バカとテストと召喚獣〜The Another Story〜   作:ぷろとうぃんぐ

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18話 弱者VS強者

「それでは、1人目の方、前に出てきて下さい」

 

高橋先生がそう言う。坂本君はゆっくり目を開く。

 

「よし………こっちはまずは木下。お前だ」

「行ってくるのじゃ」

「私が行きます。科目は英語でお願いします」

 

木下と対峙するのは………誰だろ。名前が分からない。

これ、1人称の小説としては最悪だよね。ごめんなさい赤髪の人!

でも仕方ないじゃん!会ったことないし面識ないんだから!

 

【Fクラス 木下 秀吉 英語 106点】

VS

【Aクラス 西川 千尋 英語 361点】

 

ぶっ………!!

差が違いすぎる!これがAクラスの力なの!?

 

「すまぬ………開始10秒も立たずに負けてしまった………」

「いや……大丈夫だ。あとは俺たちが何とかする」

 

5分間のハーフタイムを挟んで、次の試合になる。

これで1敗………4勝した方が勝ちになる。坂本君と霧島さんの勝負に持って行くには、3勝3敗で行かないといけないわけで……

 

「では、2人目の方は………」

「………私が行くわ」

 

2人目に名乗りをあげたのは、副代表の蘭さん……!

対して向こうから出て来たのは……

 

「やっほ、お姉ちゃん」

「……!!鈴………!!」

 

東雲鈴。蘭さんの妹……!!

蘭さんにとっては出来るだけ戦いたくない相手だったのだろう。苦い顔で話す。

 

「やっぱり貴女が出てくるのね……!」

「うん。当然」

「…………鈴。この際はっきりさせましょ。どっちが強いのか」

「………………分かったよ」

 

蘭さんが目の敵とまでは行かないけど、最大の敵。

強者と弱者。この絶対的な壁を壊す最大のチャンスであって、最大のピンチでもある。

鈴さんの成績を知っている人なら、確実に鈴さんが勝つと豪語するくらいに点数が離れすぎている。

すると、蘭さんが溜息をつく。

 

「……私はね、強者が嫌い。努力しない人はもっと嫌い。でも、貴女は違うわ。強者だけど、努力は人一倍して来てる。それは私が見て来たもの」

「……………うん」

「でも……私は鈴を超える。東雲蘭(弱者)として………姉として」

「……じゃあ私も全力で行く。白黒つけよ、お姉ちゃん」

「………高橋先生。科目は世界史でお願いします」

 

ついに姉妹対決が実現しようとしている………

長年自己を恨んで来た蘭さん。それでも努力は欠かさなかったらしい。

だからこそ…………『奢れるものは大嫌い』なんだ。

 

【Fクラス 東雲 蘭 世界史 60点】

VS

【Aクラス 東雲 鈴 世界史 471点】

 

短刀を持つ蘭さんの召喚獣。

大槍を持つ鈴さんの召喚獣。

その差は歴然としすぎている。蘭そんの点数のざっと8倍近くの点数を誇っている。

普通の人は、鈴さんの方に軍配が上がると思っていることだろう。むしろそれが当然。学力で決められるんだから。

でも、私は知ってる。

 

蘭さんは、そんな簡単に負けたりはしない。

 

「はぁぁぁぁっ!!」

 

大槍を蘭さんに向けて放つ。確かに、この大きな槍、掠っただけでも相当量持って行かれることだろう。

でも、その分溜め(リーチ)が長い。

一直線に振るわれたその大槍を一筋縄で避けると、一気に鈴さんの懐に入る蘭さん。

ざっと2回、攻撃を入れるものの、そこまで点数に変わりはない。短刀のため、威力もないはず。

 

「私は………負けないっ!!」

「私もだよ、お姉ちゃんっ!!」

 

2本の短刀で大槍の攻撃を止めると、すかさず切り返す蘭さん。

 

【Fクラス 東雲 蘭 世界史 58点】

VS

【Aクラス 東雲 鈴 世界史 318点】

 

徐々に鈴さんを追い詰める蘭さん。まさにこれこそ正々堂々の勝負。これが、蘭さんが本当にしたかった試合だろう。

がんばって………蘭さん………!!

 

「こ、のぉぉぉっ!!」

 

攻撃を仕掛ける鈴さんだが、全く攻撃が当たらない。それを器用に避ける蘭さん。

加速斬撃(マッハブラスト)の能力をどうやって手に入れたかは知らない。でも……少なからず2人共努力はしてきた。

どちらが勝ってもおかしくない。

 

「そんな大振りじゃ当たらないわよ、鈴!!」

 

3度。こうして削っていくのも戦法の1つ。相手の判断を鈍らすことが出来るからか、蘭さんは全て鈴さんの行動を読んでいる。

 

「だったら………これで!」

 

横一線に放たれた大槍。でも見抜いていた蘭さんが鈴さんの後ろに回り込んだ………その時。

大槍の一閃を止めず、そのままぐるんと1回転をさせた。

 

「なっ!?」

 

行動を読んでいたのか、短刀で受け止めるも、遠心力という力で倍増された大槍を避けきれず、後ろに大きく飛ばされた。

判断が鈍っているばかりか、更に鋭くなっている。

 

【Fクラス 東雲 蘭 世界史 24点】

VS

【Aクラス 東雲 鈴 世界史 210点】

 

「止めたのにこれだけ……!」

 

段々焦りが見えてきたのは、蘭さんだった。この絶対的点差はどうやってもひっくり返らないのか。

でも。

 

 

『これはもう鈴さんの勝利は確定だよなー』

 

 

どこからともなく、そんな声が聞こえてきた。

蘭さんは、苦しんできていた。妹の方が出来が良くて、非難される自分に。

その言葉を聞いた瞬間、蘭さんの目の色が変わった。

そして、いい放つ………!

 

「………言ったわね………私の、真の力………見せてあげるわッ!!」

 

刹那、目に見えない速さで切りまくる蘭さん。私でさえ、目を凝らしても動きに注視することはできない。

フラグを建てたあの人には感謝すべきかもしれない。

 

【Fクラス 東雲 蘭 世界史 24点】

VS

【Aクラス 東雲 鈴 世界史 93点】

 

「う………流石お姉ちゃん………でも……!!」

 

お互いこれで2ケタの勝負になった。すると妹は行動を読んだのか、狂いなく蘭さんに向けて大槍が振り下ろされる。

更に蘭さんはこの攻撃を右に躱す………!!

その瞬間、

 

鈴さんの振り落とした大槍の動きが、僅かながらぶれた(・・・)

 

「……えっ……!?」

 

軌道修正した槍は蘭さんに向けて再度振り下ろされ、蘭さんは反応出来ず真っ二つに切り落とされた。

…かにみえた。

そこに、蘭さんはいなかった。

 

「え、どこ…………に」

「ここよ、鈴っ!!」

 

居なくなった蘭さんを探そうと虚空を仰いだ時、ものすごいスピードで接近する召喚獣-----------

あの一瞬で上に飛び、さらに追撃を仕掛けた。

そしてついに…………

 

【Fクラス 東雲 蘭 世界史 24点】

VS

【Aクラス 東雲 鈴 世界史 0点】

 

姉妹対決が、勝敗をつけた。

これで1勝1敗。……お疲れ様、蘭さん。

 

「はぁ…………はぁ…………」

「ふぅ……流石、お姉ちゃんだね……」

「………私は、貴女のお姉ちゃんよ?簡単には負けるわけにいかないもの」

 

お互いに疲弊しているみたいで、息を整っていない。

あれはもしかすれば、今までで1番いい試合だったんじゃないのだろうか。

 

「……それにしても……鈴、あの『ぶれ』は何だったのよ………」

 

天井を見上げて汗を拭う蘭さん。そう、一瞬だが槍先がぶれて軌道を変えた。これは私も確認済みだ。

すると、鈴さんもその場に倒れこんで言う。

 

「………400点を超えるとね、腕輪が召喚獣につけられるの。その能力だよ………」

「腕輪の能力………?空間を捻じ曲げたの!?」

「うん。切っ先だけだけど………私の奥の手だった。でも……お姉ちゃんには、通じなかった」

 

内心悔しそうに嘆く鈴さん。そうか、あのぶれは腕輪の能力だったんだ。

初期能力が400点を超えていれば、使うタイミングは制限はない。効果は1試合だけ。

 

「……あんなことまで出来るようになるなんてね……鈴は強いわ…」

「何言ってるの。お姉ちゃんも十分強者だよ。だって、私を倒したんだから」

 

笑顔を見せる鈴さん。思わず蘭さんも微笑み返した。

蘭さんが目的としている『復讐』は成し遂げられた、と言っても過言ではない。

いくら弱くても、最後には勝つことが出来たんだから。

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