ポケモントレーナー−怜−   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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始まりはマサラタウン

「知らない天井やな···ん? 天井ですらないん?」

 

 麻雀をしている最中に倒れて気がついたらお星さま輝く場所

 

 竜華やセーラの姿も見えない

 

 足に力を入れて立ち上がるといつもよりも調子が良い

 

「ここどこやろな?」

 

 キョロキョロと辺りを見渡すと足元にプニプニした何かがいることに気がついた

 

「なんや?」

 

 持ち上げてみると結構伸びるのと重い

 

 パッチリお目々と目が合う

 

「りゅ~」

 

「ど、ドラゴンや!?」

 

 パット手を離してしまい、青い竜はゴロリンと転がってしまうが、ズリズリと這い寄ってきて怜の足元に縋る

 

「な、何なんや? いったい···」

 

 

 

 

 

 この物語は麻雀が好きで病弱だった園城寺怜が異世界で頑張るお話である

 

 

 

 

「ひっついてくるんやなお前さんは」

 

「りゅ~?」

 

 なんだかよくわからない生き物に懐かれ、ここにいても仕方がないと歩き始めて数分

 

 青い竜もズリズリと蛇のように引っ付いてくる

 

 今まで大阪に居たハズなのにビルの1つも見えてこない

 

「どこなんやろなここ、お前さんは何か知らへんの?」

 

「りゅ~?」

 

「知らへんよな···ほんまどこなんやろうか?」

 

 ただ歩いていると建物の明かりが見えた

 

 四角い白い建物で窓から光が漏れていた

 

「人がおるんやろか? ごめんください」

 

 ドアをノックすると中からガサガサと音がして

 

「何じゃこんな夜遅くに」

 

 白衣を着た白髪のお爺さんが出てきた

 

「すんません、気がついたらここに居て···ここが何処か教えてくれないでしょうか」

 

「何じゃ? テレポートでも失敗したんか? ここはマサラタウンの外れのオオキド研究所じゃよ」

 

「ま、マサラタウン? 日本の何県ですか?」

 

「日本? 何県? お前さん大丈夫か? ここはカントー地方のマサラタウンとしか言いようがないぞ」

 

「関東地方!? え? 関東」

 

「まぁ中に入りなさい。おや? そのミニリュウは君のポケモンかね?」

 

「いえ、気がついたら一緒に居て」

 

「りゅ~!」

 

「ずいぶんと懐いているようじゃな。まぁ中に入りなさい。事情を聞こう」

 

 

 

 

 

 中に入ると様々な機械が置かれており、いかにも研究所って感じの場所であった

 

 博士の名前はオーキドと言うらしく、この世界にいるポケモンの研究をしているのだとか

 

 ちなみに麻雀はあるにはあるらしいが全然流行ってないらしい

 

 ポケットモンスター縮めてポケモン

 

 モンスターボールと呼ばれる機械を使ってポケモンを捕まえて使役する···まぁ使役と言ってもペットとかに近いらしい

 

 人によっては便利な道具に

 

 ある人は家族と同じ

 

 ある人は戦友とか仲間というし友達と言う人もいるらしい

 

 オーキド博士はそんなポケモンを研究して分布図を作ったりポケモンの進化の仕組みを研究しているのだとか

 

「ほならこの子は強いん?」

 

「ポケモンに強い弱いは無いぞ。どんなポケモンも鍛え方やトレーナーの腕で実力が変わるからな」

 

「全てはトレーナーの腕次第ってことやな」

 

「ただ確かにポケモンにも才能があるのは事実だ。小さいポケモンだったり、先天的に疾患がある子もいる。バトルに向かない性格の子やトラウマを抱えてしまいバトルができない子や老いてしまって弱くなってしまう子もいる。人間と同じじゅな」

 

 オーキド博士の視線の方を見ると写真立てがあり、よく見てみると若いオーキド博士がトロフィーを掲げていた

 

「とりあえず住むところにも困っているんじゃろ? 10歳にも満たない少女を追い出すほどワシも落ちぶれておらん」

 

「10歳?」

 

「何じゃ自分の年齢もわからんのか?」

 

「鏡とかあります?」

 

 と言いながらも視線を自分の身体に向けると確かに色々と小さくなっている

 

「縮んどる」

 

「本当に大丈夫か?」

 

「大丈夫では無いな···正味凄くヤバいわ」

 

 椅子の背もたれに深く座り込み

 

「オーキド博士、うちなポケモンなんて知らんし、マサラタウンなんて地名も知らん。一人ぼっちやさかい、もしかしたら異世界に来てしまったのかもしれんな」

 

「異世界···異世界か···時渡りや宇宙から来たとされるポケモンも居るから異世界から来た人間が居ても不思議ではないが···」

 

「手伝いでもなんでもしますんでこの世界で生きていけるまで教えてくれんでしょうか。図々しいことは承知ですが」

 

「まぁ何も知らない子供が生きていけるほどこの世界は優しくは無いからな。ちゃんと働くというのならポケモンの事を教えよう」

 

「すんません。ありがとうございます」

 

「君の名前は」

 

「園城寺怜です!」

 

 

 

 

 

 

 博士にはお孫さんが2人居て、お姉さんがナナミさん、弟はグリーンと言うらしい

 

 ナナミさんはホウエン地方でポケモンのコンテストに出ていた経験があり、ポケモンのブラッシングや餌の作り方なんかに詳しい

 

 成り行きで捕まえる事となったミニリュウにブラッシングをしながらナナミさんに聞く

 

「10歳になったら皆旅する言うけどそんな安全なん?」

 

「いやいや、安全ではないわね。でもね、ポケモンの恐ろしさとかをしっかりと理解していないとポケモンとの共存はできないのよ」

 

「よくそんな旅に皆行きたがるんやな」

 

「皆最初はポケモンマスターを目指すから。そこで挫折を経験して大きくなるの。ただたまーにそのまま勝ち上がっちゃう人も居るけどね」

 

「なるほどな~」

 

 ポケモンとは不思議な生き物でモンスターボールに当てれば体積を小さくしてボールに入る

 

 これをゲットと言ってポケモンを弱らせたり、当て所と言ってポケモンの急所みたいな場所にボールを当てれば捕まえやすくなるようだ

 

「ほんま不思議な生き物やな、ポケモンっちゅうのは」

 

「不思議だからおじいちゃんみたいな研究者がいっぱいいるんだけどね」

 

「それもそうやな」

 

「りゅ~」

 

「お前さんも気持いいん?」

 

「トキちゃん、その子に名前を付けてあげたら? きっと喜ぶわよ」

 

「名前かぁ」

 

「りゅ~?」

 

「ほんならリュウやな」

 

「りゅ~!」

 

「お前を見てると何故か親友と重なるんよ。なんでやろな?」

 

「りゅ~?」

 

 

 

 オーキド博士の手伝いを始めて約1ヶ月

 

 ポケモンの基礎みたいなのはわかってきたつもりや

 

 まずポケモンのタイプは17種類で最近になって悪と鋼タイプが見つかったらしい

 

 この17タイプにはそれぞれ相性があり、草は火に弱いけど水には強いみたいな関係性があるようやな

 

 だいたい水辺にいるポケモンは水タイプ、虫っぽいのは虫タイプ、体から火が漏れてたり熱かったりしたら炎タイプみたいに見た目である程度タイプを推測することができる

 

 またポケモンは鍛えれば鍛えるだけ強くなれるが、それはトレーナーの資質によるらしく、トレーナーの資質が足りないと成長が鈍化するらしいこともわかった

 

 あとは進化やな

 

 オーキド博士はタイプ分類の研究をしている博士だけど進化についても詳しく、ポケモンが一定条件、実力が高くなったり懐いたりした時に進化するんやとか

 

 場合によっては進化の石や道具と呼ばれるアイテムを使うことでも進化するらしい

 

「なぁオーキド博士、リュウはどれで進化するん?」

 

「りゅ~?」

 

「ミニリュウは実力が上がれば進化するポケモンじゃな。今のカントー地方のチャンピオンもミニリュウの進化形のカイリューやハクリューを扱うドラゴン使いじゃったハズ···」

 

「ほへー、チャンピオンが使うポケモンなんやな。良かったなリュウ、お前さん私が強うなれば強くなれるみたいやな」

 

「りゅうりゅう!」

 

 

 

 

 博士からお使いを頼まれ、マサラタウンに買い物に行く

 

 マサラタウンはまっさら、白い、汚れがないなどという意味で大きな事件や事故が今まで無かった平和な土地らしい

 

「おばちゃん牛乳1パックとパン5個ちょうだいな」

 

「はいよー、トキちゃんはオーキド博士の所で住み込みで働いてるんでしょ? 大変ね」

 

「少々訳ありで」

 

「あらそうなの、はいよ。重いから気をつけてね。これはオマケだよ」

 

「きのみありがとうございます」

 

「また来てね」

 

 マサラタウンの人は基本的に優しく、余所者のうちをすぐに受け入れてくれた

 

「いけーニョロゾ! 水鉄砲!」

 

「流石レッド! 強い!」

 

「へへん! どんなもんよ」

 

 レッド、この街の少年少女の中で一番ポケモンに詳しい男の子で相棒のニョロゾと共に近場の色々なポケモンを捕まえてくるし、それを自分の手持ちに加えないで小さい子供に譲ったりする

 

 街では人気者やな

 

「よおトキ! 今日も偏屈爺さんの買い出しか?」

 

「オーキド博士は偏屈じゃないでー、買い出しは合ってるけどなー」

 

「せっかくだからトキもバトルしようぜ」

 

「うーん、どうするリュウ?」

 

「りゅ~!」

 

「リュウもやる気やさかい、お相手しますわ」

 

「よし、バトル!」

 

 野良試合はそこらの広場等で日常的に行われている

 

 その為ポケモンの技とかで地面がデコボコしている場所があるが、大人達が定期的に整備してくれるし、子供達も遊び終わったら片付けとしてトンボで整備をしたりする

 

 まぁ遊ぶうえでのお約束っちゅうことやな

 

 大きな街とかだと専用のバトルコートでのみバトルが許されたり、バトル禁止のエリアとかも結構あるらしい

 

 うちも元の世界に帰るためにそのうち旅に出なければならんやろから、今のうちに常識を身に着けてとかんとな

 

 バトルはニョロゾとミニリュウでニョロゾは影分身をして回避を上げてしまいミニリュウの攻撃はなかなか当たらない

 

「しゃーないなぁ···ちょっと見るで···一巡先や」

 

 うちにはちょびっと不思議な力がある

 

 麻雀で少し先の未来を見る能力やったが、ポケモンバトルでも相手の次の行動を見ることができる

 

「リュウ、右から3番目に神速や」

 

「りゅりゅ!」

 

 バチーンとニョロゾが吹き飛ぶ

 

「トキなら当ててくるよな! でも甘いぜ」

 

 ピキピキとミニリュウが凍っていく

 

「冷凍ビーム、当たる直前に指示を出したんかいな」

 

「まーな」

 

「リュウ···はもう無理やな目を回しとる」

 

「俺の勝ちだな!」

 

「また負けてもうたな。失敗失敗や」   

 

「トキもポケモンバトル始めてまだ1ヶ月だろ? 十分に強いと思うぜ」

 

「ありがとうなレッド。でも次は負けへんで」

 

「おう」

 

 

 

 

「ただいま~」

 

「おう買い物ありがとうな」

 

「ええって、住まわせてもらってるし」

 

「トキ、今日はなワシの孫が留学から帰って来る日なんじゃよ」

 

「確かグリーン君やっけ?」

 

「ああそうじゃ、グリーンにはワシの代わりにポケモン図鑑を埋めてもらおうと思ってな」

 

「ポケモン図鑑? 博士が作っていた機械やな?」

 

 研究台の上に4つの図鑑が並んでいた

 

 全て色は赤く塗られており、折り畳めるの手帳みたい形をしていた

 

 大きさは単行本くらいでスマホよりは大きい

 

「トキも元の世界に帰るために色々と旅をしなければならんじゃろ? その時に図鑑があれば助けになると思ってな」

 

「ありがとうございます」

 

「ただお前さんの未来視は体力を大きく消費するから使う際はここぞという場面にするんじゃぞ」

 

「わかっとります」

 

 ガチャリと扉が開くと茶髪の男の子が入ってきた

 

「爺さん今帰った」

 

「久しいなグリーン、大きくなったな」

 

「まーな、手紙で話は聞いてる。あんたがトキか」

 

「グリーン君やっろ。始めましてやな」

 

「ふーん···爺さん、西の森に少し行ってくる。飯には戻る。姉さんにも伝えておいてくれ」

 

「西の森···最近騒がしいからな」

 

「何かおるん?」

 

「幻のポケモンがいるかもしれねぇ。危ないから着いてくるなよな」

 

 グリーンはそう言うと出ていってしまい、バタンと扉が閉まる

 

「幻のポケモンか、うちの帰るためのヒントになるかもしれん。オーキド博士戦わんから見に行かせてくれん?」

 

「まぁミニリュウが居れば大丈夫じゃろ。行ってきなさい」

 

「ありがとうな!」

 

 

 

 

 

 

 

 マサラタウンの西の森

 

 普段は静かな森だが今日はやたらと騒がしい

 

「なんや? 人の気配が多いな」

 

 ヒョコと草むらから顔を出して周りを見ると胸にRの文字を付けた黒服の集団が何かを探していた

 

「なんや、怪しい集団やな」

 

 見つけたかとかどこにも居ないとか言っている考えられるのはこの集団も幻のポケモンを探しているのだろう

 

 ここの近くには居ないと考え、別の場所に行くとグリーンがヒトカゲを使ってなんか光輝いているポケモンと戦っていた

 

「わ! トキなんでお前がここに」

 

「なんやレッドか」

 

「アイツが戦っているのが幻のポケモンか!? スゲェバトルだ!」

 

 しかし、グリーンは数度攻撃をするとヒトカゲをボールに引っ込めた

 

「ああ! なんで辞めちゃうんだよ! もう少しなのに!」

 

「え? あ、レッド!」

 

 レッドは草むらから飛び出して謎のポケモンにニョロゾで攻撃を仕掛けるが、ニョロゾは一撃で倒されてしまう

 

「ニョロゾ!?」

 

 光り輝く謎のポケモンはそのままどこかへと消えていった

 

「おい、お前、俺のバトルを見て何も感じなかったのか? 俺はアイツを攻撃して力量の差を理解したから手を引いた」

 

「自分の実力差以上に思い上がる奴は自滅するぜ」

 

 そう言うとグリーンは研究所の方に歩いていった

 

 草むらでその様子を見ていたうちは確かにと思う

 

(でもなグリーン、実力差以上の相手に挑まないかん場合もあるんやで)

 

 レッドの肩をポンポンと叩く

 

「早く治療してあげんとニョロゾが可哀想やろ」

 

「はっ! すまないトキ」

 

 レッドもニョロゾをボールへと仕舞い、どこかへと走っていった

 

 私も研究所の方に歩くのだった

 

 

 

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