バカとテストと召喚獣〜The Another Story〜   作:ぷろとうぃんぐ

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5話 団結と布告

しばらくすると、先生と坂本君達が帰ってきた。その間、クラス内が注目してるとは知らずに、謎の茶番劇を繰り広げた。

内容が内容なので以下割愛。

私が暇を持て余して本を読んでいる間も、自己紹介が流れるように続いて行った。そして………

 

「坂本君。貴方で最後です。自己紹介をお願いします」

「はぁ。やっとか………さて」

 

謎の笑みを浮かべながら、壇上の上に立つ坂本君。

さっきも吉井君と話してたみたいだし、何かやるつもりなのかな。

 

「俺がFクラスの代表、坂本雄二だ。俺のことは代表でも坂本でも構わない」

 

一拍置いてから、私達を見やる。

 

「さて………諸君達に問おう。Aクラスの設備を見た者は既にいるかもしれない。

1人ずつにリクライニングシートやシステムデスク、エアコン完備の上、プラズマディスプレイまでもが置いてあるそうだが………」

 

そして、このFクラスの内部………

 

蜘蛛の巣が張った窓。

 

いつ抜けてもおかしくない畳。

 

ガムテープで補正されたドア。

 

一通り見渡した後に、再び彼は口を開いた。

 

「…………不満はないか?」

 

『『『大有りじゃあぁぁぁぁぁっ!!!』』』

 

クラス初めての一丸となっての大コール。私含めて、女子達はただ静かに見ているだけだけど。

でも、確かに異存はある。学力だけで良し悪しが決められてしまうということも含めて、AクラスとFクラスでは、さも当然のようにこの扱い。

流石に反論もしたくなるよね。

坂本君はその反応を聞いて、頷いた。

 

「そうだろう。この件に関して言えば、俺も問題意識を持っている」

『同じ学費なのに、この扱いはあんまりじゃないか!』

『そうだそうだ!異論を唱える!』

「そこでだ。我々Fクラスは………Aクラスに試召戦争を仕掛けようと思う」

 

ピク、と私の体が疼いた。

試召戦争。どんなものかは分からないけど、要するに下剋上を行う、ということか。

マニュアルに書いてあったけど、あまりにダラダラ8ページに渡って書いてあったから読んでない。

携帯の説明書も読まないタイプなんだ、私。

でも、勘で、勘だけで分かるよ。

 

面白そう(・・・・)

 

しかし、坂本君が提案した試召戦争宣言に対して、反論が飛び出す。

 

『何を馬鹿なことを』

『Aクラス相手に勝てるわけがない』

『俺は姫路さんが居れば何も要らないんだ!』

 

その反論は予想通りなのか、その反対意見を無視して話を進める。

 

「転校してきた奴もいるから、簡単に説明しておくぞ」

 

以下省略。私が更に簡単にするよ。

試召戦争……『試験召喚戦争』は、クラスの設備を賭けて戦う、学年全体の戦争らしい。

で、各生徒は自分の点数の強さを持った召喚獣、というもので戦わせ、勝敗を決する。

先に代表を倒したクラスの勝ち。私達Fクラスの場合、代表に当たるのは坂本君になる。

当然、これは学力順で振り分けられているため、最下層のFクラスがお嬢様クラスのAクラスなんかに、勝てる訳が無い。そういうことなのかな?

確かに、世の中学力だけじゃない。知略や財力、死力、五感全てを使えばひっくり返すことも出来る。

坂本君は一通り説明し終えた後、皆に向けて訴える。

 

「勝てない?そんな訳はない。このクラスには勝てる人材が揃っている………それを教えてやろう」

 

ニィ、と悪の笑みを浮かべる坂本君。何か考えあっての発案だとは思ったけど、私達は最下層のクラス。本当に勝てるのかな。

 

「まずは、木下秀吉がいる」

『おお、確か演劇部のホープ……』

『そういえば、木下優子の双子の姉妹だったな………』

 

成績とは何の関係もない気がする。そもそもFクラスにいるんだし、学力はないかも知れないけど、士気を上げるにはいいのかも。

何かと役に立つ時があるんだろうし。

 

「土屋康太もいる」

『誰だ………?』

「知らないようなら教えてやる。彼奴は『寡黙なる性識者(ムッツリーニ)』だ」

『な、なんだと!?あいつが!?』

『だがみろ………姫路さんのスカートの中を盗撮しようとしているぞ……』

「は、はわっ」

 

土屋君の存在に気付かなかったのか、慌てて体制を変える姫路さん。女の子の敵だね………

あだ名については言及しない。だってムッツリ、ってことだよね?

 

「それに姫路瑞希もいる」

「わ、私ですか!?」

「あぁ。ウチの主戦力だ。期待している」

 

そっか。実力としてはAクラスレベルなんだよね。不慮でFクラス入りになったとしても、学力は変わらないはず。

 

『そうだ、俺たちには彼女がいる』

『姫路さんさえいれば、何も要らないな』

 

ところで、さっきから姫路さんに告白してる人は誰なんだろう。

 

「島田美波もいるしな」

 

島田美波(しまだみなみ)さん。さっきの自己紹介で端折っちゃったけど、趣味は吉井君を殴ること。蓮に紛いなきSでもある。

彼女はドイツからの帰国子女らしく日本語がまだ不安定だった。

でもその代わり、理数科目においては成績がBクラス常連レベルらしいから、十分に戦える。

 

「更に東雲蘭もいる」

『確か、あの『加速斬撃(マッハブラスト)』の……!!』

『あぁ………東雲さん、好きです………』

 

ふぁ、ファンクラブがありそうなほど人気なんだね、蘭さん。

ところで、マッハブラストって何の中二病?

物知りな月風さんに聞いてみる。

 

「マッハブラスト………って?」

「東雲さんは学力はそこそこなんですけど、召喚獣の動きがやたらと速くて………捉えるのが難しいそうです」

 

要するに、スピード能力を持った召喚獣だから、ってことか。成る程、納得したよ。

本人にとっては不名誉なのか吝かじゃないけどね。

 

「当然、俺も全力を出そう」

『坂本って小学生の頃は神童って呼ばれてたよな』

『じゃあAクラスの実力を持った奴が2人もいるってことか!』

 

いけそうだ、やれそうだ。そんな声があちこちで響く。

これが坂本君の纏める力か………士気高めには定評がありそう。

………じゃあ私はどうなんだろ。勉強は得意ではあるけど、役に立てるのかな。

 

「それに………吉井明久もいる」

『……………誰だ?』

「知らないのか。あいつは『観察処分者』だ」

「か、観察処分者?」

 

聞きなれない言葉に私は思わず首を傾けた。

少なくとも、褒め言葉ではないみたいだ。

坂本君が私に説明をしてくれる。正確には、縁が無かったのか姫路さんもハテナを浮かべている。

 

「ああ。基本召喚獣はその性質からか物に触れない。だが、設定を変えれば触ることが出来る。召喚獣の腕力は成人男性の約10倍………と言われている」

「そんなに………!?」

「ま、簡単に言えば教師の雑用係ってことだ」

「バカの代名詞、とも言われていますけどね……」

「そうだ。居ても居なくても変わらない奴だしな」

「肯定するな、バカ雄二!」

 

これが特例、という奴なのかな。教師の雑用、なんて罰ゲームみたいだ。

しかも、と坂本君は続ける。

 

「観察処分者の召喚獣にはちと仕様が違ってな。召喚獣の疲労の一部が本人に帰ってくるフィードバックつきだ」

「ってことは………戦争にはマトモに参加出来ない……ってことね」

「あぁ。攻撃されても本体にダメージが飛んでくるからな。だが、居ても居なくても同じだから気にするな」

「2回も言う必要がどこに!!」

 

坂本君の毒に吉井君は頭を抱える。

何をしたら、そんな観察処分者なんて不名誉な係に任命されるんだろう………

 

「だが、使える人材は揃っている。最底辺と罵られるクラスにこんなに力強い人材が揃っているんだ!皆、ペンを執れ!俺たちに必要なものは卓袱台ではない!システムデスクだ!!」

『『『おおおおおおおおおお!!!』』』

 

男子達の歓声。すごい団結力だ。……私達6人はついていけてないけど。

でもこの現状には不満足なのは確かだから、気持ちは同じだよ。

坂本君は吉井君に告げる。

 

「明久。お前にはDクラスの宣戦布告の使者役をやってもらおう。今日の午後からだ」

「……下位勢力の宣戦布告の使者って、大抵酷い目に遭うよね」

「大丈夫だ。俺を信じろ。俺は友人を騙すような人間じゃない」

「………分かったよ、それなら僕が行くよ」

「お前にしか出来ないことだ。頼んだぞ」

 

クラスメイトたちの歓声と拍手を横目に、吉井君はDクラスに向かった。

成る程、まずは相手はDクラスで決定なんだ。

すると吉井君を哀れな目で見送って居た蘭さんが口を開く。

 

「………試召戦争は、上位クラスには何の得もないから、暴行されるのは目に見えてるわね」

「……利用されたんだ、吉井君……」

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