透き通るような世界に紛れ込んだミュータントヒーローとその他のヒーローたち 作:Be Cows
数多のブルアカ小説に触発されて書きました。とりあえず最終章まではできる限り書きたいと思います。
prologue
きっかけは些細なことだった。
家族とショッピングモールに出かけて、父さんや俺の新しい服や靴とか、母さんが家で使う調理器具とか、亜美*1のケータイとか、色々見ては買ったり買わなかったりした。4人で歩いてると揺れと轟音。
「またかぁ……皆、逃げるんだ」父さんが嫌でも慣れてしまったと言う、ヒーローとヴィランの戦闘の音。
あの日戦ってたヒーローとヴィランが誰なのかは今も知らない。
言われた通りに皆逃げてると、上を高速で真っ直ぐ飛んだ何か影がいた。
きっとこれがきっかけだ。
俺たちの所の天井が崩れる。
俺以外は気づいてない。*2
俺は咄嗟に父さんと母さん、亜美を一回で、両手で突き飛ばす。
「っ! 智之っ! 何をっ……」父さんの声が途中で き こえなく なって
あ
た
ま
お も い い た い
「…………またかよっ……てここは?」
おかしい。18年も前の、俺の事を夢で見ているうちに砂漠のど真ん中で寝ていた。俺はいつも通りニューヨークの安めのマンションのベッドで眠っていた筈だ。それなのに、俺は砂漠の砂の上で眠っていた。心なしか体も普段より小さい。
(これはあれか? デッドプール*3かグウェンプール*4テレポートマシンに巻き込まれたか、リード*5の次元転移装置の実験でもしてて、それに巻き込まれたかどっちだ?)
多分どっちも違うだろう。最近のデッドプールとグウェンプールはやけに大人しかった*6。
それに俺はリードに一回世話になったが、実験の協力を頼まれたことも引き受けたこともない。
起き上がってから3分、原因は考えても仕方ないと判断した俺は、今後をどう生きるか、そっちに思考を変えた。見渡す限りの砂漠化したゴーストタウン。それが俺のいる光景。持ち物、何か知らない組織のものであろうロゴ、『アビドス高等学校 学生証』を所有していた。ちなみにこの学生証、名前の欄が『
俺の体も気になるし、暮らすにしても脱出するにしても何か情報は必要なので、目についた適当な家に入ることにした。が……
「本当に人も見ねぇし砂漠化が都市を浸食してるし……文明すら残ってるのか怪しいぞ」
住宅街の家や、ビルや道路、標識の外観は日本式、というか日本語だが、砂漠化してるのがなんとなく違和感を感じる。何があったんだ?
「もし人がいたら……泥棒とか空き巣とかだと思われたら不味いよな……普通にインターホンならして人に聞いた方が良いよな……」
歩いているうちにゴーストタウンの中で比較的綺麗な外観の家が目につく。1階建ての平屋で表札には『小鳥遊』と書かれている。
「どうか誰かいますように……」俺は祈りながらインターホンを鳴らす。
《……はい》反応あり。幸いにも人がいた。
「あっどうも……自分はアビドス高等学校の生徒……? の豊嶋智之と言います。その……自分はここに来たばかりで何もわからなくて、よろしければアビドス高校とかこの地域をとかを知りたいな~なんて……」
《……話ならここからでも出来ますし、要件済んだらさっさと……待ってください、今どこの生徒って……》
「(何か感じ悪いなこの子……多分学生証の写真の俺と同じくらいだけど……)学校ですか? アビドス高等学校……です。学生証にはそう書いてあります」
《…………開けますので上がってください》
それからすぐに鍵が開く音が聞こえ、さっきの声の主だろう少女が出てきた。今の俺と比べても*730cm位は背が低い、ピンク色のショートカットにアホ毛が目立つ髪の、目付きが鋭いが可愛らしさの抜けない、右目が黄色で左目が青い少女だった。ショットガンを提げてるが、ここはどうみても人のいない砂漠なのだ、危険な生物から自衛するためだろう。
そしてなにより、彼女の特徴としてピンク色に輝く目をモチーフにしたであろう文様が天使の輪のごとく頭上に浮かんでいた。
「トモユキ……ですね。上がってください」
「ウス……」
言われるがままに玄関で靴を脱いで家を上がり、テーブルを挟んで向かい合う形で椅子に座った。
最初に口を開いたのは少女の方だった。
「本当にアビドスの生徒ですか? 学生証を見せてください」
「はい」偽物だろうが本物だろうが、渡さない理由もない。アビドスについても聞きたいし。
少女は俺から学生証を受けとると、それをじっくりと見てから、「………………間違いなくアビドスの学生証ですね。豊嶋トモユキ……ですか。一応同じ学校に通うので自己紹介くらいはします。小鳥遊ホシノです」
少女改めホシノはそう言った。
「……よろしくお願いします。 ところで、アビドスってのは……」
「そこからですか……ヘイローがないからキヴォトスの外から……? でもどうして私と同い年が……? それに」
「小鳥遊さん? 小鳥遊ホシノさ~ん?」
「ぶつぶつ……ああ、失礼、キヴォトスやアビドス、この辺についてですね? 説明します」
「まずキヴォトスについてですが、ここは複数の学校が連なる学園都市だと思っていいです。学校ごとに学区があり、基本的には生徒会或いは生徒会に相当する組織が学区をまとめます」
「ここはアビドス高校の学区ですが……外を見ましたよね?」
ホシノって子、さっきから俺を警戒してるな。さっきよりは警戒を解いてるけど。
「ここや周辺の地域は砂漠化が年々進んでおり、人や生徒は続々と離れていってます。かつては数千人もの生徒を抱えていたアビドス高校も今では十数名を残すのみらしいです」
「だいぶ厳しい状況にある学校なんだな……それで、その……同級生になるって言ってたけど……」「私はあなたと同じく1年生です。年も同じなのにその言い方……? 年齢を考えれば留年はしてないとは思いますが……」
1年生か……アビドスの状況も相まって絶対どこかで俺たち地獄を見るやつじゃねぇか。それと、今の俺は15歳の肉体で見かけと書類上間違いないらしい。
「あ~……留年はしてねぇから気にしないでくれ。それで……言うか言わないか迷ったが……頭の上にあるのは……?」
「頭の上? ……あぁ、ヘイローですか、トモユキには無いから気になりましたか」
どうやらヘイローというのはここの人間には普通にあるもののようだ。そして、俺にはついてない。ホシノ達はヘイローのおかげで銃弾を受けても出血せず痛かったり気絶程度で済むらしい。ヘイローがない人間が銃弾一発で致命傷になり得ると言うことも知っているようだが、俺はミュータントであり、更に、15の時に受けた改造手術の結果、銃弾を何発受けても、痛いどころか弾き返せる位には固くなれる皮膚も獲得している。さすがにコロッサスより*8はヤワだが。
そんなことを考えていると、
「……だとしても、キヴォトスで銃を持たずに外をほっつき歩くとか何を考えてたんですか? バカなのか命知らずなのか……」
「それなんだけどなぁ……」
ここはキヴォトスと言うのか。そして銃は生活必需品クラス。俺だけ持ってない。
ここまで来て、これから先、彼女と同じ所に所属するにあたってははある程度ぼかして伝えるべきと判断した俺は、ミュータント*9であることと、ヒーローであることを隠して、人より傷の治りが早いこと、*10自分が気がついたらこの地域にいたこと、キヴォトスではない元いたところでは銃は多くの地域で所有そのものに制限あるいは罰則があること等を伝えた。
「……キヴォトスの外の人間はあんなに脆いのにどうして大人になるまで生きられるのかわかりませんでしたが……なるほど……銃を持つことそのものを規制していたんですね」
「まぁ持てる立場の奴はいるし、規制だけで銃がなくなったわけじゃないからな」
「……まぁ話は終わったんで、さっさと帰ってください」
「いや待て、俺がキヴォトスとは異なるところに来たばかりだと言ったはずなんですが? 帰る方法がわからないって言ったばかりですが?」
「知りません。家に上げて質問に答えてくれただけでも感謝してください。…バケモノ」
バケモノとはなんだバケモノとは、と言おうとしてやめた。客観的に見て手足が吹っ飛んでも10分もあればきれいな状態で再生する奴は果たして人間だろうか? ほぼ全ての人が普通の人間ではないか、そもそもそいつは人間ですらない、と答えるだろう。ホシノのバケモノ呼ばわりはある意味では当然のことだった。むしろ間髪入れずに俺の脳天にショットガンで撃たないだけ彼女は俺を(さっきのヘイロー絡みの話の直後とはいえ)人間扱いしてくれている。
「わかりましたか?じゃあさっさと…チッ」
「なぁ、何か気に障ることしたなら謝るよ、だから…どうしましたか?」
「いちいち無理に敬語使おうとしないでください。気持ち悪い… 砂嵐がひどい。無闇に外に出る訳にもいかなくなったので、本当は男の人と一緒なのは嫌ですが、しばらくは私の家に泊まってください。」
「えっ砂嵐…まぁ外見れば起きる可能性はあるか…何から何までスイマセン…」
しかし誰かの家に泊めてもらう、かぁ。ニューヨークに来たばかりの22の秋を思い出すな。パーカーさん*11には本当に感謝してるよ。ニューヨークに帰れたらまた何か送ろう。そうしよう。
(でも見知らぬ土地に来て早々他の人の家に転がり込むことが多いなぁ…こうなった時大体滞在期間長くなるし、こりゃしばらく、最悪アビドスってのを卒業するまでかなぁ…)
その後別々の部屋で眠るまでの間、アビドス高等学校の場所を確認したり、ホシノの代わりに家事をしたり、これから所有する銃やお金の取り決めをすることになった。
キャラクター紹介&解説
豊嶋智之/アテン
ミュータントヒーロー『アテン』でもある本作の主人公。コスチュームを持っていないが、改造手術で得た変身能力で見た目がガラリと変わるため、必要ないだけである。当然ながらヘイローは持ってない。
ルックスはこの時は黒髪の耳が露出する程度にもみあげを残したショートで黄色に近い茶色の瞳である。以下は現在のプロフィール
名前:豊嶋 智之(トヨシマ トモユキ)
年齢:15歳
身長:174.6cm
趣味:映画鑑賞、格闘技観戦、トレーニング
小鳥遊ホシノ
まだツンツンしてるし一人称におじさんなんて使わないし盾なんてまだ持ってない暁のホルス。二次創作でも原作でも高確率で曇らされてる娘。こっちの姿もかわいいですね(ボ並感)
智之の能力
本編ではヒーリングファクターであると語っており、実際そうなのだが、他にも超学習という高い学習能力を持っている。いずれも本来ならば外見に変化を及ばさないミュータント能力だが、後天的に変身能力を得ている。変身後の姿は続きの本編で描写するのでお楽しみに。
というわけでプロローグでした。できる限り早く原作まで進められるように頑張ります
感想・評価・ご指摘よろしくお願いします。
エンディングテーマ
Iggy pop-The Passenger
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