バカとテストと召喚獣〜The Another Story〜 作:ぷろとうぃんぐ
翼「あっちゃぁ……………もう作り直しでいいんじゃないの?」
蘭「ムリになぞろうとすると後後大変な間違いをすることになるわよ?」
蓮「あら、実証済み?」
蘭「一般的な意見よ」
「よくやった蘭。これで
「……お疲れ様、蘭さん。かっこよかったよ」
「…翼。ありがとう。体調は良くなってるわね……良かったわ……」
「うん、大分落ち着いてきたよ…」
さっきの試合を見て、気分が変わった。
私にとって最後になるかもしれない勝負………こんなとこで、私は負ける訳にはいかないからね。
「さて………次の3戦目だが………」
「わっ、私が行きます!」
「姫路さん!?」
「分かった。行ってこい姫路!」
姫路さんが意気揚々と立ち上がった。ここで確実に勝っておくのが妥当だ。
強力。私を除いて唯一Aクラスと実力だけで戦える人材だ。
相手は………
「私が行きます!」
………ごめんなさい、名前が全く分かりません。黒髪ポニーテールの方、誠にすみま-----------
ん?うわっ!蓮!?なんでナレーター席にいっ…………
………
…………感謝するよ、ありがとね。
えーっ………コホン!えー、Aクラスからは
霧島さんとはいい勝負が出来るとは思う。でも、ここで強力な人材を投入するのはいけないと判断したのかな。
私が言うのは何だけど、確かにあの召喚獣、手も足も出ないし。
「科目は総合科目でお願いします!」
現代文、古典、数学、化学、生物、物理、英語、ライティング、リーディング、日本史、世界史、地理、政経、音楽、情報、保健体育。
この16教科全てのテストの総合点数の勝負。
当然桁は姫路さんくらいの猛者だと8000点を超えてくるはず。
【Fクラス 姫路 瑞希 総合科目 8521点】
VS
【Aクラス 佐藤 美穂 総合科目 7020点】
『何だこの点数は!!』
『姫路瑞希………霧島翔子にも劣らないぞ………』
しかし、しかしだった。点数勝負ではなく、単純な召喚獣勝負。
いくら点数が勝っていようとも、召喚獣に慣れていない勝てないわけで。
結論。
【Fクラス 姫路 瑞希 総合科目 0点】
VS
【Aクラス 佐藤 美穂 総合科目 58点】
「はぁ…………はぁ…………はぁ…………あ、危なかった………」
「すいません、負けてしまいましたぁ………」
「気にするな。まだ2敗だ」
20分ほどに渡る激戦を制したのは二棟棍を持つ佐藤さんの召喚獣だった。
正直、あの東雲姉妹よりも………と思ったが首を振った。
そんなことはない。あれはお互いのプライドがぶつかり合った闘いだったからね。
「4戦目は………早めに切るか。明久!お前行ってこい!」
「僕!?」
「先に翼かムッツリーニを出して、もし万が一負けたらお前に回るからな」
「ぐっ…………」
そして、Aクラスからは、木下さんに瓜2つの少女………彼女、優子さんが出てきた。ここで来るか………
「科目は?」
「……生物でお願いします」
「明久ぁ!!」
「!何、雄二?」
「お前が勝てる可能性っていうのは確かに低い!だがな……お前は
坂本君からの激励がとぶ。その意図を吉井君は理解していないように思えた。
でも、私は気付いた。今までずっと動きを見てきた。
馬鹿、っていうのは何も貶し言葉という意味だけではない。
【Fクラス 吉井 明久 生物 60点】
VS
【Aクラス 木下 優子 生物 382点】
この差はやはり大きい。約6倍……でも、さっきの蘭さんの戦いを見たはずだよ、吉井君。
蘭さんの言葉を借りるなら………
『当たらなければいいのよ』。
真っ直ぐにとぶ攻撃を避け、上から左右の攻撃を次々と避ける。それは10分、20分と経過していった。
【Fクラス 吉井 明久 生物 50点】
VS
【Aクラス 木下 優子 生物 182点】
「なっ、なんで………!!」
優子さんはそう叫んだ。吉井君は大雑把な一閃を余裕を持って回避する。
馬鹿というのは、一定のことに集中することも馬鹿と呼ぶ。
意味を履き違えて貰っては困るんだよね。
【Fクラス 吉井 明久 生物 48点】
VS
【Aクラス 木下 優子 生物 0点】
「やった………やったよ!勝った!」
「明久!お前ならやれると思っていた!これでイーブンだな」
「アタシが………負けた………?」
がっくりと膝をつく優子さん。いやいや、一方的な勝負だったけど、善戦出来てたと思うよ。
それよりも、バカの代名詞で有名だった吉井君の勝利に、周りは皆唖然とした、Fクラスの男子たちは、吉井君を担いで教室をとびだしていった。おーい、まだ終わってないよー?
「5戦目は、ムッツリーニ。行けるな?」
「………任せろ」
5戦目は土屋君。他の科目は対したことないらしいけど、保健体育だけは随一強力で、吉井君曰く、下手すれば僕の総合科目の点数並らしい。
事実、Bクラス戦のトドメを刺したのは土屋君だったし。
「それじゃ、ボクが行こうかな」
ムッツ………じゃない、土屋君の持ってる獲物は小太刀。
ボーイッシュな彼女が持っているのは巨大な斧。この武器の差は、東雲姉妹を彷彿とさせられてしまう。
その少女は土屋君の方を見て自己紹介をする。
「1年の終わりに転入してきた
「………土屋康太。保健体育勝負を申し込む」
彼を5戦目に任命した理由は、科目選択の意味がある。
吉井君と成績は同じくらいで、召喚獣の扱いも慣れていない。
ただし、保健体育を除いての話だけど。
すると、工藤さんは土屋君に話しかける。
「土屋君……だっけ、随分と保健体育が得意らしいね。ボクも得意なんだ………実技でねっ」
「…………何だと」
「理論派と実践派どっちが強いか……見せてあげる」
【Fクラス 土屋 康太 保健体育 490点】
VS
【Aクラス 工藤 愛子 保健体育 446点】
ほぼ戦力は同じ。あとはあの腕輪の力と召喚獣の技術によって決まりそうだけど………
まず先に動きがあったのは工藤さんだった。『瞬』速の速さで一気に土屋君に詰め寄る。
「………加速」
対して土屋君も腕輪の力を使ってこれも一瞬のうちに迎え撃つ。
五分五分で進んでいた試合だったが、雷光を纏った工藤さんに軍配が上がった。
【Fクラス 土屋 康太 保健体育 0点】
VS
【Aクラス 工藤 愛子 保健体育 8点】
「うわ…………危なっ………でもボクの勝ちだね?」
「…………」
これで2勝3敗。あ、これ私に勝たないとダメフラグ。
「………すまない」
「大丈夫だ。………翼、すまん……出来れば余裕の状態で戦わせたかったんだが」
「………大丈夫。何とかする」
「翼」
後がないこの勝負。私の肩には責任なんて言葉が重くのしかかっている。
当然、負けるなんて選択肢はない。
私は精一杯の声を絞り出す。緊張ですごいドキドキしてきた……まともに戦える気がしない。
そんなことを思っていると、いつの間にか帰ってきていたFクラスの面々。
蓮が私に歩み寄って来る。
「………何?」
「翼。貴女は今までだってどんな局面でも諦めなかったわよね。マリアートの時にも、爆弾の事件の時も」
「……………諦めてないから、大丈夫。でも……震えがね」
私と蓮はいつも大体一緒にいた。それは単に親友だから、というだけなのかな。
そんなことを思っていると、蓮が私を抱き締めた。
「蓮?」
「…………負けてもいい。それくらいの気持ちで行かないと、負けるわよ、翼」
「……うん」
蓮も、多分皆も負ける気なんて早々ない。これは私だけのことじゃない。Fクラス全員だ。
だからこそ、今私はプレッシャーを感じてる。空気が上手く吸えず、足も覚束ない。
蓮はだからこそ、励ましてくれたんだと思う。
「ありがと、蓮。……好きだよ」
「………何でもいいけど、翼。とりあえず感謝の気持ちとして好き好きいうのやめた方がいいわよ。誤解されるから」
「え、あー………うん……」
そういえばさっきも吉井君に言っちゃって誤解されかけたんだっけ。流石蓮。長い付き合いだけあって、私の癖まで知ってるんだ。
それに………
「……これが最後の勝負だと思って、全力でいって来る」
震えも、いつの間にか止まっていた。
私の最後の召喚獣戦争--------絶対に勝つ。
勝ってみせる。
対してAクラスからは学年次席、久保利光君。
久保君は姫路さんに負けず劣らずらしく、成績も競っている。
………噂の一環として、吉井君を好いているみたいだけど、本当なのかな………
「では6戦目。科目はどうしますか?」
「………数学でお願いします」
成る程。確かに久保君が得意そうな教科だ。私も少なからず出来る方ではない。
根っからの文系ですから。
でも………簡単に負けるつもりも、さらさらないよ。
【Fクラス 小林 翼 数学 546点】
VS
【Aクラス 久保 利光 453点】
『『『な、なんだと………!!』』』
私の点数を見て驚きの声があがる。気のせいか先生からも上がったよ?
「その点数………一体、どうやって………!」
「………一身上の都合、とだけ言っておくよ久保君!」
二刀流を思い切り振り回す。念のため家で私の友達の
「く………!」
慌てて退避させる久保君。かすっただけでも50点ほどは持っていくことは可能だ。
それは、お互い同じこと。でも………私は果敢に攻め立てる。
「くら………えぇぇっ!!」
最上級剣技スキル、『ジ・イクリプス』っ!!!最大24連撃………ッ!
片手剣と盾持ちの久保君を追い込める。盾は一応点数の半減の効果を持っている。
唾競り合いになりながら、他方の隙を狙う。
でも、私は………!!
「二刀流………!」
2本の剣で強引に競り合いを切らせると、盾を飛ばす。
召喚獣の間に僅かな隙間が出来た……!
二刀流剣技スキル『クリムゾン・スプラッシュ』。
「なんだ………この剣舞は……」
「私の友達がやってるネトゲでね。剣技が主なゲームだから、ついでに学ばせてもらったんだよ!」
「しかしネットだろう……!?バーチャルゲームだとしても、本物の自分が使えることは尚更、召喚獣でどうやって………」
「………不思議に思わないの?」
「………何………?」
「私の召喚獣はこの通り腕輪をしてる。なのに、今まで1回も使ってないのはどうしてか」
姫路さん、土屋君、鈴さん、それに工藤さん……皆それぞれ一様に召喚獣の腕輪の力を使っている。勿論それは久保君も例外じゃない。
恐らくこの
強い上にデフォルト装備で攻撃半減の盾を持ってるなんて、鬼畜以上の何者でもないからね。
私は初めて『スターバースト』を撃った時から気付いていた。
私の腕輪の能力、それは………
「『完全再現』………これが私の能力なんだ………」
「完全………再現………?」
「そう。この召喚獣は自分の行動に合わせて動く、どこかの人造型ロボットと同じ作りになってる。思うだけでね。自分の分身みたいなものだよね。顔も同じだから」
でも、と私は一呼吸いれる。
「当然、出来ないこともある。例えば……バク転。私はそんな高度なことは出来ないけど、私が『思い描いただけで、どんな無茶なことでも』行動に移してくれる。それは例えネトゲだとしても」
「何………」
「剣技は、どれも同じじゃない。
それがこの腕輪の能力。召喚獣は確かにその片鱗はあるけど、慣れていない私みたいな人が使ってもゴチャゴチャになるだけ。
「…………私は、負けないっ!!」
盾を再び弾き飛ばすと、クリティカルで『スター・スプラッシュ』をねじ込む。
一回一回のエフェクトまで完全再現ときた。
はぁ………と私は溜息をつく。
【Fクラス 小林 翼 数学 320点】
VS
【Aクラス 久保 利光 数学 0点】
………あとは任せたよ。坂本君。