バカとテストと召喚獣〜The Another Story〜   作:ぷろとうぃんぐ

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3話 紹介と尊敬

HRが始まったのは始業時刻から大分経ってからだった。

私は大丈夫って言ったんだけど、痛いものは痛いので、後頭部を押さえながらしばらく卓袱台で突っ伏していると、1人の男子が既に破壊されているドアを飛び越えて笑顔で教室に入ってきた。

 

「遅れてすみませ………あれっ!?ドアは!?」

「早く座れゴミクズ。あとお前が踏んでるのがドアの残骸だ」

 

見るも無残な状態に驚きを隠せないようだったけど、その5分後、入ってきた先生に事情を話すと、ガムテープでがっしりと補強された。……そんなんでいいの?

 

「私はこの2Fの担任の福原慎(ふくはらしん)です。よろしくお願いします」

 

軽く会釈をする。ところで結構この教室人いるなぁ………50人ってところかな。意外に多くて安心したよ。

冴えない先生は淡々と話していく。

 

「では、皆さん自己紹介をお願いします………えー、窓際の席の人から」

 

そう言われて立ち上がったのは1人の少女だった。

 

木下秀吉(きのしたひでよし)じゃ。演劇部に所属しておる。よろしく頼むぞい」

 

若干というか、大分古風な話し方だけど………ってあれ。なんで男子の制服着てるの?そういう趣味?

私の疑問を食いとったのか、先程突っ込んで来たミサイルさんが話しかけて来た。

 

「木下さんは、男の人ですよ?」

「え、えぇっ!?でも………」

「翼。世の中は広いのよ。受け入れてあげなさい」

 

蓮がいつにも増して真剣な表情で言う。そんな大きい話じゃないと思うよ、蓮。近頃、童顔の男の人って多いしね。

 

「………土屋康太(つちやこうた)。よろしく」

 

関心していると、次の人へ続く。首から下げられているカメラが気になるところだけど、あえてスルーしてみよっか。

すると、また今度は遅刻してきた男子が立ち上がって自己紹介。

 

吉井明久(よしいあきひさ)ですっ!気軽に『ダーリン』って呼んで下さいねっ!」

 

『『『ダァァァァァァァアリィィィィィィィィインッ!!!』』』

 

教室を揺るがす男子の声に思わず耳を塞いだ。ノリがいいのは、いいことだよね。…………多分。

 

「……失礼。忘れてください。とにかく1年間よろしくお願いします」

 

場を和ませようとして失敗した吉井君が逃げるようにこちらに来た。蓮は溜息をつきながらジト目で言う。

 

「お疲れ様。大変だったわね」

「まさかこんな大合唱されるとは思いもしなかったよ………」

 

当の本人はかなり苦しそうに胸を押さえていた。それも当然、言ったのがまだ女子ならいいけど、男の子だからね。しかも低い声で。

気分悪くなるのも、一理あるのかな。

 

「えっと、小林翼です。南山高校から急遽転校してきたので、分からないこともありますが、どうか、よろしくお願いします!」

 

私は無難に自己紹介。まずは印象印象、だよね。

………さっきみたいに失敗したくないし。

 

「霧島蓮よ。翼と同じく南山高校から転校してきたわ。趣味はハッキング。よろしく」

 

………あらら。とんでもない趣味が明るみに。大丈夫なのそんなこといっちゃって。

と、コッペパンの少女が一仕事終えた顔をしている蓮に聞く。

 

「は、ハッキング?」

「……簡単に言うと、パソコンを使ってウィルス送り込んだりとか、データを奪ったりとか。心底楽しいのよね………ふふふふふ」

 

霧島蓮。私の友達ながら恐るべしドS顏をしていらっしゃる。これが本性………とまではいかないけどね。

こんな内面を知って引かれると思ったけど、そのコッペパン少女はぱぁっと顔を輝かせる。

 

「パソコンでそんなことが……!?すごい、すごいです!!尊敬します!」

「え、えぇ………」

「私、霧島さん……あ、いや蓮さんを惚れ直しました!」

 

元々惚れてたんかい、というツッコミは無しにしても、そんなに崇められても困惑するだけだと思う。

事実、ハッキングというのは褒められたものではなくて、一般ユーザーからしたら迷惑極まりないもの。

近頃話題のサイバー攻撃なんてのも、ハッカーの仕業らしいし。

蓮曰く、機密情報やらを『抜き取る』のがハッカーで、『破壊』するのをクラッカー(クラッシャー)って言うらしいんだけど、私もその辺は分からない。

いずれにしろ、迷惑を蒙っているのは明白なわけだしね。

複雑な表情を浮かべる蓮の横で、出番が回って来たコッペパン少女は立ち上がって自己紹介。

 

「わ、私は月風鳥花です!尊敬する人は霧島蓮さん!よろしくお願いします!」

 

早速!?と私も蓮も更に驚きを隠せない。なんて天然………もとい一途なんだ………

それを見兼ねて隣に座っている坂本君が声をかける。

 

「……この短期間に何があったんだ?」

「……私が知りたいくらいだよ」

 

変わった子だ、と思う。すると、扉の方から1人の女子生徒が駆け込んできた。

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