バカとテストと召喚獣〜The Another Story〜 作:ぷろとうぃんぐ
頑張りました。
鈴「さ、ついに如月ハイランド編もラストスパートだよ!”蒼龍”さん!」
蓮「ついに1人になったわね………ま、出来レースにも程があるわよね、あれ」
蘭「全部アドリブよ」
翼「うわー、死ねる」
鳥花「死なないで下さい!?」
蓮「それじゃ、本編始まるわよ」
バカテスト 第七問
【古典】
以下の冒頭部分から始まる古典の有名な物語のタイトルを答えなさい。
あづまぢの道のはてよりも、なほ奥つかたに生ひ出でたる人、いかばかりかはあやしかりけむを、いかに思ひはじめける事にか、世の中に物語といふ物のあんなるを、いかで見ばやと思ひつつ、つれづれなる昼間・宵居などに、姉・まま母などやうの人々の、その物語・かの物語・光源氏のあるやうなど、ところどころ語るを聞くに、いとどゆかしさまされど、わが思ふままに、そらにいかでかおぼえ語らむ。
小林 翼の答え
『更級日記』
教師のコメント
正解です。作者は菅原孝標女です。
吉井 明久の答え
『あづま日記』
教師のコメント
最初の一文だけで判断しないで下さい。
東雲 蘭の答え
『こうきゅう日記』
教師のコメント
さらしな、です。
☆
その頃私と鳥花さんは、バスを経由して如月ハイランドまで来ていた。
バスでの移動時間はざっと30分程度。同じ市内でもとんでもなく時間がかかった。
当然人混みに慣れて居ない、いや慣れることは不可能な私は目を回しながら訴える。
「う……うぅ………き、気持ち悪い……」
「早すぎですよ翼さんっ!あれで人酔いするようじゃ、如月ハイランド入った瞬間死にますよ!?」
「そ、そんなこと言われても、無理なものは無理………」
「あわわ、どうしましょう……!と、とりあえず梅飴舐めます?あくまで車酔い対策ですけど」
梅には車酔い対策として効果を発揮するらしいけど、人酔い対策出来るものなんてないよね………
「これだから街中は嫌いだぁ……うぐ……」
「よくこんな状態で学校通えてましたね!むしろびっくりなんですけど!」
「限度ってものがあるでしょ……学校の集会とかだったらまだ目眩くらいで済むけど、暑苦しい人混みとかバーゲンとか、それこそディズ◯ーなんて死ぬよ!」
「あぁ………安易に想定出来る自分が些か悲しいです。何かもみくちゃにされて目回してる翼さんが思い浮かびました」
「概ね事実だからね、それ」
残念ながらコミュ障に予防法も対策方法もない。ちなみに、蓮はこれより酷い。ショッピングモールへ行くと十中八九ぶっ倒れて介抱されるのがオチ。
私はまだマシな方なんだよ、うん。
「どっちもどっちですよ!」
「心を読まないでよ!」
「ふふふ、実は私サイコメトラーなんですよ………!!」
「今時の韓ドラでも、そういうのあったね」
「韓ドラ見るんですか」
「面白いよ」
はっ!話が180度逸れた!
「そうじゃなくて。ともかく私のコミュ障を治す方法はないよ。単に人混みに酔うだけだけどね」
「んー……目隠しして行きましょうか?」
「いいよ、耐える。大丈夫。私は強いんだ。媚びぬ退かぬ顧みぬ……!」
「あっちゃー……呪文唱え出しちゃいました……ここまで来たんで強制連行ですよ……!」
マイワールドにトリップした私を無理に引きずって、如月ハイランドへログインした私と鳥花さんだった。
☆
私がグロッキーになっている反面、一方の坂本さん・根本さん夫妻はといえば、ウエディング体験の準備を行っていた。
対して、準備に励む私たち2F・2Aメンバーも同様だ。
「すごい大々的に開いちゃってるけど……大丈夫なの?これ」
鈴さんは頭を傾けながら聞く。
そう。わざわざこの2人のために開かれたウエディング疑似体験。当然経費もバカにならないほどかかっているに違いない。
島田さんはスポットライトを置きながら話に加わって行った。
「まぁ、ジンクスを作るためだから仕方ないんじゃない?」
「………いくらジンクスだけを求めたとしても、元を取れるとは思えない」
「それはそうじゃのう。如月グループ側からすれば、損しかないんじゃないじゃろうか………」
「
あくまで主役は坂本君であって、根本君の出番じゃないですからね。
ある程度準備が終わり、手回しもしておいた。今からが勝負になる。
「さ、木下さん。お願い」
「分かったわ。行ってくる」
先ほどのような妨害があるかもしれないから、なるべく慎重にいく。ここで何もかも失敗するわけには行かないんだ。
≪それでは、いよいよ本日のメインイベントである、ウエディング体験です!皆様、拍手をお願いします!≫
木下さんがそうアナウンスをかけると、莫大な拍手喝采が鳴り響いた。
吉井君たちだけじゃない、他の一般のお客さんも拍手をしているようだ。
ただのブラフイベントではないことは確かだった。
大量の観客が見守る中、舞台裏では新郎役である根本君と坂本君がタキシードを着ていた。
「坂本雄二サン、根本恭二サン、お願いしマス」
似非外国人になり切った秀吉からの指示に反発。
「ちょっと待て、2人同時にするのか!?」
「時間的都合上致し方ありまセーン。同時に進めて行きマスよ?」
「マスよ?じゃねえ。そんな器用なことができると--------」
「抵抗するようナラ、貴方の家に海胆とタワシの活け造りを宅配しマース」
「やめろぉぉぉ!!そんな物を送られたら一緒に夜食に出てしまう!!」
これはもう脅迫ではないだろうか。
相方と化した根本君からは憐れみの視線が刺さる。
「お前も不憫だな………」
「うるせえ……ほっとけ………ま、あくまで疑似体験だからな。さっさと終わらせてやるか」
坂本君はそう諦めたように溜息をつく。
一方、幕を1つ挟んだ向こう側では、咲未さんがご立腹のようだった。
「………マジでやるんですの?この顔がしゃれこうべみたいな下僕と?」
「誰がしゃれこうべだ!!」
言い合いをしながら、一時咲未さんと別れる根本君。
2人は小さい階段を昇り、ステージに上がっていく。その瞬間、2人は息を飲んだ。
数え切れないほどのスポットライトのセットとマイク、ライブステージのような観客席、アドバルーンに花火。
壁に掛けられている肖像画や、風景画、電飾なんていくらするのか想像すらつかないほどだ。
(ここまでやるか………?)
(そこまでしてくっつけたいんだろうな。全く、手痛い歓迎だ)
≪それでは、新郎のプロフィール紹介を-------≫
まるで本物の結婚式のようだ。さっきのクイズもそうだったけど、明久君なりに色々調べてるのかな……
≪-------省略します≫
……それは手を抜きすぎじゃないかな?
『ま、紹介なんて要らねえよな。興味ねえ』
『そうよねぇ〜』
その声源は最前列から。声の主はさっき騒いでいたバカップルだ。結局場所を変えて大講堂のような場所でやっているんだけど、ここまで着いてきたのか。
相変わらず外見に相応しいマナーの持ち主だこと。
木下さんは若干額に血管を浮かべて、
≪他のお客様の迷惑になりますので、私語は謹んで下さい≫
『ちょっと、それアタシのこと言ってんの〜?マジアリエッティなんだけど〜』
『チゲぇだろ。俺らは何ていってもオ・キャ・ク・サマだぜ?』
『だよね〜』
………調子に乗り過ぎだよタコカップルっ(怒)
それにしても理解力の欠片もない人だなぁ。たかが2人の客と大勢の客。相手にするのはどっちかなんて目に見えてるだろうに。
それにここで悪評を広めるわけにもいかないから、手も出しづらいのか。宣伝目的とは言え、イベントの邪魔になる対象は排除すればいいのにね。
≪それでは、いよいよ新婦のご登場。お手数ですが、もう1度大きな拍手をお願いします≫
心なしか少し音量が上がったBGMとアナウンスが流れて、スモークが焚き上げられた。
そして、幾筋にも束ねられたスポットライトの線が一点だけを映す。
そして現れた2人の姿。
それは、明白だった。
いつもとは別段違った彼女たちの姿。
余程入念に製作したのだろうか。純白のドレスは皺1つすらなく、サイズはピッタリだ。作成者は手際が良いコーディネーターだったのだろう。
「ちょ……何か言って下さらないかしら?恥ずかしいですわよ、この服」
「いいじゃないか。ウエディングドレスを着れる日なんてそう来ない」
根本君は咲未さんにそう言って笑いかける。内心では似合わないものだと断定していたんだろう。
翔子さんは、ヴェールの下に顔を隠しながら、不安げに坂本君を見上げる。
「……どう?私、お嫁さんに、見えるかな………?」
「………大丈夫だ。婿には見えん」
「当然だろうが。もっと褒めてやれよ、代表」
「うるさいぞしゃれこうべ」
根本君から手厳しいツッコミが入る。しかし、それはどうにも汲み取ることが出来た。
でも1つ、翔子さんの様子がおかしい。それに気付いた坂本君は駆け寄ろうか、迷っている間にも翔子さんは掠れるような声で言う。
「………ずっと、夢だったの……」
「夢?」
「………小さい頃から、ずっと………私と雄二、2人で結婚式を上げることが……私1人じゃ絶対に叶わない………私の夢」
「だから………嬉しい。他の誰でもなく、雄二と一緒にいられることが………」
そう言って、翔子さんは静かに泣き始めた。
それは、絶対に叶わないと思っていた夢。このような形で実現出来るなんて思っていなかった。
根本君も咲未さんも静かに翔子さんの言葉に耳を傾け、見守る。
1人の人を、ただ一途に想い続けるなんてこと、なかなか出来ないよね。
すると、アナウンサーが仕事を思い出したかのように後押しする。
≪どうやら嬉し泣きのようです。花嫁は一途な方のようですね。さて……花婿はどう答えるのでしょうか≫
坂本君はギュッと目を瞑る。坂本君には坂本君なりの考えがあるのだろう。
「翔子、俺は--------」
何か答えようとした。まさにその時のことだった。
『あーあ、つまんな〜い』
『そうだよな、お前らの惚気イベントなんてどうでもいいんだっての』
『ってかお嫁さんが夢だぁ?はっ、頭おかしいじゃねえのか?』
『純愛ごっこ?悲劇のヒロイン気取りなのぉ〜?そんな茶番を見に来たんじゃないんだけど〜』
『なんだ?コントか何かか?そんな気持ち悪い夢なんて持ってる奴なんざいねぇもんな!』
口々に暴言を吐きまくるバカップルに対して、私たちも嫌気が差したのか、真っ先に動いたのは蘭さんと明久君だった。
≪んだとテメェらっ!もういっぺん言ってみやがれこのチキン脳がっ!≫
≪アンタたちには教育が必要なようね………マナーの面からしっかり教えてあげるわこの下衆野郎共…!!≫
≪あわわわっ!お姉ちゃん、吉井君っ!落ち着いて!落ち着いてってばぁっ!!≫
舞台袖からガッタンバッタンと何かが倒れる音とともにそんな罵声が飛ぶ。
一時、なんと観客席の方からもそのバカップルに対して暴言が飛んだ。
そんな間にも、先程のバカップルが舌打ちをしながら出て行くと共に、翔子さん、咲未さんの姿さえもが無かった。
「咲未……!?」
≪は、花嫁さんはどちらに行かれたんですか!?≫
さっきまで翔子さんが立っていた場所にはヴェールとブーケが置いてあった。
坂本君は溜息をつくと、ヴェールを拾い上げる。
≪だいひょ………っ!霧島さん!?霧島翔子さーんっ!皆さん、花嫁を探して下さい!!≫
イベントは一旦中止にまで追い込まれた。
翼「ということで、次回お楽しみに!」
蓮「あと2話で終わるのかしらね、この話………」
翼「さぁね。まだ私も出てきてないから、しばらく続くよ」
蓮「………テスト週間なのに大丈夫なの?」
ははは………(乾いた笑い)