バカとテストと召喚獣〜The Another Story〜   作:ぷろとうぃんぐ

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蘭「23話ね。今回から本格的な清涼祭編が始まるわよ」

翼「何にも起きないといいけど、そんなことは無いんだろうなぁ………」

蓮「さ。感想が届いてるわよ。”蒼龍”さん」

翼「原作通りになるのかならないのか、すごい疑問」

蓮「一応沿うつもりはあるみたいね。ただ、試召戦争の話がないのが………」

蘭「さ、じゃ、本編はいるわよ」


23話 初日と嚆矢

「料理の方はこんなもんだとして、次は調理班とホール班に分けようと思ってるんだけど………」

 

鈴さんの代表センスのお陰でどんどん話は進んで行った。

私は主に調理をする係に任命されていた。

正直出来るか分からない……

 

 

「翼。ちょっといいかしら?」

「何?」

 

蓮の呼び止めに私は反応する。

今の私はクックさんなどを使って調理法や材料を暗記している最中。

ちなみに、材料代は高橋先生の計らいもあり、なんとかなるようだ。まずここまで用意する必要があるのか甚だ疑問だけど。

 

「試召戦争の賞品のことよ……」

「?」

「……そんな可愛く首を傾けないで頂戴。学園で用意出来る範疇を超えてるのよ」

 

クラスの出し物や有志の企画で学園を盛り上げていくのが清涼祭。

で、その裏で希望生徒が出場出来るトーナメント式の試召戦争、というものがある。

2人1チームとして出場して優勝を目指す……いわばチームワークが鍵になる大会のようなもの。

一般のお客も見えるらしいから、大きな宣伝にもなるし、学園としてま大々的に行いたいのだろう。

当然、優勝チームに賞品があるみたいなんだけど………

 

「これよ。『如月ハイランド プレオープンプレミアムペアチケット』」

「うわぁ、また豪華な賞品だね。プレが2回出てくる辺り」

「そうじゃなくて、これ、世界中でも数少ないチケットなのよ。まず資産家でも手を回しても貰えない代物ね」

「え、そんなに貴重なの……?」

「えぇ。喉から手が出る程らしいわ。オークションで売られてたのみたけど、かなりの価値がついていたわよ」

 

蓮はあくまで真剣に説明してる。そんな数少ないチケットが、何でこの試召戦争大会の賞品になってるの?

まだあるのよ、と両手を組んで、

 

「実は文月学園はその如月グループと協力体制にあるみたいよ。プレミアムチケットできたカップルを無理矢理結婚させる………なんて黒い噂も」

「何それ!?」

「それにこの賞品の1つの白金の腕輪………これも何かあるわね」

「………そいえば、まだ、公表されてないよね?清涼祭まで1週間先なんだけど」

「私の情報収集能力とサーバーハッキング能力舐めないで頂戴。この学校のポインティングサーバーから抜き出した情報よ」

 

相変わらずすごい行動力。それを真顔で言えるまでに進化したか。

どこまで行くんだろこの子、と先行き不安になる私。

 

「情報を集めて不利益なことはないのよ、翼。白金の腕輪の効果については調べられなかったけど、あのプレミアムチケット。嫌な予感がするわ」

「そう?そんな悪いのかな……ただカップル同士が結婚させられるんでしょ?」

「じゃあ、それがAクラス代表の手に渡ったらどうなると思う?」

 

霧島翔子さんだよね。霧島さんがプレミアムチケットをゲット………

まぁ当然連れて行くのは坂本君?

本人嫌がるからスタンガンで強制連行………?

 

坂本君 終了

 

「……………やばいね」

「そういうことよ。使い用によってはそうなるわ。荒れるでしょうね」

「……………」

「私は引き続きサイバー攻撃してくるから、後は任せるわよ」

「え、ちょっ!!今とんでもない単語が聞こえたんだけど!!」

 

私が蓮を引き止めようとした刹那、既に蓮はこの場から消えていた。

そのうちマークされるんじゃないかな………

 

 

 

「随分と手際が良くなったね。やっぱり私は統率力に欠けるなぁ……」

「いつもはただのバカなんだけどね…………」

 

清涼祭初日。

準備も進み、広い教室は高級そうな喫茶店に形を変えていた。

机もリクライニングシート付きのシステムデスクという謎の装備。Fクラスだと絶対バレる。みかん箱だし。

そして調理班・ホール班ともに準備万端で、私が何とか全てのメニューを覚えて、カバーは出来るようにはしておいた。

1番意外だったのは、Fクラスの男子の料理能力の高さ。吉井君や須川君を初め、優子さんも舌を巻く程だった。

 

「……上手くいったみたいで何より」

「代表もこの絶賛だからね。成功してくれるといいけど」

 

Aクラスの面々は各々この出来に満足しているようだった。

 

「………………料理も完璧」

 

土屋君がエプロン姿でトレイを持って現れた。その上にはカフェモカとロールケーキがいくつか並んでいた。

 

「うわ、本当に器用だね………」

「……………味見用」

「土屋、これウチ達が食べていいの?」

「……………(コクリ)」

「それじゃ、頂くとするかの」

「少しだけ貰いますね………!」

 

秀吉さん、島田さん、鳥花さんの3人がロールケーキに手を伸ばす。

それぞれ色からして、苺、抹茶、チョコ。あとメニューにはないけど、バナナやバニラ、ブドウなんてものもある。

最近の男の子は女子力が高いのかも。

 

「美味しいわね!生地がふわふわで食べやすいし……!」

「甘すぎないところがいいのう」

「うーむ……スイーツソムリエの舌を持つ私を唸らせるとは………」

 

若干1名、不思議な人がいたけど、大人気のようだ。カフェモカとロールケーキって合いそうな組み合わせだしね。

 

「あ、僕も貰っていい?」

「………………(コクコク)」

 

吉井君もブドウと思しきロールケーキを半分口にする。ちょっとミスマッチかもしれないけど、味の方はどうだろう。

 

「うん。表面はゴリゴリで中身はネバネバ。甘すぎず、酸っぱくもあり、激辛なこの深い味わいが------んごパッ!?」

 

あ。ブドウじゃなくて紫色の有害物質(毒物)でしたか。

 

「あ、それはさっき姫路が作ったものじゃな………」

「……………………」

「ちょっとムッツリーニ!どうしてそんな震えてるの!?フラッシュバック!?」

「……何と無くカオスなのは分かるわ………」

 

事情を知っている島田さんは目を細める。私も食べたくない。酷い目にあったからね。

これはただのロールケーキではない。抹殺用のロールケーキだ。

あと半分どうしようかといったところに、坂本君が戻ってきた。

 

「うーす、戻ったぞー………ん?美味そうなロールケーキじゃないか。どれどれ………?」

 

そして、止める間も無く謎の毒物ロールに手を染める坂本君。皆「あ」と口を開けている。

 

「……対した男じゃ……」

「君は今、最高に輝いてるよ坂本君………」

「お前らが何をいってるか分からんが………ふむ。表面はゴリゴリで中身はネバネバ。甘すぎず、酸っぱくもあり、激辛なこの深い味わいが------んごパッ!?」

 

あ、既視感(デジャブ)を見た。

勢い余って床に倒れた坂本君を見下ろしながら黙祷を捧げる。

 

「……………雄二」

「…ふっ、何の問題もないぞ。あの川を渡ればいいんだろう?」

 

それはきっと渡ったら2度と戻って来れない川だよ。

 

「問題大アリよ!!」

「戻ってきて!その川は危険だ!!」

「一撃で致命傷とは……相変わらずの破壊力………」

 

鳥花さんも驚きの味。今ならこのロールケーキが特別価格、無料で食べられます。

 

「………馬鹿言え。普通相場は8万で落札出来る。こんな箱舟なんぞ誰が悲しくて乗らなければならな------はっ!?」

 

何度かの呼びかけ+心臓マッサージの甲斐あって蘇生完了。きっとその箱舟は川を渡るノアの箱舟かな。

これが姫路さんの料理の極限かな。

 

「でもまだ3分の1残ってるのよね……これどうしようかしら」

「雄二からオーダー入ったよ。ブドウロールケーキ(仮)1つ」

「………そろそろ現実と夢の境界線が曖昧になってるんだが………そういう明久が食せ」

 

そんな時に幸運か不幸か、今度は副代表の蘭さんと蓮が顔を覗かせた。

 

「どうしたのよ。騒がしいわね」

「あら、美味しそうじゃない。1つ貰うわね」

 

蓮がバナナロールケーキの方を食べる。そっちの方はまだ安全だけど、大丈夫かな。果物苦手だったはずだけど………

 

「……………………。」

「蓮。はい、カフェモカ」

 

食べた瞬間、血の気が引いたのが感じ取れたので、カフェモカを出しておいた。

嫌いなだけで、隣のロールケーキとは違って死ぬわけじゃない。

 

「………私、多分一生果物とは険悪のままよ」

「そんなに苦手なんですか………」

「ヤシの実もダメだからね……好き嫌いは良くないって言ってるんだけど………」

「生理的にムリなのよ。炭酸も」

「こっちは何?」

「……………………(フルフル)」

 

蘭さんがハテナを浮かべながら尋ねる。いや、何だろうね。私が知りたいよ。

とりあえず固形物質かな。

私たちの様子を察したのか一瞬、口元を歪ませた蓮が最悪な手段を実行する。

 

「……………蘭。食べてみれば分かるわよ」

「そ、そう………それじゃ………」

 

新たな犠牲者の誕生の瞬間である。この名状し難いブドウロールケーキをどう表現する?

 

「うーん………サバサバしてて、激辛で、ほんのり酸っぱくもあり、新たな未開土地を丸々破壊できそうな---------んごパッ!?」

「ちょっ!!」

 

何か感想が更に斜め上を行ってる!どんな味かわかんない!

 

「蘭!しっかりしなさい!アンタはこんなところで死ぬ人じゃないわ!」

 

蓮が物凄いスピードでマッサージを処置。ここまでの破壊力とは蓮も知らなかったんだろうな………

 

「………あれ、貴方は先日死んだはずの犬のコロ………?なんでこんなところに………あれ、おばあちゃんもいる………何で皆川の向こうにいるんだろ………」

「トリップしてるわよ!?」

「その川は危険じゃぞ東雲姉!」

「しまった!蘭は毒性がなかったか!!」

 

さっきの坂本君のトリップより大変なことになってる。もはや生と死の狭間にいる状態。

あの昼食事件では、蘭さんは被害にあってなかったからね。

 

「あっれ………死んだはずの雄二君もいる………」

「ちょっと待て!死人扱いされてるんだが!?」

「ついに次元枠も超えたようね……タイムトリップまで出来るなんてすごいわね」

「別次元では坂本君、死んでるんだ………」

 

恐ろしい新事実に驚愕する。次元枠か時間枠か、どちらか狂っている。

 

「……なんで100人乗りなのに定員オーバーなのよ………その箱舟脆いんじゃないの?え、入れる?じゃあ失礼して---------はっ!?」

 

危なっ!一歩手前で蘇生出来た!

 

「戻ってきたか蘭!」

「………う、うん……………帰還出来たわ………」

「はい、カフェモカ」

 

無理やりカフェモカを飲ませる。蘇生完了とは言ってもまだ危な気。目の焦点が合ってない。

 

「……色々あったが、喫茶店の方はいつでも行けるな?」

「大丈夫だよ。何とかする」

「お姉ちゃんがトリップしたって聞いて来たよ!大丈夫!?」

「何とか生き永らえてるわよ……」

 

鈴さんも厨房から飛び出してきた。結構峠を迎えてた気がする。

 




--------天災は 忘れた頃に やってくる 〜作者〜

翼「まさに、今回の格言だったね…………」

蓮「その俳句に『ロールケーキで 疲労困憊』と付け足して頂戴………」

蘭「それも、今回の格言ね……」

蓮「格言にしても状況が分からないわよ」

翼「姫路さんの 料理でトリップ、と………」

蘭「次回、もしかすれば更新が遅くなるかもしれないけど、気兼ねにおまちください」

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