バカとテストと召喚獣〜The Another Story〜   作:ぷろとうぃんぐ

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8話 抗戦と決着

慌てて教室に戻る須川君。坂本君に指示を仰ぎに行ったのだろう。戦局を覆すためには、確かに時間稼ぎをする必要がある。

その前に、間に合うのかな………

 

 

時刻は3時を過ぎていた。今だ交戦一方だけど、徐々に押されているのが分かった。

私達も参戦するしかないのか、そう思っていた。

すると、また相手クラスに動きがあった。

 

『く、埒があかないぞ!』

『あいつら、時間つぶしが明らかな目的だ!!』

『もう少し持ちこたえろ!今数学の船越先生を呼んでいる!』

 

これは………

 

「つまり、さっき木内先生を呼び出したのは補充試験のためで、船越先生を呼んだのは教科フィールドを作るため………?」

「合ってるわよ翼。なかなか頭回るじゃない」

「でもFクラスは地力で押し負けてる………」

 

『Fクラス 宮野 解人 化学 32点』

VS

『Dクラス 杉内 都 化学 73点』

 

目の前で打ち取られる宮野君の召喚獣。確かに、実力が全然違う。

衰弱したところを狙い撃つしか、勝つ方法がないってことなんだ……それでも例外はあるみたいだけど。

前衛部隊も残り5人となったところで、

 

----------ピンポンパンポーン

 

『マイクテスマイクテス。緊急の呼び出しです』

 

校内放送。この声は須川君の声だね。

 

「面が割れないように放送室で校内放送をかけるのは正しいわね……」

「代表、そこまで考えてるなんて流石ね……」

 

『船越先生、船越先生』

 

しかも話題の対象はさっき名前が出た船越先生。ナイスタイミング。まるで狙ったかのようだよ。

 

『Fクラスの吉井明久君が体育館裏でお待ちしております』

 

「え」

 

『生徒と教師の垣根を超えた、大切な話があるようです』

 

………………どゆこと?

 

「………船越先生は婚期を逃してね………ついに生徒にまで求婚するようになったらしいのよ……あくまで噂よ?」

 

そんな先生があの放送を聞いたら……。………う、うん、確かに体育館裏に行くね………下手すれば数時間も待つかもしれない。

 

「……………………」

「よ、吉井君………」

 

作戦のためとは言え、すごく可哀想に思えてきた。

すると、あの放送で廊下内が歓声に変わった。

 

「隊長!あんたぁ男だよ!」

「俺たちのためにここまで………」

「よーし、お前ら!隊長の死を無駄にはするな!何が何でも押し通すぞ!!」

『『おおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!』』

 

『おい聞いたかよ、今の放送』

『こんなことまでしてくるか……』

『こんな意思の高い奴等に勝てるのか………?』

 

士気も上がり、作戦は大成功。……1人の儚い犠牲を生み出してしまったけど………

 

「…………す…………須川ァァァァァァァ!!!」

「…………命令したのは、坂本君だけどね」

「はっ!雄二ぃぃぃぃいいい!!姿を現せぇぇぇ!!」

 

吉井君錯乱。

でも、とにかく司令塔だけは倒しておく必要がある。

 

「……………試獣召喚《サモン》!!」

 

私が踏み込んだ瞬間、蘭さんも試獣召喚を行った。

やはり蘭さんのデフォルメと両手には短剣を握っていて、服装はジャージ着用だ。

加速斬撃(マッハブラスト)の異名を持ってる以上、甲冑なんかは纏うことは出来ない。

 

「Fクラス、東雲蘭が塚本正志(つかもとまさし)に勝負を挑みますっ!!」

「く……っ!お前は加速斬撃(マッハブラスト)の……!!」

「あら、私のこと知ってるのね。話が速いわ!」

 

『Fクラス 東雲 蘭 化学 24点』

VS

『Dクラス 塚本 正志 化学 101点』

 

「ひっくっ!」

 

絶えれず蓮が叫んだ。さっきの人は弱ってたからあの点数だったんだろうけど、蘭さんの場合はこれが初の試合となる。

初期からこの点数はやばいんじゃないの?

 

「うるさいわね。まぁ、見てなさいよ」

 

蘭さんはそう言うと、目を閉じた。

集中するのに外からの雑音は邪魔になるだけだからなんだろうか。

真っ直ぐ、ただ動きもしない蘭さんを刺そうと、獲物である刀を構えて突っ込んでくる相手。

距離はおよそ30cm。刀身ならば一撃振れば当たってしまう。掠っただけでも、蘭さんの場合だと死んでしまう恐れがある。

一撃を当てようと、踏み込んだその一瞬の隙をついた。

 

蘭さんの召喚獣が消えた。

 

否、速過ぎて目で追うことが出来なかった、というのが正確なのかな。

 

『Fクラス 東雲 蘭 化学 24点』

VS

『Dクラス 塚本 正志 化学 71点』

 

「は、速すぎる………これが、加速斬撃の力か………」

「ま、点数がないから攻撃力もないけど--------」

 

「-------当たらなければいいのよ」

 

刹那、先ほどとは比べ物にならない速さで相手を切り刻む。

1回1回の攻撃は小さいけど、当たらなければ、点数が減ることも、当然死ぬこともない。

 

『Fクラス 東雲 蘭 化学 24点』

VS

『Dクラス 塚本 正志 化学 0点』

 

気付けば、1ダメージも与えることもなく倒していた。

生徒指導の西村先生が、塚本君を担いで学習室へ消えて行った。

司令塔が連れて行かれたので、指示が滞ったDクラスの前線。

 

『こんなメタルスライムみたいな奴、人数で攻めればどうにかなる!』

『そうだ!たかだか24点だ!たった一撃でも当てればいい!試獣召喚(サモン)!!』

 

たった1人の女の子を、大人数で攻める気………!?

……見過ごしておけない。

 

「Fクラス、小林翼が勝負を受けます………!!」

「貴女………!大丈夫なの?試召戦争は初めてじゃないの?」

「わかんないけど………今この状態を放っておけるほど、堕落はしてない!」

 

私は歯をくいしばると二刀流の召喚獣を前に走らせる。

これ、なかなかコツがいるかも。邪念が少しでも入ると、命令が途切れちゃう訳だし。

その瞬間だった。

 

一閃。

 

相手の攻撃を止めた私は、即座に片手の剣で相手の召喚獣を貫いていた。

 

『Fクラス 小林 翼 化学 486点』

VS

『Dクラス 輝 王暸 化学 102点』

 

『『『な…………っ!!』』』

 

フィールド全体から、味方も敵もみんな唖然とした顔をしていた。

482点。少なくとも、Fクラスの実力ではない。

 

「何よ………この点数………」

『あれ………学年代表よりも上じゃねえか……!?』

『何でFクラスなんかに………』

「………相手は怯んでるよ、蘭さん。お願いします!」

「………!わかったわ!」

 

高速でフィールドを駆け抜ける蘭さんの召喚獣。近くにいたDクラスの面々を切り裂いて行く。

 

『これはやばいぞ………』

『こんなやつに、正面きって勝てるかよ!』

 

騒然となる中、ついに坂本君率いる近衛部隊も到着した。

 

「………明久。これはどういう状態だ?30字以内で簡潔に頼む」

「……小林さんの召喚獣が、あまりにも強すぎて……」

「ほう」

 

吉井君からそこまで説明を聞いて、少し笑みを浮かべると、伝令する。

 

「今がチャンスだ!相手は怖気付いている。代表を探し出せ!」

 

もうすぐ下校時間ということもあり、戦争と関係のない生徒が下校していく。その中から代表を探すのは骨が折れるが、近衛部隊だった月風さんが早々見つける。

 

「居ました!敵将の平賀源二(ひらがげんじ)です!!」

「よし、ボコるぞ!この面子ならば一瞬だ!!」

「お前ら人でなしか!!」

 

敵将である平賀君。何故か怯えきっている。

その理由は、至極簡単。

だって私・姫路さんのダブルコンビに加速斬撃の蘭さん。その他不明の面々が突っ込んできてるし。

 

『く、Dクラス玉野美紀が------』

「Fクラス、霧島蓮が勝負を受けて立つわ」

 

平賀君の要である近衛部隊も坂本君や蓮たちによって抑えられた。

これで、終わり(ジ・エンド)かな。

 

「ご、ごめんなさいっ!」

 

『Fクラス 姫路 瑞希 現代文 339点』

VS

『Dクラス 平賀 源二 現代文 129点』

 

最後の一撃を決めたのは、姫路さんだった。

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