。こんな大切な物脅しに使われてればね。
「ところで、この制服どうするの?」
「……うーん、どうしよう。『ビン・カン』のゴミ箱に捨てようかな」
「ダイオキシンが出るよ……?」
根本君云々というより、環境の心配をするべきだろう。しかも、燃えるゴミじゃないところがまた………
「んじゃ、はい。これ吉井君に」
例のラブレターを吉井君に手渡す。これは、吉井君が直接返しに言った方がいい代物だ。
だって相手は多分………
「え?翼さんは一緒に行かないの?」
「ごめんね、ちょっと用事があって。しっかり姫路さんに渡すんだよ?」
「う、うん」
「それじゃあ、また後でね」
私は吉井君と別れて逆方向へ向かう。私は邪魔者になるしね。2人で話をする機会を作らないと、ただでさえFクラスの男子に嫉妬されてるんだから。
すると、柱の影から2人の友達………蓮と蘭さんが飛び出してきた。
「わっ!………見てたの?」
「何面白そうなことやってるのよ。私も混ぜなさいよね」
「……別に見世物じゃないからね」
「かっこよかったわよ。
「そ、そんな大袈裟な………」
私は微笑みながらBクラスに戻る。さてさて、着付けは出来上がってるのかな………?
「う…………」
「…………くぅ……っ」
「………うぅ……」
「………すいません、保健室行ってきていいですか?」
「何だよお前ら!」
Bクラスに戻ると、女装し終えた根本君が佇んでいた……んだけど、これは酷い。鳥花さんも真顔。
これを見てAクラスの士気を下げる、というのも目的の1つなのだろうか。
迷惑極まりない。
「早めに鈴に連絡しとかないと……」
蘭さんはポケットからスマートフォンを取り出し、カタカタと文字を打ち込んでいた。恐らく、あの小型爆弾に身を案じたのだろう。
私も一目見て「うっ」って顔をしかめちゃったし。
「おい、早く立て。スケジュールが詰まってるんだ。これから撮影会もするからそのつもりでな」
「なん………だと………」
『しかし、これだけでいいのか?』
『これだけで設備を守れるなら万々歳だよな!』
『そうですわね……問答無用で変えられたらあたしはこの学校を転校するところでしたわ』
根本君、周りからだけじゃなくて、クラスからも苦虫扱いされてたんだ………
でも可哀想とは思わないよ?
ちなみに、女装した小型爆弾こと根本君は、Aクラスに入って愕然としたらしい。
みんな、根本君と目を合わせようとはしなかった。
それもそのはず、先ほど蘭さんを通じて鈴さんにメールを送って、注意を促したんだとか。
本人曰く、あんな下らないことで鈴の目がどうにかなったら困る、だそうだ。
「こうして沢山の命が救われたのです。めでたしめでたし」
「まだ終わってないよ鳥花さん!勝手にエンドロール流さないで!」
「こんな中途半端なところで……」
危うく終わらされるとこだった……
まだまだ、私たちの物語は、終わらないからね?