バカとテストと召喚獣〜The Another Story〜 作:ぷろとうぃんぐ
翼「穏便に済ますには、厄介な事件が付きものなんだよ………」
鈴「え、何、どゆこと?」
蓮「巡り巡って、大抵の事件は穏便では済まないってことよね」
鈴「さ、さて次。マリクさん」
鳥花「罰ゲームが決まりましたね。「姫路さんの手料理」で」
翼・蓮・蘭「「「いやぁぁぁぁぁぁっ!!?」」」
鈴「え、どしたの!?あの冷静沈着な翼さんが悲鳴をあげるところ初めて見た!」
鳥花「それだけ重大なことなんですよ」
鈴「なんか今回、私が場違いなような………まぁいっか。太郎丸勇大さん」
蓮「味方にいないのならば、答えは1つよ」
翼「実は弁解はしたんだけど……姫路さん以上に強者だった。全く信じてくれない」
蘭「今回は諸事情でバカテストはないみたいね」
鳥花「ネタがないです」
鈴「さ、本編行きましょー!私も少し出てるよ!」
☆
「………やっちまったわね………」
開口1番、蘭さんがそうことも投げに呟いた。
それもそのはず、例の大食堂に男子たちがこぞって集結しているはずなのに、何だか既に終結してしまいそうな雰囲気だ。
開戦まであと10分ほどあるはずなのにも関わらず、CクラスやEクラスの女子が攻め込んで来ていた。これってどういうこと?
「どうやら奇襲をかけられたらしいですよ。となると………」
「狙われるのは当然坂本君たちだよね………」
私たちは大食堂を後にして大浴場の階段を降りる。しかし、そこにはまだ吉井君たちの姿は見えなかった。奥に西村先生が仁王立ちをしているのは見えたけど。
「………すごい威圧感ね、西村先生………」
「あれじゃ人どころか虫もよってきませんよ」
「蚊取り線香代わりみたいでいいじゃない。それよりも……」
状況が全く掴めない中、合宿所を右往左往していると、鈴さんに会った。いや、正確に言えば鈴さんだけじゃなく、優子さんもいる。
「翼!代表たちは補習室奥の廊下にいるらしいよ!!」
「!ありがとう!」
情報提供者にお礼を言う。すると蘭さんが鋭い目で優子さんを見る。
「覗きなんて1番許しそうにない貴女までいるなんてね。どういう風の吹き回しよ?」
「違うわよ。私たち結構アナタたちとやってきたけど、吉井君たちはそんな貧相なことはしないと思うし、それに………」
「それに?」
「………本人は否定してるのに、強引に決めつけるあの人たちが許せないだけよ。ほら、早く行きなさい」
手でジェスチャーする優子さん。うん、確かに妥当な考えだ。
でもそれなら一緒に来ればいいのに。
「一緒に行かないの?戦力は多いほうがいいんだけど」
「いや…………あの悪鬼と化してる今の代表と戦うのは酷かなぁ……って…………」
まぁ、確かに。
そんなわけで、私たちは慌てて廊下までダッシュする。すると、約8mはあるだろうか、吉井君たち匹いるFクラスの面々が通せんぼを食らっているのが見えた。恐らく引率は高橋先生だろう。その手前には工藤さんの姿が見える。
私が声を発するよりも前に、蘭さんが1歩先に動いた。
「Fクラス副代表っ!東雲蘭が勝負を仕掛けますっ!!
「えっ………!!蘭……!?」
その声の主に一点に全員の視点が集まった。
たった10歩足らずで距離を半分とする。当然引率の高橋先生は総合科目だ。
【Fクラス 東雲 蘭 総合科目 1281点】
VS
【Aクラス 工藤 愛子 総合科目 4503点】
およそ3倍くらい戦力が違うけど、召喚獣同士の競り合いにおいては彼女より上はそうそういない。
後ろの戦力を蘭さんで受け持ち、私と蓮、鳥花さんの3人は一気に戦場に突っ込んだ。
「なっ、何故貴女たちが………!!」
「翼!来てくれたんだ!」
「蘭……!!くそ、まだ終わりじゃねえ!何としてもここを突破するぞ!」
滅多に動揺しない高橋先生でさえも度肝を抜かれたように尋ねる。おかげで戦力は増強したはず。
「「「
同時に召喚獣を召喚する。しっかり点数も補充済みだし、いざとなれば私の秘密兵器を使えば凌そうだ。
対して高橋先生の召喚獣は鞭を片手にかなり丈夫そうだ。
「………蘭………!!」
翔子さんもあの点差で工藤さんを破った蘭さんに勝負を仕掛ける。
「ここは翼たちに任せて正面から攻めるぞ!」
「……………感謝する」
吉井君たちがこの一触即発現場から立ち去ろうとすると、周りのとりまき、島田さんたちが擁護に入る。
「ここは行かせないわよ!!
「ここは私に任せて、先に行ってください!!」
「月風!すまない、任せる!!」
鳥花さんが間に割って入る。いくら島田さんでも総合科目勝負なら、鳥花さんに勝てるわけがない。天然だけど、何故か点数は蓮ですら凌ぐほどだ。総合科目も10位以内に入っているらしいし、どうしてFクラスにいるんだか………
その言葉を受けて、坂本君たちは一様に強引に突破して階下に降りた。
一方の私は、高橋先生と一騎打ちになる。
【Fクラス 小林 翼 総合科目 9162点】
VS
【学年主任 高橋 洋子 総合科目 15863点】
うわっ、高すぎこれっ!?
「うへえ………何よあれ………」
「翼!!」
即座に難しいと判断した蓮が間に加わる。正直2VS1になったとしてもあの鞭は遠近両用だ。さらに召喚獣の扱いも向こうの方が上。
「何故貴女たちまでもが加担するのです。メリットはないはずですが」
「……そう考えれば確かにないかもしれないですね。得もしないし、これといって損もしない。強いて言うなら裸見られるくらいかな」
当然覗こうなんて気もないけど、何か、こう…………理不尽じゃない?
「こっちはとっとと真犯人を突き止めて不毛な戦いを止めたいだけですよっ!!」
二刀流を思い切り振るい、鞭を牽制する。動きすら俊敏で攻撃を当てることすら難しい。
すると翔子さんがピタリと動きを止めた。
「…………真犯人?」
「……なによ。まさか翔子、本気で雄二君が覗きの犯人だと思ってるの?今までの数年ずっと一緒に居て、1度でもそんな人畜無害なことをやった?」
蘭さんがさらに短剣を振って追撃をかける。思わず学年代表の翔子さんでも完全に躱すことは不可能だったようだ。
「証拠もないのに勝手に疑いをかけて………哀れだよ、素直に人を愛せない貴女がっ!!」
「……………!!雄二……」
妙なシンパシーが生まれそうな中で、ついに翔子さんが押し負けた。
点数差は約8倍はあったはずなんだけど………
「………翔子。私はまだ諦め切れてないから」
蘭さんはそう言い残して、鳥花さんをバックアップし始める。
一方の私たちは余所見をする暇すらないほどの攻防を繰り広げて居たけど、このまま長期戦になったとしても不利なのは私たちだ。
仕方ない、か………
「さて……じゃあ………奥の手を見せないといけませんね………!」
「……奥の手…………?」
「そう………代々この学校は
一息ついて、私はキーワードを言い放つ。
「
あの時、召喚獣が暴走しかけた事件で発動したこのシステム。通常500点以上の、旧型が今もなお存在している場合のみに使用が可能。
今のところ私くらいしか使える人がいないらしいけどね。
神の名はヴァルキリー。比較的有名な神である。二刀流を大きくしてからさらに速度ごとあげる。
『なんだあれは………』
『かっこいい………』
「まさか………TASシステム……!?」
「こうでもしないと先生には勝てませんから」
武器の伸縮だけではなく、点数が2倍になる。これは
【Fクラス 小林 翼 総合科目 14931点】
【Fクラス 霧島 蓮 総合科目 5894点】
VS
【学年主任 高橋 洋子 総合科目 7964点】
『『『勝てる気がしないぃぃぃぃぃ!!』』』
敵味方問わずそんな声が響いた。ちょっとズルいけど別にいいよね。
「一時的とはいえ、まさか高橋先生の上を行くなんて………流石ね」
蓮がポツリと呟く。私は弾丸のように先生の召喚獣まで急接近すると、勢いそのままに切り裂いた。
スキル名は『スターリィ・ティアー』。片手剣スキルの4連撃。
驚嘆の声が漏れる中、吉井君たちを届けるという仕事を果たした私たちは4人で自分の部屋に帰宅した。
『翼の二刀流スキルについて』
今回は翼の二刀流スキルについて説明します。
まず第一に、翼の召喚獣の能力は『完全再現』です。動きを覚えていれば、実際に召喚獣もその動きをすることができる、要するに『記憶転写』ですね。
その応用で、翼が時々出すスキル。これはオマージュがあり、気付いている方はいると思いますが、「ソードアート・オンライン』が事実上のモチーフです。
片手剣スキル『ホリゾンタル・スクエア』、二刀流スキル『ジ・エクリプス』、片手剣スキル『スターリィ・ティアー』。スターリィについては細剣ですけどね。本編ではユウキとアスナが戦った際にアスナが使った4連撃、として出て来て居ます。
正直、恐らくはどのキャラの能力よりも強いかと思われます。召喚獣の扱いに慣れていなくても、動きさえ覚えればそれ同等以上ですから。
しかし限界はあって、集中力や身体を使います。翼ならば体力はそこ並にあるのでなかなか補填はあります。
ではまた次回。